高血圧の時運動してもよいのでしょうか?

体重・血圧モニター

早分かり -

  • 運動は降圧のための一手段であり、高血圧を予防できます。動かない方がリスク要因なのです。不活発で心臓病その他の異常があれば新たな運動プログラムを始める前にヘルスケアのプロに相談しましょう
  • 耐久運動と動的高強度運動を組み合わせると収縮期血圧を下げるのに最も効果的なことがある研究からわかりました。運動で心臓は保護されるとはいえ、虚弱感やけだるさ、目まいがしたり胸、首、腕、顎、肩に圧迫感や痛みを感じたら直ちに止めるべきです
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Dr. Mercolaより

血圧とは血液が動脈壁を押す力の尺度です。動脈は血液を心臓から全身へ運びます。通常、血圧が一日の内で変動しますが、 常に高血圧だと動脈と心臓を損傷する場合があります。

心臓血管病は男女とも主な死因です。2017年に米国心臓学会(AHA)と全米心臓学学会(American College of Cardiology)がこの問題に対処するための新たな血圧ガイドラインを発表しました。このガイドラインによると140/90が以前は正常と考えられていましたが今後は血圧が水銀(mm Hg)尺度で120/80 mmが正常範囲だそうです。血圧の新区分:

血圧の種別 収縮期mm Hg (最大値) 拡張期 mm Hg (最小値)

正常

120未満

及び 及び

80未満

高い

120~129

及び 及び

80未満

ステージ1高血圧

130~139

または または

80~89

ステージ2高血圧

140以上

または または

90以上

高血圧危機 (即刻治療を受けるべき)

180超

及び/または 及び/または

120超

以上のガイドラインを基に、AHAが2018年に100万人のアメリカ人が心臓発作に襲われるか冠動脈疾患で死亡しうると推計しました。一方795,000人は脳卒中で、また1億人が現在高血圧に分類されています。VAボストンヘスルケアシステムとブライガム・アンド・ウィメンズ・ホスピタル(ハーバード大学病院と連携している)の内分泌研究者ポール・コンリン医学博士が新ガイドラインについてこう語っておられます:

「血圧ガイドラインは定期的に更新されていません。むしろ以前の基準が正確でないか関連性がなくなったと判断しうる新たなエビデンスが十分出ると改訂されます。新ガイドラインによる現在の目標は高血圧及び心臓発作や脳卒中のような関連する異常に対処できるように補助することです。

高血圧により動脈が損傷したり狭窄し、弾性が失われ、血流が制約されます。このため器官や心臓を含め筋肉に送られる栄養素及び酸素が減り、心不全につながります。

脳への酸素供給が減ると脳卒中や軽微な脳卒中、認知症、軽微な認知障害につながります。腎臓は損傷しやすくなり、腎不全につながります。目の中の毛細血管も損傷を受けます。これが網膜症や視神経損傷あるいは視力喪失につながります。

本態性高血圧か二次性高血圧か?

高血圧と診断された場合、担当のヘルスケアのプロはそれが本態性圧か二次性かを判定します。高血圧の90%~95%は本態性です。

この場合根底の原因は特定されません。しかし本態性高血圧は女性より男性に多く、アフリカ系アメリカ人にはコーカサス系人種より本態性高血圧になるリスクが二倍高いです。アフリカ系アメリカ人女性は65歳以降では最もこのリスクが高いです。

本態性高血圧リスクを増大させるその他のリスク要因には遺伝、体重過剰や肥満、座ってばかりいるライフスタイル、喫煙、カリウムの過剰や不足が挙げられます。ストレスが高くても一時的なリスク増大につながるほか、飲み過ぎは心臓を損傷し、高血圧につながります。

二次性あるいは根底にある健康の異常により高血圧が発生していれば、その異常を処置すると高血圧の解消を助ける場合があります。さまざまな健康の以上、薬、物質が腎臓病、閉塞型睡眠時無呼吸、副腎腫瘍、甲状腺異常、鎮痛剤、不法薬剤を含め二次性高血圧につながります。

