煙草の吸殻が今だに最悪の公害である理由

砂の中の煙草の吸殻

早分かり -

  • データを収集してから30年経過し初めて環境支援団体Ocean Conservancyはプラスチックが、フィルター付き煙草の吸殻を第一として、世界中の公害の中で上位10のごみであることを特定しました。吸い殻は生物分解性であっても分解に10年まで要するプラスチックを含んでいます
  • 喫煙者の75%が吸い殻を地面や車窓からポイ捨てしたことがあると言い、研究によると吸い殻の65%もポイ捨てされていると推計されることから、世界保健機関(WHO)は煙草の吸殻を最も受け入れ易いごみの捨て方であるとしています
  • 喫煙で肺がんになることを実証した研究を受けてフィルターが追加されましたが、業界が喫煙者の満足感を減らすことを発見したので、WHOは詐欺まがいの宣伝と呼ぶマーケティング手段以外の何物でもないデザインを変更しただけでした
  • 欧州連合は水性生物に損害を与え、殺し、結局私たちの食卓に上がるプラスチック公害に照準を定めています。使い捨てプラスチックを使わず、喫煙を止め、合成繊維の衣類をもっと稀にしか洗わないようにして自分自身から害悪を削減する手順を取り始めましょう
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Dr. Mercolaより

喫煙を始めるべきではないあるいは止めるべきいくつもの理由があります。米国公衆衛生局長官による数十年以来の警告にも拘らず、疾病管理予防センター(CDC)はいまだにタバコが「米国における最大の予防可能ながんや病気の原因」であるとし続けています。

今や、タバコは毎年480,000人以上を殺し、約41,000人は二次喫煙により殺されています。短期的及び長期的副作用が存在します.喫煙で歯に染みがつき、肉体的外観が変わり、歯茎の病気や歯が欠損するリスクが高まります。

長年喫煙すると心臓や脳、呼吸器系、生殖機能に修復不可能なダメージが及びます。喫煙を止めると最初の24時間以内によい変化が起き、この改善はその後日や週、年を経るにつれて増大し続けます。これは身体がニコチンやその他数百種類の化学物質によるダメージを浄化するからです。

喫煙は環境に重大な害悪を及ぼします。タバコは完全に生物分解性であると思われていたかもしれませんが、フィルターはプラスチック製 - 紙とか生物分解性ファイバーではなく - 分解に10年もかかることがわかっています。

プラスチック公害の最大の寄与者はマーケティングツール

1950年代に肺がんへの恐れが広がりました。そのときタバコ会社は消費者の恐れを和らげようとしてフィルター無しからフィルター付きタバコにデザインを変え始めました。タバコの煙にはほぼ250種類の有害化学物質があり、これには重金属、ヒ素ベンゼン、フォルムアルデヒド、放射性元素ポロニウム-210も含まれます。

タバコのフィルターは毒素との接触を阻止することで肺がんを減らすように加工されたと言われていました。しかし、フィルターのため喫煙者がタバコによる満足感が減ったのでタバコ会社に新たな問題が生じました。.

これに応じてタバコ会社はフィルターのデザインを変えただけで、効果があるどころから、単なるマーケティングツールとして開始し、喫煙者にフィルターによる健康メリットを訴えかけ安心させようとしましたが、喫煙者にニコチンへの影響は続きました。タバコ会社のこうした主張は世界保健機関 (WHO)によって詐欺的であるとされました。

フィルターは毒素をある程度はろ過しますが、喫煙が円滑になり、喫煙者が以前より頻繁に吐き出し、より多くのタバコを吸うようになりました。タバコ業界はフィルター付きタバコなら健康を保護するというだましにより喫煙者を募りました。

しかし、科学者が誕生年に基づいて肺がん発生数を解析したら、1960年代と1970年代に最もよく見られた種類の肺がんが扁平上皮がんであり、症例の2/3に当たることがわかりました。今日ではフィルター付きタバコを吸う人が益々増大するなか、腺がん発生率が高まっています。

ピッツバーグ大学肺病学Dr.デービッド・ウィルソンがこれらのがんによる生存率はほぼ同じで、フィルターが「肺がん全体の生存率を高める」ことを根拠づけるエビデンスは存在しないことを示しています。しかし、フィルターは喫煙者の健康を改善するどころか、環境に重大な悪影響を及ぼします。

欧州連合がプラスチックと煙草の吸殻を標的にした

プラスチックストローやバッグは一般に注目されていますが、さらに大きい問題は煙草の吸殻にあるプラスチックフィルターです。今や、これが世界で最もポイ捨てされている物です。毎年約6兆本のタバコが製造され、その90%以上はプラスチックフィルター付きです。

