Dr. Mercolaによる
見出しで提示された質問は、そこここの医師に一般的に聞かれるものです:「お腹が空くまでにどれくらいかかりますか?」これは食事のタイミングだけでなく、食べたり飲んだりするものが特定の薬の作用に影響を及ぼす可能性があるため、処方薬を服用する人にとっては重要な質問です。
その他に、定期的に胃を空にすることで得られる健康上のメリットを知ることには価値があります。「空腹」という言葉を聞いて最初に思ったことが否定的なものであれば、考え直す機会です。空腹を乗り切るだけでなく、力強く成長することもできます。
私の経験では、間欠的ファスティングやその他の安全な絶食を通して、日常習慣として胃を空にすることは、健康と幸福感を高めることに繋がります。この効果は抜本的なものに成り得るので、健康状態の改善に合わせて処方薬の使用量を減らす(場合によっては無くす)ことができるかもしれません。
ニューヨークタイムズ紙に掲載された医療に関する質問と回答の特集『Ask Well,』は、最近この質問を取り扱いました。「多くの薬は空腹時に服用しなければなりません。空腹時はどうやってわかりますか?」
コロラド大学医学部で救急医療の助教授であるRichard Klasco医師がその答えをこう書きました。「食後2時間というのはおおよその目安です。より正確な答えは服用中の薬と病状によって決まります。」
Klasco医師はFDAの2時間ルールはあくまでも目安であり、2時間後に胃が「完全に空ではないでしょう。」と断言しています。さらにKlasco医師は、空腹時に対する期待は薬によって大きく異なると指摘しています。
胃排出と薬物療法に関して、糖尿病のようないくつかの医学的状態では胃排出を遅らせ、反対に肥満手術はこれを速める可能性があるとKlasco医師は言及しています。改めて、医師に相談して自分の状況に合った最適な空腹のためのガイドラインを見つけてください。
これまで、空腹のための最良かつ最短ルートは食事を採らないことであり、それ以外の場合はファスティングと呼ばれています。一定期間食事を控えるというこの単純な行為は、胃排出を確実にするだけでなく、インスリン抵抗性や肥満、がんなどの慢性疾患やその他多くの健康上の問題と闘うための、強力なライフスタイルツールとしても立証されています。
ファスティングは、細胞の最適な再生と機能に必要な体の自然浄化プロセスの2つである、オートファジーとマイトファジーを増加させるだけでなく、幹細胞の生成をも引き起こします。その他にも、周期的に食事を断ち、再摂食を始めることは、ミトコンドリアの新生、すなわち新しいミトコンドリアが作られるプロセスに対しても大いに刺激します。
ミトコンドリアは細胞の動力源で、体内で発生するエネルギーの約90パーセントを生産しています。エネルギーはほとんどすべての身体プロセスを支えるために必要とされるため、健康なミトコンドリアでなければ病気や疾患にかかりやすくなります。
またミトコンドリアはアポトーシス―プログラムされた細胞死―の調整役としても働き、本来ならば変性してがんになるかもしれない機能不全の細胞を、確実に死滅させるための重要なプロセスです。ファスティングは体が有毒な組織片を取り除く手伝いをするため、認知症の予防や改善にも役立つというエビデンスさえあります。
その理由は、オートファジーが増えると体内でアルツハイマー病の原因と考えられている脳内のベータアミロイドタンパク質などを含む古いタンパク質の分解が始まり、再利用されるからです。水分のみのファスティングは、過剰体重および/または2型糖尿病と闘っている患者に極めて有益なものですが、コンプライアンスが困難な場合があります。
幸いなことに、間欠的ファスティングを通じて、完全ではないものの同じような結果が得られることが研究で確認されています。このタイプのファスティングは、毎日少なくとも16時間は絶食し、6時間から8時間以内にすべての食事を済ませるという食事のスケジュールに従います。
あなたがまだ間欠的ファスティングを試す気にならなければ、この実践に関連する素晴らしい健康上のメリットをもう一度思い出して欲しいと思います。あなたが間欠的ファスティングを避けているのは、「ファスティング」を飢餓と結び付けているからかもしれませんし、単純に怖気づいて必要な調整をすることに挑戦できないだけかもしれません。
前述したように、このタイプのファスティングの目標は1日に最低16時間の絶食をすることです。そのため、1日の最初または最後の食事のどちらかを抜くとよいでしょう。(最初の食事を抜くことをお勧めします。)従って、摂取したカロリーのすべてを残りの8時間以内の時間帯に結集させます。
私は間欠的ファスティングで大成功を収めており、ランチタイムあたりに最初の食事を採ることを強くお勧めします。また、就寝の少なくとも3時間前までには食べ終わるようにしましょう。米国では間欠的ファスティングのコンセプトが今も流行していますが、この国では一日中間食できることや24時間いつでも食べ物が手に入ることが災いしています。
絶え間ない間食が健康を損ねていることに気づいたら、私の『間欠的ファスティングインフォグラフィック』を参考に、この食事スタイルとあなたが確立できる推奨された時間枠についての詳細を再考してみてください。最初から16時間の絶食が難しいようであれば、より少ない時間の目標を設定して前に進みましょう。
もしあなたの経験することが私のものと似ているならば、体内の消化器やその他の器官が食物から離れる時間を確保することで、あなたの想像を超えた健康上のメリットが生み出されることでしょう。そのうちに、あなたが健康上のメリットを実感するにつれ、おそらく定期的に間欠的ファスティングを行う意欲が湧いてくると思います。
間欠的ファスティングは、うまくいけば、素晴らしい健康上のメリットをもたらします。以下のリスト以外にもあなたにとって意味のあることが必ずや発見できるはずです。研究によると間欠的ファスティングは:
