歯磨きペーストで骨粗鬆症になりうるのか?

歯磨きペースト

早分かり -

  • トリクロサンは環境に永久に残り、水生生物に有害な内分泌阻害物質です。研究から甲状腺に悪影響を及ぼし、骨粗鬆症リスクが高まることがわかっています
  • 骨粗鬆症は骨質量が減少する異常で、骨折しやすくなります。これには年齢や性別、人種、家系に特定の薬や不活発なライフスタイル、喫煙等のいくつかのリスク要因があります
  • 尿中 トリクロサン濃度が最も高い人は骨の鉱物減少及び骨粗鬆症のリスクが最も高いことが、研究から把握されました。骨粗鬆症の人は股関節骨折リスクが大きく、このため障害や死亡リスクが高まります
  • トリクロサンは手の衛生製品ではすでに使用が禁止されていますが、多くの歯磨きペーストには未だに成分として使用されています。有毒成分がなく自分の好みの味に風味をつけることもできる自製の歯磨きペーストを作るレシピを検討してください
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Dr. Mercolaより

骨粗鬆症は質量が減少する異常で、手首や股関節、脊柱が骨折しやすくなります。骨粗鬆症は男女ともに発生します。米国では5300万人以上がすでにこの病気になっているかそうなるリスクが高いです。リスク要因は修正したり変更できます。自分で変えられない要因:

  • 性別 — 女性は男性より骨粗鬆症リスクが高く、閉経後の体質変化により骨組織が速く失われます。
  • 年齢 — 加齢に伴い骨は薄く弱くなります。
  • 人種 — アフリカ系アメリカ人とヒスパニック系の女性はリスクが低く、白人やアジアの女性はリスクが高い。
  • 家系 — 良心に骨粗鬆症による骨折の既往症があると、子もそうなるリスクが高い。

自分で変えられない要因がある一方、自分で管理できる要因もあります。特定の薬の長期使用や不活発なライフスタイル、寝たきり状態が長期化、これに喫煙も加わると、骨損失リスクが高くなります。カルシウムとビタミンDは高密度な骨の組成に必須なので、これらが不足すると骨粗鬆症リスクが高くなります。

骨は新たな骨細胞が追加され、古い骨細胞を廃棄するプロセスを繰り返している生きた組織です。20歳までは新しい骨は古い骨の除去より速く追加されます。「ピーク骨質量」によって骨の大きさや強度を見ます。ピーク骨質量には通常25~30歳で達し、それ以降は骨形成より骨吸収のほうが速くなります。

栄養に関連するあらゆることが、骨の形成に影響し、これにはアルコールや食事の異常が含まれます。よく使用される抗菌化学成分が骨損失や骨粗鬆症リスクを高くすることが研究から判明しました。

歯磨きペーストの化学物質で骨粗鬆症のリスクが高まる

米国の食品医薬品局(FDA)が手の衛生製品には禁止したトリクロサンという化学物質は、骨粗鬆症リスクを高めると考えられます。全米健康栄養試験調査のデータをもとに尿中トリクロサンと骨の鉱物密度を20歳以上の女性について研究者らが調査しました。あるプレスリリースで研究者が次のように説明しています:

「実験室での研究からトリクロサンが細胞株や動物の骨鉱物密度を損失させる可能性があることを裏付けた。しかしトリクロサンと人の骨の健康の関係についてはほとんど把握されていない。

我々の知る限り本研究は米国の成人女性から得た全国的代表的標本について、トリクロサン暴露と骨粗鬆症の関連性を調査した初の疫学的研究である。」

2005~2010年までのデータを使い、その研究は1848個の記録を解析しました。その計測の結果、尿中トリクロサン濃度が高いほど、骨鉱物密度減少と骨粗鬆症リスクが高いことが判明しました。この相関性は閉経以前より閉経後の女性で強かった。

データはホルモンの使用や糖尿病、BMI、肉体活動レベルを含む要因について調整されました。トリクロサンにより甲状腺機能が障害を受け、高齢女性ではエストロゲン活性につながる可能性があることを含め、骨鉱物密度減少やその他の異常につながるとその執筆者らは考えました。

