食品中のナノ粒子添加物

シリアルの入ったボウル

早分かり -

  • 食品中のナノ粒子添加物は消化管、肝臓、腎臓、心臓、脳に直接影響します。さらに炎症を引き起こし、病気になりやすい体質に変えてしまいます
  • 添加物は食品をおいしくし、質感や見た目をよくし、長持ちさせ、油脂類の腐敗を防止し、褐色に変色させず、食品加工中に失われた自然なビタミンやミネラルを合成ビタミンやミネラルで置換して強化するために食品加工で利用されています
  • ナノ粒子は容器にも使用されており、これが食品に浸み込みます。ナノサイズの銀は食品容器の抗菌剤としてよく使用されますが、腸内善玉菌を殺し、腸内細菌叢を変成させます
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Dr. Mercolaより

加工食品はいくつもの理由により健康的食品のアンチテーゼであり、未規制の、開示されることがほとんどない化学物質が主な原因です。以上に加えて、普通は表示されている保存料、乳化剤、着色料、風味料以外にも、「処理補助成分」と見なされているため開示が義務づけられていないその他いくつもの添加物が含まれています。

添加物は食品を長持ちさせ、油脂類の腐敗を防止し、褐色に変色させず、食品加工中に失われた自然なビタミンやミネラルを合成ビタミンやミネラルで置換して強化するために食品加工で利用されています。

人工的加味がないと加工食品は味もそっけもない物になってしまうので、添加物はおいしくし、質感を着け、見た目をよくするためにも添加されます。普及しているいっぽう、添加物のごく僅かな部分しか適正検査されていないので、その安全性は疑わしいか全く安全でないかのいずれかでしかありません。

米国で食品業界が急速に採用してきているいまだに未規制の添加物群がナノ粒子です。スイスのフリブルク大学アドルフ・メルクレ研究所及びスイス連邦食品安全性家畜医療管理局が行った検査では、ナノサイズの二酸化チタン、二酸化ケイ素、タルク(滑石)が検査した加工食品の27%から検出されました。

「ほぼ原子レベルで工学的処理されたこれほどの成分は消化管を中心に細胞や組織に対して未知の影響があると考えられる。

ナノ粒子は血流に入り、体内の任意の場所に蓄積すると考えられる兆候も発見されている。ナノ粒子は炎症や肝臓障害、腎臓障害、さらに心臓、脳の損傷まで引き起こすと、The Guardianが最近の記事で報告しています。

ナノ粒子 — 加工食品に隠された健康への害悪?

ナノ粒子は質感、見た目、風味を「よくする」ことから食品業界で人気を博しています。例えば二酸化ケイ素は多くの香辛料や塩に製品がくっつき合って塊をなさないようにしさらさらしたよい状態にする固結防止剤として添加されます。

二酸化チタン(EUではE171と表示される)はチョコレートやチューイングガムをはじめ焼き物、粉乳、マヨネーズまで多くの製品に使用されています。しかし、二酸化チタンは長年不活性物質と考えられてきましたが、ナノサイズの二酸化チタンに対する懸念も長年ありました。

The Guardianによると「この微小な金属添加物はラットの肝臓、膵臓、腎臓、肺の細胞に蓄積し、肝臓や心臓の筋肉を損傷することはすでに判明している。」

デューク大学ナノテクノロジーの環境への影響研究センターのクリスティーヌ・オジルビー・ヘンドレン執行理事長は表面のナノ粒子を除去しようとして「自分の食品をすべて気が狂ったように」洗うとThe Guardianで説明しています。

デューク大学の機械工学・材料科学クリスティーヌ・K・ペイン助教授は、「体質量が僅かの乳児がこうした製品を多く食べることについては懸念がある」と言っています。

フランスはナノサイズの二酸化チタンを禁止した

安全性への懸念が増大する中、フランスは2020年をもってナノサイズの二酸化チタンを食品に使用することを禁止することにしました。Reutersによると、「フランスの健康安全性管理局はこの物質の安全性を保証するに足りるエビデンスが存在しないとしている。」

