15分ストレッチで柔軟性が増す

柔軟性

早分かり -

  • 毎日 15 分足らずで柔軟性が増し、平衡感覚がよくなり、日常作業がしやすくなり、肩や背中下部の痛みが減ります
  • ビデオでご覧いただけるように、運動直前の静的ストレッチは筋力を弱くするので、使うストレッチテクニックが大切であり、静的ストレッチは日常運動の時間外や仕事中に「凝りを解す」のにするとよいです
  • 運動の仕上げにフォームローラーを使うと柔軟性が増し筋膜を解す治療に似た効果があり、運動した個所への血行をよくします。フォームローラーが動脈硬化を減らし、平衡感覚をよくし、柔軟性を増すことが研究からわかっています
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Dr. Mercolaより

柔軟性は運動ルーチンの中で最も見過ごされていますたいていの人は最初にカーディオや有酸素運動に重点を置き、次に筋力運動、そしてストレッチで落ち着くかウォームアップしますが、ストレッチが筋肉と体幹を安定化させて筋力、平衡感覚、調整能力をよくすることには気が付いていません。この 15 分ビデオの実演で簡単なストレッチで大きな効果が得られることをご紹介します。

実際に、柔軟性は日常の運動のための基本的な柱の一本です。プロの運動選手でも体力を増したい人でも、ストレッチと動作性を増す運動は大切な要素です。

柔軟性をよくすると関節の動作性がよくなり、日々の痛みが減ります。加齢に伴い自然と筋力が衰え、筋肉は小さくなり、しなやかさも減ります。柔軟性と弾力性損失により関節が硬くなり、怪我しやすくなります。

肝心なのはストレッチのテクニック

ストレッチをしばらく行ってきた方はおそらく、筋肉を伸ばした姿勢で 60 秒までじっとしているといった静的ストレッチだったのではないでしょうか。しかし、筋肉のストレッチには複数の方法があり、ダイナミックや機能的、アクティブアイソレーティッドストレッチ (AIS) もあります。

数十年来静的ストレッチが普通でしたが、現代の研究から静的ストレッチを時間をかけて行うと組織への血行が減り、局部に虚血状態を生み、乳酸が蓄積することがわかっており、この状態は運動前には避けたいことです。

さらに、ウォームアップで静的ストレッチを行うと筋力が減り、一時的に筋肉の出せる力の量が減ります。この逆に、アクティブアイソレーティッドストレッチ (AIS) はこうした損傷が起きません。

AIS はオリンピック選手やプロの運動選手を含むクライアントのために 40 年以上このテクニックを使ってプロとして偉大な成功を実現するのを助けてきたアーロン・マテス氏が開発しました。

AIS はエクササイズの前や何らかの怪我から回復する際のウォームアップに利用します。長期間活動させないでおくことで筋肉と関節は柔軟性、強度、全般的スタミナが落ちます。このストレッチは筋膜の負傷や制約を標的にした特定の順序で行う特殊な反復ストレッチをいくつも使って行います。

これで筋肉及び筋膜組織は、伸ばし過ぎを阻止する身体の保護メカニズムを発動させることなく伸びることができます。多くの事例で AIS プロセスはトレーニングを受けたセラピストのによる援に始まり、自分に合う計画を立てます。

AIS は穏やかな圧迫を使い、各ストレッチを 2 秒だけ継続して身体の自然な生理的構造に合わせて行い、循環を改善し、弾性を増します。

弾道ストレッチを避ける

その反面、おそらく他の人がするのを見たことがあると思いますが、弾道ストレッチは小刻みな動作を伴い、しばしば間違っており、制御されていません。この方式では怪我をしやすく筋肉裂断リスクが高まるおそれがあるので禁忌となっています。

上のビデオで実演しているすべてのストレッチは長くて 15 分しかかかりませんが、複数動作の同時処理や一日のうちに何回でも行うことを検討することはできるはずです。

例えば、首や肩、脚、つま先のストレッチをビデオやオーディオプログラムを聞きながら、仕事中に行ったり、家族でテレビを視ている間に行うことをご検討ください。あるいは、床の中で数回ストレッチして一日を始めたり終えたりすることを検討してください。

柔軟であるとよいこと

何百万人もの成人は特定のストレッチを使って効果的に治る可能性がある背中下部の痛みをかかえています。背中下部の痛みを予防したり治すのに有用なように考案された日常的ストレッチについてご説明している、私の以前の記事「機能的トレーニング」にさらに詳細をご説明しています。

ストレッチ及び柔軟性改善のメリットは、運動記録が伸びる以外にもあります。柔軟性は加齢に伴い行動力と自律性を保護するのにも有用です。高齢者は独立性を失うことを恐れており、柔軟性及び平衡感覚運動によって軽減し、損失を予防できる可能性があります。

筋肉が短くなり、硬くなると、関節に無理がかかり、筋肉損傷リスクが高まります。例えば、終日ハイヒールでいるとふくらはぎの筋肉が収縮して裸足で歩きにくくなります。テニスをする等無理がかかる活動のために不意に負荷がかかると、この筋肉が伸び過ぎて容易に怪我することがあります。

ある研究で研究者らは床に座って立てる柔軟性や能力は全要因死亡率の予測指標になることを特定しました。柔軟性があれば筋肉の緊張や痛みも和らぎやすくなり、精神的なリラクゼーションも増大しやすくなります。

柔軟性は主に遺伝子、性別、体型、肉体活動レベルに関連しますが、柔軟性トレーニングによってるメリットを得るには時間がかかります。換言するとIストレッチすると累積的効果があり、この取り組みを継続する必要があります。

