HIITは2型糖尿病患者の心臓機能をよくする

心臓監視腕時計

早分かり -

  • 短時間きつい運動を行ったら休憩する高強度インターバルトレーニング(HIIT)は2型糖尿病患者の心臓機能を改善します
  • 2型糖尿病の成人がHIITを3か月行ったら左心室の運動応答 (左心室は心臓の左下部分)がよくなりました
  • HIIT参加者らは運動中に身体が処理可能な最大酸素量を示す最大VO2も増加しました。この尺度は心臓血管の健康を計ることを15%まで可能な目安にします
  • 他の研究からはHIITが糖尿病患者の有酸素健康状態を改善し、高血糖による損傷を測る尺度であるヘモグロビンA1c (HbA1c)が下がることがわかっています
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Dr. Mercolaより

2型糖尿病では心臓の左心室機能が減退しています。左心室は心臓の左下部分であり、これが肥大してじゅうぶん収縮できなくなると身体全体に血液を送り出す機能が減退し、心不全につながります。このため心不全患者の少なくとも1/3は糖尿病にもなっており、二つの病気に相関性があることを示しています。

幸いにも心臓の症例を含め、糖尿病治療の成果を高める手順を行うことは可能です。短時間きつい運動を行ったら休憩する高強度インターバルトレーニング (HIIT)は最たる効率的運動の一つとして普及しつつあり、糖尿病患者の心臓機能をよくします。

HIITを3カ月行うと糖尿病患者の心臓機能がよくなる

2型糖尿病患者にとり運動は健康改善と維持のためにやらなければならないことであり、3か月間のHIITを追加的に行うだけでも糖尿病による心臓損傷の一部を予防できることが、Medicine & Science in Sports & Exerciseに掲載されたある研究から明らかになりました。

この研究には2型糖尿病の中年成人11名が参加してHIITを3か月行う人と行わない対照群に分けて行いました。運動は一回25分、このうち10分をきつい運動に使いました。

HIITを行った人たちは運動中に身体が処理可能な最大酸素量を示す最大VO2が増加しました。身体の組成は変化しませんでしたが、最大VO2は心臓血管の健康状態を測る尺度として15%活用できます。さらに、運動で左心室の運動応答と心臓機能がようなりました。

「これらのデータからHIITで運動中のLV [左心室]充満と排出機能がよくなり、2型糖尿病による早期の心臓損傷が改善されることが示された」と、その執筆者らが結論しています。さらに勇気づけることとして、HIITは安全な運動であり、研究参加者はよく受け入れ、参加者の80%は3か月間運動プログラムを予定通りこなしました。研究の執筆者クリス・バルディ氏が次のようにニュースリリースで述べています:

「本研究には2つの有意義な臨床的意味がある。まず、2型糖尿病の成人は高強度インターバルトレーニングを継続し、有酸素容量及び左心室運動応答が糖尿病でない成人に匹敵するほど増大することである。

第二に、高強度集中運動は糖尿病性心臓病に先行すると見られる心臓機能の異常の一部を正常に戻すことができる。

HIITは2型糖尿病患者のためにいくつものメリットがある

心臓機能は2型糖尿病患者がHIITで得られるメリットのひとつにすぎません。14件の研究について批評的に検討したある研究では、HIITは典型的な中程度の運動と少なくとも同じメリットがあることが判明しました。研究者らはHIITが2型糖尿病患者の適切な運動療法になりうるとしています。

研究からわかったメリットの中でも特に血糖制御、身体組成、有酸素健康度、血圧、高脂血症(血中に脂肪が多すぎる異常)によいことでした。他の研究からはHIITが糖尿病患者の有酸素健康状態を改善し、高血糖による損傷を測る尺度であるヘモグロビンA1c (HbA1c)が下がることがわかっています。

12週間のHIIT運動プログラムに栄養情報の提供も合わせて行った場合、 2型糖尿病患者は心臓代謝や肉体機能、傷み、全般的健康状態、活発性、精神的健康、社交能力等生活の質を示すパラメータも改善しました。

