歯茎と脳をK2で守る

歯

早分かり -

  • 口を腸の「門番」と見なすと細菌叢のバランスがとれて健康に維持しやうすくなり、ひいては全身の健康につながります
  • ビタミン K2すなわちメナキノンが欠乏すると歯茎から出血するようになり、放っておくと歯周病の次の三段階へ悪化しやすくなり、歯を失い、重病につながりやすくなります
  • 歯と細菌叢を検査するほかにも、キッチンの棚や冷蔵庫の中を調べたり、さらによいのは、食べ物を見直すことが、歯と歯茎を体の中からよくするための第一歩です
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Dr. Mercolaより

歯の全体的健康状態は本当に肉体的健康を反映していることにこれまで気づいたことがありますか? これは歯科医のDr.スティーブン・リン氏の前提です。この方はホーリスティックな手法を応用し、口内健康が最適でなければ身体の他に異常があるからだとおっしゃいます。

リン氏によると、口を腸の「門番」と見なし、細菌叢のバランスを取り、健康に維持すれば、健康的な口 - 歯、歯茎、口内全体 - ひいては全身の健康につながります。

ともかく毎日食後は必ず歯を磨き、歯や細菌叢に注意するほか、キッチンの棚や冷蔵庫をよく見て、もっとくまなく見て、自分がどんな食べ物を保管しているか、そして結局何を食べているかにもっと注意するべきだとリン氏は言います。

ビタミンK2を十分に摂れる健康的な食生活を維持すると、歯と歯茎が体の中からよくなります。

実際に子供のためにこの手法を応用すると歯が問題なく育ち、自然に素直な歯が発達するようになると考えられます。成人にとって、歯茎にまず注目することで、多くの歯医者や歯科矯正医が主張して止まないその他の歯科処置は当然のこと、詰め物が不要になることも考えられます。

歯茎の病気に関する最大の問題の一つはビタミンK2すなわちメナキノンの欠乏です。このため歯茎から出血するようになります。時が経つうちに歯茎や骨まで損失することさえあります。K2を摂取し始めたところで、失われた歯茎や骨は残念ながら戻りません。

ビタミンK2にある秘訣を見つけたことでリン氏の歯科診療アプローチが変わりました。実際に、リン氏は口の内外共通してすべてのことがビタミンK2に関連していると言います。.歯茎の病気をいかに予防し、進行しているなら - 早期であれば - いかに止めることが可能か、さらに、症状だけではなく原因を治すのが重要な理由を同氏が説明します。

歯周病とは何?

同氏は、歯をよくきれいにしても歯茎の病気が悪化する患者がいることに驚いたそうです。その原因は単に歯への歯垢蓄積以外のことがあるのではないかと同氏は疑い始めました。

歯周組織という専門用語は歯茎を構成する2つの構造を指し、これらはセメント質と歯槽骨です。Merriam-Websterには歯周靱帯(periodontal ligament (PDL))が歯のセメント質を覆い顎の骨に固定している繊維質の結合組織からなる層と、説明しています。この部位こそ歯周病の標的で、段階毎に悪化していきます:

  • 軽微な歯周炎 — 歯肉炎や歯茎の出血
  • 中度の歯周炎 — 結合部分の損失、窪みの発生、歯茎の退化
  • 重度の歯周炎 — 歯槽骨の損失及び歯茎の深い窪み発生
  • 後期歯周炎 — 歯がぐらぐらする、ずれる、歯が抜ける

初段階の歯茎の病気では、歯茎が出血し始め、通常歯を磨いているときに出血すれば警戒すべきです。そのうち、といっても人によっては早い時期に、この病気は歯抜けにつながります。

歯肉は歯の根元の周囲にある歯茎の一部であり、発赤や炎症、しばしば痛みなどの歯茎の病気の初期症状を歯肉炎というのはこのためです。しかし歯茎の病気が炎症から始まっていることや、ビタミンK2で違いが出ることに多くの人は気づいていません。

ビタミンK2とDが歯や歯茎その他にもいかによいか

具体的に言うとこの状態は「口内細菌叢のバランスが崩れ」、免疫系のバランスが失われたことを表します。歯茎の出血もビタミンDレベルと直接関係します。ビタミンK2はビタミンDとカルシウムで骨の健康を支持するための補助因子であるばかりではなく、次のような作用により、歯茎の病気に係る炎症や要因を軽減するのも助けます:

