屋内空気汚染を軽減する方法

植物

早分かり -

  • 屋内空気汚染は心臓病や呼吸器系障害、糖尿病、認知力低下、生前から暴露された場合には子供の自閉症発症に関連することがわかっているので、健康リスクであることを示すエビデンスが増え続けています
  • 植物が屋内空気汚染を効果的に削減しうることを実証した研究は、空気が入れ替えられたり大きい部屋で行われるといったように、現実的設定では行われませんでした。しかし、小空間であれば最も効果的な植物にはヘデラ、アスパラガス・スプレンゲリ、カメラウキウム、ヘミグラフィス・アルテルナタが挙げられます
  • 近年のある研究は調理や掃除、呼吸による屋内空気汚染物質濃度に対する影響を解析しました。大部分のアメリカ人は90%屋内で過ごすので、研究者は、大多数が一日2.4時間しか屋外で過ごさないことからして、いかに屋外汚染が余命を縮め得るかという課題に取り組んでいます
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Dr. Mercolaより

屋内空気品質は生活している建物や構造物内部の空気品質を指します。よくある汚染物質の管理方法を把握すれば、短期的から長期的健康への影響リスクを軽減できるでしょう。米国肺協会はビルや塗料、カーペット、フォルムアルデヒド、ラドン、揮発性有機化合物(VOC)を含むよくある健康への悪影響を及ぼす汚染物質リストを公開しています。

屋内空気汚染は世界最大の環境問題の一つです。「State of Global Air 2019」レポートによると、屋内空気汚染は2019年時点に生まれた人の寿命を平均20カ月縮め得るそうです。これは栄養失調や肉体をあまり動かさない生活、過剰な飲酒等その他多くのリスク要因より大きな死因であると考えられます。

植物は屋内空気品質に大きな効果がない

ある以前の研究が屋内植物は屋内よく引用されるNASAの研究を含め、屋内空気の汚染物質をろ過する ことを実証しましたが、他の研究は植物には他の健康メリットがある一方、かつて考えられていたほど空気浄化にあまり効果はないことを示しています。

ニューヨークにあるマウントシナイ・アイカーン医学校の研究員・終身教授のルス・クラウディオ氏が、植物が実験室条件では空気からVOCや毒素を除去できることは疑問の余地がないとしてきた現在及び以前の多くの研究を見直しました。

現実の場面では数個の植物を置いても空気を浄化できるわけではなく、浄化作用に科学的根拠があまりありません。ほとんどの研究は屋内植物を密閉空間で使用しましたが、住宅で使用される状況を想定した機能的な方法で行うまで拡張しませんでした。

ジョージア大学園芸学のスタンリー・ケイズ名誉教授は28種類のインテリア用によく利用されている観葉植物の屋内揮発性汚染物質(ベンゼンやトルエンを含む)を除去する能力についてのある研究を共同で執筆しました。市販の植物を購入し、根を洗い、植物を鉢に植え替えました。

試験は実験室環境で行われ、植物を気密なガラスのジャーに入れてガスを注入しました。試験した28種類のうち4種類は対象化合物ごとに卓越した除去効率がありました。その植物とは:

  • ヘミグラフィス・アルテルナタ(レッドフレームアイビー、ワッフルプラント)
  • セイヨウキズタ(ヘデラ)
  • ホヤ・カルノサ(ポルセランフラワーとかカメラウキウムともいう)
  • アスパラガス・デンシフロルス(アスパラガス・スプレンゲリ、フォックステールシダ)

屋内空気のほうが屋外空気より汚染度が高いと考えられる

清浄大気法(Clean Air Act)修正法は1990年に通過した空気汚染管理に関する法的権原です。この法律により以前に1963年と1970年に清浄大気法に付与されていた法的権原を修正したものです。

修正法は酸性雨やオゾン層に悪影響する有毒汚染物質も対象にしました。準拠させるため、ガス排気量の大幅な削減が義務付けられ、オゾン層破壊の三大化学物質は段階的に使用廃止されました。The New Yorkerが 1970年代以来多くのガスの排気量は50%削減され、粒子数は80%減ったと伝えています。