印象的な結果が出た別のある研究で、着座生活が多く体重過多であるか肥満の女性2型糖尿病患者に走ることを基本としたHIITプログラムを行うまたは運動しない対照群に振り分けました。運動した女性においてはフォローアップ期間中に抗糖尿病剤及び降圧剤の一日用量が減っただけではなく、以下の項目も改善しました:

空腹時血糖値

HbA1c

収縮期血圧

HDLコレステロール

トリグリセリド

耐久運動の成果

体重

ウェストサイズ

皮下脂肪

肥満度指数(BMI)

毎週の取り組みによってこうした改善が現行ガイドラインの推奨する最小値よりさらに25%から56%低下したことも研究者らは指摘しています。「これらの結果から低用量のHITがT2DM [2型糖尿病]の女性を治療する時間効率のよい療法でありうる」とその執筆者らが言っています。

HIITは糖尿病には連続運動より優れるのか?

2型糖尿病の治療においては規則的運動が主体であることは明らかなのですが、HIITまたは中程度の強度の連続運動(MICT)かどちらのタイプの運動が最適なのでしょうか? ある研究では、HIITが少なくともマウスにおいては明確に優れることがわかっています。

この研究では10週間HIITとMICTを比較しました。HIITは長寿のために欠かせないミトコンドリア生体生成を開始させる強い要因であると考えられるので、HIITのほうが血糖制御のためにメリットがあるという仮説を立てました。

一方、その研究者らは「ミトコンドリアの障害はインスリン抵抗性によるものなので、ミトコンドリア機能の改善は骨格筋のインスリン信号伝達を復活させると考えられる」と推論しました。

その研究でわかったことは、糖尿病のマウスにおいてはHIITは確かにMICTより効率的に血糖代謝を改善しましたが、この改善は必ずしもミトコンドリアの変化によるものではありませんでした。2型糖尿病の成人が参加した別の研究は酸化ストレスを正常に戻すためにHIITのほうがMICTより効果的であることを証明しました。

別の研究では、HIITを週二回16週間行ったら、MICTより効果的に2型糖尿病の閉経後女性のお腹の脂肪が減りました。従ってこの運動は対象の人たちにとっては代替的運動トレーニングプログラムとして提案しうるであろうと、研究者らは指摘しました。

さらに、時間の短さによりHIIT運動を継続し易いことも注目に値します。一回15分以下のHIITを行えば2型糖尿病リスクのある人の心臓代謝リスク要因に効果的なことはわかっています。

HIITを一回どれくらい短時間でできるか?

短時間運動で長時間運動と同じ以上の効果が得られるとは信じがたいですが、秘訣は集中と強度にあります。身体の限界まで頑張るとより速く成果を得られます。どれくらい速く得られるでしょうか?

ある研究によると、10分間の一回分の運動に高強度集中運動を1分間取り入れると、通常のペースで50分間運動するのと同程度の効果が得られます。

「着座生活スタイルを送る男性において、12週間の短時間集中運動が従来式の耐久運動と同じ心臓代謝の健康指標を改善したが、運動量と時間は1/5で済んだ」と同研究者らが説明しています。

HIITは健康を改善にも速く効く。体力が正常なわけではないが健常な中年がたった2週間のインターバルトレーニングを行ったら(週三回)、インスリン抵抗性と血糖調節が改善しました。

あるフォローアップ研究はインターバルトレーニングがインスリン感度をよくしたことも特定しました。その研究は2型糖尿病を対象にして行われ、一回のインターバルトレーニングだけででもその後24時間の血糖調節が改善しました。

糖尿病リスクがある人はもっと動きましょう

空腹時インスリン濃度と血糖値を年一回測って、糖尿病リスクを測るようにお勧めします。空腹時のインスリンレベルは血中グルコース濃度の長期的健康度を反映します。空腹時インスリンレベルは2から4の間を維持しましょう。このレベルが高いほどインスリン感度が悪いことを示します。

