孤独感は睡眠不足によって起きる

心配顔な女性

早分かり -

  • じゅうぶん寝ていないことの兆候はよく感情面で歪むとか怒りっぽい自分にもがいている状態です。じゅうぶん寝れば自分の感情を管理しやすくなります
  • 孤独感が睡眠不足によることを最近のある研究が示しています。睡眠不足になるほど社交性が減り、他者は一人でいたいあなたを感じ取るそうです
  • 孤独に苦しむ人は良く寝られない傾向もあります。UCLAの孤独尺度で1ポイント増すごとに何らかの睡眠遮断になる確率が8 %ずつ高くなります
  • 18歳から22歳の人も健康が最低だと評価し、これは孤独が肥満や心臓病、不安、認知症、寿命短縮のリスク増大に関連することを実証した科学研究の結果に沿う傾向です
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Dr. Mercolaより

睡眠不足は科学研究によりいくつもの健康上の異常につながることがわかっています。これには肥満や高血圧、心臓の異常が挙げられ、米国疾病管理予防センターにより公衆衛生上の疫病として特定されました。

米国睡眠協会(American Sleep Association)によるとアメリカ人の7000万人以上が睡眠障害を持ち、ほぼ40%は少なくとも月に一回は日中にうっかり寝込むことがあり、ほぼ5%は運転中に少なくとも一回はうとうとっとしたことがあると報告しています。

数百件の睡眠研究を検討した結果、一般論としては、たいていの成人は健康を維持するには毎晩7~9時間の - 8時間前後がよい - 睡眠が必要なことが判明しています。

じゅうぶん寝ていない兆候としてよくあるのは感情面で歪むとか怒りっぽい自分にもがいている状態です。毎晩よく寝れば感情を管理できるようになることを示す納得できる根拠が存在します。興味深いことに、孤独感さえ睡眠不足から来ていることを近年の研究が示しています。

睡眠遮断が孤独感に拍車をかける

その最近の研究はカリフォルニア大学バークリー校で行ったもので、睡眠不足が孤独感を引き起こす作用があることを研究者らが特定しました。

その研究の上級執筆者で心理学・神経科学のマシュー・ウォーカー教授によると「睡眠遮断で私たちは社会的らい病患者になりかねない」と言います。端的に言うと、睡眠遮断されるほど、社交性がなくなり、一人でいたいという、こうした大部分が潜在意識下の兆候を他者は悟ると言われます。「こうした悪循環が孤独という公衆衛生の危機に寄与する重大な要因になりうる」とウォーカー氏は言います。

寂しい人はしばしば睡眠不足に苦しんでいる

もう一つの悪循環は、孤独にもがく人は睡眠不足になりがちでもあることで、このためこれら2つの問題は相互に増幅させる効果があることです。例えば、UCLAの孤独尺度で1ポイント増すごとに何らかの睡眠遮断になる確率が8 %ずつ高くなることを2011年のある研究が特定しました。

UCLAの孤独尺度には20個の質問からなり、「全くそう感じない」から「よくそう感じることがある」までの4段階で答えるようになっています。回答ごとに0から3までのスコアが付きます。孤独スコアは最低の20から最高の80までの範囲に落ちることになります。質問には「これほど多くのことを独りで行うのはつまらない」とか「話し相手がいない」、「人が電話してくれるとか書いてくるのを待っている自分がわかる」などがあります。

イギリス人成人2,000人を対象にしたこれより新しい研究では寂しい人ほど孤独感に苦しまない人より睡眠の質が悪いことが明らかになりました。ロンドンキングズ大学のプレスリリースによると:

「その研究によると寂しい人ほど日中倦怠感があり、集中困難である確率が24 %高いことがわかった…孤独とは人間関係が不適性であると知覚されるときに経験する気落ちの感情として研究者らは定義する。

このことは、人が寂しいと感じなくとも社会的に孤立しうるし、多くの人に囲まれていても孤独感を持つので、社会的孤立の概念とは明瞭に異なる。孤立現象の影響は高齢者については資料が豊富にあるが、若年者にも共通の問題である — 精神衛生基金(Mental Health Foundation)の報告では孤独は18~34歳の間で最も頻度が高い。」

