コレステロールでは心臓病ならない

コレステロール

早分かり -

  • 2018年のある科学的批評論文は、高LDLと高総コレステロールが心臓病リスクの指標ではなく、スタチン投与はこの理由から一次予防の形態として効果が疑わしいことを述べています
  • コレステロール仮説を裏付ける近年の3つの批評論文が代表性の乏しいデータ及び以前の研究結果を結論の裏付けに利用していたことが判明しました
  • ひっくるめてみると、そのメタ分析は多くの研究における高コレステロールと心臓血管病の相関性はほとんどないか無いあるいは逆説的であることを特定しました
  • 高LDLの高齢者は早死にしません — 実際には最も長寿であり、低LDL症が未処置の人やスタチン投与を受けている人より長生きしました
  • 2015年に行われた11本のスタチン薬に関する研究に対して行ったあるメタ分析は、スタチンの使用で一次的予防検査ではたった3.2日、二次的予防検査でたった4.1日しか死亡を遅延させないことがわかりました
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Dr. Mercolaより

これまで60年間に米国の栄養勧告はコレステロールの多い食品を食べると食品のコレステロールが動脈プラークを発生させこれが心臓病につながると主張して警告してきました。現在ではこれと逆の圧倒的な根拠が判明していますが、最も控えめに言っても未だに独断がしつこく存在しています。

何十年分もの研究が食品からのコレステロールと心臓病の相関性を実証できなかったので、2015/2020年のDietary Guidelines for Americansがやっとこの科学的誤謬を取り上げ、「コレステロールは過剰に食べても懸念すべき栄養素であるとは考えられない」と発表しました。

今でもこれら二者の間に相関性がないことを示す根拠が増え続けています。同様に、コレステロール低下スタチン薬で心臓病リスクを下げる効果を裏付ける根拠がほとんど無いか全く無く、スタチンメーカーにより作り上げられた仕業でしかない — 少なくともこれが2018年にExpert Review of Clinical Pharmacologyに掲載されたある科学的批評論文に含蓄された結論です。

コレステロールが心臓病リスクに影響する証拠がない

実際に、Expert Review of Clinical Pharmacologyに掲載された分析の執筆者らは、高総コレステロールがアテローム性動脈硬化の本当に主な原因であれば、「コレステロール低下薬の検査で暴露応答があるはずである」と言っています。言い換えると、総コレステロールが最も下がった患者には最も高い効能もあったはずです。しかし実際にはそうではありませんでした。

16個のコレステロール低下検査(暴露応答を実際に計算した研究)に関するある批評論文はこのうち15個の検査でこうした暴露応答が検出されなかったことを明らかにしました。その上、コレステロール低下にプラスの暴露応答を示している唯一の研究は処置に運動のみを利用したものであることを研究者らが指摘しています。

高総コレステロール患者は心臓血管病で死ぬリスクも高いはずですが、これを示す根拠が見つかりませんでした。研究者らはこれが「文献の誤謬のある批評検討によって支持されている発想」であると然程微妙でもない言い方で指摘しています。

LDLと心臓病にも相関性なし

Expert Review of Clinical Pharmacologyに掲載されたその論文は高LDLがアテローム性動脈硬化や心臓血管病の原因であるという主張もくつがえしています。総コレステロール同様、高LDLが本当にアテローム性動脈硬化の原因なら、高LDL患者は頻繁にアテローム性動脈硬化であると診断されるはずですが、実際にはそうではなく、最も高濃度の患者が最も重度のアテローム性動脈硬化になるはずですが、実際にはそうなっていません。

研究者らはLDLと冠動脈石灰化ないしアテローム性動脈硬化の程度に「相関性がない」ことを示す複数の研究があることを指摘しています。LDLと心臓血管病の相関性がないことも同様です。実際に急性心筋梗塞の患者約140,000人を対象にしたある研究が、患者の入院時にLDLが正常値より低いことを特定しました。

さらに説得性があるのがもともとこれと同様の結果を報告していた別の研究がさらに進めて患者のLDLがもっと低いことを特定しました。それから3年後のフォローアップ研究で、LDL濃度が105 mg/dl (2 mmol/L) 未満の患者は高LDLの患者より死亡率が2倍高いことを発見しました。

興味深いことに、この逆関係が低LDLにより一般的な死因である感染病やがんリスクが高くなるからではないかとしています。

その研究者らは、高LDLの高齢者は早死にしません — 実際には最も長寿であり、低LDL症が未処置の人やスタチン投与を受けている人より長生きしたことを示す根拠も批評的に検討しています。こうした研究の一つ — 19本の研究のメタ分析 — は高コレステロールの人の92%がより長生きしたことを特定しました。

スタチンに関する「フェークニュース」を止めるよう求めるJAMAの論説

コレステロール神話はコレステロール低下スタチン薬 — 心臓発作や脳卒中に対し一次予防としてよく処方されている — が市場で最もよく使用される薬のひとつになったことから、製薬業界にとってたまものでした。2012~2013年で見るとアメリカの40歳以上の成人の27.8%がスタチン薬を使用していると答えており、10年前から17.9%増加していました。しかしこれは6年前のことなので、今では40歳以上の成人の1/3以上がスタチンを使用していると私は見ます。

2015年のあるレポートによると、 「統計を用いた詐欺によりスタチンが心臓血管病の一次及び二次予防のために安全で効果的であるという見せかけである。」 その論文は相対的リスク削減という統計ツールを利用するとスタチンの取るに足りない効果が大きく鼓腸されて見えるようになります。

