多くの不眠症の人は寝ていても意識は起きているので、本人は少しも寝ていなかったと感じるのです

不眠症

早分かり -

  • 不眠症の人の脳と身体が寝ている間も意識は覚醒したままであることを研究が発見しました
  • 脳波のパターンからして寝ているはずでありながら、起きていたと言う不眠症の人の夢を見ないフェーズにおける意識的覚醒状態に関連する脳野の活性が増加していました
文字サイズ:

Dr. Mercolaより

米国睡眠協会(American Sleep Association)によると7000万人以上が睡眠障害を持ち、ほぼ40%は少なくとも月に一回は日中に寝付くことがあり、ほぼ5%は運転中に少なくとも一回はうとうとっとしたことがあると報告しています。

不眠症は最も一般的にみられる睡眠障害であり、成人の10%が慢性不眠症に悩み、30%がときどきまたは短期的不眠症を報告しています。

興味深いことに、不眠症の人は実際には寝ていたにもかかわらず一夜まったく寝ていなかったとしばしば主張します。今日では研究者らがこの経験の食い違いの原因を発見しており、意識と関連しています。まとめていうと、脳が寝ていても、不眠症の人は意識的には覚醒しており、このため全然寝られなかったと思うのです。

多くの不眠症の人は研究によると寝ていても意識は起きています

ユタ州にあるブライアム・ヤング大学のダニエル・ケイ心理学教授がこの研究の主任でしたが、Medical News Todayにこう述べています:「意識的には起きており、脳は睡眠パターンを示すのです…

問題は: 私たちが睡眠を定義する際に意識的覚醒がどのような機能をしているか?」従来は睡眠が意識的覚醒状態の欠如を伴っていると考えられていましたが、ケイ氏のチームはこれが全く間違っているという結論に至ることができました。

睡眠中の意識の機能を調査するため、そのチームは不眠症の32人とよく寝れたと報告した30人の の睡眠パターンと主観的体験を解析しました。

脳波のパターンで被験者が寝付いたと見なしたら放射線トレーサーを腕に注入しました。脳の画像処理から研究者らは睡眠中に活性化したままのニューロンとその正確な場所を検査することができました。翌朝、被験者に睡眠についての主観的体験がどうだったかを尋ねました。Medical News Todayにその結果が説明されています:

「睡眠ポリグラフィー検査からは寝ていたにもかかわらず目が冴えたままだったと報告した不眠症の人は夢を見ないフェーズすなわち、非レム期睡眠における意識的覚醒状態に関連する脳野では活性が増加していた…

寝付く段階では深い眠りに至るまで意識している状態がますます減るようになる阻害的ニューロンを脳が送るのが正常である。

しかし、この新研究の発見事実が示していることは、不眠症の人は意識の上で覚醒状態にリンクしている脳の野の阻害的活性が大きくなるまであたかも寝ているかのうように感じられないと考えられることであった。」

普通の睡眠ができる人は思っているより長く寝られない

その研究の筆者らが説明しているように、「右前島、左前帯状皮質、中央/後部帯状皮質が不眠症の知覚作用に関与している」と考えらます。

よく寝れたと報告した人の場合、不眠症の人と同じ脳野で活性が増大していることがわかりました。その理由は脳は寝付くとき「阻害的プロセス」を通過するので、だんだんと意識の覚醒状態が薄れていくからです。

不眠症の人の場合、この意識の薄れていく過程でより深いレベルの阻害状態が必要な一方、多くの健常な睡眠ができる人の場合、脳波が実際に睡眠状態であることを示すよりずっと早くに寝付いたと報告しています。

これは基本的に不眠症の逆転状況です: よく寝れる人は阻害のレベルがずっと低いところでも覚醒の意識が薄れるので、脳波のパターンが実際に寝付くよりずっと前から寝ていると思い込ませているのです。

不眠症の人にお勧めの心する瞑想

従って不眠症に悩む人の場合ぜんぜん寝れなかったとよく思うわけで、どうすればよいでしょうか? ケイ氏によると、「不眠症患者の場合睡眠中に意識的覚醒を薄めるためのプロセスに障害があるようです。こうしたプロセスを照準にする戦略の一つはよく心する瞑想です。この瞑想は睡眠を体験させなくしている認知プロセスを阻害するのに有用」なんだそうです。