確かにこれはたいした成功ですが、現実には、アメリカ人のほとんどは生活時間の90%を屋内で過ごします。 残念ながら、高齢者や心臓血管病患者、呼吸器系疾患患者等の空気汚染による重篤な影響を受け易い人は、さらに多くの時間を屋内で過ごす傾向があります。

最近数十年においてエネルギー効率の高いビル建設が機械的換気や適正な空気入れ替えを削減してきたので、建物の中にあると考えられるガスの濃度が高まりました。 さらに、建設会社はますます合成建材を使用し、家の所有者は自宅に敷物を敷き、パーソナルケア製品や有毒発煙を出す材料を使用します。

家庭用クリーナー、塗料、接着剤さらに電子機器はすべて屋内空気品質を悪化させます。煙突から出る有害な煙や燃焼機関から出る揮発性化合物等の屋外空気汚染物質がビルに侵入して空気品質を悪化させることはあまり頻繁に起きていません。しかし、屋外大気とは異なり、屋内空気品質はほとんど規制されていません。

調理と掃除が屋内空気品質を悪くする

9/11が起きて初めて屋内空気の研究に資金が得られるようになりました。ある制度は生物兵器の痕跡を検出する目的でHVACろ過システムの研究支援を開始しました。生化学者パウラ・オルシューフシキ氏は、ビル内の基線条件について把握しておかないと即応サービスやその他の者が生物的脅威を検出できなければ困難な立場に置かれるであろう、ということを把握しました。

この分野にほとんど専門家がいないので、同氏は13の大学から20の研究グループで作るチームを編成し、HOMEChem (微生物及び環境化学物質の住宅監視)活動を立ち上げました。HOMEChemの実験は2018年6月に行われ、そこで研究者は屋内環境を制御する上で最も重要な汚染物質の項目を特定しようとしました。

実験用の家は2006年以来テキサス大学キャンパスに置かれていた111平米ほどのプレハブハウスでした。科学者らは実際の生活活動(掃除、調理、単に過ごすだけを含む)を模倣するスケジュールを立てました。これらの活動は一連の管理された実験になり、その際科学者らは先端機器を使って空気品質を測定しました。

実験初期に屋外測定用に設計された機器は再キャリブレーションして内部空間で蓄積する高濃度を計測できるようにする必要があることが判明しました。そのデータから調理や掃除、単にいるだけでも家の中に排気ガスが放出されることが判明しました。

屋内空気汚染に関連する健康への課題

屋内空気汚染の影響は大きく、未だ完全には把握されていないようです。研究者は、具合が悪くなって、短期的呼吸器炎症や呼吸困難等の汚染空気による影響を体験するほどになる必要はないことを把握しています。健康への悪影響は汚染物質の種類、濃度、暴露時間により異なります。

空気汚染が多い日には、屋内か屋外を問わず、心臓血管病や呼吸気疾患が悪化したり心臓や肺へのストレスが増すのを実感することがあるかもしれません。汚染された空気への長期的暴露は肺の老化を永続的に加速し、肺活量を減らすほかにも、喘息や気腫、気管支炎等を悪化ないし発病させる場合があります。

最も影響を受け易いのは、心臓病、喘息、気腫、閉鎖性肺疾患を含む既往症がある人です。妊婦や高齢者、14歳以下の子供もリスクが高いです。2013年に世界保健機構は屋外空気汚染が人間の発がん要因として分類しました。研究からさらに明らかになるにつれ、屋内汚染の分類はずっと後になりうるのでしょうか?

