Synthroid等の合成甲状腺薬は実際に異常を悪化させるでしょうか?

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甲状腺

甲状腺薬Synthroid(ナトリウムレボフロキシン)は製品名の通り、自然物ではありません。これは自然なホルモンであるシロキシンのような生体等価物ではなく、特性が全く異なる合成のホルモンに似た物質です。

甲状腺機能低下症の従来式療法では血液検査の項目が合成化学物質の投薬により「正常」と見られる範囲になればその「処置」は成功と見なされています。

不幸なことに、合成化学物質が甲状腺が作り続けている残りの自然なホルモンと競合するので実際には患者の生活の質は悪化します。

Dr. Mercolaのコメント

甲状腺機能低下症の方の場合、減衰したすなわち不活発になった甲状腺が適量に満たない甲状腺ホルモンしか生産できなくなっています。

不幸なことに、甲状腺機能低下症に対する従来の療法は画一的にSynthroid(レボフロキシン)という米国では4番目に最多の処方薬である合成甲状腺ホルモンが処方されます。

この薬はシロキシン(T4)という甲状腺が自然に作るホルモンと同じであると伝えられていますが、それぞれの物質の構造特性や機能特性をよく見るとこれらは実際には大きく異なる物質です。

Synthroidが甲状腺機能低下症に不適な理由

甲状腺がT4ホルモンを十分生産できなければこのホルモンを人工代替品で置換することは論理的な方法のように見えます。しかしこの薬を第一線の処置としてではなく、絶対的に最後の手段としてしか使用してはならない理由がいくつもあります。

まず何より身体に関する限り、合成Synthroidは自然の甲状腺ホルモンとは異なる物質です。

症例次第で、Synthroidが異常をさらに悪化させる場合がありますが、それは人工T4は体内の自然なT4と細胞受容体部位で競合するからです。

さらに、従来のSynthroidによるような投薬はT4を置換するだけで、身体にこれをT3(生体活性があるこのホルモンの形態であるトリヨードチロニン)に変換させています。合成甲状腺調剤T4をT3に効果的に変換できる人はほとんどおらず、T4とT3を混ぜたほうがT4のみより効果があることを研究が実証した根拠がこのことから把握できます。

T3への変換はセレニウム不足、オメガ3脂肪酸の不適切、亜鉛不足等の栄養素の欠乏や環境化学物質、さらにストレスにより阻害されます。

このためT4のみの投薬では頻繁に部分的にしか改善しません。

Synthroidはまた、処方が難しく最適な用量範囲に抑えるのが困難なことで悪名が高い薬でもあります。用量が少なすぎると甲状腺機能低下症がよくならず、多すぎれば骨折、生殖機能障害、不整脈、筋肉衰弱、不眠症、嘔吐等いくつもの重篤な副作用リスクがあり、Synthroidのウェブサイトには「その他医学的に異常な症状」が出ると書いてあります。

サプリメントが必要ならT4とT3処置を組み合わせるのがよい方法です。Armour thyroid等の天然甲状腺生成物は脱水乾燥した豚の甲状腺を原料とするT4,T3、T2の混合物です。Armour thyroidは医者が用量に関していうと不安定で信頼できないと見なしたので、長年悪名を突きつけられてきました。しかしこの製品は改善され、甲状腺機能低下症の治療に安全かつ効果的な方法として確立しました。

実際に、ある研究が甲状腺機能低下症患者はSynthroidよりArmour thyroidを投与されると気分がよくなり脳機能が大きく改善することを実証しました。

しかしこの問題で最大の課題は多くの症例においてライフスタイルを早くから変えると、根底にある異常の原因を処置することで甲状腺機能をうまく復活させられることです。甲状腺の機能を根本原因の処置によって回復させるのが最適であり、外的な甲状腺ホルモン--特に合成製品を摂るより優れています。

Synthroidでは甲状腺の問題の根底にある原因には対処できない

甲状腺ホルモンは副腎の疲労グルテンその他の食品アレルギー、ホルモンアンバランスその他諸々の甲状腺機能障害を起こしていると考えられるその他の異常が無いことを確認してからのみの投与すべきなのです。

3甲状腺機能低下につながる主な要因

食べ物や環境化学物質等多くの外的要因に対して甲状腺は脆弱です。最も大切なもの要因には次があります:

1. 食生活 — 甲状腺の最適な機能には食生活が想像以上に重要です。健康な食生活が血糖と脂質濃度を正常にし、免疫系を強めるので、甲状腺が克服すべき障害が減ります。

