Dr. Mercolaより
AARPの調査によると、アメリカ人の93%は脳の健康を維持することが相当または極めて重要であると考えています。一般の考えとは異なり、健忘症や高齢に特有の異常は老化によって避けられないことではありません。
老化に伴い忘れやすくなるのはよく普通であると考えられていますが、回転の速さや知性は年齢を問わず維持することはできます。よい知らせとして、脳は動態的器官であり、よかれあしかれ常に適合して変化していることです。睡眠不足等の日常活動の多くは翌日の記憶力に重大な支障をきたします。
その反面、健康的ライフスタイルは脳の健康を支持し、神経新生や神経の可塑性として知られる新たなニューロンの生成を促します。例えば、研究によるとストレスへの身体の反応は脳の老化(認知症やアルツハイマー病リスク増大を含む)の速さの一要因であると考えられます。
運動はストレスへの反応に影響するライフスタイルの選択肢であり、肉体的変化があるのでよく大切であると考えられます。しかし、筋力トレーニングは筋肉の強さだけではなく、健康的な脳や神経系のためにも同様に重要であることは多くのエビデンスから示されてます。ある新研究では高齢者が食生活と運動習慣を変えると認知力を改善できる可能性があることがわかっています。
デューク大学の研究者らはたった六カ月で成人研究参加者の認知力がよくなったことを特定しました。デューク大学の臨床心理学者ジェームズ・ブルーメンタールPh.D.がNeurologyに掲載されたこの研究を主導しました。
同氏は、食生活とエクササイズが高齢期に認知症になりやすい人の認知力低下に対する別個の及び合体した効果を分析した初の研究であると考えています。参加した成人参加者160人に高血圧やその他の心臓血管リスクの既往症があり、エクササイズしたことがなく、執行機能面に認知力障害がありました。
認知症と診断された人は除外しました。平均年齢は65歳で、2/3は女性でした。研究開始時に参加者の平均認知力は93歳の人と変わらず — 参加者の平均年齢より28歳老化していたのです。
参加者を次の4つのグループに分けました:第1グループは構造化有酸素運動を最初の3か月行い、最後の3か月は自宅でするエクササイズの宿題を与えられました。第二のグループには低ナトリウムDASH食を与え、プログラムに従って案内しました。
第三グループにはエクササイズと食生活の切替えを同時に依頼しました。第四グループは対照群として観察し、電話で30分、脳の健康改善方法について情報を受け、エクササイズや食習慣は変えないように依頼しました。
この研究の開始前に各自に一連の認知力テストやトレッドミル評価ストレステストや食事解析を実施しました。さらに、血糖や脂質濃度も記録しました。その結果、DASH食をして運動はしなかった人の思考能力はおおきく改善しないことがわかりました。
エクササイズしたグループはエクササイズしなかったグループより執行機能が大いに改善しました。しかし、食事を変えエクササイズしたグループは脳年齢が平均9年若返り、平均精神年齢が84歳になりました。
対照群の執行機能は6カ月分悪化しましたが、このことは何もしなかったうえ、それが同研究の全実施期間に当たっていたことから予想がついていました。ベイル・コーネル医学部のアルツハイマー病予防クリニック長のDr.リチャード・イサークソン(その研究に参加していなかった)が次のようにコメントしています:
「その結果から極めて短期的に制御した有酸素運動は脳の内人が自分の行動や支払等を行うことを司っている野に大きく影響しうることがわかりました。ただ改善されるだけではなく、6カ月で改善できるのです!」
その研究の参加者は35分の継続的歩行あるいは定置サイクリングを週に3回行いました。その最新研究は、神経系の健康は脳から筋肉へ送られる信号と同様に大きい脚筋からくる信号にも依存していることを示したFrontiers in Neuroscienceに近年掲載された別のデータを裏付けています。
