Dr. Mercolaより
2019年4月から、ロンドンでは中心部に一定の厳格な排出量基準を満たしていない車両を乗り入れるには一日$16以上が課金される超低排出ガスゾーンを設置しています。この政策によりロンドン中心街では車両からの排気ガスを45%削減することを見込んでいます。
ロンドン市長のサディク・カーンが大気汚染は「公衆衛生の緊急事態」であると言ったので、ロンドンの成人の72%は車両への課金措置に賛成しています。イギリスの場合、毎年大気汚染のために約40,000人が死亡しており、世界中の大気汚染による死亡率と平行しています。
The Lancetに掲載されたある研究によると、2015年に世界の死亡数の16%に当たる900万人が早死にしています。 — 「AIDS、結核、マラリアを合計したよりも3倍多く、戦争その他の形態の暴力による死者数の15倍」に当たると、その研究者らが報告しています。
汚染空気を呼吸すると生涯蓄積していく油断のならない損害が子宮の中で発生します。米国だけで、未熟児の3%は大気汚染特に微粒子物質(PM 2.5)によるものであることが判明しています。
PM 2.5は直径が2.5μm未満の粒子に当たる粉塵、埃、煤、煙を指します。これが最も研究の進んでいる種類の大気汚染です。これらの粒子が体内に入り、慢性炎症を引き起こし、これががんから肺病まで様々な病気リスクを高くします。
大気汚染による未熟児の3.32%に起因するコストは$50億9000万と推計されます。研究者らが説明するように、「未熟児率を削減することは呼吸器機能低下症候群や敗血症、脳室内出血等の新生児合併症の予防だけではなく、大部分が脳性小児まひ及び神経発生遅延による異常な心理的、行動的異常、及び成長してからの学業不振の防止のためにも重要」です。
大気汚染への暴露は新生児の体重不足や支給内部での発育遅延、死産、後天的異常、胎児の脳発達の異常にもつながっていることが判明しました。
母体の大気汚染暴露によりいかに発育中の胎児が害を受けるかは長年問われてきましたが、欧州呼吸学会国際会議で発表されたある研究が汚染粒子が胎盤に至り、子宮内で育つ胎児に有害であることを明らかにしました。
その研究はロンドンで5人の女性から集めた胎盤に基づく小規模なものでしたが、研究者らが胎盤中のマクロファージ細胞内の炭素粒子と考える物質が特定されました。その研究の筆者でロンドンメアリー女王大学のDr.ノリス・リューが次のように説明しています:
「研究結果は吸入した汚染粒子が肺から循環系に入り、胎盤に至ることを示した初のエビデンスです。特定された粒子が胎児の中まで至るかについて定かではありませんが、こうした事実からして大いにありうることです。
また、胎盤に影響する限り胎児に直接影響するので、粒子は胎児の体内に入らなくても有害事象を発生させることがわかっています。」
世界保健機関(WHO)によると大気汚染は毎年5歳以下の子供が543,000人死ぬ呼吸器病を起こしているそうです。汚染大気を呼吸しているために世界中で子供の14%が喘息に罹っています。
「汚染空気が何百万人もの子どもを中毒にし、生活を破壊している」と、WHO事務局長テドロス・アダノム・ゲブレイスス氏が言っています。「この事実は許せない。どの子も清浄な空気を呼吸することができ、子供の能力が伸び、実現するようになるべきである。」残念ながら、WHOは世界の子供の93%(すなわち18億人)は大気汚染がひどくて健康や発育がリスクに晒されている地域で生活しています。
ロンドンの排気ガスが少ない地域の子供でさえ、汚染が法定水準を超したために肺活量が約5%減少していることを研究者らは特定しました — 大気品質が少々改善されたくらいでは肺活量はよくなりませんでした。「排気ガス量を大幅にカットする措置があれば、子供の健康はよくなる可能性がある」と、研究者らは結論しました。
ロンドンにいる研究者らは現在250人のロンドンの生徒に大気監視リュックサックを付与して着さえ、一週間モニタリングしています。その科学者らは子供たちの暴露を削減し、生涯健康がよくなることが望めるために、どこの子供が最も大気汚染に暴露されていることを特定しようとしています。
「大気汚染は子供の肺の成長を制限することがわかっています。子供時代に肺活量が低いと、成人しても続き、高齢になってから慢性閉塞性肺病を含むその他の健康の問題がよく起きています」と、ロンドンキングズカレッジのベン・バラット氏が述べています。
車両からの排気ガスは通常大気汚染の元凶のように言われますが、家畜の餌やエタノールバイオ燃料、食品生産に使用される主要な農業作物も見過ごされがちな原因です。Nature Sustainability誌に掲載されたある研究によると、トウモロコシ栽培による大気汚染のために米国だけで毎年4,300人が早死にしており、関連損害額は$140億~$640億に及ぶと推定されます。