道路清掃の資金としてタバコのパッケージに課金する都市もあるほか、他の都市ではポイ捨てする人に科料を課す場合もあります。生物分解性フィルターの開発と実施を支持する専門家もいくらかいますが、それにも分解に長年かかる毒素が含まれ、生物分解性のタバコにすると喫煙者は環境に投げ捨てても「構わない」と思うのでポイ捨てが増えると考える人もいます。

2018年末頃に欧州議会は2025年までにタバコ製品からプラスチックを半減させ、2030年までに80%まで削減させることを含むプラスチック使用の削減法案を提出しました。これらの目標は、煙草の吸殻投げ捨ての問題についての意識を高めるためのキャンペーン資金をタバコ会社に負担させる代わりに、後に撤回されました。

最近になって、欧州化学品庁は2020年から毎年39,000トン以上のプラスチックを環境に出さなくすることを提案しました。これにはタバコフィルターや化粧品、洗剤、コーティングに含まれるマイクロプラスチックファイバーや断片を含みます。

この草案はマイクロプラスチックは必要なものとは見なさず、利便性や利潤のために添加されたものと見ます。イギリスはプラスチックマイクロビーズを一部禁止しましたが、欧州連合の措置はこれより包括的です。

ある科学委員会が一年ちょっとを掛けてその提案を検討しており、その後欧州委員会に見解を提出する予定です。その後欧州委員会は3か月以内に法案を策定する予定ですが、使用制限が制定されるまでには8カ月まではかかる見込みです。

WHOは煙草の吸殻を最も受け入れやすい形態のごみと見なす

The Truth Initiativeの意見では、目に見えるタバコの吸殻はあまりにもよくあり、喫煙率が下がった地域でさえ見られ、分解に長年かかることが原因のひとつです。最適な条件下にあっても、煙草の吸殻が分解するまで少なくとも9カ月かかり、多くの場合には長年かかります。

残念ながら、ポイ捨ては吸い殻を捨てるのに喫煙者が行うもっともよくある方法です。地域共同体の中にはタバコのポイ捨てを使い捨て容器や禁煙政策で減らそうとしました。しかし、ポイ捨ては喫煙者のほぼ75%がしていると答えるほど普及しており、研究の推計では65%の吸い殻はポイ捨てされています。

WHOによると車窓からあるいは地面に煙草の吸殻を投げ捨てるのは最も受け入れられやすいごみ捨ての形態であるといいます。多くの吸い殻は歩道で踏みつけられたり、どぶに落とされたりしてそこから排水路を通り川や水路、海洋に行きつきます。

喫煙率を下げれば特に喫煙率の低下がありうる地域では公衆の意識欠如に寄与する可能性があります。サンタクルーズ群の煙草情報提供連合会副会長のレイチェル・キッペン氏が次のようにコメントしています:

「私たちのほとんどがプラスチックバッグやプラスチックストローを使用してきたので、より環境に適合しるために、こうした製品を改めたり再使用あるいはリサイクルする方法について責任感を感じています。しかし、私たちのほとんどは喫煙しません。実際にカリフォルニア州住民の12%未満しか喫煙しません。このため残り88%は自分で何を変えればよいかがよくわかりません。」

環境支援団体Ocean Conservancyは、2017年の国際海岸清掃(ICC)の結果はICC活動30年以来初めて、世界中で回収された上位10項目がすべてプラスチックであったと報告しています。

780,000人以上のボランティアが100カ国以上でごみを930万トン拾いました。煙草の吸殻が最も多く、その他多いのは食品包装、飲料のプラスチックボトル、ボトルのキャップ、プラスチックの買い物袋でした。

水性生物に損害を与え殺しているプラスチック

BMJに掲載された最近の研究では、煙草の吸殻による水性生物への影響を科学者らが評価しました。煙草の吸殻を浸して取り出した水に魚を放ちました。4日後、魚の半数が死に、吸い殻の致死的毒素が環境に流出したことを示しました。

ファイバーや断片のプラスチック粒子、マイクロビーズも野生捕獲魚や養殖魚ともに侵入します。魚は海洋を漂う小さいプラスチック残骸を餌と間違えて食べます。ある研究で、プラスチック残骸に含まれる化学物質に海洋生物が惹きつけられるという行動に根拠があることを科学者が発見しました。

海水をろ過してプランクトンを食べる種類の魚は大量のプラスチックを摂取し、栄養素を吸収できなくなり、毒素による副作用が出ます。科学者らが海岸に打ち上げられたクジラを検査したら大きいプラスチックが見つかり、これより明白ではなくてもマイクロプラスチックの影響も同じく有害であると考えられます。

