プラスチックに対する憤り: 新研究がスーパーマーケットによるプラスチック汚染拡大への寄与を明かす

店内のフルーツ

早分かり -

  • プラスチック汚染は現在私たちが直面する最大の課題の一つです。世界で年間3億8100万トンのプラスチックが生産され、推定800万個が毎日海洋に流れ込んでいます
  • ある新調査が食品のパッケージこそ世界的プラスチック汚染の最大の原因の一つであることを証しました
  • カナダの二大スーパーマーケットチェーンは過剰なプラスチック食品パッケージングを行うサプライヤーから調達するので、大規模なプラスチック汚染者ですが、いずれの食料品店もプラスチック汚染を削減するための大規模な計画を持っていません
  • その調査からプラスチックを全く使用せずに大手食料品店で買い物をするのがいかに困難かが判明しましたが、あるイギリスの食料品店はプラスチックを全く使用しなくしたら10週間後利益が増加しました
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Dr. Mercolaより

プラスチック汚染の迫りくる脅威は人類の最大の課題の一つです。世界で年間3億8100万トンのプラスチックが生産されており、その廃棄物が土壌、湖沼、河川、海洋さらに人体や野生動物の体内に入り込むことは容易に想像がつきます。

プラスチックの耐久性があまりにも多くの製品で使用されるほど普及した理由です。しかしその強さと耐久性は環境内で容易に分解しないことも意味します。プラスチックボトルは海洋環境で分解まで450年を要し、釣り糸は600年を要すると考えられています。では分解したからといっても、消えるわけではありません。単に微細な断片に分解するだけで、これが環境に永久に残ります。

プラスチックの微小な断片、マイクロプラスチックは魚やその他の海洋生物が食べる可能性があります。プラスチックが体内に蓄積すると多くの被害が発生します。ノルウェー沖で栄養失調で死に行く一頭のクジラを死なせざるを得なくなったとき、検死の結果30個のプラスチックバッグと大量のプラスチック梱包廃棄物が胃と小腸から見つかり、これが詰まって痛みを発生させていたのです。

食物連鎖を通して生体蓄積し、結局人間が消費することにもなるマイクロプラスチック(平均的な人で貝を食べると毎年100粒のプラスチック粒子が体内に入る)は人の健康にも多くの問題を引き起こすことが考えられます。環境におけると同様にプラスチックは人体の中でも分解されません。

プラスチックゼロの買い物が困難なわけ

ここで取り上げた動画では、食品購買における二つの世帯のプラスチックに対する姿勢に注目しています(一つは回避しようとし、もう一つはそうしない)。これらの二世帯はある社会実験への参加に同意し、そこで、プラスチック汚染への対処という点において、他の世帯がいかに生活しているかを立場を替えてみることにしました。

私たちが購買する物の約95%は何らかの形態のプラスチック パッケージを含んでいると、JJという名前の乳幼児を持つジェシカとジョナサンが言います。このカップルはカナダのトロント北部外れに住み、このご家族は、カナダのスーパーマーケットチェーンでブリティッシュコロンビア、アルバータ、オンタリオ、ケベックの各州に店舗があるLoblaw Inc.が所有するディスカウント食料品店No Frillsで買い物します。

この動画はこの家族によるNo Frills店内中での食品購買を追跡し、特に、商品のうちどれ程プラスチック包装入りかに注目します。このカップルは週二回食品の買い物をし、再使用バッグを以前は使っていたが、もう使わなくなったと言います。「再使用バッグを持ってくることはありません」と、ジェシカが言います。「以前は持って来ていました。しかしその後止めました」と、ジョナサンが言います。「私たちは怠け者になりました」と、ジェシカが言います。

欧米諸国はプラスチックの問題を貧しい国に押し付ける

プラスチックは安いし便利ですと、そのカップルが言います。確かにその通りです。スーパーマーケット及び納入業者は安価で耐久性があるプラスチックに依存するようになりました。しかし、「安価」というのは相対的なことです。使い捨てプラスチックの人間や環境の健康に及ぼす真のコストは天文学的に高く、そのコストの負担が不平等に配分されています。

世界最大のプラスチックメーカーの数社はしばしば廃棄物を他の国へ輸送してリサイクルさせています。米国もカナダも、さらにその他数カ国もプラスチック廃棄物の大部分を中国へ輸送していました。そこなら買ってくれるし、リサイクルされ、新製品になると考えていたからです。しかし2018年から、中国政府は環境と人の健康を保護する取り組みのために、プラスチック廃棄物の輸入禁止に踏み切りました。

