6つのマッサージセラピーのメリット

マッサージセラピー用石

早分かり -

  • マッサージでよくなることが判明している6つの異常とは、痛み、精神衛生、炎症、免疫機能、筋肉けいれん、柔軟性です
  • 皮膚の第二の層である真皮の中にある特化した受容体は圧力等の外部刺激に反応して神経系を通して脳へ信号を送り、エンドルフィンの分泌を刺激します
  • 筋肉痛や骨痛、頭痛、身体の奥の痛み、線維筋痛、脊柱の痛み等の痛みの治療においてマッサージセラピーが治療しないより痛みを軽くでき、鍼や物理療法等他のペイントリートメントよりマッサージセラピーのほうが効果があります
  • マッサージセラピーは痛み、倦怠、吐気、不安、うつ等従来のがん治療に伴う副作用を軽くするのに有用であると考えられます
  • マッサージセラピーを試してみて、緩和効果があったならば、量と回数を増やすとさらに効果があるかもしれません。マッサージの効果に影響を与えるその他の要因には、使われる技術、マッサージセラピストの技能レベルなどがあります
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Dr. Mercolaより

マッサージは全体的に健全な状態を促し、痛み及び不安を和らげるのに使用される最も古く、簡易な形の医療的ケアの一つです。皮膚は最大の感覚器官であり、皮膚の第二の層である真皮の中にある特化した受容体は、熱や寒気、圧力等外部からの刺激に反応して神経系を通して脳へ信号を送り、エンドルフィンの分泌を刺激します。

エンドルフィンはリラックス及び健全な状態の感覚を促し、痛みを減らし、 コルチゾール及びノルアドレナリン等のストレス化学物質の濃度を下げることで、心拍数、呼吸数を下げ、血圧を下げます。

マッサージを深く、強くすると、血流が刺激され、酸素や栄養分の身体細胞への供給を改善し、リンパ系が老廃物を排出するのを支援します。緊張して固まった筋肉や硬い関節を柔らかくすることによって、運動性や柔軟性も向上させます。

マッサージは、さらに10の脳神経の一つであり、食物吸収ホルモンの分泌、脈拍、呼吸に影響がある迷走神経を活性化すると言われています。

いくつもの健康の異常に効果的なセラピーであることがすでに証明されています — 特に、ストレス関連の緊張に効き、ストレスは心理的及び肉体的な健康の異常をきたす際に主な役割を演じていると考えられます。今回は、マッサージでよくなることが判明している6つの異常について見ていきます:痛み、精神衛生、炎症、免疫機能、筋肉けいれん、柔軟性。

痛み軽減のためにマッサージセラピー

痛みはよくある問題です。マッサージは多くある有用な痛み処置の一つにすぎません。

2016年のある系統的レビューとメタ分析には、いろいろな種類の痛みに対してマッサージを使用した場合を研究した、60本の高品質論文と7つの低品質論文が含まれています。いろいろな痛みには、筋肉および骨痛、頭痛、体内深部の痛み、線維筋痛、脊髄痛などが含まれます。

そのレビューは、マッサージセラピーは何も処置しないよりは痛みをよく和らげ、鍼や物理療法等他の痛み治療と比べてマッサージセラピーのほうがまだメリットが大きいことを明らかにしました。

より具体的に言うと、マッサージセラピーは以下の問題に伴う痛みを和らげることができます:

緊張型頭痛及び偏頭痛 — ある研究では参加者が1回30分の伝統的マッサージを週2回、5週間受けたら、マッサージセラピーを受けなかった対照群より偏頭痛発生率が下がりました。さらに睡眠妨害も減り、試験からセロトニンの増量が確認されました。

別の研究で、タイマッサージ — 圧迫やストレッチ、引き、ロッキングモーションに焦点を当てる — を慢性の緊張型頭痛あるいは偏頭痛がある患者について評価しました。

参加者は3週間に超音波療法または週3回のタイマッサージを受けました。タイマッサージを受けた人は痛みを感じる圧迫の閾値が増加した半面、超音波グループは逆に減少しました。両群とも偏頭痛の強さは大きく減りました。

分娩痛 — 看護学博士でEvidence Based Birth(エビデンスに基づく誕生)という団体を設立したレベッカ・デッカーPh.D.によると、マッサージによる痛み軽減の機序に関する一つの仮説は関門制御論だそうです。「優しいあるいは痛みのないマッサージは身体に快感で満たして関門制御法に作用するので、脳には痛感があまりない」のだそうです。

