Dr. Mercolaより
携帯電話マニュアルに隠されているのは、ほとんど知られていない警告の記載であり、これはデバイスを身体から特定の距離— 通常5~15 mm — 離しておくようにという忠告であり、これにより連邦政府の定める安全な無線周波数(RF)暴露限界値を超えません。
しかし、実際にはほとんどの人が電話機を身につけ、通常ポケットに入れています。女性の多くは電話機をブラジャーにさえ挟んでいますが、これでは二大死因である心臓病や乳がんリスクが両方とも上がり、女性にとって電話機をしまう最悪の場所です。
現在、Chicago Tribuneが行った携帯電話テストから数種類の人気のある携帯電話が法定基準をはるかに上回るレベルのRF(無線周波数)放射線を発していること、これが少なくとも一件の集団訴訟につながったことが暴露され、安全性についての議論を再燃させたばかりではなく、少なくとも一件の集団訴訟も起きました。
(携帯電話のマニュアルに記載されている)安全距離は電話機の機種別局所比吸収率((SAR)に基づいています。SARは装置の身体からの一定距離における(5~15 mm、メーカーにより異なる)RF(無線周波数)エネルギーを身体がどれだけ吸収するかの尺度です。
言い換えると、使っている電話機が身体の組織を過熱する程度の尺度であって、今やこれだけが携帯電話が身体を損傷する主要な経路とは限らないことは知られています。
電話機から出る熱は身体を本当に損傷するわけではありませんが、組織を加熱するのはマイクロ波なので、SARは細胞を損傷する実際のマイクロ波無線周波数への暴露を示すのに適する代用尺度ということができるかもしれません。つまり、通常の場合はSARスコアが低ければ低いほど電話機は安全ですが、て安全なのがメーカーが言う理由によるわけではありません。
連邦通信委員会(FCC)が定めたSAR限界値は現在一般大衆の健康保護のために設定されている唯一の基準なので、このような甘い基準でさえ今や超過していることは懸念を抱かせる事実です。
米国とカナダにおいては公衆が使用する携帯機器のSAR限界値は頭の組織1 g当たり1.6 W/kgです。SARが放射線吸収率や健康リスクを過小評価している理由といかにそうなっているのかについて把握するには「Exposure Limits: The Underestimation of Absorbed Cellphone Radiation, Especially in Children」(暴露限界値:子供を中心とする携帯電話の放射線吸収の過小評価)という2012年にElectromagnetic Biology and Medicine誌に掲載された内容をご参照ください。
すでにご説明したように、Chicago Tribuneが出資した最近の中立的なSARテストは数機種の人気ある携帯電話が法定許容基準をはるかに上回るレベルのRF放射線を発していることを暴露しました。ベストセラーの携帯電話iPhone 7はSAR限界値の二倍以上を放出しています。
Chicago Tribuneは合計で4メーカーの携帯電話11機種のを試験しました。試験した最初のiPhone 7から驚くべき多量の放射線が放出されていたので、標準試験及びメーカーからのフィードバックに基づいた修正試験によりiPhone 7を4機種とも試験しました。結果は機種ごとに変動が大きかったですが、全4機種ともFCCの限界値を超えていました。
身体から5 mm(Appleが使用する距離)においてはiPhone 7は法定限界値の1.6倍から2.2倍多い2.5~3.46 W/kgを放射していました。
身体から2 mmでは — ポケットに電話機を入れて運ぶ状態を再現 — 計測結果は最低値3.5 W/kgから最大値4.69 W/kgの範囲で、これは法定限界値の2.2倍から2.9倍高いです。
Samsung Galaxyスマートフォン3機種、Galaxy S9、 S8、J3を試験したところ、身体から10~15 mmの距離(Samsungが使う距離)では合法範囲に収まっていましたが、身体から2 mmではRF放射線 レベルは急増し、Galaxyスマホをポケットに入れておくことの安全性について重大な疑惑が生じました。
