ボウエンテクニックで背中下部の痛みを解消

背中下部が痛い男性

早分かり -

  • ボウエンテクニックは中枢神経系及び末梢自律神経系を刺激することにより筋肉痛や筋肉の疼痛を和らげることが可能な強力なテクニックです
  • ボウエンテクニックの主目的は身体の構造的一貫性を復元して疼痛や生理的機能障害を解消することで、ボウエンテクニックを行うと多段階的に身体が再統合され、日常の正常なホメオスタシスの限度を回復してこれを維持できます
  • 世界人口の約 80% は人生の間にはいつか背中下部の痛みが起きており、背中下部の痛みは身体障害の世界的主要因となっています
  • 背中下部の痛みが直接的な衝撃による負傷で発生するような事例を除くと、この疼痛や部位は典型的には背中下部の痛みが起きるよりはるかに長期にわたる全身のアンバランスによるものです
  • 一例として、患者は悪化する背中下部の痛み及び慢性 TMJ(顎関節)異常あるいは TMD(顎関節機能障害)がしばしば発生し、これを本人や医師、ヘルスケア従事者が見過ごしてきたものが多く、たいしたことないとして問題視しなかったりあるいは背中下部の痛みの状態と関連づけることは愚かか単に把握できていないのです
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Dr. マイケル ニクソン・リビー

概要

背中下部の痛みは現代人の最も頻繁に起き課題が多く収まらない問題が多い健康の異常の一つです。

現代の先端医療や科学研究によって新しい発見が急速になされていますが、この世界的健康の異常が増加の一途にあるという否定しえない事実に伴い見るからに悪化する状況を緩和する方策はありません。顕著なデータがいくつかあります:

世界では思春期から高齢者までの人口のうち約 80% が生きているうちにはいつか背中下部の痛みを被るそうです。

当面世界で 10 人に 1 人が背中下部の痛みに悩み、これが身体障害の主な原因になっています。

過去十年間の様々な調査によると背中下部の痛みに悩む人々はこの異常のために仕事や日常のタスク、エクササイズ、睡眠、社会活動、情緒、結局生活の質に悪影響していると答えています。

プレスティージュの高い医療専門誌 The Lancet に掲載された一連のペーパーの編集者らがこう説明しています:背中下部の痛みは世界で推定 5 億 4000 万人に発生しており、そのほとんどの人は最優良処置ガイドラインに沿っていない方法で治療を受けています。

究極的には背中下部の痛みに悩む 10 人中 1 人においてはこの異常の主な原因の驚くべき90% が全く不明なままなのです。

背中下部の痛みをボウエンテクニックで解消する

これまでの説明を念頭に置くと背中下部の痛みを解決することは人それぞれの状況や背中下部の痛む程度が異なり、多くの要因が複合し、単一の治療または多要因のアプローチが必要となっていると考えられるので、課題の多いことを容易に把握できます。

この記事は背中下部の痛みを解消しようとする他のアプローチや方法論を批判するためではなく、おそらくあまり知られていないが当面主流の方法よりきっと効果が上がる他の方法があるということに注目していただくためのものです。

さらに、ボウエンテクニックは過去25年間に世界中で数百万人の背中下部の痛みに悩む人の生活をよくした著しく効果的な筋骨格的方法の一つであり、今後も年ごとにそうあり続け、極めてシンプルでそれと等しく大いに頼りがいがあり続けるでしょう。

症状以前に全身

過去 30 年間に患者からも様々な医療関係者からも私が聞いてきた最も典型的で共通しており確信に満ちた思い込みの一つが、背中下部の痛みは背中下部自体に発しておりここに原因があるというものでした。

従ってこの思い込みと整合的な考えとして、治療は痛む背中下部に対して行うべきということです。

患者がはみ出た椎間板が隣接する神経を圧迫している自分の脊椎の MRI(磁気共鳴画像)を持って来れば当然私たちはこれが疼痛に関係していることには同意せざるをえません。

患者の期待は私にとって明確な問題がある個所を治療することであり、このことはまったくもってうなずける姿勢です。

しかし背中下部の痛みが直接的衝撃による負傷が原因の場合を除くと、 数千件の症例でこの異常と部位が背中下部の痛み自体よりはるかに長期間起きていた全身のアンバランスによる「帰結的発現」ないし「顕現」であるといったほうがよいことに気づきました。

全身のアンバランスは急性から慢性におよび、性質としては萎縮性にも及びます。こうしたアンバランスは 2 つの理由により「全身的」であるといいます。

一つはアンバランスは同時に発生しており、複数系統間で相互依存的に機能するからです。神経筋肉、筋膜、骨格、内臓、内分泌系統さらに脳さえ最終的に背中下部の痛みの異常となって現れる一つのパターンに関与していると考えられます。