1991年以来、世界のプラスチック廃棄物のほぼ半分は中国へ輸送されていました。中国がもはや「世界のごみ廃棄場」でいたくないと決定した以上、2030年までに1億1100万トンのプラスチックが行き場を失うことになりうると専門家らが試算しています。米国、イギリス、ドイツ、日本、メキシコは中国へのプラスチック廃棄物を輸出していた最大の国に含まれます。

自国の廃棄物を処理することに取り組まず、多くの欧米諸国はプラスチックの問題をプラスチック廃棄物の処理や処分方法について環境規制がないか、ほぼないに等しい他の国に廃棄し(字義通り)てきました。中国がプラスチック廃棄物の輸入を禁止した最初の6カ月で米国からリサイクルのために輸出されていたプラスチックはタイ、マレーシア、ベトナムへシフトされました。

この動画はCBS News MarketplaceにGreenpeaceが送りつけた、マレーシアで山になっていくプラスチック廃棄物について見せる独占収録を見せています。 この収録は最近撮影されたもので、マレーシアの首都クアラルンプールからおよそ一時間郊外で記録されました。プラスチック廃棄物の山に隠れているのはカナダの人気ある店や食料品店の一部由来のプラスチックごみで、これにはSobeysのバッグ、ノバスコシアの乳製品メーカーScotsburnaのミルクバッグ、Ben's Bakery由来のハンバーガー容器、オンタリオのある会社由来の鳥の粒餌バッグが含まれていました。

マレーシアなどの外国でごみを廃棄しているカナダの業者について最も皮肉的なことは、各社のマーケティング字句にはこれほどの環境破壊的行為を犯している事実が一切述べられていないことです。

消費者はスーパーマーケットでプラスチックを使わない選択を増やす必要がある

その動画はさらに、プラスチック汚染への対処という点において他の世帯がいかに生活しているかを立場を替えてみることに同意した二世帯について再び見せます。ソフィア、ニック、お嬢さんのライラちゃんもトロントに住み、廃棄物ゼロのライフスタイルのために最善を尽くしています。この家族は毎日生じるごみについてよく心がけます。

ソフィアは週一回地元の食料品店に買い物に行き、その店は廃棄物ゼロを支持し、食品のロット販売をします。彼女は意識して布袋を産品用に、再使用バッグその他の容器を食品保存用に使用してごみを減らそうとします。ソフィアにとって、プラスチック包装の食品を買わざるをえないことに極めて懸念を持っているので、このライフスタイルの入れ替え実験は困難です。

プラスチック入りでない食品を買う役を引き受けたジェシカとジョナサンにはこれよりさらに困難なことでした。乳児の子供のためにミルクを買うとき、二人は小型パッケージ入りでさらに値段が上がるので、多くのミルクを買わざるを得ないことに気が付きました。両方の家族ともプラスチックゼロの選択肢がもっと必要な点で一致しました。では食料品店はなぜこれらの選択肢を提供していないのでしょうか?

Loblaws等大手リテーラーは問題の一部であると同時に、解決策の一部も担っています。これらの業者の行為を批判せず、CBC News MarketplaceはLoblawsとSobeysにアプローチし、プラスチック パッケージを減らすための計画について問いただしました。

どちらのリテーラーもあまりいい対応をしませんでした。Sobeysからはノーコメント、Loblawsは取材チームに本社の社会的責任報告書を参照するよう指示しましたが、そこにはプラスチック パッケージを減らすための計画は一切記載されていません。CBC News Marketplaceはさらに数回両社に問い合わせましたが、会見してプラスチック廃棄物について話し合うことを両者とも拒絶しました。しかし、取材チームはどこにでもあるスーパーマーケットの一例になりそうな、対応してくれたある食料品店を見つけました。

その動画はイギリスのロンドンにあるThornton's Budgens(ソーントンズバジェンズ)という地元の食料品チェーン店に届きました。その動画によると、カナダと同様で、イギリスでもプラスチック廃棄物はあまりリサイクルされていません。しかし消費者は値段より環境に優しいパッケージをますます意識してきており — 店側はそれに耳を傾け始めました。