身体から2 mmでGalaxy S9は3.8 W/kgであった一方、S8は極めて高レベルの8.22 W/kg(法廷限界値の5倍以上)、J3は6.55 W/kgを放出していました。これらの試験結果に基づいてFCCが間もなく独自の試験を行うことを約したと、Chicago Tribuneが報じています。
いかにこれらの携帯電話はそれほどの大差で法定限界値を超えたのでしょうか? Tribuneの説明によると、問題の一部はメーカーが数百万台を市販する認可を得るために単一の携帯電話について合格レベルを達成すれば済むことです。さらにメーカーは試験機関を自社で選択できるので、さらにばらつきが大きくなります。
Tribuneの説明によると、Appleは試験結果に反論し、Tribuneが使用した試験機関は「メーカーが行っているのと同じ方法で試験しなかった」としていますが、同社は何が問題なのかについては具体的に言いませんでした。
MotorolaもMoto e5 Playの試験結果に反論し、 Tribuneの試験は電話機の近接センサーを作動させなかった可能性があるとしています。このセンサーは電話機が身体に近接したことを検出して電話機の出力を下げることになっています。
Tribuneの使用した試験機関はFCC基準に従った試験方法で行ったのですが、 Motorolaからのフィードバックに基づいてTribuneは「出力を下げるはずのセンサーを作動させることを目的とした」修正試験を使ってAppleとMotorolaの電話機を再試験しました。
しかし修正試験では数機種の携帯電話が合格した反面 — つまりその他の機種では近接センサーが特定条件下で正しく機能しないことを示す —、iPhone 7はそれでもFCC基準から外れてしました。
もう一つの問題はSAR試験を行う会社は携帯電話を25 mm身体から離してFCC基準に合格させるようにできることです。今日では電話機を身体から常に少なくとも0.6 mmや25 mmは離しておく人はほとんどおらず、すなわち、過剰暴露が慢性化しています。
2012年にアメリカ会計検査院は、携帯電話の放射線が身体に対する実際の使用状況の下で計測されていないので、FCCは限界値と試験要件を見直すようにと表明しました。2019年8月、FCCはようやく、「既存の基準は公衆を十分に保護しており、今後もこの水準を維持する」と発表したと、Tribuneが伝えています。
明らかに、Tribuneの独立的試験は逆のことを示しています。Tribuneが指摘する通り、アメリカの十代の68 %は携帯電話をベッドに持ち込んでおり、29 %は枕わきや枕下に入れて寝ています。子供たちは子宮の中からすでにRFに暴露されています。全世代がゆりかごから墓場まで今ほどRFに暴露されたことはいまだかつてありません。
Tribuneのレポートが出ると、集団訴訟を得意とする法律事務所フィーガン・スコットは調査を開始すると発表しました。BusinessWireのプレスリリースで同法律事務所の経営者ベス・フィーガン氏が次のように述べています:
「塞いでそれっきりという、携帯電話業界のチェルノブイリ事故になりかねない」食料品店で売られる産品から法定基準を超すレベルの農薬が見つかったら、憤慨して産品の販売を止めるように要求するはずです — 事態はこれと同じです。
この事例では携帯電話の放射線が危険なことを知っているが、ぞっとする事実は特に子供の脳の発育にとってそれがいかに危険かを知らないことです。
Chicago Tribuneが専門家グループを募り、こうした納得できる事実を出せること自体、電話機メーカーは放射線出力についてすでに内部で判明していることを故意に隠している可能性が高いことを示しています。」
MacRumorsによるとフィーガン・スコット社は調査についてやどの種類の提訴を計画しているかについてはさらに情報を提供しませんでした。この調査についてさらに詳しく問い合わせたい場合や更新情報を受け取りたいのであれば、[email protected]にメールでお問い合わせください。
私の見解では、携帯電話放射線の主な害悪は脳がんではなく全身の細胞損傷及びミトコンドリア損傷なので、人気の携帯電話が法定基準を超すRFを放出していることは重大な健康上の懸念事項であり、こうした害悪がいくつもの健康の異常や慢性病に寄与しうることです。
携帯電話の放射線は神経や精神面の健康に大きく悪影響を及ぼすことはすでに実証されており、例えば不安やうつ病、認知症に寄与するまたは悪化させ、これらの異常のすべては蔓延しており、ますます広範囲に広がっています。