ストレッチはかつて運動の前に筋肉のウォームアップのため推奨されたものですが、今ではこれが筋肉や関節の損傷を促すことが研究からわかっています。まず血行を組織へ送り込んで、その個所を柔軟にすることが重要です。これは自分が使うつもりのと同じ動きでゆっくりウォームアップするのと運動を用いて行うことができると思われます。

ストレッチは無理しない

身体には物理的限界があるので、無理しすぎると柔軟性が増すどころか筋肉に微小な亀裂が発生します。さらに、筋肉の中には関節の自然な動作範囲の限界に至る前に他の筋肉より引張応力が少なくて済むものがあります。

機能的限界がある筋肉の一つは脛の肉がついている側を走る前脛骨筋です。この筋肉は背屈すると足を上げ、またつま先をバレーダンサーのように伸ばしている間の足底屈では伸びます。これらの動きごとに足首関節がどこまで行けるかによって制約され、この関節の限界は足首の骨によって決まります。

つま先を可能な限り伸ばす動きで最大限の足底屈をしているとき、この筋肉は若干伸びますが、強い引張応力はかかっていません。機能的制約があるその他の筋肉には顎に着いている咬筋及び側頭筋、胸郭領域で脊柱に着いている胸部傍脊柱筋、股関節屈曲の限界により制限される臀筋が挙げられます。

筋肉をストレッチし過ぎることもありえます。正常な限界を超して無理がかかり伸び過ぎると、関節内部が不安定になり、腱や靭帯に微細な亀裂が生じます。これは筋肉や腱及び靭帯が負傷の際伸び過ぎるとよく生じます。

ストレッチし過ぎつまり筋肉が裂けると肉離れになり、靭帯が損傷すると捻挫します。これらの怪我は相互に関連するので、足首とか首、手首の怪我が肉離れや捻挫につながりやすく、このため肉離れと捻挫が混同されていますが、二つは別の現象です。

自宅でするのにお勧めのストレッチ

上のビデオで実演をお見せしている柔軟性運動なら一日のスタートに最適です。このルーチン全体で始めから仕上げまで約 15 分ででき、頭からつま先までを伸ばせます。以下に、座業の方のためにこわばった筋肉に働きかけるストレッチの一部についてご説明しており、これならオフィスでも行えるはずで、筋肉の緊張とストレスを軽くするのに役立つと思われます。

首と肩 — 終日デスクに座っていると肩が丸まり、首が前へのめり、首の筋肉に緊張が高まり、肩の柔軟性が減ります。この運動はデスクの後ろの床に座って行うことをご検討ください。

床であぐらをかき、背中を真っすぐにして腰を中立状態にします。左腕を指先は床に着けたままで横へ伸ばします。右腕を頭上に回してに左の耳に押し当て、首を右へそっと伸ばします。30 秒くらいそのままの状態にし、左右を入れ替えます。

腰の旋回 — 床に座った状態で両手を後ろに付いて体を支えます。膝は曲げたままで足は床に着けたまま、両膝を片側へ落とし、1~2 秒その状態でいます。両膝を 90° まで引き上げ、反対側へ落とします。片足ずつ反復 10 回。これで座ったままで硬くなった腰はフルに内転と外転してストレッチできます。

脚かかえ — 仰向けに寝ます。両膝を胸まで上げ、両手で両膝を掴みます。両膝を引き込み、この時背中下部が開けるようにしたければ前後に体が揺れても構いません。

クロスボディープル — 仰向けのまま、足を腰より少し広めに開きます。右脚を曲げて右足首が左膝に乗るように交差させます。両手で右ひざを左肩へ向かって引き上げます。これで殿筋と背中下部のストレッチになります。反対側も同様に繰り返します。

スクワットからパイク — 床に座ったまま、前へ動き、両足が床に着き、しゃがみこんだ姿勢になります。両手は床に着いたままでバランスを取るため前へのめるとバランスがとりやすいかもしれません。胸を脚にできる限り近く維持し、両膝を伸ばしきらずに伸ばしながら両手は床に着けたままにします。

最後には「つま先に触る形」(槍状)になり、この過程で大腿屈筋のストレッチを実感するはずです。この姿勢を 2~3 秒維持し、スクワットの位置へ戻します。両膝が伸びきってしまうほど伸ばすと低くスクワットするまたは槍状の姿勢にもっていきにくいでしょうが、目的は時が経つに連れて柔軟性を身につけることです。

仕上げはフォームローラー

ストレッチをオフィスでまたは自宅でするかに関わらず、フォームローラーで柔軟性エクササイズの仕上げとするのが最適です。これはフォーム材料製の大きな丸太に似た安価な器具です。保管に場所を取らず、軽く、いくつものメリットがあります。

セラピストはよく筋膜解放処置の模倣にフォームローラーを利用しますが、通常は筋肉の動きにくさや痛みを軽くするのが目的です。多くの場合腕立て伏せやスクワット等最も単純な活動に深い効果があると考えられます。フォームローラーも簡素なものですが、以下のような効能があることが科学的に証明されています:

  • フォームローラーを大腿屈筋に当てて行うと 5~10 秒だけでも動作範囲が大幅に増える効果があることは統計的に有意なことをある研究が特定しました。
  • 別の研究はフォームローラーで動脈硬化が減り、血管内皮細胞の機能がよくなることを特定しました。
  • フォームローラーでバランストレーニングした高齢の女性はたった 5 週間で動的平衡感覚が改善しました。

柔軟性をよくし、運動後の筋肉の緊張をほぐすためのフォームローラー及びその自宅でのいくつもの使い方について、さらに詳しくは、私の以前の記事「自宅でエクササイズ: フォームローラーの使い方10通り」をご参照ください。

フォームローラーは届きにくい所をストレッチする運動の仕上げに使える独特な効果的方法です。