  • 炎症マーカーの減少
  • 炎症を起こす免疫細胞の調節
  • 線維芽細胞の減少

ビタミンK2とビタミンD(にカルシウムとマグネシウムを加える)は相乗効果があります。カルシウムは骨を丈夫にし、骨格全体を健康にするのですが、正しい場所へ運ばれて初めてこの効果が出ます。ビタミンK2がカルシウムを骨へ向かわせ、血管壁に堆積しないようようにします。リン氏によるとK2は2つの経路で歯茎の炎症を媒介しています:

「歯茎の病気を進行させる線維芽細胞を減らす。治癒過程で、線維芽細胞は創傷組織を形成するように作用する。ところが歯茎の病気においてはこの作用が有害で、歯周靱帯の石灰化を悪化させる可能性があり — 歯茎の病気の初期兆候がこれである。

このためGLAタンパク質(MGP)マトリクスが活性化される:このビタミンK2に依存するタンパク質は歯周靱帯の石灰化を阻害することがわかっている。ビタミンK2は心臓や腎臓、前立腺を含む、全身に同じ石灰化阻害効果を持つことが多くの研究からわかっている。」

GLAタンパク質(MGP)マトリクスは石灰化を阻害するので重要であると、ある研究でも説明されています。このためにはK2と共同で作用して口腔の健康をよくするその他の必須栄養素があります。

ヒト歯肉線維芽細胞(HGF)は日本のある研究によると、歯周組織の中で最も豊富な構造細胞として説明されています。HGFは、炎症を起こし、組織破壊を促す感染を発生させる細菌の外皮細胞にあるリポ多糖体への免疫応答を強化するように作用する「付属」免疫細胞として機能するようであると、別の研究が示しています。

炎症を抑えるもう一つの物質は補酵素Q10すなわちCoQ10という体内で自然に生産される物質です。CoQ10は炎症を抑えると同時に、「歯周組織内の酸化性DNA損傷及び酒石酸塩耐性のある酸ホスファターゼ陽性破骨細胞を減らす」ことにある研究が注目しています。

脳内でのビタミンK2の機能

K2が口腔の健康のためにそれほどの違いを生むおそらく最も明白な経路は、ビタミンDとともに機能して、炎症を減らし、免疫細胞を調節することです。脳内ではGLAタンパク質(MGP)マトリクスが脳と心臓ともに有益な効果を与えるので、心臓病や、心源性塞栓症、脳卒中を予防すると考えられます。

この物質が発現するもう一つの経路は中枢神経系と末梢神経系を通るもので、ある研究によると、脳内では抗酸化物質としても機能すると考えられます。この逆にワルファリンという薬が全身からビタミンK2をいかに削減するかについてある研究が示しました:

「ビタミンKのレベルと認知力の間の関係をさらに研究する必要がある。特に、このような研究には方法論的課題があるにもかかわらず、ワルファリンの認知力に対する長期的害悪を見極めることは重要である。

強力な抗ビタミンK薬としてワルファリンは血栓塞栓症の予防または治療によく処方される。ワルファリンで処置した患者は相対的にビタミンKが不足しており、ビタミンKが神経系に及ぼす作用に基づく認知障害のリスクが高いと考えられる。」

ビタミン K2はK1とともに作用し、グルタチオンの効果を強くし、脳の損傷や神経細胞の死を阻止するようです。K2は酸化性ストレスや脳の炎症をともに防止することで神経萎縮性損傷を阻止する機能に優れると考えられます。

リン氏はビタミンK2不足はアルツハイマー病の発症率を高めるようであり、全体として見ると、K2を適正量食べるかサプリメントとして摂り込むことは萎縮性疾患の予防と最適な脳の機能促進のために重要です。

ビタミンK2欠乏による影響の一つはビタミンD毒性の症状を起こさせることで、これにはアテローム性動脈硬化に及ぶと考えられる軟組織の不適切な石灰化を含みます。

オステオカルシン — 歯茎の病気の治癒に必須

リン氏によると、歯茎の病気を直すために最初に行うべきことは免疫系を鎮静化し、歯茎の出血があれば直ちにビタミンK2の摂取量を増やすべきです。その理由は歯茎の病気が治る能力はビタミンK2活性化タンパク質の放出に依存しっているからです。

