Dr. Mercolaより
一日三食というアプローチを捨て時間制限型食生活 — 一種の間歇的絶食 — にすると、健康に奇跡が起きるという発想を研究が圧倒的に裏付けています。現代の信念とは異なり、身体は一日中食事するようにはできておらず、たいていの人が行っているようにほとんど常に何か食べていると重大な健康への害につながることがあります。
サチダナンダ・パンダPh.D.の研究は、 90%の人は一日に12時間以上食べており、そのうちこの習慣は代謝に障害を生み、脂肪を主な燃料とする代謝能力を制約することを示しています。
一日中食べ続け一食くらい抜かないでいると、身体は砂糖を主な燃料として代謝することに適合し、このため体脂肪を利用して代謝する酵素の機能を弱めます。
その結果、身体のインスリン抵抗性が増し、体重が増え始めます。体脂肪を落とすには身体はまず脂肪を実際に燃やすことができなければならないので、減量の努力もまさにこの理由のために効果がなくなります。
多くの生体修復や若返りプロセスも絶食中に起き、これこそ終日何か食べていると病気のもとになり、絶食でこれを予防できるもうひとつの理由です。
時間を制限する食事は読んで字のごとくそのままの意味です。食事する時間を制限することは一日分の食事を済ます時間帯を2時間から8時間の間に制限する一種の間歇的絶食です。すなわち16時間から22時間連続的に食べずにいること(絶食)を意味します。4時間から6時間の枠内で食事を済ますのがたいていの人にとって代謝的にほぼ最適なようです。
前記の通り体脂肪を落とすには身体が脂肪を代謝する能力を持つことは必須です。この能力は。誰にも常に(脂肪は燃料になることを皆知っているから)あるように見えますが、不適切な食生活や食事計画によって起きる代謝異常で阻害されます。簡潔に言えば、効率的に脂肪を代謝するには次のことが必要です:
(そのうち)身体は速く代謝される炭水化物ではなく脂肪を代謝することを学習し、食物繊維を代謝するのに加え、身体は貯蔵した体脂肪にもアクセスして代謝するようになっていきます。
これらの戦略のいずれか一つ(絶食かケトン食)でも身体は炭水化物から脂肪を代謝するように変わりますが、両方とも行うと結果が速く出ます。このことについて詳しくは私の「間歇的絶食とケトジェニック食を組み合わせると効果的な理由」をご参照ください。
時間を制限する食事で実際に減量できる根拠は何でしょうか? いくつもの動物実験以外にObesityの2019年7月号に掲載された以下の研究をご検討ください。
この研究は日中早い時間に食べると代謝を調節する概日リズムの自然な変動に正しくマッチするという前提に基づいています。その結果減量が促されます。
その研究が解答を探った疑問とはこのメリットがエネルギー支出の増加あるいは単にエネルギー摂取の減少によって起きるのかということでした。明らかにするために11人の体重過剰な参加者は最初に食事をすべて午前8時から午後2時までに4日間済ませる時間を制限する食事計画に従いました。
次の4日間は一日のすべての食事を午前8時から午後8時に食べました。最初から一貫して規則正しい睡眠計画にも従いました。各実験の最終日にエネルギー支出と基質酸化レベルを測定しました。
その結果食事時間計画は主に食欲を減らし脂肪の酸化を促進して減量しやすくすることがわかりました。エネルギー支出には影響しませんでした。
Nutrition and Healthy Agingに2018年に掲載されたもう一件の研究は、TRE — カロリー計算せずに ー がいかに肥満成人の体重に効果あるかを試験しました。この研究では8時間枠に制限した食事時間を使用しました。
体重過剰の成人23人に12週間午前10時から午後6時の間なら好きなだけ食べてもらいました。それ以外の昼間も夜も水だけ飲んでもよいことにしました。減量と代謝のパラメータを対比しうる対照群の時系列データと比較しました。
12週目の最後に体重は平均2.6%増え、エネルギー摂取量は対照群より一日当たり341 kcalだけ減りました。収縮期血圧も平均7 mm Hg減少しました。
その研究の執筆者らによるとこの研究による事実は「8時間に制限する食事方法はカロリー計算せずに軽微なカロリー制限と減量を達成できることを示す。血圧も下がるので臨床的メリットもある」ことが示されました。
2016年にJournal of Translational Medicineに掲載された、健常な男性を対象にしたTREの基礎代謝、体力、身体組成、炎症レベル、心臓血管リスク要因に対する効果を評価したある研究でエビデンスが示されたように、体重過剰の人だけが時間制限食事法のメリットを受けられるにとどまりません。その研究の筆者らは次のように説明しています:
「筋力トレーニングした34人の男性を時間制限食餌(TRF)グループと通常食生活グループ(ND)にランダムに振り分けた。TRF対象者は毎日8時間枠でエネルギー需要の100%を消費し、そのカロリー摂取量を午後1時、午後4時、午後8時に食事するように分割した。
24時間当たり残りの16時間は絶食期間とした。ND対象群ではエネルギー需要の100%を午前8時、午後1時、午後8時の三食に分けて摂らせた。各群の消費kcalと主要栄養素分布を照合した。」
筋力トレーニングは8週間に渡り非連続的日に3週間の毎回トレーニングを行う分割型ルーチンで構成します。全参加者はこの研究以前すでに少なくとも5年は継続的筋力トレーニングに取り組んできました。