言い換えると、双方向通行の通りのようなもので、どちらも他方に優先されることはないのです。プレスリリースによるとその研究で発見された事実は、「脳と神経系の医学を根本的に変えるものであり — 運動ニューロン障害、多発性硬化症、脊椎筋肉萎縮、その他の神経病を持つ患者が動作の制限により急速に衰える原因について新たな糸口を医師らが得ることができました。」
重量に耐える運動が筋肉量と萎縮に対して重要なばかりではなく、肉体の化学的組成にとっても必須であることを研究者らは特定しました。神経信号伝達は神経系及び脳がたった28日後に劣化し始めるほど影響を受けました。
2つの遺伝子も不利な影響を受けており、そのうち一つはミトコンドリアの健康と機能に重要な役割を持っています。健康な正常に機能するミトコンドリアは最適な健康のために必須のものです。脳は体内で作られるエネルギーの20%を必要とするように、器官の中で最も多くのエネルギーを必要とするので、ミトコンドリアはほぼ全ての慢性病の根本原因であると考えられます。
NASAの生命科学部門で元ディレクターだったジョーン・ヴァーニコスPh.D.は、著書「Sitting Kills, Moving Heals」(座ると死ぬ、動きが癒す)の中で、重力に対抗して重量に耐えることが人体と脳にとって最適な機能のためにいかに必須の要因であるかを説明しています。もう一つの主要な要因としては、運動が脳由来の神経栄養因子(BDNF)の増加に効果があることです。この因子は筋肉と脳ともに存在します。
エクササイズはFNDC5と呼ばれる蛋白質の生産を刺激します。次にBDNFを増加させます。脳内でBDNFは既存の脳細胞を保全し、活性化して新たなニューロンに変換し、脳の成長を促します。
神経筋肉系の中でBDNFは筋肉内で不可欠な要素である神経運動を劣化から保護しています。神経運動の劣化は、加齢にともなう筋肉萎縮の原因となるプロセスの一環です。私の以前の記事「最適な脳や神経系の健康のためには脚の筋肉エクササイズが必要」で筋肉と脳の連関性を実証した研究の一覧があります。
加齢に伴い認知力を維持するためには下半身運動を欠かすことはできません。週に3回歩行するとたった6か月で認知力がよくなることが上記の研究で実証されたとしても、別のある研究が終日座っていることによる肉体的損傷は一日一回だけ運動しても相殺されることは不可能であることを実証しました。
長時間座り続けているのは死亡リスクを高めます。ある研究チームが8,000人の45歳以上のアメリカ人を4年間追跡調査しました。データはより多く動いた人は全体的に健康なことを示していました。一貫して運動すると代謝がよくなり、糖尿病や特定のがんリスクが下がり、健康的な体重の維持に役立ちます。
加齢に伴い不活発になっていくのも老化に伴い動き回り続ける能力を衰えさせます。ある研究は最も活発で一日に6時間未満座っていた人は最も不活発で、週に行った活動時間が3時間未満の人と比べると加齢に伴い最も障害が起きにくいことを特定しました。
研究者たちは「座っている時間を減らし、肉体的活動を増やすことで高齢になってから機能を維持するために必要であると考えられる」と、結論しました。カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)医学部による別の研究は女性のグループを追跡した結果、10時間以上座っていた人は8歳分の老化に相当する程テロメアが短くなりました。
言い換えれば、座わりすぎは老化プロセスが8年加速します。その研究の主任筆者アラディン・シャジャブPh.D.(UCSD医学部)はあるニュースリリースの中で、「着座が多いライフスタイルのほうが細胞の老化が加速することが研究でわかりました。時間的年齢は必ずしも生物学的年齢とは一致しません。」
ここで取り上げた研究の場合、参加者は加工食品を減らし、自然食品を増やすDASH食を食べました。しかし、その食事計画ではケトン食を食べることで生じるような健康の改善には及ばないことがわかっています。