「よく注意を向けること」の練習とは、今この瞬時に能動的に注意することを意味します。この状態では心をさまよわせず、今この瞬間を生きており、気が散る想念から心を素通りさせ、想念にとらわれないように心することです。

よく注意を向けることは – 食べたり、勤務中、食器洗いなど家事をしている間でさえ - 現時点で自分が経験している感覚に単に注意することだけで、日常生活のほぼどの側面にも適用可能です。

その反面、よく心する瞑想はもっと正式な練習であって、注意力を特定の考えや思い、感覚に意識的に集中させ、それを判断せずに追跡します。

以上は単に瞑想の一種で、多くの形態が存在します。例えば超越瞑想(TM)は世界中で何百万にも利用している最も人気のある形の瞑想の一つです。簡単にできるからです。自分にとって意味があるマントラを選び、目を閉じて安静に座り、約20分間を一日二回自分のマントラを反復します。

その考え方は「休憩した」ないし「集中した」覚醒状態に達しようというもので、このレベルではマイナスな考えや気が散ることを自分の安静やバランスを失わずに通過させることが可能になります。よく注意を向けることとよく心する瞑想、その他の瞑想形態とはオーバーラップする部分があります。

覚醒させ続けるよくある要因

寝れないというふうに単に誤認しているという可能性以外に、特定の環境要因が寝付きをとても悪くさせます。これには次のようなことが含まれます:

  • 枕が暖かすぎる — 冷たい枕やさらに大切なことととしては部屋全体の気温を涼しくしておくと、体幹温度が下がり、眠気を誘います。ある研究で不眠症の人に頭を冷やすキャップを被せたら13分で寝付き — 健常な人の寝付きよりさらに3分早い — 夜間のうち89%は寝たままでいました。Reader’s Digestは就寝前数分間フリーザーに枕を入れておくことを勧めています。
  • 新たな薬の飲み始め — 降圧剤や抗うつ薬、ステロイド等多くの薬が不眠症を起こします。この副作用は薬を飲む時間をずらせばしばしば改善できるようです。例えば高血圧や不整脈に処方されているβ[ベータ]遮断薬は夜ではなく普通は朝飲みます。
  • ペット — あなたの毛のふさふさしたベビーが大好きな限り、ベッドで丸まっていたりベッドに毛がたくさん落ちていたりするなら、ベッドからペットを遠ざけることをご検討ください。メイヨークリニックのある研究によると、ペットといっしょのほうがよく寝れる人もいる一方、ペットオーナーの約20%は多かれ少なかれペットで睡眠の邪魔になることを認めていました。
  • 冷えた足 — 頭を冷やすと眠くなるのに対し、足が冷えると落ち着かず寝返りを多く打つことになります。方策: 靴下を履いて寝る。
  • 過労 — 過労は疲れとよく勘違いされますが、これらは全く別物です。ストレスや残業で過労だと脳が注意力を高めています。この「認知力のポップコーン」状態では寝つきが悪くなります。身体がどれほど疲れていても長い一日の後ですぐに就寝せず、落ち着くことをまず行い、心が沈静化してから寝に行くように試みましょう。

不安や過敏な心のために眠くならないとき

私が気に入っている不眠症に有用な不安解決策の一つは感情解放テクニック (EFT)であり、基本にある問題を特定するのを助ける口頭の文言を言いながら体の特定の点をたたくことです。上のビデオで、EFTセラピストのジュリー・シフマンさんがたたいて眠くする方法を実演しています。

EFTなら心配事や恐れ、さらによき夜の睡眠を邪魔するような肉体的症状から解放されるのを助けます。これは日々の生活の不可避なストレス要因の多くに対する身体の反応を調整して乗り切りやすくさせてくれます。

ストレスを起こす要因が減ると、よく寝れます。2012年にある三重盲検の研究でEFTがコルチゾール濃度を下げ、心理的落ち込み症状を24%軽減することが発見されましたが、これはその他の試験対象の介入処置より優れる結果でした。ストレスより速く健康を害するものはほとんどないので、この効果は実に注目に値します。

