Dr. Mercolaより
人はなぜ寝るかの把握は長年研究テーマとなってきました。科学者らはまだ睡眠中に生じることをすべて把握したわけではありませんが、認知的及び肉体の健康をよりよく把握することにつながる発見がありました。
疾病管理予防センター(CDC)によると、アメリカ人の3人に1人は睡眠不足であり、睡眠不足が多くの健康の異常につながります。例えば、毎晩5時間未満しか寝ないと心臓病や脳卒中リスクが二倍高くなるようです。研究者らは睡眠遮断、体重増加、、インスリン抵抗性の間には常に相関性があることも特定しました。
睡眠遮断は精神的及び認知能力や情緒面の健全なあり方にも悪影響します。実際に睡眠遮断がそれほど破壊的な理由の一つは、健康の一側面に影響するだけではないことです:睡眠遮断は多くのことに悪影響があります。
Diabetes Careに近年掲載された全米心臓肺血液研究所が出資したある研究で、研究者らは毎晩の睡眠時間だけでなく、睡眠の規則性も健康に影響することを特定しました。
以前の研究は睡眠遮断による有害な健康への影響を特定していましたが、この新研究では参加者が規則的就寝時間と起床時間を徹底していないと、肥満や高血圧、高血糖その他の代謝障害のリスクが高くなることが判明しました。
研究者らはアテローム性動脈硬化に関する多民族研究の参加者を募りました。 参加者は7日間アクティグラフィーという休息と活動周期の非侵撃的監視方法で監視されました。一個のセンサーを一週間着用し、大まかな運動性を測定しました。次に参加者はメディアン6年間の追跡調査を受けました。
代謝異常の判定は全国コレステロール情報提供プログラム用に策定された基準を使用し、研究者らは社会人工学的及びライフスタイルの要因に関して調整した5つの断面解析を利用しました。
それによると、睡眠時間が1時間遮断されるごとに参加者のメタボリックシンドロームリスクが27%も高まること、睡眠のタイミング(普段より早く寝るか遅く寝るか)が1時間遅くなるとこのリスクが23%高くなることが判明しました。 ブライガム・アンド・ウィメンズ・ホスピタルの疫学研究者で研究の執筆者ティアンイー・フアン氏が次のように説明しています:
「睡眠不足と肥満、糖尿病、その他の代謝異常のリスク増大の相関性は多くの以前の研究で実証済みです。不規則な睡眠や毎日の睡眠時間とタイミングのずれによる悪影響についてはあまりよく把握されていませんでした。
今回の研究では、人によって異なる睡眠時間やその他のライフスタイル要因を考慮しても、毎晩就寝時間や睡眠時間のずれが1時間でもあると、代謝に重篤な影響があることが判明しました。」
その研究は45~84歳の男女2,003人を追跡しました。7日間センサーを着用するほか、参加者らは睡眠日記も記入し、睡眠の習慣やその他のライフスタイル及び健康の要因について標準的アンケートにも答えました。
その結果は睡眠時間や就寝起床時間の変動が代謝機能障害をきたすことを示しており、不規則な睡眠と代謝障害の因果関係のエビデンスとなっています。
研究者らは、睡眠時間が1時間以上変化した参加者は、日中以外のシフト勤務者で喫煙者かつ睡眠時間が短いアフリカ系アメリカ人に多いことを発見した。共著者であり、ブライガム・アンド・ウィメンズ・ホスピタルの睡眠概日障害部門のDr.スーザン・レッドラインが次のように説明しています:
「研究結果から規則的睡眠計画を維持すると代謝によい影響があることがわかります。この研究結果から、十分な睡眠とその他の健康的なライフスタイルを促すことに焦点を当てる代謝病の現在の予防戦略が充実するものと考えられます。」
メタボリックシンドロームはウェストサイズ増大による内臓脂肪増大の兆候、高血圧、インスリン抵抗性や高血糖、低HDL、高トリグリセリドを含む症状が複合していることが特徴です。これらの要因の3つまたはそれ以上の組み合わせがあれば代謝機能障害になっていると言えます。
これらのリスク要因が心臓病や糖尿病、脳卒中リスクを高くします。「境界線の高リスク要因」がある場合でもリスクは高まります。 ウェストサイズが大きくなることは目に見える兆候であり、それ以外は外見がなく、症状もありません。
メタボリックシンドロームが発症すると、肥満や2型糖尿病も併発することはよくあります。2015年に195カ国を対象に行われたある世界的調査によると、成人604百万人、子供108百万人が肥満でした。研究者らは肥満の問題は1980年以来73カ国で倍増したことを特定しました。
しかし、科学者らはインスリン感受性が高くて肥満でありながら高血圧ではない人がいることを特定したので、肥満だからといって必ずしもメタボリックシンドロームになるわけではありません。メタボリックシンドロームについてのデータは確認が困難です。この異常がある多くの人は診断されたわけではなく、要因の多くは症状を伴わないからです。
