Dr. Mercolaより
アルカリ水の売上は 2014 年に $4700 万だったのが 2017 年に $4 億 2700 万へ飛躍しました。マーケッターはアルカリ水は体内組織の余分な酸度を補正できるので、がんや関節炎その他の萎縮性疾患を予防し逆転することができると主張します。
しかし、こうした主張を裏付けるエビデンスはほぼ皆無であり、私は 8 年前によくアルカリ水を飲むことについて警告していました。その一方水素分子は多くの健康へのメリットがあり、その一部はアルカリ水のために行われる主張と同じで — それには本当によい根拠があります。
ここではこれらの 2 種類の水さらにそれぞれについての科学的裏付け(または根拠のなさ)、また水素分子のメリットがいかに不適切に - 主に無知がゆえに - アルカリ水についても言われるようになったかについて見直そうと思います。
アルカリ水は電気分解によりアルカリと酸成分に分離した水です。アルカリ水の背後にある理論は、アルカリ(イオン化)水は危険なフリーラジカルを「モップで拭き取る」ことができる余剰電子による強力な抗酸化物質です。アルワ・マーダウィ氏が The Guardian 紙でこう報告しています:
「カルガリー大学の非常勤教授でありカナダ栄養士団体(Dietitians of Canada)のエビデンスアナリストの Dr.テイニス・フェントンが私に話したところでは、アルカリ水の背景にあるマーケティングの主張は酸灰仮説という古い考えに基づいています。
この考えの推測するのは肉や乳製品、玉子等特定の食品を食べると体内に酸灰というものができ、これが酸度を高め、骨粗鬆症を含む重篤な健康への影響を引き起こすというものです。
2002 年にロバート・O・ヤングという代替医療実践家がこの酸灰仮説を「一時流行り」のアルカリ食に仕立て上げ、一連の pH ミラクルという書籍を出しました。
これらの本によると、アルカリ食は消化不良からがんまであらゆる苦痛を治療しうるというものでした。一方、2017 年にヤングは無免許で医療営業を行ったため 3 年投獄される判決を受けました。」
フェントン氏 — アルカリ水とがんの間の関連性について系統的レビューの筆者 — によると、アルカリ水によるいい結果を示す数件の研究は貧弱な企画であり、同氏はアルカリ水が健康のメリットを生むことを示す「綿密なエビデンスは存在しない」という結論に至りました。
この見解は分子遺伝学理学修士号を持つランディー・ジョンソン氏も共有しており、同氏によるエビデンスの評価は Cyber Nook ウェブサイトのページ「Drinking Water Resources:A Review of the Evidence Alleged to Support Health Benefits of Alkaline Water」(飲料水資源:アルカリ水の健康的メリットを裏付けると主張されるエビデンスの批判的検証)をご参照ください。
アルカリ水の消費がなぜアルカリ度に伴う健康へのメリットをもたらしてくれないかは、血液や体内の pH をこの方法では変えられないからです。フェントン氏は次のように説明しています:
「体内の全酵素は pH 7.4 で機能するようにできているので、身体は[血液の] pH を極めて狭い範囲に調節しています。体内 pH の変動が大きすぎると生き延びられなくなります。」
しかし飲み水を含む食生活は尿の pH を変えることがあります。尿は通常 pH 6 前後の酸性で、これは腎臓が正常に機能していることの印です。アルカリ水を飲んだときに人が言うメリットに関しては、フェントン氏が偽薬効果のせいではないかと言っています。
最初の改善は単にもっと水を飲むことによる全体的な解毒作用や保湿の改善にもよるものであると考えられます。最後に、アルカリ水は特に食品からの栄養摂取量が低いときにメリットがあることが知られているミネラル濃度が高いこととよく関連づけられます。
体内 - または水 - の酸度やアルカリ度の概念はpH尺度に基づいたものです。pH とは何か? 水素イオン濃度の尺度です。実際にこの「pH」は「水素イオン指数」の略語です。
液体の pH が高いほど遊離水素イオン(H+)が少なく、pH が低いほど、遊離水素イオン(H+)が多くなります。pH 一単位はイオン濃度が 10 倍変化することを表しており、pH 7 では pH 8 より水素イオンが 10 倍あります。
pH 尺度は 0 ~ 14 の範囲で、pH 7 は中性です。pH 7 未満は酸性、pH 7 を超えるとアルカリ(または塩基性)といいます。
しかし、アルカリ水はスキャムである理由はpHを維持するバッファーがないことです。アルカル水が強酸性の胃に入るや否や、バッファーがないので pH は中和されます。真のアルカリ水は重曹(炭酸水素ナトリウム)などのアルカリバッファーであり、これは体内の自然なアルカリバッファーでもあります。
胃の酸がアルカリ水を中和するので、炭酸イオンが血液中に放出され、これでアルカリ化する効果が出ると主張する人もいました。アルカリ水が胃酸を全て効果的に中和(重曹ならこれが可能)したならこの主張は事実になりますが、アルカリ水では有意な量の遺産を中和せず、胃酸がアルカリ水を完全に打ち消してしまいます。従って、「正味のアルカリ化効果」はありません。
地球上の天然水は周囲の土壌や植生、季節変動、天候、さらには一日のうちの時間や日光への反応によって pH 6.5 ~ 8.5 までに渡ります。有毒な工業汚染物質の弾幕によるような人間の活動がさらに水の pH に影響します。