8週間の最後に対照群と比較して処置群では筋肉質量と最大筋力を維持しつつ体脂肪質量が減少しました。
興味深いことに、予想通り血中グルコースとインスリンは大幅に減少した一方、二種類の同化的ホルモンであるテストステロンとインスリン様成長因子1も減少しました。残念ながらこれらの事実に対して何ら仮説は呈示されていません。
さらに発見されたことはトリグリセリドの減少以外にも、食事時間制限法は「血中脂質特性に対する[間歇的絶食の]よい効果を示した以前の研究は確認しなかった。」
この点についてその研究者らは同研究の考察の部で説明しており、このことは被験者全員が「血中脂肪値が正常なスポーツ選手であったことに関連していると仮定した」とあり、すなわち、血中脂質特性は最初から正常だったわけです。それにも拘らず、その執筆者らはこう結論しています:
「本研究の結果からして全カロリーを8時間枠で消費する間歇的絶食プログラムに筋力トレニンーグを組み合わせて行うと、健康関連のバイオマーカーがよくなり、体脂肪質量が減り、筋力トレニンーグした男性の筋肉質量を維持するものと考えられる。」
European Journal of Sport Scienceに掲載された類似の研究でも、筋力トレーニングを8週間行い、運動しない日(一週間に4日)に一日の食事を4時間枠に制限したら、カロリー摂取量が減りつつも、筋力と筋肉の耐久力が増すことが特定されました。
食事時間制限法(間歇的絶食)がいくつもの生体へのメリットがあるので利用するとよいことを裏付ける医学研究は益々増加しています。筋力を保護しさらに強くすると同時に、体脂肪を削減し易くするほか、様々な間歇的絶食法や時間制限法を含む異なる形態の絶食を示しています:
インスリン抵抗性あるいはインスリン感度の低さがほぼあらゆる慢性病に寄与するので、健康のために欠かせない、インスリン感度改善
レプチン感度改善
インスリン媒介グルコース取り込み率が増加することで血糖管理を改善できる
トリグリセリド濃度低下
ヒト成長ホルモン(HGH)の産生増加 — HGHはよく「フィットネスホルモン」と呼ばれ、筋肉の発達促進や代謝増進による体脂肪減少の促進を含む健康、体調、長寿の維持のために重要な機能をしています
絶食するとHGHが女性で1,300%、男性で2,000%増加することは研究からわかっています。このホルモンが筋肉を発達しやすくさせると同時に体脂肪削減も促進することは、HGHが筋肉質量が減ることなく減量に有用である理由、および、運動選手も間歇的絶食のメリットを受けられる理由を説明しています
炎症を抑え、酸化損傷を軽減する
自己貪食(オートファジー)やミトコンドリア分解という、最適な細胞の更新と機能に欠かせない自然な自浄作用を改善し、幹細胞の再生を促進することで複数のシステム再生を促す
2型糖尿病の予防や逆転、進行遅延
損傷した幹細胞の再生による免疫機能の改善
血圧を下げる
心臓病のリスク増大
ミトコンドリアのエネルギー効率と生合成の増進
部分的に自己貪食を最適化することによりがんリスクが減る
長寿化 - この効果に寄与するいくつものメカニズムが存在します。インスリン感度の正常化は主な効果ですが、絶食はmTOR経路という老化促進の重要な要因も阻害します
膵臓を再生し膵臓機能を改善する
ケトン体(脂肪酸分解の副産物で、脳のために優先される健康的燃料)および脳由来神経栄養因子(BDNF。脳幹細胞を活性化し、新たなニューロンに変換させ、神経の健康を促すその他のいくつもの化学物質を活性化する)の産生により認知機能を改善し、神経疾患(認知症やアルツハイマー病、パーキンソン病など)から保護する 。
動物実験からも間歇的絶食が興奮毒性のストレスに対するニューロンの抵抗力を強くします。
身体が糖分ではなく脂肪を代謝するように適合するにともない糖分の活動を解消する
長い期間の絶食やカロリー制限とは異なり、TREはほとんどの人が行い易い戦略です。忘れてならないのは、現在カロリーを制限していたり計算している必要がないことで — (理論上は)好きな物を好きなだけ食べてよく — 健康な未加工食品を食べ、過剰な炭水化物を消費せずによりよい成果が出ますが、これだけの食品をすべて食べる時間枠を狭めるだけのことです。
栄養失調の兆候である虚弱と無気力が起こることはないはずです。食事の時間帯制限によって気分がよくなるはずで、実際に空腹感がそのうち減っていくはずの習慣です。
身体は主な燃料として脂肪を代謝し始めるので空腹感や糖分渇望はゆっくりと解消していきます。体が脂肪燃焼モードへ上手く移行したら、簡単に最長22時間絶食でき、まだ満腹感があるようになるでしょう。私は通常一日に18時間食べず、ときどき22時間食べないこともあります。
食事時間制限法と間歇的絶食は理論上は食事の内容に関わらず機能しますが、加工食品が多い食生活はお勧めしません。減量のさらに先のことを求めているなら食事の品質は特に重要です。
精製炭水化物や砂糖/果糖、穀類を避けることがポイントです。食生活を野菜の炭水化物や適度の健康的なタンパク質、バターや玉子、アボカド、ココナッツオイル、オリーブオイル、生のナッツなど健康的脂肪主体にしましょう。
絶食で長生きする
アルツハイマー病 - 予防できます!
間歇的絶食とケトジェニック食を組み合わせると効果的なわけ
食生活とエクササイズがパーキンソン病の影響を軽減し全体的免疫系の健康を増進します
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