Dr. Mercolaより
瞑想やヨガ等の地上で最も心を落ち着かせる経験の一部に対して制御された意図的呼吸が重要な役割を担っています。特にストレスを受ける状況ではリラックスして集中する方法としてほとんど本能的に長い深呼吸をしている自分に気づくことが皆さんおありではないでしょうか。
速いか遅いか、浅いか深いかに関わらず、呼吸のしかたが身体にメッセージを送り、これが気分やストレス度、さらには免疫系にまで影響します。
呼吸が興奮状態やより高位の脳機能を含む脳の活動に直接影響していることを新研究が解明しました。
呼吸は脳幹内のニューロンクラスターから始まります。ある動物実験で、研究者らは異なる種類のニューロン(約3,000l本からなるあるグループの一部)を識別して呼吸機能におけるその役割を特定しようとしました。
研究者らは呼吸のペースメーカーとして知られ(また人間にもマウスにも存在することがわかってい)るプレ・ベッツィンガー複合体(preBötC)という領域に注目しました。
研究者らはさらに呼吸ペースメーカーの中の175本のニューロンに絞り込み、マウスの中でこれらを「ミュートし」すなわち事実上破壊してみて、呼吸パターンの変化を予想していました。
NPRがその研究の筆者のマーク・クラスナウスタンフォード大学医学部生化学教授の語ったことを引用しました:「ニューロンを不活性化するとマウスの呼吸パターンを完全に消滅させるか劇変させるだろうと期待していました。」
しかし、この変化が起こらなかったのです。ニューロンをノックアウトした後マウスの呼吸パターンは変化しませんでした。実際に起きたことは驚くなかれマウスが「凍えて安らいだ友達」になったとクラスナウさんが語りました。
その研究は「マウスのプレベッツィンガー複合体(preBötC)という呼吸リズムの発生中枢にはニューロンの副集合体があること、これが安らぎと興奮した行動の平衡を保つことを発見した」と説明しています。
次に研究者らはこれらのニューロンが興奮に関わっている青斑核という脳幹の構造体の中のニューロンをプラスに調節することを発見しました。
換言すると、以前はわからなかった呼吸の速さと感情状態の間には連関があることを少なくともマウスに関しては示しています。その研究の共著者でありUCLA神経学の著名な教授ジャック・フェルドマンさんがThe Vergeにこう語っています:
「これは以前見ようともしていなかった呼吸自体と感情状態や興奮状態の変化の間の関連性を示します。これは臨床応用に大きく潜在性があることを示します。」
この脳野を照準にした薬の開発も可能ではないかと考えられますが、しかし、そのために自然な方法がすでにあります。息遣いを制御するつまりヨガにいうプラナヤマは多くの古代の伝統で中心的位置を占めていました。
消化や血流等多くの体内プロセスは全く不随意の現象です。こうしたプロセスは望むと望まざるに拘わらず生じており、その発生の態様やタイミングを自分の意志で制御することはできません。しかし呼吸はこれとは異なり、この事実こそ自分で呼吸を制御することで健康をよくできる主な方法になりうる主なカギです。
身体は自動的に呼吸していますが、これは不随意と随意の両方のプロセスです。例えば呼吸の速さと深さを自分で調節でき、さらに、口か鼻かを自分で選ぶことができます。さらに、こうした選択能力は体内の肉体的変化につながります。
短くゆっくりとした着実な呼吸をすると副交感神経を活性化し、速く浅い呼吸をすると交感神経を活性化しますが、交感神経はコルチゾールやその他のストレスホルモンを放出させることに関与しています。Time紙でクラスナウさんが次のように説明しています:
「この脳の残りの部分との関連性[この著者らのScience誌に掲載された研究で発見された]の意味は、深呼吸やゆっくりと制御した呼吸などのように息遣いを遅くすることができるなら、これらのニューロンは興奮中枢に信号を送らず、脳を過度に活性化させないでしょう。つまり、呼吸を落ち着かせれば心も安らぎます。」
息遣いを制御することのメリットは実際にあり、不眠症や不安をはじめ外傷後ストレス障害(PTSD)やうつにも及ぶ健康の異常を改善に向かわせる可能性があることを先端研究が示唆しています。
2016年5月にネバダ州ラスベガスで開催された統合医療・健康国際会議で発表されたある初期研究が、12週間毎日ヨガして息遣いを制御すると、うつ症状が抗うつ剤を使用したときと同じく改善することを発見しました。
参加者のうつ症状が大幅に軽くなったばかりではなく、γ-アミノ酪酸(GABA)という心を休める神経伝達物質も同時に増加したのです。
息遣いを制御するエクササイズはストレス対策行動を変化させ、心臓の自律的調子を適切に平衡させ始めることもわかりました。この心臓の自律的調子と言うのはストレス要因に対して心臓が応答して回復する能力を意味します。
これと同じく面白いことに、2016年にBMC Complementary and Alternative Medicineに掲載されたある研究はヨガ呼吸法で唾液の中の炎症促進バイオマーカーが減ることを発見しました。これも何世紀にも渡って健康や精神的練習においてヨガの呼吸が相互に関わり合っていることを示すさらに一つの実例です。
プラナヤマは長年肉体の調子をよくするために基本的機能を果たすものと考えられてきたもので、現在では研究がこのことを実証しました。