汚染の大部分は窒素肥料の大量使用が原因による排出ガスによるものです。「施肥に由来するアンモニアが死因の70%程度を占めます」と、その研究の筆者でミネソタ大学のジェーソン・ヒル氏がNPRで語っていました。「その窒素の一部は水系に流れ込み、一部はアンモニアガスとして大気中に放出されます。」
窒素肥料が成分に分解する過程で大気中にアンモニアガスが放出されます。アンモニアが工業地帯の大気に至るとそこから出ているディーゼルや石油燃料燃焼による汚染物質と結合して微粒子を形成します。過密動物給餌経営体(CAFO)の作業員や近隣住民ともに喘息、頭痛、目の炎症、吐き気を多く訴えています。
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌に掲載されたある研究も、肺機能マーカーがCAFO拠点から居住地までの距離に比例することを発見しました。
農産工場に居住地が近く家畜密度が高いほど、肺機能障害が多く発生しています。近隣住民の肺機能は、CAFOに起因するアンモニア大気汚染レベルが高くなるに伴い、低下することをその研究が発見しました。
トウモロコシは両刃の剣で、農場の空気だけではなく、餌に使用されるCAFOでも空気を汚染します。そのため下流でも影響が出ます。
米国、中国、ロシア、欧州において大気汚染の最大原因は農産業と肥料 — 特に土壌を豊饒にすることを想定しサイズが大きい作物を生産できると考えられるため使用される肥料の窒素成分によるものです。
実際に、Geophysical Research Letters誌に掲載されたある研究は、特定の人口密集地帯においては農業からの微粒子物質による大気汚染がその他の微粒子による大気汚染よりはるかにウェートが高いことを実証しました。
土壌微生物が窒素系肥料を二酸化窒素に転換し、大気中に放出することは、研究者らには周知です。しかし、肥料100kg当たり僅か1kgのガスすなわち1%しか生産されないと推定されています。研究者らはこのガスの放出量が投入肥料の1%に留まる線型増加を示すものと考えました。
しかしその後の実験からこの増加が線型ではなく、指数関数的な増加であることが判明しました。これは、当初の研究では余剰窒素肥料を耕作地に投入したとき変換されることについて考慮していなかったからです。カリフォルニア州では、農地が州の二酸化窒素ガス放出量のほぼ51%を占めるものと見られ、特に、窒素系合成肥料を使用する地区でこれが高いのです。
CAFOは堆肥の負荷を受けた空気を常時周囲の環境に排気するので、極めて問題です。アンモニアに加え、CAFOから通常放出されているその他の有毒化合物には次のようなものがあります:
年齢を問わず、成人であっても汚染大気を呼吸すると健康をだめにします。肺機能が加齢に伴い少しずつ衰えることは知られていますが、大気汚染はこの劣化を加速します。大気汚染がひどい区域に住んでいると成人の2型糖尿病のほか、認知機能の低下、睡眠障害にも及びます。
王立医学大学のある報告書によると、「大気汚染への暴露で脳の構造に悪影響があるというエビデンスはフラミンングハム・オフスプリング・スタディーの参加者についての核磁気共鳴画像処理(MRI)で立証されており、PM2.5に暴露されるほど総脳体積の減少につながる」そうです。大気汚染による心臓への損害については研究者らはこう説明しています:
「大気汚染への短期、長期の暴露による成人の心臓血管病への影響があるという証拠は豊富にある。大気汚染への暴露は心臓の既往症を悪化させ、心臓血管病を発病させ、その結果心臓血管病による入院頻度が増したり死亡率が上がる。」
理想郷なら、だれも新鮮で清浄な空気を呼吸できる環境に住みたいです。不幸にもこれは決まりきったことではなくはるかにレアな状況です。自宅では、屋内空気が主な汚染源になりうるので、窓を開けて新鮮な空気を取り入れたり、清掃用化学品やエアフレッシャー、アロマキャンドル等周知の大気汚染物質を使用しないことを含め、屋内の空気を清浄に保つための手順を実行するようお勧めします。
自宅の空気を清浄にするのは健康的なライフスタイルを過ごすのと同様に賢い一歩です。食生活で大気汚染による健康への悪影響に対抗でき、例えば、大気汚染から心臓を保護する抗炎症効果があるオメガ3脂肪を含みます。
ビタミンCやEを含むその他の栄養素も特に汚染地域に住んでいる人には豊富に食べることをお勧めでき、これらの栄養素は高用量では大気汚染中の極微粒子物質によるダメージを完全に相殺しうることがわかっています。
もっと基礎的なレベルでは上記のトウモロコシ研究の研究者らはトウモロコシ生産への「戦略的介入」を挙げており、これには「肥料の変更や施肥方法の変更、窒素利用効率の改善、肥料需要が少ない作物への切り換え、地理的立地移動が挙げられ」ます。
個人レベルでは、できる限り有機のバイオダイナミック農法の草で育てた食品を選ぶようにし、大気汚染を改善するどころか悪化させている工業式農場由来製品を避けることができるでしょう。
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