甲状腺に対する環境毒素の累積的影響

甲状腺は蝶型をしており、首の前面に位置します。心臓や消化機能、骨の維持、代謝率、筋肉制御、気分調節に係るホルモンを分泌します。生来または生後に環境内の物質に暴露されると異常に活性化したり活性が異常が低くなることがあります。FDAは消費者向け最新情報で次のように説明しています:

「トリクロサンは今日いろいろな所で使用されています。衣類からキッチン用品、家具、おもちゃまで細菌汚染防止のために消費者製品に添加されてきました。このため以前考えられていたより人がトリクロサンに長期的に暴露されやすくなっており、この成分を生涯使用するとリスクが高まるという懸念が高まっています。」

トリクロサンは甲状腺機能に悪影響がある環境毒素の一つです。全米甲状腺学会によると米国人口の12%異常が生きている間には甲状腺異常をきたし、推定2000万人が現在ある形の甲状腺病になっています。しかし症状は必ずしも顕著ではなく、最大60%の人はこの異常が起きていることの自覚症状がありません。

生物的毒素と環境毒素は甲状腺に悪影響します。例えば感染性単核症を起こすエプスタイン・バールウィルスは宿主の免疫応答を変性させ、自己免疫性甲状腺障害を発生させると考えられます。

内分泌阻害化学物質もこの種のものです。内分泌阻害物質は甲状腺機能に干渉し、暴露量や暴露時間、性別によって症状が異なります。甲状腺はこれらの阻害物質の活性に影響を受け易く、トリクロサンはその一つです。

トリクロサン暴露に関連する健康への害悪は甲状腺の障害や骨鉱物密度の減少に限られていません。FDAによるとトリクロサンに関連する危険は完全には立証されていません。

トリクロサンが原因の多くの健康への害悪がある

FDAはトリクロサンによる抗生物質耐性への寄与を判断するに十分な根拠がないが、3つの潜在的な懸念事項について説明しています。そこでは皮膚がんリスクとトリクロサンが紫外線に暴露されると皮膚で分解されることについて評価する研究が行われている、と説明されています。しかし200人の科学者及び医療専門職のコンセンサスでは意見が異なります。

これらの研究者や医療従事者はトリクロサンが環境内に蔓延しており、水生生物への壊滅的影響を含む10の理由を挙げています。そのほかにもパーソナルケア製品、食品、飲料水を通した直接暴露も一覧に挙がっています。トリクロサンは人や動物の内分泌系に作用し、アレルギー源に敏感になったり、人の細菌叢を変性させることも考えられます。

研究者らは広範囲に同職の科学者から批評的に検討を受けたうえで、内分泌阻害物質は生体蓄積し、人と生態系ともに有害であることを特定しました。

あるメタ分析もトリクロサン暴露でがんリスクが高まることも発見しました。別のメタ分析は経皮的に吸収される量がミトコンドリアの機能障害が起きる濃度に匹敵することを特定しました。研究者らは次のように結論づけています:

「これらの有意な事実が特定されたことに鑑み、この抗菌物質を石鹸以外にも容易に入手可能な消費者製品に含めることは再検討すべきであり、分解生成物や代謝生成物の生物学的影響を研究する必要がある。」

その文献の批評的検討の中で、研究者らはトリクロサンの広範な使用によりいかに地表水系、排水、飲料水に含まれるその濃度が高まったかについて考察しています。排水処理場等高密度の細菌が存在する地域では、細菌拡散や遺伝子物質の交換のための条件が整っており、抗生物質耐性コミュニティーが過剰になるという結論に至っています。

ある研究で、マウスを使って、いかに短期の トリクロサン暴露が大腸炎症に影響するかを特定しました。その結果、トリクロサン暴露したマウスは腸内細菌が変性し、炎症が増大していることを特定しました。さらに トリクロサンは大腸炎の重度を増し、大腸がん細胞の増殖を促しました。

骨粗鬆症への長期的影響

骨粗鬆症リスクは加齢に伴い高くなり、これは部分的にはピーク骨質量が20代後半から30代初期に到達することにも依ります。骨粗鬆症による骨折は健康や生活の質、幸福感に重篤な影響があります。国際骨粗鬆症基金によると、世界で50歳以上の女性の少なくとも33%、男性の20%が今後骨粗鬆症による骨折を被る見込まれてます。