こうした科学的事実はスタチンについて評判のよくない報道がなされる主な理由です。しかし、スタチンについて否定的な記事が逆に「フェークニュース」というレッテルを貼られてニュースの周期に間もなく逆転が起きると考えられます。

2019年6月号のJAMA Cardiologyに掲載された心臓学者アン・マリー・ネーバー氏によるある論説によると、スタチンはワクチン同様「恐れに基づく医療情報」の犠牲者であり、これが患者はこの薬を続けたくなくなっている理由なのだそうです。Cardiovascular Businessは次のように伝えます:

「人が読む物が行動に影響することはわかっている。ネーバー氏は、2016年にEuropean Heart Journalに掲載されたある研究が、スタチンについて否定的なニュースがこうした人々の間で取り上げられたのでスタチンを止める人が増えたと、言っている。

別の研究で、心臓病患者3人に1人以上が副作用を恐れてスタチン処方を拒絶したと回答しています。「はしかの流行はとても目に見えます:発赤、保健所の対応、ニュースの見出し、医療業界が声に出して応答する」とネーバー氏が書いています。

「対照的に、誤った情報により焚かれた懸念のためにスタチンを拒絶した患者に心筋梗塞が起きても、結果はあまり見えない。しかし、心臓科の医者や一次ケアの医者は毎日スタチン拒絶がくすぶるように広まっているのを目の当たりにする。」

Cardiovascular Businessはいかに医者がスタチンについての誤った情報に対抗できるかについて、自動補充式に一年分の処方を出す等して患者の服用を定着させるネーバー氏の提案を要約しています。

私が初めて、全オンラインプラットフォームに投稿される反ワクチン素材の検閲について書いたとき、この検閲はワクチンに留まらなくなると警告しました。まさに、ここに、反スタチン情報をすべて「フェークニュース」と立て板に水を流すようにレッテルを貼ることで検閲する呼び掛けがすでに見られます。

反スタチン情報の検閲がすでに実施中である可能性が高いです。Googleで検索語に「スタチン 副作用」としてクイック検索してもリスクが僅かなことやスタチンの効能、2つのブランドの比較記事について語るリンクが多くく、 — 言い換えると、ほとんどが肯定的なニュースばかりです。

科学的事実は「時間の無駄」や死亡率低下のために無用であること以外にも、スタチンは強い副作用や次のような臨床的課題も多く伴います:

糖尿病リスク増大

心臓病機能の減少

栄養素の枯渇 — これにはCoQ10及びビタミンK2が含まれ、両方とも心臓血管の健康と心臓のために必須のものです。

生殖機能障害 — 重要な点として、スタチンはカテゴリXの薬すなわち重篤な奇形児を発生させるので、妊娠中だったり妊娠を予定している人が飲んではならない薬です。

がんリスク増大 — 長期的スタチンの使用(10年以上)により女性の乳がんによくある2つのタイプ(浸潤性乳管癌及び浸潤性小葉癌)のリスクが2倍以上高まる。

神経障害 — スタチン治療を2年以上継続すると「末梢神経が必ず損傷を受ける」ことを研究が実証済みです。

心臓病リスクの評価方法

基本的にコレステロール低下薬は大多数の人にとって不要であるし経済的でない — 特に家系からして高コレステロールと長寿が特長であればこのことが言えます。念頭に置いておきたいのは、コレステロール濃度が心臓病リスクと関係ないことを証明済みの根拠が圧倒的に示しています。

心臓病リスクの評価に関して、以下の検査はそのリスク査定精度が高いと言えます:

HDL/総コレステロール比 — HDLの比率はとても強力な心臓病リスク要因です。HDL濃度を総コレステロール濃度で割る。24%以上が最適。

トリグリセリド/HDL比 — 同じことがトリグリセリドとHDLの比でも行えます。この比率は2未満であるべきです。

NMR LipoProfile — 大きいLDL粒子は有害ではないようです。低密度の LDL 粒子だけが潜在的に問題になる可能性があります。なぜなら、動脈内壁を押し通ってしまう可能性があるからです。低密度の LDL 粒子が酸化すると、損傷や炎症を引き起こす可能性があります。

全米脂質協会等一部の団体は焦点を総コレステロールとLDLからLDL粒子数に移しており、こちらのほうが心臓病リスクをよりよく評価できるからです。粒子サイズの個数がわかるとパーソナル化対策を決めてリスクを管理しやすくなります。

空腹時インスリン濃度 — 心臓病は主にインスリン抵抗性に根があり、これは高糖分食生活が原因です。砂糖は、コレステロールや飽和脂肪ではなく、 主な促進要因です。臨床研究から高果糖コーンシロップがたった2週間以内で心臓血管病のリスク要因を作用させることができます。

果糖や精製穀類等の炭水化物が多い食事やスナックは血糖を急速に増加させ、このためインスリンが速く増加して血糖増加分を補償しようとします。

炭水化物を食べすぎるために分泌されるインスリンが脂肪の蓄積を促し、余計な体重を落としにくくなります。過剰な脂肪特にお腹周りが心臓病の主な要因のひとつです。

空腹時血糖濃度 — 空腹時血糖濃度100~125 mg/dlだと79 mg/dlよりほぼ300%も冠動脈疾患になりやすいことが研究からわかっています。

血中鉄濃度 — 鉄が過剰になると身体に強い酸化ストレスが掛るので、血中鉄分が過剰な方は血管損傷や心臓病のリスクが高いです。最適なのはフェリチン濃度を追跡して80 ng/ml未満に抑えるよう管理してください。

フェリチン濃度が高いときに下げるための簡単な方法は献血です。献血できなければ治療的採血を行えば体内の過剰な鉄を効果的に解消できます。

+ 出典および参考資料