高血圧のとき運動するメリット

本態性高血圧に関連するリスク要因の一つは不活発さです。もっと活動するようにすると降圧効果があることは研究からすでに判明しています。しかし、心臓病や既往症があれば、新たな運動プログラムを始める前にヘルスケアプロバイダーに相談するようAHAは勧めます。

肉体活動は高血圧によい効果があり、体重管理を助け、ストレスを下げる効果があるようです。合併症のない本態性高血圧の男性10人について運動後の血圧状況をある研究が比較しました。被験者の年齢と体重で調整後の平均血圧が165/109 mm Hgでした。

運動中に平均収縮期圧力は両方のグループで同じでした。30分休憩中に両方のグループは運動前より収縮期血圧が大きくかつ持続的に低下しました。

ある別の研究は急激な運動直後の血圧データを評価することを目的に行われました。そこでは65本の研究を評価し、収縮期と拡張期の血圧への効果を比較しました。この比較研究では、初期血圧や性別、肉体活動レベルを含むいくつかの要因に関わらず血圧が大幅に下がりました。

しかも降圧レベルは参加者男性が降圧剤を服用しておらず、肉体的に活発で、運動にジョギングしていた場合、さらに大きかったのです。

活動の特性や具体的に何を行ったかに関わりなく、降圧効果は運動後長時間持続しました。肉体的に活発な人であって降圧剤を服用していない人の予防戦略として運動を利用した場合の降圧効果が最も高かったです。

運動は脆弱なコーホートにおいて降圧効果がある

メイヨークリニックによると、活発になると収縮期血圧が最大9 mm Hgまで低下でき、これは降圧剤で期待しうるレベルに匹敵します。血圧を制御するには日常運動すること、測定値に効果が表れるのに3カ月までかかる場合があることをメイヨークリニックでは指摘しています。

国立衛生研究所(NIH)を含む数団体が出資したある研究は、運動にはアフリカ系アメリカ人に保護効果があるかを調査しました。Hypertension誌に掲載されたそのレポートはデータ回収開始時に高血圧ではなかった1,311人の参加者の肉体活動との相関性の調査方法を説明しています。

参加者は全員ミシシッピ州ジャクソンビルの住人であり、肉体活動レベル、血圧、降圧剤の使用に関して評価します。参加者を約8年追跡調査し、この間に高血圧が発生した症例は650件ありました。

そのデータ評価後、日常の適度から活発な活動がアフリカ系アメリカ人男女の高血圧リスクを下げる効果があるという結論に至りました。

別の研究は日常運動が抵抗性高血圧に効果があるか、あるいは三種類の薬を使用するなどの処置に関わらず目標値より高止まりであった測定値について評価しました。この研究には50人が参加し、そこでトレッドミル運動プログラムを8~12週間行いました。

研究者らはそのプログラムは参加者がよく耐え、日中の通院時血圧測定値が大きく下がったことを特定しました。薬によく応答しない人でも日常的運動により血圧が下がることがわかりました。

軽度な活動を増やすと降圧効果がある

過去の研究は適度からきつい運動の血圧測定値に及ぼす影響を評価したことがあります。別の研究では降圧に必要な運動量を評価しました。8週間の運動プログラムにステージ1あるいは2本態性高血圧があり、薬を服用していない参加者207人について実施しました。

ここでは複数グループに運動時間と運動頻度別に分けました。また、年齢、性別、体質量、ベースライン血圧といった要因を考慮にいれました。その結果、運動した全4グループとも安静時に収縮期と拡張期の血圧が下がりました。