駄物や加工食品、人工甘味料、トランス脂肪、化学物質成分を含む物を食べないことは重要であり、代りに自然な未加工の食物であってできる限り有機品を食べるようにしましょう。

グルテン — 特定の食品に関しては、グルテンは多くの人に、自己免疫反応を引き起こすので甲状腺機能障害の最もよくある原因に含まれており、よく看過されがちな、最もよく起きる自己免疫性の甲状腺異常である橋本甲状腺炎を引き起こします。

これがいかにして起きるかというと、グルテンのために胃腸系統の機能に障害が起き、食べた物が完全に消化されなくなります(腸管壁浸漏症症候群ともいう)。これらの食物の粒子が血流に侵入し、身体はこれを抗原と間違え、体内にあってはならない物質として検出します。

そこで身体はこれに対抗するために抗体を生産します。これらの抗原は甲状腺の中の分子と似ています。従って体内では不慮に甲状腺に対する攻撃が始まります。これを自己免疫反応として知られ、すなわち自分の体が自己攻撃するわけです。

大豆 — もう一つの食品で甲状腺を典型的に悪化させるのが未発酵の大豆であり、これはイソフラボン(あるいは甲状腺しゅ誘発物質)が豊富にあり、このため甲状腺を損傷します。

現在までに数千本の研究が大豆食品と栄養失調、消化性ストレス、免疫系衰弱、認知力低下、生殖異常、不妊症その他多くの問題との関連性を突きとめており、大豆による弊害は甲状腺の損傷だけにとどまっていません。

ヨウ素 — 最後に、ヨウ素は甲状腺ホルモンの主要成分です。実際に甲状腺ホルモンの異なる形態名はヨウ素分子の結合数を表しており--T4ならヨウ素分子4個、T3は3個--甲状腺の生化学におけるヨウ素の重要な役割が示されています。

食生活でヨウ素を十分に摂っていない(ほとんどのアメリカ人は摂っていない)と、甲状腺がいかに健全でも甲状腺ホルモンを作る原材料が不足します。

2. ストレス — 甲状腺機能が副腎機能と密接に連携しているのでストレスは甲状腺の最悪の攻撃者の一つであり、副腎機能は自分が以下にストレスに応じるかによって密接な影響を受けます。

私たちの多くは恒常的にストレス下に置かれており、このためアドレナリンとコルチゾール濃度が増加し、コルチゾールが増加すると甲状腺機能に悪影響が及びます。甲状腺ホルモンはストレス期間中、実際には甲状腺ホルモンがさらに必要になる反面、ストレスによって減少します。

ストレスが慢性化すると、ストレス化学物質の洪水(アドレナリンとコルチゾール)が副腎で生産されて甲状腺ホルモンに干渉し、肥満や高血圧、高脂血症、血糖の不安定その他諸々の問題につながります。

ストレス応答が長期化すると副腎枯渇(副腎の疲労ともいう)につながり、これは甲状腺の病気と併行してしばしば検出されます。

3. 環境化学物質 — 甲状腺ホルモンは環境中の化学物質に対して極めて脆弱です。例えば塩素やフッ素、臭素はヨウ素と同じハロゲン分子なので、ヨウ素受容体において競合し合います。過剰な臭素に暴露されると必要なヨウ素を維持できなくなります。

臭素は日常生活の多くの場所に存在しており、プラスチックや農薬、浴槽処理剤、難燃剤、一部の粉製品やパン製品、さらに一部のソフトドリンクにまで含まれています。その他の甲状腺に有害な化学物質:

PFOA — PFOA(ペルフルオロオクタン酸)濃度が最も高い25%の人(>5.7ng/ml)はPFOA濃度が最も低い(<4.0ng/ml)50%の人より甲状腺疾患に二倍高い確率でなることがわかりました。PFOAは焦げ付かない調理器、染みがつかない衣類やカーペット、食品の包装その他消費財に含まれています。

過塩素酸塩 — 甲状腺機能及びホルモン生産を甲状腺のヨウ素吸収を阻害することで妨害することがわかっている内分泌かく乱物質。

過塩素酸塩はロケット燃料、花火、火炎、爆薬さらに一部の漂白剤や肥料にも使用されている化学物質です。さらに、軍事産業や花火業界で一般に使用されており、世界のいくつもの地域では現在、広範囲の土壌や水質汚染を引き起こしています。