オステオカルシンがここで登場します。オステオカルシンは骨と象牙質に含まれるタンパク質ホルモンです。特に閉経後の女性では炎症や歯茎の病気がある個所の歯茎組織が放出します。実際に身体が自分で歯茎の病気を治せるために必須の物質です。

ビタミンK2が不足すると身体はオステオカルシンを分泌しますが活性化されていません。オステオカルシンはインスリン感度も増すので、2型糖尿病と後期の歯茎の病気はともにこのタンパク質と関連性があります。リン氏は高説明します:

「ビタミンK2は歯茎の病気と骨粗鬆症で骨の損失における重要な機能をしている。ビタミンK2は骨芽細胞の細胞死を誘発して吸収を促すことで骨の損失を防止する。歯茎の病気における骨損失の重度は骨粗鬆症があるほうが悪化しやすい。」

まだ今後も研究が必要だが、K2が炎症、免疫調節、GLAタンパク質(MGP)マトリクス、オステオカルシンの主な媒介物質であるので、歯茎の病気とビタミンK2は関連していると、リン氏は説明します。歯茎から出血したり後期の歯茎の病気の人ならだれでもビタミンK2のサプリを飲むの必要であると思われますが、このビタミンが豊富な食品も食べ始めるようにしましょう。

ビタミンK2の摂取量を増やす方法

ビタミンK2が豊富な食品はあまりないので、食べても不足がちな可能性が高く、意図的に摂るようにする必要があるとリン氏は説明します。身体が利用できる量に究極的に影響するので、K2を含む食品の調理方法や調製方法が重要です。

このことを念頭に置いて、K2が動物性のものなら、草を食べさせた家畜であることが必須条件であるとリン氏は説明します。例えば、ブリーやゴーダチーズは特にK2が豊富で、放し飼いで草で育てた牛のバターやギー、有機の放し飼いで草で育った鶏の玉子も同様です。リン氏によるK2が豊富な肉の一覧から一部ご紹介させていただきます:

  • 約60gの放し飼いで草で育った鶏の肉、アヒルやガチョウのレバーパテ
  • 約180から360gの放し飼いで草で育った鶏の脚や腿肉
  • 2切れから3切れの有機で育ち草で育った牛や羊のレバー

放し飼いで草で育った牛のみ選ぶでべき理由は、牛を大豆や穀類で飼育するとK1が得られないので、これがK2に変換されることもできないからです。適正な栄養素がない「死んだ」藁を牛が食べれば、K2が豊富な乳製品はできません。リン氏はさらにこう説明します:

「籠で飼育している鶏の玉子を1ダース食べても十分に一日必要量のK2を摂ることはできないが、放し飼いで草で育った鶏の玉子を一日に2個から4個食べれば適正量のK2を得られると思われる。

発酵食品も別の形態のビタミンK2を供給してくれるが、発酵方法が適正である必要があり、その後は冷蔵庫に保管し、滅菌したり汚染されていてはならない。今日、ビタミンK2が豊富な発酵食品をほとんど食べなくなった。」

植物性の食料では緑葉野菜は優れるビタミンK1の摂取源であり、数種類のレタス以外からも豊富に選べます。カブの葉、からしの葉、コラードの葉、ビートの葉、当然のことながらホウレンソウやケールが挙げられます。

言わずもがなですが、有機の野菜が最適で、環境作業部会の2019年版Dirty Dozenの一覧から次の情報を掲載させていただきます:農薬の過剰な噴霧により最も毒素負荷が高い野菜はホウレンソウとケールが一位と二位を占めます。

しかし、ビタミンK2に関して、ナットキナーゼを含む納豆はビタミン K2のベジタリアンな摂取源での一つです。発酵過程で生の大豆や煮た大豆の害が除去されます。K2が豊富なその他のよい摂取源として、ビタミンK2生産細菌の開始剤培養地を使って自分で発酵させた野菜が挙げられます。

ビタミンK2をよく取れていないと思う人は、放し飼いで草で育てた生の乳製品や肉、玉子、発酵食品のほか、サプリメントを飲むのもよいでしょうが、メナキノン-7すなわちMK-7という一種のビタミンK2を選びましょう。これなら肝臓に残り、強い骨づくりに有用である他、心臓病やがんの発生率も下がります。

他の人は180~200 μgという多めの量を勧めることがありますが、一日に150 μgの ビタミンK2を私はお勧めしています。