マサチューセット大学のデビッド・ジュリアン・マクレメンツ氏は2017年11月に出版した「Is Nano Safe in Foods?」(食品中の名の物質は安全か)と題する安全性に関する批評で、ナノ粒子の人間の胃腸への影響及び様々な食用ナノ粒子の潜在的毒性メカニズムの一部について論じ、結論として「中には有害なものがありうるというエビデンスが存在する」としています。

必ずしも全てのナノ粒子が食品に直接添加されているわけではありません。ナノ粒子は容器にも使用され、これが食品に浸み込みます。マクレメンツ氏によると、これらのナノ粒子は健康に対しても害があると考えられます。例えば、ナノサイズの銀は食品容器の抗菌剤としてよく使用されますが、腸内善玉菌を殺し、腸内細菌叢を変成させます。

ナノサイズの二酸化チタンで腸の炎症が起きる

2019年5月に公開されたある研究が、ナノサイズの二酸化チタンを飲料水に入れてマウスに投与したところ、腸内細菌叢が変成し炎症性腸病や直腸結腸がんを誘発しました。その研究の筆者らは次のように説明しています:

「TiO2 [ナノサイズの二酸化チタン]は小腸及び大腸内の細菌叢組成にわずかな影響しかない反面、TiO2による処理が生体内での最近代謝生成物の放出態様を変化させ、生体膜形成の促進により試験管内では共生最近の空間分布に影響しうる。

小腸粘膜層の主な成分であるムチン2遺伝子発現が減少し、βディフェンシン遺伝子の発現は増加することから、TiO2が腸内ホメオスタシスに大きく影響することも特定した。

これらの変化は腸内炎症に関連しており、これは陰窩の長さ増大、CD8+ T細胞の侵入、マクロファージ増大、さらに炎症性サイトキン発現の増大から示されている。

こうした事実全体をまとめてみると、TiO2は不活性ではなく、腸内ホメオスタシスに影響を及ぼしており、このため宿主である人体が発病しやすくなると考えられる。」

シドニー大学薬学部、シドニーナノ研究所ナノ毒性学専門家ヴォイチェック・フルザノフスキ助教授がScience Dailyにこう説明しています:

「ナノ粒子に継続的に暴露されると腸内細菌の組成が変化し、腸内細菌こそ健康の門番であることからして、その機能の変化は健康全体に影響するというエビデンスはますます増えている。」

本研究は食品添加物E171 (二酸化チタン) が腸内細菌だけではなく腸の炎症にも影響すること、そのため、炎症性腸病及び直腸結腸がんなどの疾患を引き起こすおそれがあることを示した画期的エビデンスを提供している。」

ナノサイズの二酸化チタンは腸内ホメオスタシスを変性する

Environmental Scienceに最近掲載されたもう一本の研究はこう説明しています:Nanoはナノサイズの二酸化チタンが腸のバリア機能に悪影響を及ぼしうるかを見極めようとしたが、その目的は身体を外的脅威から保護することであるが、もしそうなら、いかに保護するのであろうか。

これを行うため、研究者らは二種類の直腸結腸細胞を共存培養して、「試験管内の粘膜分泌性小腸内皮細胞を再現」した。これを次にナノサイズの二酸化チタン、純粋アナターゼ(鉱物性二酸化チタン)またはアナターゼ及びルチル混合物(二酸化チタンの二種類の鉱物形態)に暴露した。

全ナノ粒子は腸内細菌に結合する

最近公開されたある研究によると、食品中のナノ粒子は程度の差こそあれ、例外なくあらゆる種類の腸内細菌と結合することができ、細菌のライフサイクルや体内における活性を変化させます。

その研究の執筆者らはこうした特性がナノ粒子を医療において有用にしていることを示唆する — 腸内細菌を例えばよい方向に働かせる潜在性 — 一方では、問題も起こしうるのです。

画期的成分の特定より遅れる安全性試験

Nanotechnology Reviews誌に2018年に掲載されたある論文が「新たなナノ粒子の用途特定のための研究増大とその安全性の識別にはアンバランスが存在する」と、説明しています。

その執筆者らはさらに、「ナノテクノロジーのリスクは遺伝子操作食品と同様のリスクがあると公衆が認識しているので、こうした食品の消費が減ることは確認されている」一方、「食品へのナノテクノロジーの応用及び人間の健康に及ぶナノ粒子の影響についていくつもの研究が存在する」と指摘している反面、エビデンスがあっても分析はほとんど行われていません。