過剰なEMF暴露が生殖の問題をも起こしていることを研究が示しています。例えば、出産前に電力周波数場に暴露されると妊婦の流産リスクがほぼ三倍になることを研究者らが実証しました。携帯電話の放射線は精子の自動能や生存能力を弱めることも研究からわかっています。
携帯電話の放射線による害悪が組織の加熱とは関係ないことを把握することが実に重要です。むしろ多重の分子的異常につながり、重篤な酸化性損傷を起こします。
予定される5Gの配備は携帯電話やその他の無線機器に関連する健康リスクをさらに高めます。2017年9月、35カ国の科学者180人以上が参加して、「人間の健康や環境への危害の可能性を業界から独立した科学者が完全に調査し終えるまでは」5G実施を控えるよう求めました。
この実施延期要請は、「RF-EMF(無線周波数による電磁波)は人間及び環境に有害なことが証明済みであり」、「5Gはすでに設置された電気通信用2G、3G、4G、Wi-Fi等に加えて無線周波数電磁場(RF-EMF)への暴露を大幅に高める」と指摘しています。
これにも拘らず、また、2015年には230人以上の世界からのEMF研究科学者が非電離EMFへの暴露から保護する要請を国連に提出したにも拘らず、米国やその他多くの国はいまだに健康や環境への影響研究を行わず推進しています。
2019年2月6日、アメリカ上院商務委員会の聴聞(上記)で、FCCは5Gの安全性研究は同局及び電気通信業界が行っても出資もしておらず、今後もその計画がないことを認めました。
5Gによるさらなる懸念はミリ波(MMW)が追加されることです。この帯域の電波は30 GHzから300GHzの範囲であり、人間の皮膚組織に深さ2 mmまで貫通すること、これにより焼けつくような感じがすることは周知です。
人間の皮膚にある汗腺が5G放射線の受容体ないしアンテナとして機能し、放射線を体内に引き込み、温度が上がることを研究がすでに実証しました。このことは部分的には痛む影響があることを説明しています。
痛む他にも、MMWは目の損傷、心拍数の変動への影響によるストレス増大、不整脈、免疫機能抑制、細菌の抗生物質耐性にもつながることがわかっています。
ステインが5Gと特定の健康への悪影響の因果関係を実証できるのであれば、AppleとSamsungに対する集団訴訟は訴訟がどっと押し寄せる前触れに過ぎなくなるでしょう。
5Gのグローバルネットワークは、健康への多くの影響を超え、天候予想能力をも脅かし、一般市民をリスクに晒し、海軍の機能を危うくもします。Natureに掲載された最近のある論文によると、5Gの広域カバレージにより人工衛星は水蒸気の変化を検出できなくなり、このため天候の変化や嵐についての天気予報の方法が変わるといいます。訴訟のためにさらに別の経路が出て来るかは時間が経てば明らかになるでしょう。
Tribuneの試験から得られる主な覚えておくべきメッセージとは、電話機が機内モードでない限りポケットに入れて持ち運ばないことです。オンの状態で身に付けていると過剰暴露は確実であり、多くの異なる機種についてこのことは共通しているはずです。
放射線は同じ機種でも電話機ごとに異なるでしょうから、お使いの機種がこの特定の試験では身体からの距離2mmでよい評価を得ていても、個々の電話機が過剰暴露させないとは限りません。
EMFの危険について「EMF’d」というタイトルの著作を私は執筆中であり、現在の技術に関する網羅的情報源となる予定で、2020年2月に出版予定です。その一方では5Gについてさらに情報を集め、他の人に知らせてあげるには、Environmental Health Trustのサイトから2ページの5Gファクトシートをダウンロードできます。
そのウェブサイトでは懸念すべき原因を示す公表済みの多くの科学研究のリストをご覧になれます。EMF暴露を減らすには「A Film About the Impending 5G Apocalypse」(迫りくる5G黙示録に関する動画)に挙がっている推奨事項を通読してください。そこではこの次世代技術に伴う多くの懸念事項を詳細に取り上げた出来の良いドキュメンタリーフィルムもご覧になれます。
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