こうした骨折は必ずしも完治するとは限らず、慢性的痛みや長期的身体不自由、他者への依存性増大、死亡に至る可能性が高いです。股関節骨折によるその他の合併症には血栓、肺塞栓症、肺炎h、股関節を手術で修復する必要があれば術後感染が挙げられます。

別の研究で、75歳未満で自宅で生活している人の6%、85歳より高齢で自宅で生活する人の33%は股関節骨折後に介護施設に入手しました。股関節骨折後に28%は自分の食事を自分で調理できなくなりました。

国際骨粗鬆症基金によると、股関節骨折後に40%の人は一年後自分で歩けなくなり、33%は一年以内に、在宅でまたは定住型の介護施設で完全に依存生活をすることになるという結果が得られました。

こうした結果は重篤ではあるけれども、介護が整備されていない国では、必要な手術を受けれない人が多く、このため永久の障害や死亡に至る場合が多いです。

骨粗鬆症による骨折後10年以内に死亡する確率は高まっており、その後初年の間の死亡率が最も高いです。75歳より老齢の人にとって他の大きな骨折や小さい骨折のリスクも高まります。股関節骨折は移動性にも精神衛生にも影響します。

歯磨きペーストには他に何が含まれているか?

トリクロサンは排水やパーソナルケア製品にだけ含まれているのではありません。歯磨きペーストの中にもこれを含むものがあります。歯磨きペーストは生涯で約75ℓ使用すると推計する人もいますが、Organized Pack Ratによると、出張サイズのチューブ入り歯磨きペーストの使用回数から計算した結果では最大約42.8ℓに及ぶようです。計算方法はともかく、歯磨きペーストを生涯使用すると口内に大量の化学物質が蓄積します。

これらの化学物質は粘膜を通り血流に吸収されます。有機業界の監視団体Cornucopia Instituteによるある報告書によると、歯磨きペーストの特定の成分によるリスクがいくつもあります。

市販歯磨きペーストには内分泌阻害、炎症性、発がん性のあることがすでにわかっている化学物質を含んでいるものがあります。トリクロサンはこれらの化学物質の一つにすぎません。フッ素加工物ももう一つの神経毒素かつ内分泌阻害物質であり、歯磨きペーストや給水によく添加されています。私の以前の記事「短編動画が水のフッ素処理の狂気を暴露する」でこの危険について詳しく論じています。

歯磨きペーストの中には発泡剤ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸ナトリウムエーテルを含むものがあります。しらみやダニ退治に使用する登録農薬であるラウリル硫酸ナトリウムは皮膚の炎症やアフタ性口内炎の原因であることはすでにわかっています。その他にも次のような成分が含まれる場合があります:

  • サッカリン — サッカリンは動物の排尿系統にがんを発生させることが研究からすでにわかっています。膀胱腫瘍を発生させるので1981年に禁止されましたが、その後100カ国以上で禁止解除され、甘味料として使用されています。
  • カラゲナン — この製品には風味も栄養価もない一方、メーカーは歯磨きペースト等の増粘剤や安定化剤として使用しています。動物実験によると、未分解および分解されたカラゲナンに暴露されると小腸の潰瘍や新生物に関連しています。
  • ピロリン酸 — この物質は歯垢を減らす一方、唾液からミネラルを除去し、歯の自然なミネラル復旧を阻害し、時間が経つうちに歯の健康に悪いと考えられます。
  • リン酸塩 — 無機リン酸塩は効果的に吸収され、血清中濃度が高まると考えられます。こうなると慢性の腎臓病の人に特に害悪が及びます。リン酸塩による主な問題は血管の損傷及び石灰化です。

自製歯磨きペーストなら安価、安全、健康的

歯磨きペーストを日用品店で選ぶことができない葛藤を覚えたら、自製品を作る機会です。SimpleGreenSmoothiesから取り上げたこのレシピはシンプルで簡単です。ココナッツオイルベースであることで歯の欠損や虫歯の原因である口内細菌を攻撃することがわかっています。

天然ココナッツ歯磨きペースト

材料

作り方

  1. クリーム状になるまで全成分をボウルで混ぜる。
  2. メーソンジャーに空け、使用できる状態になるまで密封する。
  3. SimpleGreenSmoothiesでは、ジャーから混合物を取り出しにくいと思うので、果物用の刺し棒を使うと歯ブラシにちょうど間に合う量を掬い出すのによいと説明しています。
+ 出典および参考資料