睡眠不足で心臓は老いる

複数の研究が睡眠不足といくつもの健康の異常に相関性があることを実証しました。最も最近には一連の研究が睡眠遮断は心臓の過度の老化につながることを明らかにしました。生物学的年齢という、経年による年齢とは大きく異なる概念についてはおそらくよくご存知だと思います。

「米国成人の代表的標本」を取り上げたある近年の研究では、毎晩7時間寝た人は生物学的年齢が時間的年齢より心臓が3.7歳老けている傾向が示されました。ここにいう「心臓年齢」とは、「心臓血管のリスク特性に基づく血管系の予想年齢」として定義されています。このコンセプトは当初2008年に出版されたFramingham Heart Studyが導入したものです。

日常的に6時間乃至8時間睡眠を取っていた人は時間的年齢より平均で4.5歳心臓が年老いていた反面、5時間以下しか寝ていない人は最も年老いた心臓年齢で5.1歳も時間的年齢より年取っていました。その研究の主筆者米国疾病管理予防センター(CDC)の心臓病脳卒中部門上席研究員チュアンヘ・ヤン氏が次のように説明しています:

「人の推計心臓年齢と時間的年齢の相違は『過度の心臓の加齢』にある。心臓の加齢が高いほど心臓病リスクが高いことを示す。

例えば40歳の男性の心臓年齢が心臓血管リスク特性 — 心臓病になるリスク — から見ると44 歳であれば、心臓の老化進行度は4年ということを意味する。事実上この人の心臓は同年齢の平均的男性の水準より4歳老けていることを意味する。この心臓年齢という概念はリスクを伝えるのに便利である。」

この研究の参加者12,755人のうち13 %は毎晩5時間以下しか寝ず、24 %が6時間、31 %は7時間、26 %が8時間、約5 %が9時間以上寝ていました。

最適な睡眠時間 — 睡眠と健康を分析した数百本の研究に基づく — が7~9時間であることを鑑みると、以上の統計データは少なくとも37 %のアメリカ人の成人は健康的な睡眠量を取れていないことがわかります。

質の悪い睡眠は高血圧や血管炎症につながる

睡眠障害と高血圧及び心臓病の連関性を最近の別の研究がさらに根拠づけました。この関連性は以前にも説明しましたが、いくつかの研究から、たとえ健康な睡眠量を取っていても、その睡眠の質は高血圧及び心臓病と関連する欠陥の炎症リスクに大きく影響しうることがわかっています。

この研究では、20歳から79歳の健康な323人の女性にスリープトラッカーを着けてもらい、寝つきから継続時間、睡眠の質を記録しました。寝つきが悪かったり夜間に1回やそれ以上目が覚めるといった軽度の睡眠妨害がある人の場合は、「寝つきがよく安定した睡眠ができる人より高血圧になりやすい」ことがわかっています。研究者によると:

「母集団調査では平均睡眠持続時間は一晩6.8±1.3時間、基礎調査においては7.5±1.1時間であった。母集団調査における標本の場合、基礎調査では23 %に対して50 %がよく眠れておらず、 37 %があるレベルの不眠症であったが、基礎調査の15 %であった。

収縮期血圧は劣悪な睡眠の質と直接相関性があり、拡張期血圧は交絡要因に関して調整後、閉塞型睡眠時無呼吸リスクを伴う有意な閾値である。睡眠の質が悪いと内皮細胞核因子カッパBの関連性と関連していた。

不眠症及び寝付くまでの時間が長いことは内皮細胞核因子カッパBの活性とも関連していた。 … こうした事実は、睡眠時間が不適切でなかった女性においてさえ、悪い睡眠の質や不眠症等のよくある頻繁に無視される睡眠障害が血圧上昇や血管の炎症増大と関連することを直接示すエビデンスである。」

有用な睡眠療法

現在寝不足だったり睡眠の質がよくない方は以下のことを目標にしましょう:

  • 早寝してじゅうぶん寝るようにする。睡眠周期を記録するフィットネストラッカーは有用です
  • すぐ寝つけなくなり、一夜一貫して寝続けられなくする要因に対処しましょう。よくある原因は部屋の温度、光による妨害、電磁場(EMF)への曝露 (後者は下記で検討します)があります

睡眠の質をよくするための方法について多くのヒントを、「睡眠:必要な理由とよく寝れるようにするための50の方法」でご紹介しています。短期的には軽い睡眠補助手段を試すことも可能でしょうが、より長期的なライフスタイルの採用や環境の変更をお試しください。以下に有用な自然な睡眠療法を挙げます:

メラトニン — 最初は微量の0.25 mgにしておき、望む効果を得られるまでだんだんと1/4 g単位で増やしていきます。

バレリアンの根 — バレリアンの根が寝付きをよくし、深い睡眠(深い睡眠に36 %速く入れるようになる)や全体的な睡眠の質を改善することは研究からわかっています。

最小限の用量から始め、人によっては高い用量だと元気が出る効果があるので、望む効果を得られるまで必要な最小限の量を服用します。研究で使用した平均的投与量は400~900 mgで、就寝30 分~2時間前に摂らせています。

カモミール — このハーブは煎じる、ハーブ茶、液体エキスやこの植物の新鮮なまたは乾燥した花の頭から取るエッセンシャルオイルとして利用されています。鎮静効果があり睡眠を促すのでカモミールティーはよく就寝前にすすり飲みされています。NAD+を消耗するCD38も阻害するので、NAD+が増加します。

カンナビジオール(CBD)オイル — CBDオイルを飲むのもう一つの選択肢です。CBDオイルは組織のバランスを回復することにより、鎮痛効果があるほか、神経の刺激や筋肉のけいれんを抑制します。リラックスもさせるのでよく寝むれるようになります。

5--ヒドロキシトリプトファン(5-HTP) — 化学物質5-HTPはセロトニンの分泌を促し、気分をよくし睡眠を促進します。GABA(落ち着ける効果がある神経伝達物質)と5-HTPを含む調製アミノ酸が寝付くまでの時間を縮め、睡眠時間を伸ばし、睡眠の質をよくすることがある研究で発見されました。

夜間のEMF暴露で健康な睡眠が邪魔されるでしょうか?

睡眠の質(と全体的健康)に重大な影響を及ぼすもう一つの要因は家の中の配線や電子機器、無線装置から出ているEMFです。EMF暴露は暴露時間に関わらず健康によくなく、特に夜間はいくつもの理由から問題が多いです。

まずなによりEMF暴露でメラトニン産生が減り、じゅうぶんに眠気が出なくなるので寝つきが悪くなります。さらに、メラトニンは強力な抗酸化物質でもあり、これが少ないと、がんリスクが増大することが繰り返し実証され、メラトニン産生への悪影響は短期的にも長期的に作用します。

脳の健康には解毒作用が高まり実際にデトックスされる深い睡眠が最も重要です。深い睡眠中に脳のグリンパティック系が活性化し、βアミロイドタンパク質(アルツハイマー病の特徴的物質)等の溜まった老廃物を解毒して解消できるようになります。

EMFは記憶力や学習能力に悪影響が及ぶニューロンの変性も引き起こします— 生徒であればあるいは学校に通う子のいる人はこの点を忘れないでください。重要な点は、EMFがミトコンドリアも過度の酸化ストレスによって損傷することです。このため早期老化を含めほぼすべての慢性病を起こしたり寄与します。

夜間のEMF除去のための3つの基本的ヒント

  1. 携帯電話をオフにするか機内モードにし、ファラデーバッグに入れるのが最適です。これなら放射しません。携帯電話がオンである限り枕の下に入れてないことです。また、機内モードでないとき身に付けないでください。
  2. 電話機を目覚ましとして使用していれば、電池で動く目覚まし時計にするかさらによいのは睡眠を邪魔する光が出ないオーディオのみの目覚まし時計を使いましょう。最低限、携帯電話はベッドから2~3 m放しておきましょう。
  3. 夜間はWiFiを消す。最適なのは自宅内を有線化し、WiFiを全く無くすことです。