この反面、強く深いマッサージは広汎性侵害抑制調節により作用するものと考えられています。「その考え方とは、痛いマッサージの刺激は脳を刺激してエンドルフィンという自然な痛みを和らげるホルモンを分泌するほど強いのです。

次に全身にエンドルフィンが行き渡って収縮による痛みが減るのを助けます。研究者らはマッサージがコルチゾールすなわちストレスホルモンを減らし、セロトニン及びドーパミン濃度を脳内で増加させることで機能するものと考えられます」と、デッカー氏は説明します。

線維筋痛 — 全米線維筋痛慢性疼痛協会はマッサージを線維筋痛の症状が軽くなりうるとして勧めます。

線維筋痛に対するマッサージセラピーの効果を解析した404人の患者が参加した9件のランダム化対照試験に関するある系統的批評及びメタ分析が、「5週間以上マッサージセラピーを行うとFM[線維筋痛]患者の痛みや不安、うつをよくする有益な即効的効果があると結論しました。マッサージセラピーはFMのための有用な補完的で代替的治療法の一つであると考えます。」

がんによる痛み — オーストラリアがん委員会によると、マッサージセラピーはマッサージががん患者の痛みや倦怠、吐気、不安さらにうつ状態を減らしうることを実証したエビデンスを引用し、従来のがん治療と関連する副作用軽減に有用であると考えられるそうです。

同委員会はマッサージでがんが転移しないか心配になる人もいるが、そのような恐れは全く根拠がなく、軽いマッサージが「がんのどの段階でも安全にしうる」のは「リンパ系循環が — マッサージやその他の動作により — がんの転移を起こさないから」であると説明しています。

2007年にCurrent Oncologyに掲載されたあるマッサージセラピーのがん患者向けについての科学論文は、マッサージが「とても安全」で、「合併症はごくありえない」と説明しています。「副作用は主に素人がマッサージしたりスウェーデンマッサージ以外のテクニックによった場合に主に発生した。」

マッサージとがんについて大規模追跡調査の一つがニューヨーク市にあるメモリアルスローンケタリングがんセンターで実施され、1,290人のがん患者について痛みや倦怠、トレス、不安、吐気、鬱の症状スコアを評価しました。患者は3種類のマッサージから選ぶことができました:スウェーデン、軽いタッチ、足マッサージ。そこから発見された事実が「症状スコアは約50%の重度軽減を見た。スウェーデンと軽いタッチマッサージのほうが足マッサージより優ることが判明した。」

背中の痛み いくつもの研究もマッサージが背中の痛みに効くことを裏付けています。主な研究結果:

2017年のある研究では持続的な背中下部の痛みがある患者が10回のマッサージを12週間受けたらそのうち49.4%は、12週間後に臨床的に見て改善しており、さらにそのうち 75%は24週間後に臨床的にさらに改善していました。

2011年のある研究は、マッサージセラピー(毎週1回1時間を10週間)が「慢性的な背中の痛みの処置に効果があり、その効能は少なくとも6か月持続した」と結論しました。リラグゼーションでも構造的マッサージでもよく同じ効能がありました。

2016年のある研究はタイマッサージによる背中上部の痛みがある患者に少なくとも3か月継続した効能を評価した結果、この処置のおかげで筋肉の緊張及び痛みの強さが治療の最後には大きく減ったことを特定しました。

2016年にコチレーン図書館が行った25件の検査を解析した、その大半が非営利団体の出資によったメタ分析では、マッサージが急性から準急性、慢性の背中下部の痛みについて何もしなかった対照群よりよいという結論に達しました。機能については、マッサージは急性には効かず、準急性と慢性の痛みに効果がありました。

2007年のある研究は、背中下部の痛みが6か月以上あった患者が30分マッサージを週二回5週間受けたら、リラグゼーションセラピーを受けた対照群よりも痛みやうつ、不安、睡眠妨害が減りました。

痛みの種類とマッサージの頻度と量(時間)

マッサージからとても大きな解放感を経験する人もいれば、その一方で、経験しない人もいます。その違いは、マッサージの量(時間)によるのかもしれません。シアトルにある「グループ健康研究所」の研究者たちは、慢性的な首の痛みを持つ人々について最適なマッサージ量を調べました。