世界初のプラスチックゼロコーナーを設けたBudgensはプラスチックパッケージを使っていない2,000種類以上の製品を揃えています。さらに印象に残るのは、同店がたった10週間でこの切り替えを成し遂げたことです。

イギリスの地元食料品店が10週間でプラスチックゼロに

Thornton's Budgensのオーナー、アンドリュー・ソーントン氏は、自社が単にできるのでプラスチック汚染に対して立ち上がることにしたと言います。

同店のプラスチック禁止で影響を受けた製品には、生鮮食品から玉子、魚、パン、チーズ、パッケージ食品まであらゆる物を含みます。同店はさらに、プラスチックゼロの、紙包装した、プラスチックの代替品として植物原料のセルロースフィルムを使うベーコンさえ販売しています。この製品はプラスチックのように見え、そのような機能をしますが、プラスチックではなく、生物分解性でもあり、すなわち、食品や庭のごみに入れることができ、土壌に戻り、肥しになります。

Budgensはプラスチック廃棄物を減らすのを推進しているだけではなく、それにより利益も上がっています。「この対策は商業的動機で始めたことではなかったのですが、商業的利益が上がっています」と、ソーントン氏は言います。この目的を実現するため、同店はプラスチック プラネットという環境保護団体のフランキー・ギラード氏と協力しました。大手のスーパーマーケットにはメジャーなブランドにもっと持続可能なパッケージ方法に切り替えさせる権力があるとギラード氏は言います。

プラスチック廃棄物について話し合いを拒絶するLoblawsとSobeys

LoblawsもSobeysもプラスチック廃棄物についての見解を語ろうとしないので次の展開になりました。CBC News Marketplaceはトロントにあるこれらのリテーラーの店舗の一件の外に店を設置し、別のタイプの入れ替え実験を行いました。リテーラーの店舗から出て来る買い物客に買い物の監査をしてもらうことにしたのです。

多量のプラスチックパッケージが見つかりました。買い物客全員のバッグに入っていた大部分の物はプラスチック入りでした: パン、チーズ、寿司、肉、果物。収録スタッフは全てのプラスチック容器を環境適合型パッケージに替え、ガラスのジャーにクッキーを入れ、産品を布袋に、果物や肉はガラス容器に入れました。

収録スタッフはLoblawsの買い物客7人だけの買い物から2つの大判ごみ袋満杯のプラスチックが集まりました。Sobeysでも結果は同じでした。LoblawsとSobeysの買い物客は、CBC News Marketplaceにプラスチックゼロの買い物ができる選択肢がもっとあればよいと答え、メジャーなリテーラーがそのための行動を起こして欲しいと言いました。

Loblawsは結局それまでに実施した「増分的変更」をリストアップした声明を発表しました。それには使い捨ての堆肥になるコーヒー容器の販売や自社ブランドのパーソナルケア製品からマイクロビーズを除去し、プラスチックバッグの有料化といった対策が含まれていました。しかし両社が行うことができそうなことはまだ多くあることは明らかです。

プラスチック汚染についての意識が高揚すれば、より多くの企業が変更に向けて行動を起こします。ユニレバー、ネスレ、ペプシコなど一連の大企業は最近、使い捨てプラスチックの段階的廃止に向け一部の製品に再使用可能パッケージを導入することを発表しました。

プラスチック汚染を真に削減させようとするならその使用を止める必要があるので、この動きは重要です — リサイクルならよいと願うだけに留まっていません。

プラスチックのごく一部しかリサイクルされていない

プラスチックはリサイクル可能であり、そうすべきですが、2017年のある分析が驚愕の91%がリサイクルされていないことを明らかにしました。National Geographicに次のような報告が掲載されていました:

「今から60年ほど前に開始されたばかりのプラスチック大量生産は急増し、これまでに83億トンが生産されました—その大部分はごみに終わる使い捨て製品に使われています。これが見当つかない数量のように見えるとしたら、正にその通りです。生産され、廃棄され、焼却あるいは廃棄物処理場で終わったプラスチックの数量について世界初の試算を行った科学者らでさえ、その数値の膨大さに驚愕しました…

生産された83億トンのうち、63億トンがプラスチック廃棄物として終わっています。そのうち、9 %しかこれまでにリサイクルされませんでした。絶対多数の— 79 % —プラスチックは処理場に堆積し続けているか、ごみとして自然環境に捨てられています。その意味: いつかはその大部分が最後の受け皿である海洋に行きつきます。」