大気汚染は喫煙より悪い

高速道路での大気汚染

早分かり -

  • 大気汚染のために早死にする人の数が喫煙による死亡より毎年100万人ずつ増えていることを研究データが証明しています。 窒素系肥料や化石燃料、工業による化学品の製品は三大寄与要因です
  • 汚染率が高いほど、余命短縮、知力低下、新生児の体重不足、早産さらに、自閉症、注意欠陥障害、心臓血管病、肥満、がん等の異常を引き起こします
  • 子供は出生前から暴露され、呼吸率が速く、幼い発育中の体で大人より多くの大気汚染を吸入するので、大きい負荷が掛かっており、大人より余命が長いので発病するまで時間があります
  • 屋外大気汚染の程度を制御することはできなくても、食生活を変えることで大気汚染による損害を軽減し、クリーナー類やカーペット、パーソナルケア製品、家具による屋内空気汚染を減らせます
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Dr. Mercolaより

世界人口の95%程が世界保健機構(WHO)によって安全と見なされるより高いレベルの汚染がある地域に生活しています。2.5 μg(PM2.5)より重い微粒子物質は屋外大気汚染の一指標です。

世界人口の95%についてこの濃度は10 μg/m3を超えており、ほぼ60%は微粒子物質がWHOによるもっとも甘い品質目標値35 μg/m3さえも超える程の地域で生活しています。大気汚染は微粒子物質、飛沫やガスが複雑に混ざり合ったものです。

PM2.5は髪の毛の太さの20~30分の1しかないので大気汚染の構成要素のなかでもっとも一般的に調査されている物質の一つです。これらの粒子は容易に肺まで吸入され、血流に吸収されるほど小さいので重要です。

体内に入ったPM2.5は任意の器官系統に堆積し、炎症を発生させ、心臓血管病、肥満、慢性閉鎖性肺疾患、がん等の慢性病につながります。欧州の生活環境における大気汚染を調査したある近年の研究は、この問題が以前測定したときより悪化していることを特定しました。

大気汚染の程度は予想よりはるかに悪化している

大気汚染への暴露が原因で早死にする人の推定数は以前の推計値のほぼ二倍あります。この新たなデータは2015年に大気汚により880万人が早死にしていることを示しています。比較までに取り上げると、WHOでは喫煙が原因の早死に人数が年間700万と推計しており、これは大気汚染によって死ぬ人の数より少ないです。

そこで主な焦点は欧州の大気汚染でしたが、欧州では、大気汚染が原因で推定790,000人が死亡し、そのほぼ80%は心臓血管病によるものでした。その研究の共著者でドイツのマインツにあるマクスプランク化学研究所及びキプロスのニコシアにあるキプロス研究所兼務のジョス・ルリーヴェルトPh.D. が次のように説明しています:

「欧州における大部分の微粒子物質やその他の大気汚染物質は化石燃料の燃焼が原因であるので、エネルギー源を緊急に切り替える必要がある。清浄な再利用可能エネルギーを利用する場合、気候変動の影響を軽減するためのパリ協定に準拠できるだけではなく、大気汚染が原因の欧州における死亡率を最大55%も減らすことができると考えられる。」

その研究は欧州連合が許可している上限値、現在25 μg/m3(WHOのガイドラインの2.5倍)をさらに下げることを要請しています。共同声明の中で、研究の筆者らは次のように指摘しています:

「欧州における最大許容値は高すぎる。米国、オーストラリア、カナダではWHOのガイドラインを立法のベースラインとしており、EUでもそうする必要がある。これを主題についてあてはめると、すなわち大気汚染は煙草を吸うより多い死者を毎年生み出していることになる。喫煙は止められるが、大気汚染は避けられない。」

窒素系肥料が大気汚染にかなり寄与している

米国、中国、ロシア広域における大気汚染の最大の寄与要因は農業用肥料で、特に土壌を肥沃にし作物を大きく育てられると考えられているために使用されている窒素成分です。農業による排出ガスはその他の微粒子物質発生源よりはるかに多いです。