米国睡眠医療アカデミー(American Academy of Sleep Medicine)の研究者らはストレスへの対応のしかた次第では直面するストレス要因の多くよりも睡眠にはるかに多大なインパクトがあることを発見しました。また、寝つきを悪くする「心の中のおしゃべり」を抑制するのに心するためのセラピーが最も効果的なことも発見しました。

その研究の主任筆者ヴィヴェック・ピライPh.D.がこう説明しています:「ストレスを起こすできごとは夜の睡眠を悪くすることがある一方、ストレスに自分がどう向かうかによってはよく寝れない数日で済むか慢性的不眠症になるのかの分かれ目になりうる」そうです。

不眠症のとき睡眠薬を避ける

どんなことをしても、睡眠薬だけは避けましょう。効果がごく僅かしかないだけではなく、副作用のほうがひどくなります。例えばBelsomraという次世代型睡眠薬はオレキシンという神経伝達物質に作用し、「脳の覚醒メッセージを拒絶する」ようにできています。

そのメーカー独自の臨床検査は偽薬対称群より6分早く寝付かせ、16分長く寝続かせたことを示しています。

しかし1,000人を超す消費者がBelsomraに対する苦情を米国食品・医薬品局(FDA)に申し立て、効果がないことから翌朝眠気がとれなかったり金縛り、心臓の問題、自殺念慮に至るような内容でした。5件の報告症例のうち1件が眠くなるどころではなく反対だったと言っています。

別の研究は、アンビエン、ルネスタ、ソナタなどの睡眠薬は平均して偽薬より寝付くまでの時間が約13分早くなり、総睡眠時間を11分延長できただけなことを発見しました。

興味深いことに参加者らはこれらの睡眠薬を飲むと最大1時間まで長く寝れたと思っていたことです。これは記憶形成を阻害する前向性健忘症によるものと考えられます。

睡眠薬を飲んだ後で起きると、実際には寝ることができなかったという事実さえ忘れる傾向があります。ソナタは依存症にさせることとも関連しています。研究によると睡眠薬は死亡やがんリスクを増大させるそうです。

自然な睡眠療法

幸いにも、もっと安全な方法があります睡眠の問題の根本原因に対処する間、一時的に自然な睡眠補助手段を利用すると寝やすくなると考えられます。以下にその一部をご紹介します:

メラトニン — 科学研究でメラトニンで眠気が増えること、寝つきがよくなり、睡眠し続けることができるようにすること、落着かせ、日中の倦怠感から回復させることがわかっています。メラトニンは体内で作られ、全く自然な物質であり、睡眠のほかにも多くの健康的効能があります。0.25 mgと少量から始め望む効果が得られるまで0.25gの増分で増やしていきます。

5-ヒドロシキトリプトファン(5-HTP) — 私が使うときにお気に入りなのが5-HTPです。5-HTPはトリプトファンににヒドロキシル基を導入したものです。これがセロトニンに変換され(つまり気分を高める)、メラトニンにまで変わる(睡眠促進)ときに血液脳関門を通過します。

この用法が優れるメラトニンの使い方であると思います。ある研究でGABA(落ち着ける効果がある神経伝達物質)と5-HTPを含む調製アミノ酸が寝付くまでの時間を縮め、睡眠時間を伸ばし、睡眠の質をよくすることが発見されました。

カノコソウの根 — カノコソウの根が寝付くまでの時間を早め、睡眠の深さ(36%早く深い眠りに入れる)と睡眠の全体的な質をよくします。

最小限の用量から始め、人によっては高い用量だと元気が出る効果があるので、望む効果を得られるまで必要な最小限の量を服用します。研究で使用した平均的投与量は400~900 mgで、就寝30 分~2時間前に摂らせています。

カモミールティー — このハーブは煎じる、ハーブ茶、液体エキスやこの植物の新鮮なまたは乾燥した花の頭から取るエッセンシャルオイルとして利用されています。鎮静効果があり睡眠を促すカモミールティーはよく就寝前に飲みます。

カンナビジオール(CBD)オイル — もう一つの手段にはCBDオイルを飲むことが挙げられます。CBDオイルは組織のバランスを回復することにより、鎮痛効果があるほか、神経の刺激や筋肉のけいれんを抑制します。リラックスもさせるのでよく寝むれるようになります。