元CIA幹部が嘘つきの見破り方をご案内します

嘘つきを見破る

早分かり -

  • 人が嘘をついている場合、質問されている間5秒以内に嘘であることを示す動作を犯し、回答が終わるまでにさらに2つかそれ以上の嘘であることを示す動作を犯します
  • 操作を意図していることがたいていある、人の本当らしい発現内容は無視して、騙しのほうに集中すること
  • 嘘であることを示す動作には責めを否定できないでいることや質問に答えられないこと、さらに、情報を伝えず「納得させるようなことを言う」場合が含まれます
  • 人が嘘をついている言外の兆候には頭をかくなどのもじもじしたジェスチャー、手を顔に当てる動作、足を動かしたり、咳払いが挙げられます
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Dr. Mercolaより

普通の人なら嘘を10回は一日のうちに言うとスーザン・カーニセロ氏が言っていますので、彼女ならよくご存知のようです。20年以上被疑者の尋問、会見、うそ発見器にかけてきた元CIA幹部として彼女は嘘つきの見破り方について多くを学んできました。

実際に、カーニセロ氏は米国政府が使用している動作のスクリーニングプログラムも開発したり、嘘を検出する方法について教えている「Spy the Lie」(嘘をスパイする)という本の共著者です。また彼女はQVerityという民間企業や政府部門のために動作解析やスクリーニングサービスを提供している会社の共同発起人でもあります。

人がこれほど日常的に嘘を言っているとはショッキングなように見えますが、必ずしも全ての嘘が悪意のあるものとは限りません。言語学・社会心理学の専門誌Journal of Language and Social Psychologyに掲載されているある研究によると、たわごと程度の罪のない嘘は重要な大嘘より頻繁にあり、これには実際には元気がなくても誰かに元気かときかれたら元気だと答えるような罪のない言及も含んでいます。

嘘には様々な種類があると、カーニセロ氏が指摘しています。最も軽度の嘘には人の気持ちを傷つけないためや会話が自分の望まない方向に流れないようにもたせるための嘘があります。その反対側の極限には図々しい「私はしていない」といった大嘘があります。

後者の場合に嘘つきを見破ると必ず自分に有利に働き、想像する以上に多くの状況で有用になります。例えば、新規に従業員を採用中だったり金融的冒険プロジェクトに投資を検討中の場合、真実を知ることこそ重要です。

同様なことは、私的な生活においても、浮気の疑いについて相手を責めるにしても、子供の麻薬使用や、新しい恋の炎が本当に信用できるものかどうかよくわからない場合であるかに関わらず、言えます。市場で新車を探したり、家の元請け企業を探す場合であっても、騙しの明らかな兆候を察知できれば高価な過ちを防止できます。

嘘の見破り方: 分析対推測

無理ではないとしても見るからに人が嘘をついていると見抜くのは難しいです。これは推測に該当するでしょう。

そうではなく、カーニセロ氏によると状況分析が重要だそうです。「私が確認したいことはどう反応するかです」と「どこでも見られる動作」として腕を組んで座っている人を例に挙げて、彼女は言います。このことはちょっと見は閉ざされているとか騙しの姿勢のようですが、腕を組んで座るには冷たい人から単なる癖まで、多くの理由が考えられます。

「誰でもするような動作に気を向け過ぎています」と、カーニセロ氏は指摘します。「この見方は捨てるべきです。それは推測だからです。」何に関連性があり、何が関連しないのかを見分けるには、自分がしている質問という刺激をまず認識し、次に相手の応答に伴う動作に注目することです。

この場合タイミングが重要で、質問してから最初の5秒以内の嘘であることを示す動作が間違いなく嘘であることを表します。

「5秒以内に嘘であることを示す動作が見られない場合、私に嘘をついていません」と、彼女は言いつつ、さらにその周辺に不随する動作に注意することももう一つ重要な鍵を握ると言います。「私は[回答中に]少なくとも2つかそれ以上の動作を基に答えが嘘であること見抜きます。」

場合によっては、質問をまだしている最中から最初の嘘であることを示す動作が起きることもありますが - これは明らかに嘘であることが見抜ける -、嘘であることを特定できるには2つかそれ以上の動作は必要でしょう。

自分のバイアスを管理し、言い逃れの姿勢を見分ける

多くの人は嘘は悪く、人の中によい面を探すようにしろと教えられます。しかし、嘘つきを見抜こうとする際は、自分のバイアスが増し、カーニセロ氏の言う「光輪効果」(ハーローイエクト)を倍加するだけの本当らしく聞こえる動作を無視することが重要です。

「嘘つきこそもっともらしい答えを返します」と彼女は言います。そして信じ込ませようとして操作しようとします。多くのケースにおいて、善良な者だと思わせようとする姿勢にこそ自分が問いただすこと以上の情報があるそうです。

つまり、もっともらしい姿勢は無視し、むしろ、騙しの姿勢に集中することが重要です。その一方で、言い逃れ戦術を見抜きましょう。これは次のような場合で、相手が率直な人ではないことがわかります:

  • 問われている情報を提供できない — 長々と話しつつも質問には答えていないでしょうか?
  • 否定できない — 「正直な人の核心は答えを言うことで、何かをしていないと否定できることです。真実こそこういう人の最大の見方です」と、カーニセロ氏は言います。
  • 排他的条件付けの使用、例えば、「おおかたは」とか「基本的に」とか「あまり当たっているとはいえないが」など。こうした応答には別の質問をぶつけると相手が省略していることが明白にわかってきます。

