Dr. Mercolaより
毎分、ダンプカーに満載されたプラスチックゴミは海洋に流れ込み、毎年合計で800万トンに及んでいます。これだけのプラスチックはウミガメや鯨の胃の中に入り、海鳥に絡みつき、おそらくさらに悪いことには、マイクロプラスチックにまで分解されて魚やプランクトンが食べ、未知の帰結をもたらすことになります。
世界の海洋にあふれかえるプラスチックごみをいかに除去するかは圧倒される課題です。少なくとも一つの組織The Ocean Cleanupが実務的視点からこの課題に取り組んでおり、同団体の推定では太平洋広域ごみ領域(太平洋の160万平方キロをカバー)から5年でプラスチックごみの半分を除去しうる受動的ごみ回収システムを利用しています。
もう一つの方法はごみの出所で取り組むことで、この任務は、河川から海洋に至るプラスチックごみの95%が10河川から来ていることから、見かけより実現しやすいように考えられます。
ドイツのライプチヒに本拠を置くヘルムホルツ環境研究センター(UFZ)の研究者らは世界中で57本の河川にプラスチックが集中していることを把握しました。
マイクロプラスチック(マイクロファイバーやマイクロビーズ等の粒径5mm未満の粒子)とマクロプラスチック(プラスチックバッグやボトル等粒径5mm以上の粒子)についてのデータを分析した研究者らは、河川に流れ込むプラスチックの濃度に排水量を掛けてどれだけのプラスチック(重量ベース)が海洋に流れ込んでいるかを推計しました。
「研究者らは次にこのデータを各河川ごとに一日一人当たりが生み出すプラスチックごみの推計重量と比較したモデルに入力した」と、Scientific Americanが伝えています。その研究の執筆者らは「海洋のプラスチック残骸の多くは陸上から来ており、河川があらゆるサイズのプラスチック残骸を運んでいる。」
研究者らの解析から河川流域に人工が密集している大河川が並外れた量の管理されていないプラスチックごみを海洋に流し込んでいることがわかりました。「世界の海洋へのプラスチックごみの負荷の88~95%は10大河川が運んでいる」と、研究者らは結論づけました。
これらのうち8本の河川はアジアの長江、黄河、海河、珠江、アムール川、メコン川、インダス川、ガンジス川、アフリカの2本(ニジェール川とナイル川)です。これまでにわかっているところでは、最悪の汚染源は長江(揚子江)で、年間150万トンのプラスチックごみを黄海に流し込んでいます(これはその他9本の河川からの排出量を合計したよりさらに多い)。
合計すると10河川が47万~275万トンのプラスチックを海洋へ毎年流し込んでいます。この事実に対して、もしあるとすれば解決に結びつくと考えられる措置として、廃棄物管理の改善によりこれらの10河川を標的にすれば世界の海洋に流れ込むプラスチック量を削減するために大きな効果があると考えられます。
Nature Communicationsに2017 年に掲載された同様の研究は河川から海洋へのプラスチック流入についての世界モデルを作成しました。これは廃棄物管理、人口密度、水理学的情報に基づいたものでした。そのモデルは毎年115万から241万トンのプラスチックゴミが河川から海洋に流れ込み、排出量の74%は5月から10月に出ていると推計しました。
The Ocean Cleanupの研究者らは河川が海洋にあるプラスチックごみの大部分の流入減であることもつきとめており、この場合にはアジアに集中する汚染源20大河川が世界の海洋へのプラスチック排出量の67%を占めることがわかっています。
ここで再び中国の長江(世界で三位の長さ)は最悪汚染源という、きな臭いあだ名を頂戴しました。The Ocean Cleanupの研究者らがこう説明しています:
この河川から来るるプラスチックの海洋流入はアジアが発生源であり、経済成長が速くかつ廃棄物管理が乏しいアジア諸国での監視及びゴミ削減対策に焦点を当てる必要性が強調される。これらの想定を文書化したデータがほとんどなく、当モデルの妥当性を完全に検証できない。
アジアから来てプラスチックゴミが浮いている北太平洋の海面で特定された海洋プラスチックの比較的高い集中度からしてこの想定は妥当性があると考えられる。」
漁業や、漁船、その他の船からのプラスチックごみは海洋のプラスチック残骸の20%以下にしか相当しません。その残りである80%以上は、陸地で産出されたものです。いったん海に廃棄されてしまうと、およそ700近い生物種が(おそらくそれ以上多い)、その残骸の悪影響を受けます。
環境支援団体Ocean Conservancyによると、プラスチック製品は長年存続し、たとえ塩分が多い海洋でも400年後にまだ識別可能です。
最悪の廃棄物発生諸国の一員である米国では、ごみ捨てが大きな課題であり、特にソーダのボトルやストロー、ポテトチップの袋等の使い捨てプラスチックの形を取るものが問題です。この反面アジアやアフリカでプラスチックの残骸は適正な廃棄処分の欠如や一般ごみの取り扱いが原因で河川に行きついていおり、これらのごみはごみ集積場や産業から来ています。
プラスチックの主な海洋への運搬経路である河川は清掃及び防止の取り組みで主な焦点とするべきであり、これはごみの運搬ばかりではなく、ノルウェー科学技術大学(NTNU)生物学部のマルティン・ワグナー助教授が言うように、「河川自体は素晴らしい複雑な生態系です。」
「Freshwater Microplastic: Emerging Environmental Contaminants?」(淡水のマイクロプラスチック:新興の環境汚染物質か?)という表題の著書の中でワグナー氏は合成ポリマーには5,300以上のグレードがあり、それぞれが異なる物理化学的特性を持っていると指摘します。このため、ひとたび環境に入るとそれぞれがとても固有の影響を及ぼすものと考えられます。
