健康でいられる期間を長くする方法

アテローム性動脈硬化症 健康

早分かり -

  • 健康でいられる期間を長くできなくなる主な阻害要因はアテローム硬化症、動脈硬化で、これが心臓病の原因No. 1です
  • 冠動脈内カルシウムすなわちCACスコアは心臓病リスクをよく示す尺度です。CACスコアが中年でゼロなら今後10年間に心臓発作が起きるリスクは極めて低く(1.4%) 、1,000を超えていれば今後10年間に心臓発作が起きるリスクは37%あります
  • 年齢が心臓血管病の主なリスク要因とよく見なされていますが、リスク要因をはるかに超え、本当のリスク特定のなるとCACスコアが優先されます
  • 回避すべきないし対処すべきアテローム性動脈硬化症を促す要因にはグルコースの急増、インスリン抵抗性、炎症促進因子、高血圧、酸化ストレス、栄養素不足、鉄過負荷、重金属、自己免疫異常、感染症、喫煙が挙げられます
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Dr. Mercolaより

アイボール・クミンズ氏は医療機器エンジニアリング及び複雑な問題解決の先導チームに参加した経歴を持つ生化学エンジニアです。同氏のウェブサイトTheFatEmperor.comで健康を転換させるために科学を読み解く方法を案内しています。

心臓病で亡くなった同氏のお父様は約15年間血管性認知症でも苦しんでおられました。合計で健康でいられる期間を20年失われたとクミンズ氏は考えています — より正確な情報を入手できていたなら健康で生きれたはずの年数を失ったのです。

クミンズ氏が引用する統計データによると、1925年には30%の人口が70歳以上生きていました。それ以来寿命は延びました。今日、1925年より80歳代や90歳代まで生きる人の比率は高くなりました。

しかしクミンズ氏は、適正な栄養とライフスタイルの変更により100歳以上生きれるはずで、より重要な点は、現在よりもっと長期間健康でいられるようになると考えます。

クミンズ氏が言う通りで慢性病で人生を楽しめない限り長生きする意味がほとんどないでしょう。健康でいられる期間を延ばせなくなる主な阻害要因は、アテローム硬化症という動脈硬化、心臓病のNo. 1の原因の進行です。

適正なライフスタイル戦略を実施することにより、少なくともこの病気の進行を食い止められ、生命に危険のある心臓発作を予防できます。

CACスコアの解釈

全米心臓学学会が説明するように、CACスキャンは「心臓病や心臓発作または脳卒中の発症リスクを推定する一つの手段」です。その理由は、動脈に堆積するカルシウムはプラーク形成のマーカーであって、経時的に動脈が硬化し、動脈が狭くります。

動脈が分厚いほどこのスコアが高くなります。クミンズ氏は中年でCACスコアが0なら今後10年以内の心臓発作リスクは極めて低い(1.4%)ということを示した研究を引用しています。

1から100と低スコアであればリスクが4.1%増加し、101から400の中間スコアならリスクは15%アップ、400から1,000のハイスコアならリスクは26%です。1,000を超す今後10年以内の心臓発作リスクは37%あります。

言い換えると、年齢が心臓血管病の主なリスク要因とよく見なされていますが、リスク要因をはるかに超えて本当のリスク特定のなるとCACスコアが優先されます。言うまでもなく、石灰化の進行を食い止められれば今後心臓血管病になるリスクが下がり、早期に対策するほどよいです。

心臓血管病の進行を促す要因は何か?

アテローム性動脈硬化の進行を阻止するにはその促進要因を把握する必要があります。クミンズ氏は欧米白人男性と土着文化に生きる人々の石灰化率データを比較しました。

その相違ははっとするほど大きく、低密度リポタンパク質(LDL)の粒子数では白人男性と極めてよく似ていても(心臓血管病の周知のリスク要因であり、クミンズ氏の講義の焦点)、土着のツィマネ人の男性は高齢でもほぼ石灰化していません。

どんなライフスタイルの相違がこうした格差の説明要因でしょうか? クミンズ氏によると、土着ツィマネ部族の男性には以下のような特徴があります:

  • 全く自然で加工されていない食事、健康的なオメガ3:オメガ6比
  • 低血糖と低インスリン
  • 糖尿病無し、メタボリックシンドロームや高インスリン血症症候群も無し
  • 高血圧無し
  • 身体中央部の肥満無し

心臓の健康によい戦略

心臓を保護し、健康的な退職後の生活をお望みなら、クミンズ氏は以下の要因が最も重要であると考えます。下記から(また同氏の講義からも)わかるように、これらの要因は全てアテローム硬化症の基本的促進要因です。従って、心臓血管病を予防するには以下の対策が必要です:

血糖値急増とインスリン抵抗性を阻止する

炎症促進物質を避ける

最適健康な血圧の維持

酸化ストレスを制

ミネラルやビタミンの不足に対処

鉄過負荷を防止

重金属暴露を避け、重金属毒性に対処する

自己免疫の問題に取り組む

感染を予防し対処する

絶煙(喫煙を永久に止める)

LDLの影響に寄与する要因

クミンズ氏は航空業界の航空機墜落軌跡に基づくあるモデルを紹介しています。多くの防御システムが実装されており、墜落が発生するには各システムレイヤーにおいて何らかのエラーが起きることが必要条件。同じモデルを心臓血管病に適用することができます。心臓発作が起きるには概していくつもの要因がそろう必要があります。

LDL粒子数が多いと心臓血管病のリスクがかなり高いという理論はすでにご存知かもしれません。クミンズ氏は、食生活の変化でLDL粒子数が急増したら、さらに調べるのが賢いと注意します。LDL粒子数が多いことが実際に問題であるかを評価するには、以下の要因が一因になるのでこれらを考慮する必要があります:

血流中の酸化LDL — クミンズ氏によると血流中のLDL損傷こそ酸化LDLを生み出すことを最近の研究が示しました酸化LDLはLOX-1受容体を通して動脈壁の中に侵入でき、これがアテローム硬化に寄与します。

一方、損傷していないLDLは「有意なほどにはこのプロセスに関与しない」とクミンズ氏は言います。従って、LDL粒子数が多い場合、これらが酸化しているかを把握する必要があります。(心臓保護のための)上記のリストに挙がっている項目はLDLの酸化に影響する要因です。

グリコカリックスの損傷 — グリコカリックスとはLDLをろ過する機能をする動脈内壁にある微繊毛状の突起です。動脈壁を通過できる粒子を判定する構成要素の多くをグリコカリックスが調節します。

「Hypothesis: Arterial Glycocalyx Dysfunction Is the First Step in the Atherothrombotic Process」(仮説:動脈グリコカリックスの機能障害がアテローム血栓性プロセスの第一段階)という論文にグリコカリックスの機能が詳しく説明されています。クミンズ氏によると、以下の要因がグリコカリックスの機能障害につながることが科学研究ですでにわかっており、これらの要因は同氏による心臓血管病の(上記)予防戦略と一致します:

砂糖と加工食品の多い食生活

高血圧

酸化ストレス

酸化LDL(元来のLDLとは異なる)

喫煙

動脈形態

内皮細胞の損傷 — 内皮細胞は動脈壁を通過する損傷したLDLを管理する動脈内部の細胞単層です。(クミンズ氏は講義の中でLDLが動脈壁を通過するに2つ経路があることを説明しています。)

LDLを通過させてしまう、内皮細胞の損傷要因には以下が挙げられます。クミンズ氏による心臓保護のために避けるべき項目リスクの大部分は以下の内皮細胞損傷要因です:

C反応性タンパク質(CRP)

酸化LDL

酸化性物質の誘導

反応性酸素

感染や、免疫反応を起こす腸管壁浸漏症症候群によるリポ多糖体の侵入

腫瘍壊死因子

アンギオテンシン II

インターロイキン-I 7

プロテオグリカン反応性 ⁠— プロテオグリカンは頭髪に似た動脈壁内の構造体で、これにLDL粒子が把捉されて酸化されます。LDL粒子がここに詰まる原因は何でしょうか?