二つ目はアンバランスが「全身的」と言われる理由は人間の組織が最適に機能し無痛状態でいられるようにするために依存している自然な自己調節能力に干渉するからです。

構造面でいうとこの連関性は横隔膜、腰帯、脊柱、頭蓋の間の継続的同期的旋律的関係によって特徴付けられます。この関係が崩れると、まず機能障害、次に疼痛につながります。

一例として、患者は悪化する背中下部の痛みと同時に慢性 TMJ あるいは TMD(顎関節機能障害)がしばしば発生し、これを本人や医師、ヘルスケア従事者が見過ごしてきたものが多く、たいしたことないとして問題視しなかったりあるいは背中下部の痛みの状チアと関連づけることは愚か単に把握できていないのです。

その結果背中下部の痛みを対象とした腰椎の矯正は一時的な軽減にはつながる場合もありますが、長期的な解決策にはなりません、それは単に身体の重心である「仙骨」は身体最上部構造の「頭蓋」および補助要素(顎関節機能障害を含む)に依存して動的均衡を維持しているからです。しかもこの決まり事は逆方向にも適用されます。

顎関節機能障害を矯正して安定化させて初めて頭蓋環椎頸椎の適性な統合及びこれによる適正な腰仙骨盤統合が可能になります。これが可能になってこそ適切な神経筋肉骨格の関連性が横隔膜、腰帯、脊椎、頭蓋の間で復元されます。

その結果、腰椎の周囲やここに印加される慢性的張力や圧力から解放されます。

上記の特殊な状況を解決するため、一回の練習に 30 ~ 45 分を費やすボウエンテクニックには少なくとも腰椎、反り腰、頸椎、仙骨、横隔膜、肩、顎関節機能障害の調整を含むべきです。

手順の選択

ボウエンテクニックにおいてどの手順で患者別に固有の発症パターンを解消すべきか選択することは、腰椎、反り腰、頸椎、仙骨、横隔膜の調整などいくつかの「体幹」手順を常時含むことにかかっており、次にその他の緊張や疼痛部位に対応する手順を加えるようにするのです。

一人の患者にボウエンテクニックセッションをカスタム化する手順を選択することはセッション開始前に一部を決め、コーチが緊張部位や疼痛部位を特定するに伴うセッション実行中に一部を決める率直なプロセスなのです。

後天的全身のアンバランスがいかに背中下部の痛みに至るかあるいは正にその他数多くの、首や肩、膝、内蔵の疼痛等局部の疼痛異常や自律神経失調さらにその他諸々のことに至る場合があるかを示す無数の症例が存在します。

背中下部の痛みの異常がボウエンテクニックを数回行ったら解消するばかりではなく、その他いくつもの併存疾患も解消することは当然のことです。当然のことながら患者が従来行ってきたことや今でも毎日継続して行っていることがこうした体組織異常に寄与した可能性があることを特定できることは当然妥当性があります。

コンピュータで仕事中長時間座り続けているでしょうか?明らかにこれは悪い姿勢に視覚的、感情的ストレス要因等異なるストレス要因が合わさって患者が顎関節機能機能障害を起こしやすくなるようなくいしばり及び摩擦の体質になる状況に至りやすいです。

明らかに食生活と保湿性がこの文脈においては、高度のストレス関連の、例えば糖質質依存ががさらに内臓や神経、感情を刺激するようになり、このためくいしばり及び摩擦の体質、顎関節機能障害の問題が起きやすくなるので大きく作用しています。

人々の健康レベルが今後何世代にわたって改善されるための唯一の方法は一人一人が自分の健康に自己責任を負い、このことを最優先する姿勢です。当然のことながらあらゆる確信を持つ医師は必要ですが、個人が自分で自分の健康を管理することでかなりのことを達成できることは確かです。

筋肉の緊張調節に掛かっている

ボウエンテクニックの設計が基盤としている一つの原理があるとすれば、いかに、なぜこれがとても簡素でありながらも深く効くかは、不規則な「マクロとミクロの」筋肉及び身体全体筋膜の「緊張パターン」の解消なのです。結局のところ「テンセグリティ」の最適化が目標です!

tensegity model
この簡素なテンセグリティモデルはケーブル(筋肉)のバランスが取れ、オレンジの棒(骨)がこれに従い、結局神経機能や生理機能が最適になります