環境防衛基金は空気汚染のために毎年640万人が死亡し、そのうち600,000人は子供であると報告しています。空気汚染が認知症や糖尿病、自閉症リスクを高めることにも関連することを示すエビデンスがあります。

植物を栽培する健康メリット

以前考えられていたより屋内空気汚染削減のメリットが少ないとはいえ、植物を屋内で栽培すると他のメリットが確かにあります。心理学者でなくても生きている植物が魅力的に見えることはわかります。しかし、植物を自宅で栽培するとさらに楽しみが増えます。

Journal of Physiological Anthropologyに掲載されたある研究によると、香りをかいだり触る等植物との能動的な相互作用をすると、心理的及び生理的ストレスが減ると考えられます。公園を散歩しても同じ効果が得られる一方、ほとんどの人は屋内にいることが多く、屋内に植物を置くとメリットがあると考えられます。

植物は葉から水分を放出するので、自然の加湿器としても機能します。しかし、子供やペットがいるお家では自宅に持ち込む植物が安全なことを確認してください。ある研究で、研究者は仕事空間に鉢植え植物や花があると創造力及び問題解決能力が大幅に改善され、集中力や仕事での快適な感覚が47%増すことは考えられることを特定しました。

屋内空気汚染の削減ヒント

屋内の汚染物質はたくさんありますが、できるだけ大気汚染を減らして、健康に良い環境にするためのコツをこちらでご紹介しましょう。

窓を開ける — 自宅の汚染を減らすために最も簡素かつ簡単な方法の一つは窓を開け、新鮮な空気を入れることです。たいていの住宅は空気がほとんど漏れないので、毎日15分でも窓を開けると呼吸している空気の品質がよくなるでしょう。

シーリングファンを付けると家の中に新鮮な空気が運ばれ、エアコンのコストも下がります。キッチンと浴室にも換気扇を設置して、汚染物質を排気できるようにしましょう。

熱回収式換気扇(HRV) — たいていの新築の住宅は気密なのでエネルギー効率が高く、外気との空気入れ替えのためには課題があります。熱交換換気扇を設置する工務店も多くなってきており、室内の結露やカビの発生も少なくなり、屋内の空気の質は良くなっています。

HRVは高くて手が出ない方は窓を開け、浴室やキッチンの換気扇をオンにし、屋内空気を屋外へ排気してください。毎日15~20分ほどで大丈夫です。夏と冬は、室内との気温差が少ない時間帯にしましょう。電気代は少々かかるかもしれませんが、健康改善のためならその価値があります。

燃料を燃焼する器具の整備 — 天然ガス暖房器具やストーブ、コンロ、温水器、室内暖房機、硬水の軟化装置その他燃料を燃焼する器具のメンテナンスがよくないと一酸化炭素や二酸化窒素が漏れる場合があります。

屋内湿度を50%以下に保つ — カビは湿気た環境で発生します。除湿器やエアコンを使用して室内湿度を50%以下に維持しましょう。カビが発生しないように、除湿器のお手入れはこまめにしましょう。

屋内で喫煙しない — 喫煙者は外で吸うようにお願いしましょう。煙草やパイプ、葉巻の二次喫煙により健康に有害な200種類以上の既知の発がん物質が含まれています。

アロマを含むキャンドルや室内清浄器、有害な清掃用品を使用しない — こうしたろうそくや空気清浄器はVOCを家の中に放出します。ゴミを部屋から出す回数を増やしたり、洗濯物をリビングに置かないようにしましょう。白酢や重曹等あまり有害でない用品で掃除し、清潔な香りのためにはエッセンシャルオイルを添加しましょう。

ラドン検査 — ラドンは肺がんにつながる無色ガスです。建物に建設中封止されていることがあり、時間の経過とともに屋内空気全体に漏れ出して来ることがあります。ラドン検査キットを使うと、安く簡単にリスクを知ることができます。

エアーダクトを清掃しフィルターを換える — 暖房機やエアコンから伸びるエアーダクトは自宅の汚染源になる場合があります。カビや、ホコリやごみが溜まっていたり、ダクトに害獣が住み着いていたりする場合は、業者さんに掃除して貰いましょう。汚れていれば三カ月ごとまたはそれより早めにコンロのフィルターを交換しましょう。

+ 出典および参考資料