フッ素化合物 — 米国で多くの都市水道水に添加されているフッ素化合物は特に甲状腺を損傷します。必ずしもすべての浄水フィルターがフッ素化合物を除去できるとは限らないので、自分が使う物が全て除去することを確認しましょう。この化合物はほとんどの歯磨きペーストに添加されているので、フッ素化合物無添加の歯磨きを使用しましょう。

トリクロサン — 抗菌石鹸やボディーウォッシュ、歯磨きペースト、一部の化粧品、さらに家具、キッチン用具、衣類やおもちゃにまで添加されている、細菌汚染の削減や防止のために使用される化学物質。

甲状腺が衰弱していることを判断する方法は何でしょうか?

ラボの参照範囲が特にTSH検査については不正なので、実際にラボ検査は甲状腺疾患の診断に有用ではありません。さらに、多くのケースは臨床以前のことであり、標準的なラボ計測からは検出されません。

不幸なことに、ほとんどではなくても過半数の従来式医者は甲状腺疾患の診断において、ラボの検査データしか見ず、ドライスキンや脱毛等の患者に明確に出ている兆候や症状を通常看過しています。このため甲状腺疾患の識別と自然療法を提供できる極めて知識豊富なヘルスケア実践者とともに働くことがとても重要です。

私が行ったことがある、自然療法で甲状腺疾患を処置できる主導的専門家の一人として評判があるDr. ジョン・ロウとの会見では、同氏が従来式の甲状腺検査では診断には時としては全く役に立たないことがある理由を説明していただきました。

このため、従来のラボ検査では信頼できないので、どんな兆候や症状に注意すべきでしょうか? 以下に最もよくある症状を挙げます:

倦怠

抜け毛

体重増加

ドライスキン、ドライヘア、ドライアイその他粘膜の乾燥

筋肉の異常な緊張や発痛点の発生

深部腱反射低下(アキレス腱の弛緩段階に遅れが出る症状)

甲状腺機能の自然な最適化のためのヒント

甲状腺疾患はそのままにしておくと心臓病、不妊症、筋肉衰弱、骨粗鬆症、極端な症例としては意識不明や死亡にさえ至る場合がありますが、それでも米国の半数の症例は未診断のままであると推定されます。このため、何らかの症状があればラボ検査で正常という結果が出ても甲状腺機能をよくするために処置を行うことができる余地があります。

幸いなことに、健康はいくつかの基本原則に基づいており、特定の病気に対して具体的な側面に対処する必要がある場合でも、多くの治療はほぼどの病気に対しても一様です:

栄養価の高い食事をすること(糖分や穀類が少なめで、主に有機品の食生活は最適な栄養を得られ、抗炎症効果がある) エクササイズ
大豆を避ける 水や歯磨きペースを含め、フッ素化合物のあらゆる源を避ける
ホルモンの正常化 薬(ほぼ全ての薬はアンバランスをきたすので、副作用や健康悪化につながる)や環境毒素を避ける
ストレス対策

この「処方」は甲状腺疾患の場合でも特に変わったことはなく、勧める内容をカスタム化できるヘルスケアの実践者とコラボすることを勧めますが、自分の特定の状況に合うもっと具体的な項目を追加しましょう。

甲状腺の一般的支持に使える追加的なヒントや甲状腺が機能低下している場合の処置のためには次の項目を試してください:

ミネラルやヨウ素が豊富なので海藻等の海のお野菜を豊富に食べる(ひじき、わかめ、のり)。(汚染されていない海域産であることが前提です)

日光によく当たりビタミンD濃度を最適化する。しかし日光が限られている場所にお住まいの方は日焼けベッドやビタミンD3のサプリが必要かもしれません

セレニウムが豊富なのでブラジルナッツを食べる

飲料水と入浴用の水をろ過する

ビタミンAが豊富な食品例えばタンポポの葉、にんじん、ほうれん草、ケール、スイスチャード(不断草)、コラードグリーン、さつまいもを食べる

オキアミ油等の動物性オメガ3脂肪も十分に摂るようにしてください

料理には純水な有機のココナッツオイルを使用する--多くの異なる肉や野菜を揚げたり焼くのに最適です

赤外線サウナで身体が感染と闘い、石油化学品や金属、PCB、農薬、水銀から解毒するのを助けましょう

自宅やオフィスの空気をフィルターに通すのは環境汚染物質を除去する一つの方法としてお勧めします