• 認知機能の向上 — 間欠的ファスティングは、脳にブドウ糖ではなく脂質という好ましい燃料を供給することで、認知機能を向上させます。
研究によると、間欠的ファスティングは神経保護作用と脳刺激作用の両方を持つタンパク質である脳由来の向神経因子(BDNF)の後押しにより、アルツハイマー病やパーキンソン病の予防に役立つとされます。
• 食物への渇望と空腹感を最小限に抑えます — ファスティングを通じて体が飢餓状態になると思われるかもしれませんが、実際には渇望 を取り除き空腹感を減らすのに役立つ方法として知られています。これは主に、エネルギーをブドウ糖に依存しないように体を動かすことによって行われます。
• インスリンとレプチンの感受性を正常化 — 血糖値はインスリンだけでなくレプチンによっても厳密に調整されています。どちらのホルモンも糖尿病などの慢性疾患のリスクと同じく、食物摂取や体重に影響を与えます。
前述したように、間欠的ファスティングはブドウ糖依存から体を遠ざけ、糖への渇望を減らし、インスリンとレプチンの感受性を正常化します。
• 細胞の再生を促進 — 間欠的ファスティングは、損傷した細胞を体が再利用するための自然な「自己摂食」プロセスであるオートファジーが誘発されることによって、細胞の再生を促進します。がん細胞の増殖や慢性疾患の発症の抑制に役立ちます。
毎日一日中食べていると、からだの修復や再生の時間がとても短くなります。食べることから離れることで、体は新たな細胞の成長や細胞の組織片を取り除き毒素を除去するなど、食事を離れることでしか実行できない活動に焦点を移すことができます。
• 体を動かして脂質を燃焼させます — 食物摂取を制限することで、エネルギー源としてブドウ糖から脂質燃焼に切り替えることができます。この切り替えはしばしば体重減少をもたらし、脂質がより効率的で燃焼時間の長い燃料であるという事実に基づいてその他の改善に繋がる可能性があります。
間欠的ファスティングで成功するためには、医師の許可を得て、禁忌となるような深刻な病状がないことを確認することが必要です。
ちなみに、24時間を超える絶食は子供には勧められません。子供の体重を減らすためのより良い方法は、普段の食事から精製された穀物や糖分の多い食品を制限したり取り除いたりすることです。次の場合は絶食は推奨されません:
• 栄養失調 — このような状況では、より健康的で栄養価の高い食品を摂取し、必要に応じてサプリメントを追加することに重点をおきます。
• 妊娠中または授乳中 — 赤ちゃんの健全な成長と発達を守るためには、母親として継続的な栄養補給が必要です。絶食は母親と赤ちゃん両方の健康を危険にさらす可能性があります。
• 薬を服用している — 薬を服用している場合は、絶食する前に医師に相談してください。とはいえ、医師が承認したとしても、食事と共に服用しなければならない薬には注意が必要です。
メトホルミンやアスピリンなどの薬は、空腹時に服用すると胃の不調や胃潰瘍を引き起こす可能性があります。糖尿病の薬を服用していると特にトラブルのリスクが高まります。
• 低体重 — 肥満指数(BMI)が18.5以下の場合は、絶食は体へのストレスの増加および/または体重の減少を引き起こす可能性があるため安全ではありません。
好きなものを食べたり飲んだりしながら食事の時間枠を8時間以内に制限することもできますが、以下のようにすると絶食時間を大幅に短縮することができます。
• 水などの健康的な水分を十分に摂取します — 絶食中は満腹感と満足感を維持するために十分な水分を摂取するようにしてください。きれいな純水や有機コーヒーや紅茶などの飲料を適度に飲むことで、特に絶食を最初に始めた時の食物への渇望を抑えるのに役立ちます。
ご想像いただけるかと思いますが、アルコール、栄養ドリンク、ソーダ、その他の不健康な飲み物を飲むことは、ファスティングには逆効果です。
• 加工食品を普段の食事から排除します — 絶食の利点の一つは解毒です。そのため、有機野菜や健康的な脂質、牧草で飼育した家畜の肉などの自然食品を食べることで、より健康的な恩恵を実感するでしょう。
普段の食事から加工食品 を排除することで、体を癒し解毒をサポートします。
• 日課に運動を取り入れましょう — 絶食状態で運動すると、驚くほどの効果が得られます。グルコースとグリコーゲンが絶食状態で枯渇し補充されておらず、準備が整っていない状況においては、体はそれに適応し、細胞内に蓄えられた脂質という唯一のエネルギー源を引き出さざるを得ません。
お勧めする運動の種類には、高負荷インターバルトレーニング、ストレッチ、ウォーキング、ウェイトトレーニング、ヨガなどがあります。
• 睡眠を最優先にしましょう — ひと晩に8時間、質の高い睡眠をとることは、健康にとって素晴らしいことです。成人のほとんどは慢性的な睡眠不足であり、事故や糖尿病やがんなどの慢性疾患のリスクを高めるなど、健康に多くの悪影響を及ぼします。
• 友人や家族からのサポートを受けましょう — 間欠的ファスティングを行う場合は、友人や家族、特に同居している人からのサポートを受けることが重要です。これらの人々はあなたが諦めそうになった時、その旅を共有し弱ったあなたを勇気づけてくれます。
周到な計画と熟慮があれば、間欠的ファスティングを通して胃を空にし、まったく新しいレベルの健康を謳歌することができるのです。
より良い結果を得るために、そして脂質燃焼のポテンシャルを最大限に引き出すために、間欠的ファスティングと周期的なケトン食の組み合わせを提案します。この方法の詳細については、私の記事『間欠的ファスティングがケトン食との組み合わせでより効果的になる理由』を参照してください。
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