2分で寝付くための米軍方式

睡眠不足

早分かり -

  • アメリカの成人のうち推定7000万人は睡眠障害にあり、そのなかでもいちばんよくあるのが寝つけないあるいは夜間に1回や2回以上目が途中で醒めてしまう不眠症です
  • 睡眠以外のことは全て正常に行っていても、十分に寝ないとまたはよく寝ないと、健康的なライフスタイルのメリットは失われます
  • 毎晩5時間以下しか寝ない中年男性は7~8時間寝る男性より重大な心臓血管病になるリスクが2倍高いです
  • 米軍が開発した睡眠誘導法は6週間一貫して行えば成功率が96%あると言われています。この方法は心身を深く2分ほどリラックスさせて睡眠に備えます
  • EMF暴露が携帯電話やタブレット、コンピュータから出る青光と同じくメラトニン生産を減少させることは実証されており、このため寝室からEMFをなくすことは特に重要です
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Dr. Mercolaより

アメリカの成人のうち推定7000万人は睡眠障害になっており、そのなかでもいちばんよくあるのが寝つけないあるいは夜間に1回や2回以上目が途中で醒めてしまう不眠症です。この部類に入る方は、睡眠改善法は多くあるので、絶望感に襲われる必要はありません。

ほとんどの睡眠の問題はライフスタイルを変えることが必要な、日中屋内で過ごし過ぎの生活やテクノロジーの過剰な利用、さらに電磁場(EMF)への恒常的暴露など、ライフスタイルの選択と結びついていますが、短期的に利用できるいくつものヒントやコツがあります。

1981年の著作「Relax and Win: Championship Performance」(リラックスして勝つ:チャンピオンのパフォーマンス)の中で明らかにされた米軍開発による方法は6週間毎日行えば96%の成功率があると主張しています。

軍方式で身体を睡眠に備える

この手法は約2分間深くリラックスして心身ともに睡眠態勢にすることに集約されます。このプロセスの要約がEvening Standardに近年掲載されました:

1. 舌、顎、目の回りの筋肉を含め顔全体をリラックスさせる

2. 肩を下げ、腕をリラックスさせる

3. 息を吐くときに胸をリラックスさせる

4. 腿から足先まで脚をリラックスさせる

5. 心を落ち着かせ、無にし、次の情景のいずれかに我が身を置いてイメージする:

a. 自分の上は青空以外何もなく、ないだ湖でカヌーに横たわっている

b. 真っ暗な部屋の中で黒いベルベットのハンモックに収まっている

c. 「何も思うな、何も思うな、何も思うな」を10秒間単にリピートする

さらに21個の早く寝つくための戦略

Medical News Todayも近年、次に引用するような「21 Ways to Fall Asleep Naturally」(自然に早く寝付く21の方法)リストを公表しました:

1. 週末も含め一週間一貫して定刻に就寝、起床することで一定の睡眠パターンを作る

2. 寝室は可能な限り暗くする。ブラックアウトシェードをお持ちでない方はアイマスクを使用する

3. 昼寝をしないか、就寝に近い時間帯にうたたねしない

4. 定期的に運動する

5. 携帯電話やその他ブルーライトを出すデバイスをできる限り使用しない

6. 就寝前に読書してリラックスる

7. 遅くとも寝る4時間前にはカフェインその他の刺激剤を避ける

8. 毎日瞑想したり、よく心する練習を行う

9. 100から0までゆっくりとカウントダウンして「羊数え」を行う

10. 寝る前少なくとも3時間以降には食べない

11. 寝室の気温を下げる。最適な睡眠温度は約18°です。

12. アロマセラピーを利用し、ラベンダーはリラックスさせ、眠気を誘発すると考えられます

13. 自分が最も楽に寝れる姿勢を見つける。その記事は横になることを勧めますが、中立的姿勢つまり仰向けで枕に頭ではなく首を載せる姿勢を試すほうがよいと私はお勧めします