最も降圧が大きかったグループは毎週61~90分運動しました。運動量がこれより増えても収縮期血圧の降圧効果が変わらないことがわかりました。

過去座るライフスタイルで高血圧だった参加者が肉体活動を適度に増やすと血圧値が臨床的に有意なレベルまで下がることが結論づけられました。

運動と降圧剤の比較

運動を収縮期血圧に効能がある降圧剤と比較するため、あるチームは39,742人が参加した391件のランダム化対照試験を解析しました。これらの試験を運動利用を評価する197件の試験と降圧剤の効果を見た194件の評価に分けました。

運動と薬の直接比較研究は見つかりませんでした。大多数の参加者は正常血圧でした。その結果、構造化した運動プログラムを続けた人より薬で処置した人のほうが測定値が低いことがわかりました。

しかし、高血圧と診断された人に絞って解析すると、運動は多くの高血圧薬剤と同じく効果があることがわかりました。耐久運動と動的高強度運動を組み合わせると収縮期血圧の低下に最も効果があることも特定されました。

薬の代りに運動を行うのは高血圧の人はしばしばその他の慢性疾患があること、多くの国で推定40 %は肉体的に不活発なので、課題が多いことを研究チームは報告しました。

運動を楽しくするには

直面してみましょう — 課題よりメリットが大きくない限り、たいていの人はすでに予定が詰まっている日に新たな活動を普段初めようとはしません。運動を取り入れる最適な方法は自分にとって楽しいもであり、楽しくできることを行うことです。こうすると最初のうちは動き出す動機付けになります。

参加者が運動したくなる動機付けとして研究者らが発見した一つのことは運動を競争にすることでした。オリンピック的な競技にするという意味ではなく、ソーシャルネットワーキングで運動プログラムを活用して効果的に活動を増やすことでした。

パートナーといっしょに運動しても同じ効果がある程度得られるでしょう。アバディーン大学の研究者らはパートナーと一緒に運動すると運動量が増え、特にパートナーが感情面で支援してくれるとこれが言えることを特定しました。

屋外にいる方が好きな方は運動と組み合わせると、早歩きとかハイキング、サイクリング等楽しめるようになるかもしれません。オーディオブックや曲を聴くのが大好きな方はエリプティカルマシンに乗っている間や階段を上りながら聴くとよいでしょう。

地元のジムやリクレーションセンターは自分の体力レベルに合うフィットネス教室があるはずです。チームプレーやダンスクラスに参加しても楽しめるでしょう。プログラムの種類を増やすと動機付けが継続し、怪我のリスクが下がるでしょう。

運動で心臓が守られる

新たな運動プログラムを始めるときはどう感じるかに注意してください。運動に体がついていけるようになるまで時間を要することは正常なことです。有酸素運動では呼吸が激しくなり汗をかくことは予想できますが、息切れや鼓動が不整になったり早すぎる場合は、止めて休憩してください。

虚弱感やめまい、立ち眩みがしたら運動を中止することが重要です。胸、首、腕、顎、肩に圧迫感や痛みを感じたら運動を中止するべきです。症状がすぐ消えないまたは一回以上同じ症状が繰り返せば、応急処理が必要です。

概して朝のうちに運動するのがよく、就寝前に運動すると睡眠の質に干渉することもあります。しかし朝は自分に合わないという方は全然しないより夜するほうがまだましです。

一酸化窒素ダンプは一日のうちいつでもできる短時間の反復運動であり、血圧によい効果があります。この一連の運動は血管内壁に貯蔵された溶解性気体でありフリーラジカルでもある一酸化窒素解放するために考案されています。

一酸化窒素は体内で血管の拡張を促進するために産生されており、血管が拡張して広がることを目的にしています。これで血流が増え、血圧が下がります。そのエクササイズは一酸化窒素の備蓄を回復させる時間として毎回2時間以上の間を置き、一日3回行うことができます。

ハンドウェートは不要であるか、始めだけ勧められる場合があり、好きなら体力がついてから利用してもよいものです。始めの内は形と速さに注目することが大切です。4種類の動作を1セットに10回反復し、これを3セット行います。楽にできるようになったら、一回20回反復まで増やすことができます。

+ 出典および参考資料