窒素肥料が成分に分解するに伴い、アンモニアガスが大気中に放出されます。このガスが工業地帯に届くと、化石燃料の燃焼と反応して微粒子が発生します。窒素は大気や水、土壌に存在しますが、窒素系肥料の主要成分である反応性窒素は化石燃料の燃焼機関から出る莫大なエネルギーを使って処理されています。これも工業による汚染に寄与します。

さらに、窒素系肥料を土壌に添加すると土中に封止されている炭素量が減り、将来の植物成長を支える土壌の力に悪影響を及ぼします。過剰な肥料の流出も最大の海洋汚染原因です — このため酸素が欠乏した死の領域が産まれており、魚やその他の海洋生物は生き残れなくなります。

化学品の飽くなき拡大が人類生存の脅威となっている

また、人の健康悪化に寄与しているものとして、製造業が生産し放出する莫大な種類の合成化学品もあります。国連環境計画によるある世界規模の研究によると、売上高は今後12年で倍増することが見込まれます。国連による第二のGlobal Chemicals Outlook報告書の骨子を次にご紹介します:

  • 世界の化学産業は2017年に$5兆を突破、2030年までに倍増の見込み。
  • 成長の主な要因は世界的な建設、農業、電子産業のメガトレンドであって、これが大量に放出される有害化学物質や汚染物質の原因である。
  • 世界は有害化学物質を削減し2020年までに汚染を止める国際的取り組みを達成できる見込みはなく、日常通りの流れにまかすのでは解決に至らない。
  • 化学品による病気の負荷は大きく、脆弱人口は特に高いリスクに瀕しているので、世界的包括的枠組みにより一貫性のある指標を用い、2020年以降に実行に移すことが必要である。WHOは選択した化学品が原因の病気により2016年に160万人が死亡したと推計しています。
エイキム・ハルパープPh.D.はその研究に参加した400人の科学者のリーダーでした。The Guardianに同氏が語ったところでは、最も急成長しているのは建材、電子製品、繊維、鉛電池でした。暴露の程度に応じて異なるリスクにはがんをはじめ、慢性腎臓病や先天異常が含まれると考えられます。

その報告書によると、世界の化学品生産は薬も含め、世界第二の大規模産業であり、今後十年間さらに成長を遂げると見込まれます。人類に悪影響があることがわかっていても、化学品生産量は今後10年間は予想人口増加を上回るペースで成長することが予測されています。

汚染が知性と余命に損害となる

中国の住人20,000人からデータを集めたある近年の研究で、研究者らは有毒大気への暴露によって知性が大幅に弱くなったことを特定しました。言語能力と数学スキルが最も悪影響を受け、テストした人への平均的影響は教育課程1年分を失ったほどに匹敵するものでした。

その研究チームは影響は高齢者あるいは教育レベルが低い人ほどひどいと考えています。数年間にわたって対象個人の損失能力を計算した研究の筆者らは次の結論に至りました:

「大気汚染による老化する脳の損傷は、認知力が高齢者にとって日常の必要なことをこなしたりリスクの高い意思決定をするために欠かせないことを鑑み、大幅に健康や経済的費用を発生させる可能性大である。」

このことは特に米国においては大きな影響があり、65歳以上の人口は米国で2060年までに倍増する見込だからです。つまり現在の15%から24%へ高齢人口比が高まります。この研究の場合、言語能力が最も大きく悪影響を受けており、女性より男性で多いです。

この研究者である香港工科技術大学のデレック・ホーPh.D.によると、大気汚染は、「大気汚染度が高いと人間の酸化ストレス、神経炎症、神経萎縮に関連する可能性が高い」ので、認知力に悪影響を及ぼす可能性が高いです。