攻撃的態度は「納得させようとする」言明と同じく嘘の印であることが多い

カーニセロ氏によると、相手の信頼度を測る際、「特定の態度が他の態度より比重が大きい」そうです。「攻撃性はその中の一つです。」子供に麻薬をやっていないかと問うて、怒って答えるなら、間違いなくやっています。これと同様に、社内で盗難があった場合、問いただしている相手の従業員がその盗難について聞かれていることに関してあなたに攻撃的になった場合も間違いないです。

「相手に質問をしたがために怒って来る人、それが子供であるかどうかに関わらず、そうした場合は問題です」と、彼女は言います。

こうした人は最初から盗難防止策をしていないセキュリティ不備に関して会社等第三者に避難の矛先を向けることもあります。これらと似た例としては、懸念表明の程度が不十分であれば相手が真実を言っていないことがあからさまな嘘の兆しです。

例えば、重要な質問を一貫性がないとして一蹴するとか、不適切なタイミングでほほ笑む、または理由もないはずなのに怒り出す場合、嘘をついている確率が高いです。カーニセロ氏は納得させようとする言明と情報を伝えるための言明 - 前者が嘘の兆候 - を区別することが重要であると強調します。相手に何かを盗んだかと尋ねるケースを例に挙げます。

相手が長年の業務経歴や信頼度について長々と答え始めたら、本当らしく聞こえてもそれが嘘であることを示す納得できる言明です。「いいえ」とだけ答えれば本当の答えである確率が高い情報を伝えています。

カーニセロ氏によると、「納得させるような声明は相手が身を震わせることがあることを示す強力な兆しです。「私は善良だ」とか「私は優秀なワーカーだ」と言えば、相手が何かについて納得させようとしており、情報を伝えていないので、嘘であることを示す強い兆しです。」

子細な事に注意しても嘘を見抜けます - 例えば、「私はしていません」と言わずに、「私がそんなことを」と言う場合が挙げられます。この「私がそんな」というところがよく嘘を表しています。カーニセロ氏によると、「しなかったという言葉を聞けることが重要なのです。」宗教を持ち出して質問者を引きずり込み、相手に対する認識を操作しようとすることも嘘つきがよく使う手で、「聖書の山の前に私は誓って」などと言うことが挙げられます。

その他の微妙な兆候には「正直申しまして」とか「本当のことを言うと」、「率直に申しまして」といったような「認知の条件付け」のフレーズがあり、これらは言葉で「嘘を飾る」ために使うものです。その他の嘘であることを示す動作の集合体と組み合わせると、嘘を見抜くのに役立ちます。

騙しの言外の兆候

相手の言外の兆候も嘘をついているかどうかを評価するために注力する上で重要です。カーニセロ氏は以下の言外の兆候に注意を向けるように勧めています:

  • 一時停止姿勢 — 数年前の今日に何をしていたかといったような曖昧な質問をすれば、答えるまで考える時間は当然予想がつきます。しかし10年前の今日銀行強盗をしたかと聞けば、直ちに答えが返る筈です。後者の例では一瞬考えていれば嘘の印です。
  • 言明/言外の矛盾 — 「いいえ」と言いつつ頷く、または、「はい」と言いつつも頭はいいえと振るという矛盾は騙しの姿勢と見なされます(しかし、文化圏によっては頷くことがはいではないし横に振るのがいいえでない所もある)。
  • アンカー点の動き — 嘘のもう一つの兆候は「アンカー点」つまり床に着けた足やデスク上に置いた腕、足を組んでいれば上側になって揺れている脚などの動きです。
  • もじもじジェスチャー — ネクタイやその他衣服の一部を締め直したり、髪を整えたり、メガネの位置を直す、またはシャツの袖口をいじる動作は不安を抑えようとする無意識の動きである場合が多く、しばしば嘘の現れです。答える前に咳払いしたり飲み込む動作も騙しの印と見なされます。
  • 手を顔にやる動作 — 手を口に置いたり、唇を舐める、耳を引いたりその他顔や頭に触る場合も騙しの動きです。

嘘つきを見破ることは精密科学ではない

自分が嘘をつかれていることを見抜くのは必ずしも容易ではありませんが、カーニセロ氏のガイドラインは確かに役立つ場合があります。カーニセロ氏の著作「Spy the Lie: Former CIA Officers Teach You How to Detect Deception」(嘘をスパイする:元CIA幹部が騙しの見抜き方指南)をお読みになると実際に役立つガイドラインを示す多くの逸話を含む詳しい情報が得られます。

真実を解き明かす能力があれば職業生活やプライベートな面で人生を変えうるものであり、自分のお金を節約したり、騙し取られることのないようにもできます。

嘘をつく側について言えば、「正直であることは最善な方針である」というアプローチを取ることは周りの人ばかりではなく自分にとってもよいことです。

5週間本当のことだけ言った人々は平均して7つの症状が対照群より減りましたが、これらには喉荒れ、頭痛、吐き気、精神的緊張が含まれます。これについて研究者らは嘘をつくと免疫系を弱くするストレスを起こすと、示唆しています。

いかし、嘘をつく場合について、多くの人はそれについて考えずに嘘を言い、すなわち、健康 - や評判 - を守るために、自分が嘘をついていることを自覚し、自分の周囲の者が最初に認識するより早く改めることです。

+ 出典および参考資料