Annals of the New York Academy of Sciencesの中で研究者らは呼吸運動が寿命にプラスに影響しうること、一方ではヨガ式呼吸がうつや不安、外傷後ストレス障害の治療や大規模災害の犠牲者のために効能があると考えられることを示すデータを検討しました。
「ストレス耐久性を誘導することで呼吸運動は多くのかたちをとる障害から迅速かつ同情をともなって回復することを可能にしている」とその研究者らは結論しています。肉体的な面でもその結果は印象的です。
例えば化学療法を受けているがん患者の中でヨガ呼吸は睡眠妨害や不安、生活の中での精神面の質をよくすることがわかっています。患者がプラナヤマを利用すればするほど、化学療法に伴う症状や生活の質がさらに改善したのです。
ギランバレー症候群(GBS)の患者に関する研究でもプラナヤマに効能があることは実証されており、睡眠の質がおおきく改善しています。
口での呼吸から鼻呼吸に切り替えたり、呼吸の深さや速さを変えるといった呼吸制御法は多くあります。New York Timesでは一貫性のある呼吸法がもう一つのオプションであると説明されており、この場合一分に5回の割合で呼吸します(つまり6ずつ数えながら息を吸って吐く)。
また、「ハー」式呼吸も身体を力づけるのに役立つことも説明されており、この場合は息を吸ってから「ハー」と大声でいいながら速く息を吐きます。
また、スダルシャンクリヤ(SK)という呼吸エクササイズもあり、これは一種のスダルシャンクリヤヨガ(SKY)の練習中に行うリズミカルな呼吸法です。この呼吸練習では遅くゆったりした呼吸から速く刺激的呼吸にまで変化をつけます。
例えば、SKYではウジャイ式呼吸をします。これは一分に3サイクルのゆっくりした呼吸をして次にバストリカという速く息を吐くのを一分に20~30サイクル行うもので、次に、ゆっくりと中程度の速さのサイクルで呼吸をします。International Journal of Yogaにこう説明されています:
「SKYがストレス、不安、外傷後ストレス障害、うつ、ストレス関連の疾患、薬物濫用、犯罪者のリハビリの処置に利用できる効能があるリスクがあまりない費用もあまりかからない補助手段になりうることを示す証拠が多く存在する。」
ストレスや不安解消以上に「SKは免疫力、抗酸化的状態、ホルモン状態、脳の機能を改善することで健康的ライフスタイルを促すために重要な機能をすることが可能である」と、Advances in Mind-Body Medicine誌に掲載されたある研究が説明しています。
World Journal of Clinical Casesに掲載された別の研究も、SKやその他の呼吸を利用する薬剤投与手順が「個体の自意識を促し、脳(つまり心)と他の器官(つまり身体)をよりよく統合するのを支持することにより、人間としてのパフォーマンスアップにつながる可能性がある」と、結論しています。
息遣いを制御することを考えるとき多くの人は大きい深呼吸について思いますが、まだ多くの方法があります。ビューテイコ呼吸法によるとひとつの重要な考慮すべき点として、口ではなくむしろ鼻で息するように意識して努力することです。
上のビデオの中でビューテイコ呼吸法の最も優秀な師であるパトリック・マッキーオウンさんは喘息、鼻炎、睡眠中無呼吸等の睡眠障害と関連する呼吸機能障害のパターンを検査し、呼吸習慣を改善するための科学理論的根拠を詳しく説明しています。
口呼吸をやめて、呼吸量を正常にするような方法を身に付ければ、脳を含めた細胞や内臓の酸素化が良くなります。ストレスや運動不足といった現代生活の要因はすべて毎日の呼吸を速くしています。
たいていの人は口で大きく息をすると体内により多く酸素を取り込め、気分がよくなり頭もすっきりすると思っているようです。
しかし事実は反対です。口で深く呼吸すると眩暈がしやすくなりますが、これは肺からCO2が出すぎて血管が収縮するからです。つまり深く大きく呼吸するほど、実際には全身をめぐる酸素の量は少ないのです。
しかも、一般に考えられているのとは逆で、CO2は単なる排気ガスではないのです。余分なCO2は吐き出しますが、肺の中に特定の量が留まることも必要であり、そのためには普通の呼吸量を維持する必要があります。
深呼吸でCO2を多く吐き出し過ぎると、気道にある平滑筋が縮小します。このため充分空気を吸っていないような気がして、その自然な反応はより集中的に強く吸い込もうとすることです。この状況を絶つにはこうしたマイナスなフィードバックを鼻呼吸して呼吸量を減らすことによって絶つ必要があります。
最も効果的なビューテイコ呼吸エクササイズの一つはストレスや不安を軽減して、全く深呼吸せずに行うもので、むしろ次のようにして鼻から浅い呼吸をすることに集中します:
息遣いを変えると脳内を変化させ、これが精神状態や気分に影響することがよくわかったので、このストレス解消力をつけることがさらに有意義なものになります。そのことを念頭に置いたうえで、マッキーオウンさんが詳しく説明してくれた次の手順も呼吸おそらく気分も軽くなるのによいでしょう。
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