汚染の負荷がより大きい子供たち

大気汚染の負荷は誕生前から始まっています。欧州呼吸器系学会国際会議で発表されたある研究によると、炭素微粒子が肺を通って胎盤に至ることをデータが実証しました。

その研究はさらに、妊婦の大気汚染への暴露が早産や新生児の体重不足、乳幼児の死亡率増加、児童の呼吸器異常につながることも実証しました。子どもは屋内外で汚染空気に晒されています。PM 2.5は次のように、大気汚染と直ちに関連づけられるとは見えなそうないくつもの病気の原因となっていると考えられます:

  • 糖尿病
  • 認知機能の衰え
  • 注意欠陥障害(ADHD)
  • 自閉症
  • 乳幼児突然死症候群

子供の身体はまだ発育中なので、大人より大気汚染の影響から害を受け易く、炎症その他の健康の損傷リスクが大きいです。子どものほうが期待余命が長く、疾患が発症するまで多くの時間があります。WHOによると、行動的、環境的、生理的要因が組み合わさって、子どもは特に大気汚染の影響を受けやすく、さらに:

「子どもは大人より呼吸が速いので、より多くの汚染物質を吸入する。子どもは汚染物質によっては地表近くで最高濃度になる地面に近い。子どもは屋外で汚染されている可能性がある空気の中で遊んだり、肉体活動を行う。

その一方、乳幼児はほとんど屋内で過ごし、汚染性の燃料や機器で調理する母親といるので、屋内の大気汚染から悪影響を受け易い。子宮内では母体が汚染物質に暴露されると影響を受け易い 。受胎前の暴露によっても胎児への潜伏的なリスクにつながる。」

大気汚染の軽減に有用な戦略

屋外汚染レベルを自分で管理制御することはできそうもありませんが、食べる物は自分で管理できるし、加圧処理木材や家庭用クリーナー、家具、パーソナルケア製品から来る自宅内の空気汚染は改善しようがあるということです。

慢性的健康の異常をきたすリスクが下がるだけではなく、空気品質をよくすると心理的ストレスも軽減されるので精神衛生にも有益であることが研究からわかっています。食生活における特定の措置は保護効果があるので、抗炎症性野菜と健康な脂肪が豊富な自然食品を食べる食生活をするように取り組みましょう。

以下にご紹介する食生活のヒントや戦略は大部分が短期的に極めて費用効果が高く、長期的にはヘルスケア支出を大きく削減できると思われます。屋内の空気汚染を削減するためのその他の戦略については、私の以前の記事「屋内空気汚染を減らす」をご参照ください。

オメガ3脂肪 — これらの脂肪は抗炎症性があり、29人の中年を対象にした研究では、動物性オメガ3脂肪サプリメントが大気汚染に起因する心臓の健康やトリグリセリドなどの脂質濃度に対する重篤な影響を一部軽減します(オリーブオイルにはこれ程の効果がない)。

ブロッコリの芽 — ブロッコリの芽のエキスはディーゼル排気への暴露によってよくあるアレルギー性の鼻の異常を予防する効能があることが実証されています。ブロッコリやブロッコリの芽にはアレルギー疾患及び喘息においては大気汚染の影響から保護する効果があると思われることを研究が示しています。

ブロッコリの芽ドリンクは中国で極めて汚染のひどい地区の住民から大気中汚染物質のデトックスを促すことが判明しました。

ビタミンCとE — 喘息を持つ子供にビタミンCとEを含むサプリメントを投与したところ小さい気道のオゾン暴露による影響を緩衝するのに役立っています。

ビタミンB — ある小規模な人体実験から高用量のビタミンB6、B9、B12を組み合わせたら、大気汚染の中のきわめて小さい微粒子に起因する損傷を完全に防ぐことが発見されました。

4週間高用量のサプリメント服用によって遺伝子部位10個での損傷が28~76%まで削減され、ミトコンドリアのDNAを有害な公害の影響から保護し、遺伝子損傷の一部を修復するのに役立っています。

+ 出典および参考資料