炭水化物と脳の健康に関する最も画期的な研究の一つが、高炭水化物食は認知症リスクを89%も高めるが、高脂肪食だと44%低下することを明らかにしました。
ケトン主体食は健康的な脂肪が豊富で炭水化物正味量(総炭水化物から繊維質を控除して得る)が少量であり、その主な効能の一つは身体が糖分ではなく脂肪を主な燃料として代謝するようになることです。この過程でケトンが発生し、これは効率的に代謝されるだけではなく、脳のために優れる燃料でもあります。ケトンは反応性酸素種(ROS)が発生しにくく、フリーラジカルにより損傷が減ります。
近年の論文もケトン食が脳の健康にメリットがあると実証しています。一本目の論文で研究者らは、ケトン食は部分的に腸内細菌叢をよくして神経血管機能を改善することを実証しました。
二番目の論文は、ケトン食を与えた動物の論文神経血管機能及び代謝機能が大幅に改善することで、食餌制限しなかった動物よりこの動物実験においては正しく「若さの泉」として機能するという結論に達しました。
神経血管機能が低下すると言語能力、記憶力、注意力の損失に大きく関わっており、脳内血流低下がうつ病や不安、認知症リスクを高めます。
動物モデルを使ったケトン食の神経血管機能への効果を分析した研究の筆者らは「総じて言うとKD[ケトン食]はおそらく神経血管機能の復元及び健康的腸内細菌の維持によって様々な神経的異常から保護する可能性がある」と書いています。
ケトン食を食べると脳がフリーラジカルによる損傷から保護され、細胞が好む燃料を供給できます。認知力の健康を支持するには追加的な食品や戦略を含めて健康することも必要ではないかと思われます。私の以前の記事「脳によい食品」に毎日の食事計画に容易に組み込むことが可能な食品一覧があります。以下に検討するとよいさらなる戦略を挙げておきます:
ビタミンD — ビタミンDは一種のステロイドホルモンで体内のほぼ全細胞に影響し、このため健康的な濃度である60 ng/mL~80 ng/mLを維持することは骨だけではなく、心臓や脳の健康、最適な免疫機能、病気予防のためにも重要です。
ビタミンD不足とインスリン抵抗、メタボリックシンドローム、1型(インスリン依存性糖尿病)と2型両タイプの糖尿病の間に重要な関連性があり、両方とも脳の健康に影響します。
睡眠 — 睡眠中に脳はグリンパティック系を活性化し、アルツハイマー病に典型的なアミロイドベータタンパク質を含む蓄積した老廃物を解毒や分解します。私の以前の記事「睡眠:必要な理由とよく寝れるようにするための50の方法」で説明しているように、毎晩質のよい睡眠を8時間確実にすることが大切です。
炎症を減らす — 慢性的炎症及び肥満は脳の機能に悪影響を及ぼします。炎症を減らす食品一覧及び炎症がいかに脳体積に連関しているかについての説明は、私の以前の記事「炎症予防食品は脳機能も強くする」をご参照ください。そうした食品の例としては、ほうれん草やブルーベリー、クルミ、ほうれん草が挙げられます。
アシュワガ — 記憶改善は特に根の伝統的用途です。2017年にJournal of Dietary Supplementsに掲載されたある研究が、50人の軽度認知障害者に記憶力と認知機能改善のためアシュワガンダの根エキスを投与した結果、このことが証明されました。
バコパ — バコパ(Bacopa monnieri)あるいはオカトラノオ属のつる植物は三世紀以来利用されてきたインドアユルベーダ医療で人気のあるハーブです。バコパハーブは向知性ハーブすなわち損傷したニューロンを修復し、脳の機能を改善するハーブとして周知です。向知性薬はよく、創造性や認知力増進の点で脳の「カギを開く」能力があると言われます。
クルクミン — 無作為二重盲検プラセボ対照試験で軽度の記憶力は減退しても認知症にまで至っていない50歳から90歳の成人40人を対象に試験しました。クルクミンのサプリを摂取した人は記憶力と集中力が大きく改善し、対照群では改善しませんでした。
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