14. 就寝前にリラックスできる曲を聴く

15. トイレに行くのを待たない。就寝してからトイレに起きるのは眠気が覚めるように思えますが、出さないでいるほうが後から睡眠が邪魔されやすくなります

16. 就寝前に暑いシャワーか風呂に入る

17. 電子書籍を避ける。画面から出ているブルーライトがメラトニンの分泌を阻害します

18. メラトニンサプリメントを試す。もう一つのおそらくこれより効果があると思われる代替サプリは5-HTPで、この物質はセロトニンとメラトニンの前駆物質です。この方法がメラトニンの優れる使い方であると思います。

GABA(落ち着ける効果がある神経伝達物質)と5-HTPを含む調製アミノ酸が寝付くまでの時間を縮め、睡眠時間を伸ばし、睡眠の質をよくすることがある研究で発見されました

19. 快適なふとんに投資する。これを行うためには、難燃剤への暴露を防止するため、化学物質が無いマットレスを求めるように私ならお勧めします

20. ノイズを最小限にする。環境ノイズが避けられない場所なら耳栓をする

21. アルコールを控える

睡眠の質を改善するためにはEMFを避ける

携帯電話や電子的画面(Eリーダーを含む)があるその他の機器を避けることは、メラトニンの分泌を保護するために必須のことですが、この他にも、睡眠の質に大きく影響する要因は家の中の電気配線から出るEMFです。

EMF暴露が携帯電話やタブレット、コンピュータから出ているブルーライトと同様にメラトニンの分泌を減らすことはすでに実証されているので、寝室からEMFを解消することは特に重要です。

EMF暴露は記憶力や学習能力に悪影響するニューロンの変成も起こし、過度の酸化損傷によって脳のミトコンドリアを害し、一晩中しかも毎晩、EMFで「マリネ調理」されていると、早期の老化を含め、ほぼどんな慢性疾患でも起きやすくなるか、これを進行させる可能性があります。

室内配線から来る電場への暴露を夜間になくすか急激に制限するための最も容易な方法として、寝る前には寝室への回路ブレーカーを落とすことです。他の方法としては、私も行ったように、便利なリモートブレーカーを電気技士に設置してもらうことです。

こうすると隣室の配線が生きていない限り、寝室からほぼ電場がなくなります。隣室の配線があれば電源を落としてからテスターで電場の強さを測って最低レベルになるのを確認する必要があります。もう一つ実に重要な手順は夜間にWiFiをオフにすることです。最適なのは、自宅内を有線化し、WiFiを全く無くすことです。

睡眠不足は心臓病その他のリスクを高める

数百件の睡眠研究を検討した結果、一般論としては、たいていの成人は健康を維持するには毎晩7~9時間の - 8時間前後がよい - 睡眠が必要なことが判明しています。

一晩に日常的に7時間未満しか寝ないでいると体重増加からがんリスク増大までいくつもの健康上の問題が発生することは科学的に実証されました。近年では、睡眠不足は時が経つうちに長期的な心臓の健康に大きく負荷が掛かることを研究者らが再確認しました。Medical Xpressが次のように報じています:

「毎晩5時間以下しか寝ない中年男性は7~8時間寝る男性より今後20年以内に重大な心臓血管病になるリスクが2倍高いです。

研究の筆者でありスウェーデンのゴーテンブルク大学モア・ベンングトソン氏がこう説明しています: 『多忙な生活を送る人にとって睡眠は時間の無駄のように感じるかもしれませんが、研究からわかったことは、睡眠が短いと将来的に心臓血管病になる可能性大なことです。

私たちが行った研究において、睡眠不足による心臓血管病リスクの増大の程度は喫煙や50歳で糖尿病になるリスクと同じことがわかりました。』」

一晩に5時間以下しか寝ない男性は喫煙する傾向が強く、不活発で、体重過多、高血圧、糖尿病の傾向が大きいことがわかりました。別の複数の研究は睡眠不足や睡眠の質が悪くても次のようなリスクが高くなることを実証しました:

労災や交通事故 — 6時間も寝ないようでは認知障害になります。2013年に米国では居眠り運転によって72,000件の自動車事故が発生し、死者800人、負傷44,000人でした。

一晩に4~6時間しか寝ないだけでも翌日明瞭に思考できなくなります。

糖尿病 — 2015年のある研究は「日中の異常な眠気」があると2型糖尿病リスクが56%増大することを特定しました。

うつ病 — うつ病と診断された人の過半数は不眠症にもなっています。長い間不眠症が鬱病の症状であると考えられていましたが、今や一部の症例では不眠症のほうが鬱病より先に来るようです。