国際連合によると、世界の少なくとも800種類の生物が海洋残骸物の影響を受けており、その80%はプラスチックです。必ずしもすべての損害は摂取によるものとは限らず、海洋生物はプラスチック残骸にからみつかれ、窒息したり飢え死にやおぼれて死にます。最近ある研究が14粒のプラスチックを飲み込んだウミガメが死ぬおそれが高まっていることを特定しました。

太平洋北西部の魚は最大24,000トンのプラスチックを毎年飲んでおり、腸損傷や死亡に至っています。プラスチックは食物連鎖に沿って生体蓄積し、これが食卓に上がります。カリフォルニアの魚市場についての最近ある研究で魚の25%は腸内にプラスチックマイクロファイバーがあることが特定されました。

マイクロプラスチックは水道水、ボトル入り水、食品源に含まれる

Orbという番組が出資したある研究から、水道水のプラスチック汚染について警戒すべきデータが暴露されました。世界中で検査した試料の83%が汚染されていたのです。米国では水道水試料の94%からプラスチックが検出されており、これは検査した場所のなかで最悪でした。

例えば、ワシントンD.C.の議事堂見学者センターで取った水道水から16種類のファイバーが見つかり、ニューヨークのトランプタワーから取った試料にもファイバーが検出されました。プラスチックファイバーはインドネシア、インド、エクアドル、ウガンダ、イギリス、レバノンから取った水試料にも検出されました。

Orbは「目に見えないプラスチック」の主な6つの発生源に注目し、その一つは衣類の合成マイクロファイバーであり、最大100万トンが毎年洗濯から放出されています。マイクロファイバー公害による環境影響は具体的にわかっていませんが、その不規則な形状からしてマイクロビーズ等他のマイクロプラスチックより海洋生物が排出しにくいと考えられます。

ニューヨーク州立大学の研究者らは人気がある11種類のボトル入り水ブランド259本をマイクロプラスチックが含まれるか検査しました。そのブランドにはAquafina、Nestle Pure Life、Evian、Dasani、San Pelligerinoを含みます。平均すると、試験対象ボトル入り水は1Lに325片のマイクロプラスチックを含有しており、発見されたプラスチック粒子のうち10個以上は100μmはありましたが、残りはさらに微小なものでした。

マイクロプラスチック公害に関する研究の大部分は海洋環境に注目しますが、毒素は陸上でも蓄積している可能性が高いです。Science of the Total Environmentに掲載されたある研究によると、「陸上に放出される年間プラスチック量は海洋放出量の4~23倍多いと推計される」そうです。

浄水処理後のヘドロや生体固形物を肥料に利用するのはこれらの物質は排水処理後の残骸物で成るので特に問題が多いです。

問題に寄与せず解決に貢献しましょう

プラスチックごみや公害を減らすために世界で様々な取り組みが行われています。プラスチックごみを液化燃料に変換から残骸が出ない合成繊維開発まで、事業投資する企業家がプラスチックを環境から除去する方法に取り組んでいます。メーカーのなかにもリサイクルが容易な包装材料を開発しようと取り組んでいる会社があります。

また、個人レベルでもプラスチックを減らし、ごみを出さない等意識のある選択を行って貢献できるはずです。問題に寄与せず解決に貢献するため、次の手順に配慮してください:

ポイ捨てを止める — 喫煙者は煙草を絶つ。これは止めにくい依存症ですけれども、続ける限り危険な癖です。吸い殻その他の車から出るごみをウィンドウからポイ捨てしたり、地面に捨てるのを止めましょう。

プラスチックバッグの使用を止める — これにはサンドイッチのプラスチック包装も含みます。お店や生産者市場で買う商品用に再利用可能なバッグにしたり、買い物を入れるには密封式の再利用可能買い物袋を買って使いましょう。

使い捨てストローを止める — 普及してきたステンレススチール、竹、果てはガラス製もある再利用可能ストローを選びましょう。

合成繊維衣類を稀にしか洗わなくする — それでも洗うなら、デリケートサイクルにして放出されるファイバーを減らしましょう。洗濯機にファイバーを把捉する製品を使用しましょう。

プラスチック以外の歯ブラシを使用する — 竹や麻製の歯ブラシといった代替品に切り替えましょう。

使い捨てプラスチックボトルを使用しない — 自分専用の再利用可能ガラスボトル

塗料ブラシを洗った排水 — 洗った後は排水をジャーに入れ、塗料専用の指定廃棄場所に持っていってください(排水溝に流さない)

自分で塗料を作る — 「スキムミルクレモンジュースを加えてできたカードをろ過し、自然色素を添加する」と、プラスチック系ラテックスやアクリル系塗料ではなく自製のミルクペイントを作れます