クミンズ氏によると最も問題なのはLDL粒子サイズ自体ではないことを研究が示しています。心臓発作の患者、2型糖尿病患者、インスリン抵抗性のある人すべて、プロテオグリカン反応性が高く、クミンズ氏は上記のリストはこうした人々がかかえる問題の大部分を取り上げていると考えます。

損傷を受けた高密度リポタンパク質 (HDL)排出機能 — HDLが多いと通常は保護効果があると見なされますが、それで済むわけではありません。クミンズ氏の説明するように、HDLはコレステロールを動脈壁から除去するのを助けます。

HDLがコレステロールの増大に対応できる限り、この堆積は起きません。HDLの機能効率が落ちて来ると問題が起きます。HDL機能の重要性とインパクトは「HDL Cholesterol Efflux Capacity and Incident Cardiovascular Events」(HDLコレステロール排出効率と心血管異常発生率の関係)という論文に詳しく説明されています。

研究者らはHDL濃度だけではなく、参加者のHDLの実際の機能性も測定しました。HDLの機能性が極めて正常な人はHDLの機能性がよくない人よりはるかに心臓血管病リスクが低かった。「これはHDLに関する現実のストーリーです」と、クミンズ氏は言います。では、いかにするとHDLの機能性が下がるのでしょうか? クミンズ氏の心臓の健康リスクに関する項目に対処しないことです。

ケトン食は解決策の一つ

端的に言うと、、クミンズ氏が挙げるリスク要因(高グルコース及びインスリン濃度、炎症、高血圧、酸化ストレス等)はすべて動脈を損傷し、LDLによる心臓血管病が起きやすくなります。にも拘らず、過去半世紀間医学界は根本原因に目を向けずにコレステロールのみに注目してきた感があります。

残念ながらクミンズ氏の指摘する通り、マスコミはケトン栄養食等以上の根本原因に効果的に対処しうるライフスタイル戦略について根拠のない悪い記事や不正に誘導する情報を流してきた共犯者でした。例えば「ケトン食による膣臭」という不正情報の流布はケトン食から人を遠ざけるために規格されたPR謀略でした。

健康でいられる期間(単に寿命というだけではない)を長くするには、クミンズ氏の指摘によるとできる限り早く慎重な検討を開始する必要があります、すなわち、若いうちに根本原因に対処し始めることです。

定期的なケトン食はこれらの問題に対処し、血糖やインスリン、血圧を正常化するためにかなり有用です。低炭水化物ダイエットを食べる他、クミンズ氏は以下の点も推奨します:

  • 工業製種油や加工食品を一切止める
  • 水銀含有量が少ない魚を食べ、オメガ3指数を最適化する
  • 玉子やバター、その他健康的脂肪を含め栄養価が高い自然食品を食べる
  • 日常的に健康的な日光浴をする(日焼けまで至らない程度)

診断上の推奨事項

まとめると、クミンズ氏は健康状態をフォローするため規則的に検査を受けることを勧めます。検査データに基づく心臓血管病リスクが実際に低い限り、CACスキャンはおそらく不要でしょう。

検査結果からリスクが高いと出ても、CACスキャンは不要で、これはいずれにせよ心臓血管病リスクを下げるために措置を行う必要があるからです。CACスキャンはリスク評価をきめ細かく見たい中間スコアの人のために最適です。

CACスコアが低ければ健康的ライフスタイルを継続し、5年から7年周期で再検査して正常な路線であることを確認すべきです。中間レベルのスコアは心臓血管病リスクを下げるつもりなら変更が必要なことを示します。すでにご説明した予防戦略をまだ実施していない方は今すぐ始めましょう。

スコアが高い場合は、A1C、GGT、フェリチン、ホモシステインその他を含むより詳しい血液検査を専門家に評価させ、問題の所在を特定することが必要だとクミンズ氏は勧めます。

スコアが高い場合、約二年以内に再度スキャンし、変更していることが目的の効果を生んでいるかについて推移を把握するとよいです。そうでなければ何か間違ったことを行っているのかあるいは、対処し損ねていることは何か?

ハイスコアはまた、騙しが効く余裕はないことも意味します — つまり可能な限り多くの健康的なライフスタイル戦略を実施すべきであり、その維持について厳格であるほうが賢いです。

忘れてならないのは、身体には半分チャンスがあれば自己を癒せる顕著な仕組みが備わっており、クミンズ氏が説明するように、十年前より今、私たちはよい健康のために何が必要かについてはるかに多くの知識を持っています。知識の実践こそカギです。