否定的感情も含め、強い感情的反応を生む中枢である偏桃体は睡眠の質が悪かったり睡眠不足のときはいつもより60%余計に反応度が高まり、激情や気の変わり易さが起きやすくなります。

記憶形成障害及び記憶喪失リスク増大 — 睡眠は長期的記憶に出来事を定着させるためだけではなく、生きている意味のためにも必須のことです。睡眠中に脳は回復して、意味を抽出し、重要でない詳細を破棄します。実際に、睡眠は寝なかったらあいまいなままであったはずの深い理解力を250%程度まで増加させます。

睡眠中に脳の一部は新たな記憶を定着させ、増進して統合するのに多忙です。脳は規則も抽出しており、生活の中で起きるものごとの「核心」も抽出しています。仕事上の能率低下や学業不振は睡眠不足と関連する副作用です。創造力も劣化します。

性的機能障害 — ある研究では、推奨される一晩8時間の睡眠を取れていない不眠症の女性は閉経後性的に不活発であることが判明しました。またこうした女性は性的満足も全体的に減少していると言っていました。

痛みや線維筋痛等の痛み関連の異常リスクの増加 — ある研究で睡眠の質がよくなかったり不足すると、50歳以上の人に痛みが発生する強力な予測要因であることがわかっています。

慢性病 — 睡眠遮断は免疫機能を減退させ、これが雪だるま式に悪化し、数例上げるだけでも心臓血管病、アルツハイマー病、がんといったリスクを高めます。

がんの場合、これに係るもう一つの重要なメカニズムがメラトニン生産の阻害です。メラトニンは抗酸化活性と抗がん活性を持つホルモンです。

このホルモンはがん細胞の転移を阻害し、がん細胞のアポプトーシス(細胞の自己破壊)を促します。メラトニンは腫瘍が急激に成長(血管新生)するために必要な新しい血液供給も妨害します。多くの研究が夜間シフト勤務者のがんリスクがこのため高くなっていることを明らかにしました。

任意の原因で死ぬリスクの増加 — 不眠症のない人に比べ、慢性不眠症の人の全原因死亡率の調整後危険率は300%高まっています。

睡眠と運動の成績

睡眠コーチというのは不思議な職業のように聞こえるかもしれませんが、実際にこういう職業があって、プロスポーツの世界に普及し始めています。睡眠が運動の成績に及ぼすインパクトや、多くのプロ選手が移動し、起動するために時差ボケに対処する必要があることをを考えると、このことは頷けます。The Atlanticに以前こういう説明が出ていました:

「適切に寝ないと、短期か長期の不足かを問わず、気分や精神的及び認知的スキル、運動能力に大きく影響します。きつい肉体的負荷からの回復について言うと、よく(たくさん)寝ることに優る処置はありません。」

睡眠不足による最大の成績下落は耐久スポーツ選手や咄嗟の反応及び反射が要求されるスポーツで最もよく見られます。運動選手が単にもっとよく寝るだけで競技の成果を上げられるかを見るため、スタンフォード大学の研究者チェリー・D・マー氏はスタンフォード大学のカーディナル男子バスケットボールチームに協力を求めました。

二週間の間選手らの普通の睡眠時間を取得した後でプレーの成績を評価しました。選手に動作センサー付きリストバンドを付けてもらい、正味睡眠時間を測ったところ、平均で一晩に6.5時間しかないことがわかりました。

次に、5~7週間の間選手たちに可能な限り長い時間寝るようにお願いしました。選手たちは平均睡眠時間を約2時間伸ばし、毎晩8.5時間寝ました。この試験の最後までに、選手たちはフリースローが決まる率が11%以上上がり、スリーポイントショットではほぼ14%改善しました。スプリントドリルスピードもチーム全員が改善しました。The Atlanticは次のように説明しています:

「13%の成績改善とは、長時間寝るようにするだけではなく、薬物を飲んだり長年のトレーニングもしないと達成できないほどの躍進です。マー氏の研究は大部分の選手たちは長く寝ることでさらに成績が上がるはずであることを強く示しています。」