研究者らの中にはメタボリックシンドロームのほうが糖尿病の3倍発生していると考え、その世界的蔓延度は25%あると推定する研究者も一部にはいます。世界的推定値は米国人口に対する推定に近似します。CDCの推計によると米国人口の9.4%は糖尿病であり、これに3を掛けると28.2%となりますが、これは世界推計値より若干高いだけです。
睡眠遮断は個人にもコミュニティーにも高くつきます。例えば、三等航海士グレゴリー・カズンズ氏の睡眠遮断が原因で、スーパータンカーエクソンバルデス号を座礁させてしまったためにかつてなかった深刻な環境破壊をもたらしました。この事故では原油約4200万リットルがプリンス・ウィリアム湾に流出しました。
この事故で野生動物23種が絶滅し、ほぼ2080kmの海岸生息域が全滅しました。The Balancに報告されているように、流出事故からわずか数日以内に140羽のハゲタカ、302頭の湾岸アザラシ、2,800頭のラッコ、 250,000羽の海鳥が死にました。
米国睡眠学会によると、37.9%のアメリカ人は一月に少なくとも一回は日中ふと眠気に襲われると報告していました。残念ながら、多くの人は「しなければならないことがある」ので睡眠をはしょります。しかし、睡眠をおろそかにすると生産性が下がります。
睡眠遮断により米国経済に毎年事故や生産性損失により$4110億のロスが発生しています。 睡眠遮断は生活の質に影響するだけではなく、建設労働者やナース、医者、パイロットが睡眠遮断にも拘らず無理すれば、死亡事故が起きやすくなります。
CDCは居眠り運転は米国で大きな問題であり、2005年から2009年までに衝突事故83,000件、負傷事故37,000件、死亡事故886件の原因であったと推定します。運転中に居眠りすると危険であり、眠気に襲われたり、居眠りすれば注意力が衰え、反応時間が遅くなり、ハンドルを握っていても意思決定能力が落ちます。
CDCは、シフト勤務や睡眠障害が未処理であったり、特定の薬の服用等のため、睡眠不足の人は居眠り運転しやすいことを特定しました。さらに、睡眠不足は心臓血管病、早死、学業成績不振、うつ病不安、認知症、アルツハイマー病のリスクを高くします。
よく寝る時間と質を改善すると、以上のような異常のリスクが下がるのに加え、減量にもよいです。成人1,692人の睡眠時間と食生活、代謝の健康度の間の関係をイギリスの研究者らが研究しました。研究者らは脂肪蓄積と代謝マーカー、食生活を解析しました。
血圧とウェストサイズも記録しました。年齢、性別、人種、喫煙、社会経済的ステータス等の交絡要因について調整後、研究者らは睡眠時間がBMIとウェストサイズにマイナスの影響を与えることを特定しました。しかし、食事の変化には関連していませんでした。
睡眠時間が短い成人ほど肥満傾向があることが特定されました。減量したいならじゅうぶん寝ることが成功と失敗の分かれ目のようです。
シカゴ大学の研究者らによると、睡眠時間8.5時間の人は5.5時間しか寝なかった人より体脂肪を55%多くカットできました。同研究者らによると、「じゅうぶんな睡眠がとれないと減量のための典型的な食事管理や関連する代謝系リスクの削減ともに支障をきたす」そうです。
睡眠の質は睡眠時間、不規則な睡眠パターン、光及び電磁波公害により影響されます。キャンピングに行ったことがある方なら睡眠の質の変化を楽しめたことにおそらく気づくでしょう。おそらく普段より深く寝て、より多く休めた状態で目が覚めたはずです。
屋外で「文明」から離れてよりよい睡眠をもたらす2つの影響要因は人工の光と電磁波(EMF)への暴露が劇的に減ったことです。概日時計はメラトニン濃度により影響を受け、メラトニン濃度は夜に光への暴露によって影響を受けます。これは睡眠の深さと翌日いかによく休めたかを感じる程度に影響します。
睡眠中にたとえ極めて僅かな光でさえ睡眠の質量ともにマイナスな影響があります。最適には、夜間は寝室にどんな光も入れないことです。
寝室の外に街灯があれば窓に暗闇にするためのブラインドを使用することを検討してください。目覚まし時計またはその他の発光装置を寝室から出すか光暴露を減らすためのスリープマスクを使用することも検討してください。
EMFも睡眠の質に悪影響があり、酸化性損傷をきたします。電子機器を全てオフにし、WiFiの電源を切り、睡眠中の暴露を減らし、睡眠の質を改善するよう検討してください。
睡眠は今でも生命の神秘の一つです。以前は時間の無駄程度にしか考えられていませんでしたが、先端の研究によると健康なライフスタイルのために睡眠は必須の要素であることがわかっています。
残念ながら、睡眠不足の影響は蓄積し、睡眠不足が日常化すると健康に障害を与えます。睡眠の健康を回復し、規則的な睡眠パターンを定着させ、高品質の睡眠を享受するための自然なテクニックが多くあります。
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