被験者は1週間に2、3回、30分のマッサージを受けるか、一週間に1回か2回または3回、60分のマッサージを受けました。対照群はマッサージを受けませんでした。

マッサージなしのグループに比べて、1週間に3回マッサージを受けたグループは、機能が著しく改善したと報告する被験者が約5倍、また、2倍以上が痛みが著しく緩和したと報告しました。

最も疼痛緩和効果があったのは、1週間に2、3回、60分のマッサージを受けたグループでした。首の痛みの場合、長いマッサージが最高の効果を発揮したように見えます。ちょうど、1週間に複数回の治療が効果を、特に最初の4週間で効果を発揮するのと同様でした。

マッサージセラピーを試してみて、緩和効果があったならば、量と回数を増やすとさらに効果があるかもしれません。マッサージの効果に影響を与えるその他の要因には、テクニック、マッサージセラピストの技能レベルなどがあります。

マッサージセラピストを選ぶ場合、あなたの身体全体を診てくれる人に、あなたが求めている疼痛緩和で経験のある特定のマッサージセラピストを推薦してくれるようお願いしてください。

精神衛生に効くマッサージセラピー

マッサージセラピーが役立つもう一つの領域は、認知症患者が経験するようなストレスを含む、ストレス、不安、うつの治療です。すでにご説明した通り、マッサージで皮膚内の神経末端を通して神経系に影響し、リラグゼーションや全体的調子がよい感覚を起こすのを助ける「いい気持ち」エンドルフィンが分泌されます。

2015年のある研究は、タイマッサージが唾液αアミラーゼ(sAA)というストレスマーカーをおおきく減らすこと、「ストレス軽減に適度な効果があると考えられる」と指摘しています。全米マッサージセラピー協会もマッサージがストレス軽減、心拍数や血圧、コルチゾール濃度低下を助けることを示すいくつもの研究を引用しています。

心理状態について分析した複数の研究は特に、マッサージが知覚されたストレス尺度、POMSうつ尺度、不安状態尺度のスコアを下げることも実証しました。

うつ状態の患者に対するマッサージセラピーを分析したあるメタ分析は、「マッサージセラピーがうつに伴う症状の軽減と深く関連する」と結論づけています。同様に、コンセプト検証ランダム化対照研究が全身に及ぶ不安障害のある患者に対するスウェーデンマッサージの効果を評価した結果、週2回6週間受けたら治療効果があることを特定しました。

マッサージで炎症軽減効果の可能性

マッサージセラピーが持つ疼痛緩和の効果は、十分に確立しているので、理学療法や怪我のリハビリで普通に用いられています。

ある研究で、運動に起因する筋肉損傷に対して、マッサージセラピーを受けた被験者と治療を全くしなかった被験者について、筋肉の生検が行われました。その研究者らにようと、マッサージセラピーは、骨格筋の中で炎症の軽減とミトコンドリアの発生促進 を引き起こすことが明らかになりました。

しかし、その研究は瑕疵がある指摘する中傷がないわけではありません。それでも、痛みと炎症は平行するものなので、マッサージは炎症にメリットがあると思われる根拠はあります。どちらかを軽減すると、他方も軽くなり、すでにご説明した通り、マッサージで痛みが少なくなるという主張を裏付けるエビデンスが豊富に存在します。

マッサージセラピーは免疫機能を増進する

リンパマッサージは軽い押圧で長く、優しい、リズミカルな撫でにより全身のリンパの流れを増やして毒素解消を助けるのが特長です。

特にリンパ系に多く、感染や病気と闘う一種の白血球であるリンパ球の循環を促進することで、リンパマッサージは免疫機能も増進するのに有用です。

マッサージセラピーが有用なさらに2つの領域

以上のことと同様に重要なのが、マッサージセラピーはけいれんや筋肉のつりの治療にも効果があり、柔軟性を増すことです。負傷し、過労の筋肉はけいれんしたりつる傾向があり、痛みや不快感を伴います。

マッサージセラピーはこの場合神経筋肉マッサージは圧力を深く掛け、疲れた筋肉をリラックスさせて解し、けいれんやつりを予防するのに有用であると考えられます。

同様に、筋肉や関節の凝りを解すマッサージセラピーは柔軟性や動作範囲を改善することができます。こうしたマッサージは関節炎や筋肉負傷した人に特に有用です。

+ 出典および参考資料