「これに関していうと、マイクロプラスチックを単一の汚染物質としてのみ扱うことは意味がない」と、同氏は説明します。同氏の著作はさらにこう説明しています:
プラスチック素材の化学組成が原因で、これを受ける環境は潜在的にはマイクロプラスチックやナノプラスチックの混合物、漂白された添加物、その後の分解生成物に暴露され、これがいくつもの生物相に対して生体利用能を得るようになる。
水生動物によるマイクロプラスチックの吸収はすでに実証されているが、継続的暴露による長期的影響は未だよく把握されていない。」
さらに、環境内のプラスチックに関する研究の大部分は海洋に焦点を当てている一方、淡水系にあるプラスチックについてはほとんど把握されていません。その著書の執筆時点において、淡水中に存在するプラスチックとして特定されたのは4%に満たず、「小川から河川、湖沼は排水溝に似た、プラスチックを海洋に流し込む単なる経路であるという発想を反映しており、これでは単純すぎる」とその本の前書きに記されています。
海洋にあるプラスチックに焦点を当てこれを除去するのでは、長期的に食い止めにはその発生源に遡る必要があるので、近視眼的である。その発生源はたいていの場合陸であり、河川が運ぶ。「食い止めるには問題の発生源を対象にすべき、それは陸地です」と、同氏はNTNUのニュースリリースで述べています:
「河川や湖沼に存在するプラスチックの量についても把握されていません。プラスチックごみの最大の発生源を特定し、把握するために必須の条件です — こうすれば次の効果的解決策を特定することができます … プラスチックはマイクロプラスチックに分解されます。
マイクロプラスチックの生態系への影響についてはほとんど知られておらず、これは淡水でも海洋でも同じことで、マイクロプラスチックが自然にいかに影響するかについて特定するために長期的実験や新たな手法が必要です。」
淡水環境に存在するプラスチックについて実施されたわずかな研究だけでははっきり把握することはできません。そうした数少ない研究の一つが、83%の魚の腸からプラスチックの残骸、その大部分はマイクロプラスチック特にマイクロファイバーを検出しました。
魚は河川のうち都市部近辺でより多くのマイクロプラスチックを消費しているようであり、魚が多くのプラスチックを食べた場合、その他の食べた物の種類が減っているようです。マイクロファイバーはハドソン川から回収した大部分の水試料からも発見されており、研究によるとファイバーの濃度は排水処理場近辺の海浜地層では殊に高い傾向があります。
皮肉にも、プラスチックボトルを衣類にリサイクルすることは廃棄物削減のためいくつかの屋外企業が実施していても、結局は衣類のマイクロファイバーが洗濯で放出されるんで環境破壊につながる結末になっています。
これらの顕微レベルのプラスチックファイバーはスポンジや高濃度PCB、難燃剤、農薬その他水中に含まれるもの等の毒素を吸い込みます。魚の中に粒子が長期間留まるほど、より多くの化学物質が体内に滲出するものと考えられます。マイクロファイバーは物理的阻止と化学的中毒という2つの経路で海洋生物に害を与えます。
マイクロファイバー汚染問題の一つの解決策は洗濯機にフィルターを設置することのように思えます、これは乾燥機の糸くずフィルターと同様なものですが、これが排水とともにファイバーが排出される前に掬い取ることができるはずです。特殊コーティングで洗濯中のマイクロファイバー放出を食い止めるのに有用だと考えられますが、アパレル業界はマイクロファイバー汚染を食い止めるための措置を取り遅れています。
プラスチック汚染を削減するためにはアジアで緊急に廃棄物管理を改善する取り組みが求められますが、日常生活でプラスチックをあまり使わないようにすることでも廃棄物を減らすことはでき、特にストローやボトル、バッグ、ナイフやフォーク類などの使い捨てアイテムの場合このことは特に該当します。
The Guardianが取得したデータによると世界中で毎分100万本のプラスチックボトルが購入されています。さらに悪い方向へ向かっており、これの量は2021年までに20%増、2020年までに毎年5000憶本以上に達する見込みです。
2016年に購入されたプラスチックボトルの半分未満しかリサイクルされておらず、たった7%が新しいボトルに再利用されただけでした。つまり残りは廃棄物処理場や海洋環境に行きついた計算になります。一人一人が日常習慣の中で単純なことでも変えるだけで及ぼせる効果を過小評価しないでください。
水を飲むのにプラスチックのストローが本当に必要ですか? 店から1品や2品を買って帰るのに使い捨てのポリ袋が本当に必要ですか? 我々の使い捨て社会を見直し、可能な限り(通常可能です)使い捨てではなく再利用品を選ぶ時期に来ています。
日常生活からプラスチックを減らすために自分からできる率直な方法をいくつか次に示します。お友達と共有していただければ、プラスの影響が増幅していくことでしょう:
食料品店には再使用できる買い物袋を使う
レストランに食べ残しを入れる容器を持って行く
コーヒーには自分のマグカップを持っていく、そしてボトルに入った水を買うかわりに、ガラスの水用ボトルに入れた飲み水を家から持って行く
新聞やクリーニングにプラスチックの包装は不要、と伝える
食品をプラスチック容器やプラスチックフリーザーバッグではなく、ガラス容器やメーソンジャーにしまう
使い捨て器具やストローを避け、できる限り食品をまとめ買いする
使い捨てでない髭剃りや女性用の洗濯可能な生理用品、紙製ティッシュではなく布製おむつやハンカチ、ペーパータオルではなく布切れ、プラスチック製ではなく木製の子供用玩具を選ぶ
加工食品 (化学物質を含むプラスチックバッグに保管されている)を避けるそのかわりに新鮮な農産物を買い、プラスチックの袋なしですませる
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