Dr. Mercolaより
運動は最適な健康と病気予防のための基礎となる柱であり、何かするほうが何もしないより必ず効果があります。しかも、成果を最大限に得るにはいくつもの方法があります。
例えば高強度インターバル運動は他の運動より効果的で、すなわち、短時間で済みます。運動を何時ごろするかも違いを生むかもしれません。
2019年7月号のObesity誌に掲載されたある研究が運動する時間帯と減量維持能力の相関性を評価しました。
この研究には米国の国家体重管理登録簿から選んだ375人が参加し、軽度からきつい肉体活動(MVPA)に少なくとも週に二日取り組んだ結果、減量を一貫してできました。少なくとも運動時間の50%は同じ時間枠で行い、朝か午後、あるいは夕方に行いました。
全体としては68%が一貫して運動プランを維持し、維持できた人たちは運動量も多く — 週に4.8日、運動プランを一貫できなかった人の4.4日とは対照的です。また維持できた人々の運動時間も長かったのです。
一貫してプランをこなした人のメディアン運動時間は週に350分、一貫していなかった人の285分と対称的でした。 その結果、行う時間帯が一定していた参加者の86.3%は米国の運動ガイドライン(週150分以上)を満たした一方、一貫性がなかった参加者の74.2%がこのガイドラインを満たしたのと対照的です。
一貫した運動を維持した人のうち47.8%が早朝まず運動から始めており、運動の時間帯が体重管理の成功のために寄与する要因であるかもしれないことを示唆しています。
一方、時間帯による成果の相違は有意ではなく、一貫して行うことが本当は課題です。
運動を朝一番でするとよい理由はいくつもあります。まず、まず行うことで必ず実行できる一方、午後や晩に行うプランは予定外のできごとや社交の招待あるいは長い一日の後の倦怠や動機欠如などで怠けやすいです。
食べる時間帯を限る食生活が習慣の方なら、朝食前に運動すると絶食状態での運動を活用でき、代謝へのいくつものよい効果があります。
絶食状態で運動すると、身体の脂肪代謝が交感神経系により制御されており、交感神経系は運動や食品の欠乏により活性化されるので、身体が脂肪を落とさざるを得なくなります。
絶食と運動の組み合わせもプロテインキナーゼ活性化アデノシン一リン酸 (AMPK)による脂肪とグリコーゲンの分解によるエネルギー生産を最大化するだけではなく、自食作用(オートファジー) — 身体が損傷した組織や細胞の構成要素を浄化するプロセスにおいても主な機能をします。
2012年のある研究が「絶食状態での有酸素運動は体重と体脂肪比率を下げる」一方、「食べた後の有酸素運動は体重しか減らさない」と説明しています。運動と絶食を合わせると急激な酸化ストレスが掛かるので、逆説的に聞こえますが、筋肉に効能があります。
「The Exercise Mistake Which Makes You Age Faster」(老化を早める運動のミス)でフィットネス専門家で、「Unlock Your Muscle Gene」(筋肉の遺伝子を活発にする)や「The 7 Principles of Stress」(7つのストレス原理)など数冊の著作があるオリ・ホフメクラー氏がこの問題も取り上げており、急激な酸化ストレスには次のような効果があることを説明しています:
「筋肉の調子を整える。技術的に言えば、急激な酸化ストレスにより筋肉は酸化ストレスに益々耐久力がつき、グルタチオンやSOD [スーパーオキシド・ディスムターゼ、細胞が最初に防御のために活性化する抗酸化物質]のミトコンドリア内生産を刺激し、さらに筋肉はエネルギーを利用し、力を生み、倦怠に耐える能力が増える。
簡単に言えば、運動と絶食による急激な酸化ストレスが筋肉のミトコンドリアやニューロモーター、繊維に悪影響を与えない。つまり、運動と絶食を合わせると筋肉老化の主な決定因子に対抗できる。」
ホフメクラー氏は運動と絶食を組み合わせると「脳と筋肉組織を再利用し、若返らせるメカニズムが作動する」ことも指摘します。同氏が言うメカニズムとは遺伝子や、脳由来神経栄養因子(BDNF)及び筋原性制御因子(MRF)等の成長因子の促進です。
BDNFは脳幹細胞に新生ニューロンに変換するようにという信号を送ることを意味するニューロンの生成を制御する一方、MRFは筋肉の発達と再生のために基幹的な機能をします。いい変えると、絶食状態運動は脳やニューロモーター、筋肉繊維を生物学的に実際に若く保つと考えられます。
絶食は新しい幹細胞 — 組織の治癒や再生のために使用される細胞の生成を促します。この効果は絶食後に食事を再開する段階で起きます。このとき、身体は絶食(自食)段階に浄化された全ての損傷した細胞を再構築および入れ替え始めます。
再生は朝食を食べる前に朝、筋力運動をすることでさらに促されます。こうした効果がなぜあるのかというと、絶食中には成長ホルモンレベルが急増し、5日間何も食べないでいると300%も増加します。