このギャップを埋めようとして、その執筆者らは「食品中のナノ粒子の使用と安全性について異なる研究を提示し、分析」しますナノ粒子の使用及び潜在的毒性について包括的な概要を把握しようとするなら、この論文は一読の価値があります。

問題なのは、「何年もの研究を行ったあげくに、ナノレベルの材料は劇的に特性が異なり、どのような態様を示すか予想がつかない」という程度の結論しか得られておらず、その執筆者らは「こうした予想がつかない態様こそ,その毒性への懸念を抱かせる点である」としています。

その執筆者らによると、数個の要因はナノ粒子の毒性に影響を及ぼすと考えられ、これには用量、化学的反応性、帯電分布、粒子のサイズと形、粒子の表面積を含みます。

その他影響を及ぼする要因には「ナノ粒子と生体被膜の間の相互作用は物理的か化学的かのいずれかである」という事実が含まれます。

ナノ粒子と生体膜の物理的相互作用は通常は「細胞膜とその活性に障害をきたし、タンパク質のおりたたみ、凝集、様々な輸送プロセスの障害」を引き起こす一方、化学的相互作用は概して「反応性酸素種(ROS1)を生成させ、酸化的損傷」を起こします。

健康へのリスクを特定しようとするとき、複数の暴露経路があるため全体像が把握しにくいです。同様に、ナノ粒子が所与の細胞に入り込むのに通る経路も細胞への毒性に影響を及ぼしますが、これは異なる侵入経路が多かれ少なかれストレスを起こすからです。

FDAは食品中のナノ粒子を未規制

EUでは食品ラベルに工学的処理を受けたナノ成分を明示するよう義務づけていますが、米国にそのような規則はありません。米国食品医薬品局(FDA)に意見を求めたThe Guardianには「食品中のナノ材料について規定した連邦食品医薬品化粧品法の条項が存在しない」という答えが返ってきました。

食品添加物がFDAから発売前の認可を自動的に義務付けられているわけではないこと、あるいは「基本的に安全と見なされる」(GRAS)分類の項目は全く認可手続きを免除されていることを多くの人が知りません。

GRAS制度の問題は、会社はただ業界インサイダーを雇い、化学物質を評価させ、この人が化学物質が連邦安全基準を満たすと判断すれば、FDAが全く関与せずにGRASと見なされる点にあります。つまり中立的第三者の客観的評価は義務付けられていません。

その結果、以前の食品供給には含まれていなかったいわゆるGRAS化学物質が今や食品供給に多く含まれることになりました。

組み合わせて使用すると食品添加物の有害性が増幅されます

もともと複雑な状況をさらに厄介にすることは、複数の食品添加物を組み合わせて摂取すると、健康への影響は以前考えられていたよりはるかに重篤であると考えられることです。

2015年にデンマークの国家食品研究所が実施した「食品に含まれる化学物質混合物の影響に関する最大の研究プロジェクト」はたとえ微量の化学物質であっても、組み合わさると相互の重篤な影響が増幅しうると、結論づけました。

多くの危険を防止するため加工食品を食べないようにしましょう

食品業界は私たちの食生活を劇的に変化させ、こうした変化は体重や健康全体に直接影響します。食品加工により貴重な栄養素が失われるので、問題の大半は食品製造に利用されるプロセスに起因します。

加工により食品本来の風味も大部分が失われ、こうした欠点に輪をかけて合成栄養素、風味料、着色料その他の添加物が使用されています。これらの添加物を身体が処理できないため代謝機能に支障をきたします。

加工食品が健康的な食生活のさらならアンチテーゼである点は、過剰な精製糖や加工果糖の使用です。ほぼ全ての加工食品には砂糖が添加されています — 市販の幼児食や乳児食品も含む。ほとんどの加工食品には遺伝子操作成分や農業史において最も普及した除草剤グリフォサートが多く含まれます。

加工食品が多い食生活は肥満やいくつもの慢性病の素地を作ることをご銘記ください。心臓病や糖尿病さらにがん等米国に蔓延する最も多い病気は実際に食生活に依っています。こうした病気に対する解決策は錠剤ではなく、毎日の食生活にあります。