マクロの意味では、典型的な筋肉の緊張パターンには片側大腿屈筋、片側大殿筋、中殿筋、脊柱起立筋、横隔膜筋が関与すると考えられます。ミクロにおいて、典型的な筋肉の緊張パターンには片側胸鎖乳突筋、舌骨筋、咬筋、外側翼突筋、側頭筋が関与すると考えられます。

poor tensegrity

テンセグリティが悪い = 疼痛及び機能障害

good tensegrity

テンセグリティが優れる = 頑丈な生理機能と健康

ちょっと見はこれほどの筋肉パターンを解きほぐすことを考えるのは複雑なように見えますが、緊張している身体のどの部位にも関わる簡素な解放シーケンスケンスに従うことによりこの対策がとても簡単になります。

このシーケンスは、特に最近 25 年間で数百万人の背中下部の痛みその他さまざまな異常を解決した実績があります。例えば、腰椎第 9 番を全部両側とも解放すると、とても単純なことにも拘らず、解放のなかでも最も複雑な部類のことを行っていることになるのです。

換言するとすぐに身に付きすぐに再現できるこのシーケンスは複雑ではありません。両側胸郭解放が合計 5 つで、これに頸部が加わり、6 つになります。以下に典型的なボウエンテクニックによる解放または PRI ムーブについていくつかイメージをご紹介します。

腰椎 PRI ムーブ

腰椎 PRI ムーブ

反り腰 PRI ムーブ

反り腰 PRI ムーブ

頸椎 PRI ムーブ

頸椎 PRI ムーブ

ボウエンテクニック PRI ムーブ

PRI ムーブはおそらくボウエンテクニックにより可能な解放システムのカギとなる動作です。これは最初はアーニー・ソンダーズ(1880年~1951年)というオーストラリアのメルボルンでスポーツ医療専門家だった人が開発し、後に著名なオーストラリアの整骨医トーマス・アンブローズ・ボウエン(1916年~1982年)が高度化したもので、この人の成果がボウエンテクニックによる解放システムの大部分の発想の起点をなします。

PRI ムーブとは、皮膚と筋膜を対象の基礎構造(筋肉、神経、腱、靭帯)の上でストレッチしてこの構造を背圧で接触させ、次に構造を横断するかたちで応答するに伴いドスンと動かすあるいはシフトさせるという同じ共通する形式を共有するボウエンテクニックで行う各解放動作を意味します。

この応答が動作を適用する構造だけではなく離れた構造にもに「排出パルス反応」を引き起こし、このため PRI ムーブと名付けられたもので、これは固有受容器転がしパルス動作という意味です。

一連の PRI ムーブは一種の「固有受容器刺激点」を生むようであり、この際筋肉群が素早く普通の神経筋肉状態に再キャリブレーションされるというものです。その結果生じる効果は筋肉の緊張が急速に解け、疼痛が解消し、これに関係性、明晰性、エネルギーレベルアップの感覚が伴います。

筋肉の緊張の兆候

背中下部の痛みに苦しく多くの患者は関連していなそうなその他の筋膜や筋骨格の問題もあって、これらが実際にすべて身体の緊張系統では正常な状態にないのです。次は背中下部の痛みを訴える人の症状一覧ですが、本人は背中下部の痛みと関連しているとは気づいていません:

全身のこわばりや痛み、疼痛

曲げやひねり動作のときの疼痛

歩く間の疼痛やこわばり

着座姿勢から立つそして横たわるという動作の流れの中で感じる疼痛

エネルギー低下、倦怠、うっとうしさ

うつ状態や無気力

怒りっぽさや陰性

頭痛

脳霧と記憶力減退

腸や膀胱の機能障害

呼吸困難

睡眠不足

性欲減退

ボウエンテクニックを数回行った後背中下部の痛みが解消するばかりではなく、二次的なその他多くの症状も同時に解消するので、しばしば患者は喜ばしい驚きに襲われます。

ボウエンテクニックにより達成された成果

背中下部の痛みを対象とした一般臨床クリニックでのボウエンテクニックを使った成果は真に抜群であり、以下のようなものに分類されます:

  • 85% の患者は解消を実感するまで 1 回から 3 回の練習で済む
  • 10% の患者は解消を実感するまで 4 回から 6 回の練習で済む
  • 5% の患者は疼痛解消状態を維持するために 7 日から 14 日間を置いて継続的練習が必要

これらのデータは私がオーストラリアやフランス、ドイツ、ポーランドの自分のクリニックで数万人の患者を診てきた過去 30 年間の実績ですが、これらは私の所のボウエンテクニック指導者が達成しているのとも一致しています。

私の知る限り現在世界に約 5,500 人のボウエンテクニック指導者が日常ボウエンテクニックを実践し、一人に対して彼らが皆世界共通して同じようにかなりの成果が上がることが予想つくので同じように優れているようです。