空腹時血糖値100 mg/dl未満ならインスリン抵抗性はなく、100から125なら前記糖尿病になっています。この値またはA1Cの値からして前記糖尿病または糖尿病になっているかそのリスクがあることが判明したら、すぐに運動を始めましょう。ヒップサイズとウェストサイズ比チャートもリスクを測るのに有用であると思われます。

2型糖尿病や前記糖尿病にすでになった人またはいずれかのリスクがある人はライフスタイルを変えると効果があります。例えば2.8年間の糖尿病予防プログラムの研究では、ライフスタイルの変化が糖尿病薬メトフォルミンより糖尿病高リスクの人の発病を予防したまたは遅延させるほど効果があることが判明しました。

その初回の研究後、食生活を変え、中程度の強さの運動を毎日15分した人は対照群より58%糖尿病になりにくくなりました。メエトフォルミンを服用した人は発病率が31%下がりました。あるフォローアップ研究はこのグループを15年追跡調査した結果ライフスタイルの変化が糖尿病予防のためにメトフォルミンよりはるかに効果的なlことがわかりました。

栄養とライフスタイルの変化を糖尿病予防及び治療計画の根底にすべきであり、その研究ではHIITを詳しく取り上げませんでしたが、この種の運動をするとさらに効果が高まったはずです。これらの活動に加え、筋力トレーニングも糖尿病のために効果がある運動です。

糖尿病を予防できる確実な計画

糖尿病を予防できる包括的計画はどんなものでしょうか? この蔓延した病気を予防するまたはすでになってしまった方は以下のヒントに従ってみてください:

食生活からあらゆる形態の糖質や穀類を徹底的に制限する(または無くす) — 私の栄養計画を行うと必要な食生活の変更がし易くなります。また、過剰なタンパク質も避けましょう、これを肝臓が糖分に変換するからで、このためインスリン抵抗性の管理に支障をきたします。炭水化物が過剰であるより、タンパク質が過剰なほうが健康に有害です。

よい脂肪を食べる — 海洋性オメガ3脂肪は特に最適な健康のために欠かせません。脂肪中心食をしたりしなかったりする周期性について詳しく知るには — 脂肪中心食は有益だが健康を守るにはしない時も必要 —、私の著作「Superfuel(超燃料)」(ジェームズ・ディニコラントニオ薬学博士共著)をご参照ください。

絶食 — 絶食は糖尿病治療のためのもう一つの強力な戦略でもあります。詳しくは、「The Diabetes Code: Prevent and Reverse Type 2 Diabetes Naturally」(糖尿病のコード:2型糖尿病を自然に予防し逆転させる)の著者Dr. ジェイソン・ファンとのインタビューをご参照ください。

運動して活発に過ごす — いかに始めるかについては、私のピークフィットネスプログラムに記載のヒントやガイドラインをご参照ください。HIITと筋力トレーニングを計画に含め、座ってばかりいないで毎日よく動ていください。

ビタミンD濃度の最適化 — ビタミンD濃度とインスリン抵抗性の相関性が明確に存在すること、ビタミンDは正常なインスリン分泌に必須であり、インスリン感度をよくすることをある研究が実証しました。

腸内細菌を最適化する — 肥満な人の腸内細菌はスマートな人とは異なり、一部の微生物が肥満を促す傾向があることをいくつもの研究が実証しました。伝統的な発酵食品を食べたり高品質なプロバイオティクスサプリメントを飲むと、善玉菌を体内に復活させることができます。

底流にある感情的問題やストレスに対処する — 感情解放テクニック (EFT)等の非侵撃的手段は有用で効果的です。

毎晩8時間寝る — 睡眠不足で体重増加と糖尿病のリスクが高まることが研究からわかっています。2015年のある研究は日中の眠気や居眠り(睡眠不足の兆候である場合が多い)が2型糖尿病リスクを53%高めることを証明したことからしても、正常な睡眠を必ず取りましょう。