成長ホルモンは通常IGF-1とともに増加し、IGF-1が自食作用を阻害するので、この点は逆説的に聞こえるかもしれません。しかし、絶食中、肝臓内の成長ホルモン受容体は比較的に感度がなく、IGF-1濃度は実際には低下します。
従って、絶食はある点で成長ホルモンの注入と幹細胞移植に似た状態とも言え、これにタイミングよく、つまり再度食べ始める直前、筋力トレーニングを組み合わせることによりこれらの再生効果が最適化されます。
絶食状態運動は2型糖尿病の強力な予防戦略でもあります。2010年のある研究で運動を絶食状態で行った人のGLUT4 — グルコースを細胞の中に運び込むことでインスリン感度においては主な機能をしている筋肉タンパク質 — が28%増加し、これはトレーニング前に炭水化物が多い食事をした人、あるいは対照群(運動しなかった人)とは対照的でした。
こうした効果は高カロリー食を食べても得られました(健康維持のために必要なより30%余分に摂ったが、その半分は脂肪によるもの)。
上記に掲げたすべての理由により、朝いちばんの運動は最適な選択肢のようです。運動は元気を出す効果もあり、早朝行うと一日を通して推進力が得られますが、運動が晩遅すぎると逆効果になるかもしれません。
運動するとアドレナリン濃度、心拍数、体温が上がり、寝付きにくくなるかもしれません。しかし晩の運動は一部の人には効果があり、ここでも一貫性が成功のカギを握っています。
例えば、2011年に公表されたある研究は、就寝直前の35分間活発に運動した人は運動しない晩と同じくよく眠れることを特定しました。実際に、「運動した日は非レム期睡眠の比率が対照日より長くなる」と、その執筆者らが説明しています。
同じく全米睡眠財団によるあるアンケートから、83%の人は運動した日はしなかった日より(たとえ4時間しか寝なくても)よく眠れたと答えています。晩に運動した人の3%は運動しなかったときより運動したときのほうが睡眠の質がよくなかったと答えました。
興味深いことに、就寝の4時間以上前に運動した人のうち73%は毎日の運動でちょうどよく眠れたと答え、就寝から4時間以内に運動した人の65%は必要な睡眠を取れるだけ十分な時間がその日にはあったと答えました。
この事実に基づいて全米睡眠財団は運動が一日のうちに行う時間帯に関わらず睡眠によいという結論に達しました。
実に、午後を含め一日のうちほぼないつであっても運動することで何かによい効果があります。Journal of Physiologyの2019年2月19日号に掲載されたある研究は、運動が概日リズムをシフトさせること、シフトの強度と方向は運動を何時にするかによって異なることを確認しました。
異なる年齢の参加者99人は日中と晩のうち1 a.m.、4 a.m.、7 a.m.、10 a.m.、1 p.m.、4 p.m.、7 p.m、10 p.mと8つに区切った時間帯の一つにおいて3日連続でトレッドミルで軽度の運動を1時間行いました。
まとめると、朝7時あるいは午後1時から4時の間に運動すると体内時計が早い時間にシフトします。そのため、これらの時間帯に運動したときは早く就寝し易いと思われます。早寝すれば翌朝早起きし易いです。
午後7時から10時の間に運動すると体内時計が遅い時間にシフトします。これは翌日(朝ではなく)遅くなってから絶頂のペースが必要なら有用でしょう。
興味深いことに、最も堅実な概日リズムの早まりは午後(1時から4時)運動したときに起きており、これは朝運動するより効果がありました。その研究の執筆者らは次のように説明しています:
「以上の結果は概日リズムは比較的午後のツァイトゲーバー[概日リズムを調節する環境的キュー]に応答しないという従来の発想とは対照的であり、いくつもの現実的意義があると考えられる。
例えば、朝にこうしたツァイトゲーバーを得られないか得たくない人の場合、運動や午後の屋外光によるフェーズ早期化効果を得やすいものと考えられる。
逆に概日リズムを遅延するのが目的の人(夜間勤務者等)にとって、以前の研究でも本研究においても概日リズムを早めることがわかった午後の運動や明るい光を避けると有用なようである。」
おわかりの通り一日のうちいつ運動しても何かのためになるということです。では問題は自分の目的は何かということです。減量は朝いちばんで運動することで維持し易いようです。これに絶食を加えると、幹細胞再生やインスリン感度等を促進できます。
その一方、午後や夕刻から晩の運動はシフト勤務や旅行前に有用なようで、これは体内時計をリセットできるからであると見られます。関連変数を知り、運動のタイミングによって健康に影響を及ぼすことがいかに可能かを知ると、自分の健康目標実現に役立つ標的のあるツールとして利用することができるでしょう。
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