注目すべきは、pH がミトコンドリアに大きく影響するようです。正常な細胞は極度のアルカリ状態ではミトコンドリアの機能が変化する結果死ぬことをある研究が示しました。
従って、フェントン氏が説明するように、「アルカリ水は解決する必要のない問題へのソリューションです。」自然な水を飲めば済むことで意味をなしており、自然な水とは pH 9.5 以上のアルカリ水を除きます。
興味深いことに、酸灰仮説を採用してそれによって経営していたヤング氏以外にも、アルカリ水神話が定着した理由を説明するのに有用なもう一つのストーリーが存在します。水素分子研究所(Molecular Hydrogen Institute)は電気分解還元水すなわち ERW(科学的文献の中でアルカリ水に対して使われる最も共通した用語)の沿革を説明しています。
「ERW に関する研究は日本で 1930 年代に始まり、1965 年に厚生省が ERWを胃腸の症状を改善する潜在力を持つ医用物質として認可しました。
その後数十年間、次のような ERW の多くのその他のメリットを根拠づける逸話的、科学的エビデンスが蓄積しました: DNA を急激な損傷から保護、グルコース吸収性の増加、糖尿病改善、未熟な細胞の死の防ぎ、レバー保護、リピッドの酸化その他のこと。しかし、ERW がいかにこうしたメリットを生むのかについては不明でした。」
残念ながら、これが pH についての誤解がいかに生じたかを示しているのです。しかしこの研究所が説明するように「効能の主な要因として今では溶解している水素ガス分子であることが十分認識され」ています。従って、まとめていうと何かメリットがあるなら、水素分子があるからで、水の pH とは関係ありません。水素ガス研究者 Dr.キュジェ・リーがこう説明します:
「1990 年代私はアルカリイオン水について研究し始め、この抗酸化物質、抗がん、抗糖尿病効果について科学的記事を出版しましたが、その水になぜ効能があるかを真には把握していませんでした。信じ難いことでした。さらに調べたらアルカリイオン水の効能が電気分解で発生する水素ガスによるものであることを今や認識しています。」
別の研究者マミ・ノダ Ph.D.はこう説明します:
「水の全変数(ミネラル成分や pH、H2 等)をテストしたら H2 のみに効能があることがわかりました。MPTP で誘発したマウスのパーキンソン病モデルに関する私たちの 2009 年の出版でもH2 によるメリットがある効果を示していました。
その後私たちはこのモデルにおけるメリットは ß1 アドレナリン受容に依存する経路を経由したH2 誘発の胃中グレリンの分泌により媒介されていることを特定しましたパーキンソン病への水素の効果は人間の臨床検査によりすでにわかっていますが、H2 の治療効果を生む分子的メカニズムを明確に把握するためにはさらなる研究が必要です。
水素はとても安全であり、管理しやすく、有望な医療的効果があるので、薬理学者としての自分は画期的医用ガスとして H2 の研究を続ける義務があると感じています。」
水素分子(H2)— 水素原子が 2 個結合したもの — はほとんどの有害なフリーラジカルを特に標的にしている極めて独特で選択的抗酸化効果を持つガスです。このガスは必要なときに細胞の還元酸化状態を改善したり最適化することで主に機能しています。
結果として、例えばスーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオン濃度がよくなります。水素は大部分の有毒な基を選択的に還元するだけではなく、最初から過剰なフリーラジカル(これが毒性を持つ)を発生させません。これは極めて強力な予防メカニズムです。
H2 は必要なときに Nrf2 経路も活性化します。Nrf2 は活性化すると細胞の核の中に入り、DNAの中の抗酸化応答要素と結合する転写因子です。次にグルタチオン、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオン・ペルオキシダーゼ、フェーズ II 酵素、ヘム – 1 オキシゲナーゼその他多くの細胞を保護する酵素の転写を誘発します。
水素分子についてのランドマーク的研究は 2007 年に Nature Medicine に掲載されたある論文で、ここでは 2% の水素ガスで虚血・再灌流による脳損傷を予防するのに効果があり、抗酸化物質としては、治療用に利用して強力な効果があがることがわかりました。
水素は全宇宙の中で最小の分子であり、中性かつ極性がなく、これがために生体利用能がとても高いのです。水に溶かしても電子と陽子に分かれず、水や体内の pH を変えず、アルカリ水のコンセプトとは何ら関係がありません。
1,000 件を超すピアレビューを経た科学的出版のすべてが、H2 には 170 以上のヒト及び動物の病気モデルで治療用の潜在性があることを実証しています。実際に、水素は人体のほぼどの器官にもメリットがあることがわかっており、これは水素が炎症や酸化の根本原因を標的とし、これを緩和するからです。
水素分子の機序について詳しくお知りになりたければ「The Remarkable Benefits of Molecular Hydrogen」で私がこの分野では世界的エキスパートで研究者のタイラー・W・ルバロン氏にインタビューしていますのでご覧ください。すぐアクセスできるようにこのインタビューのリンクを下記からご利用になれます。
アルカリとアルカリ度の問題も混同を招いているもう一つの原因です。これらの用語は同義ではなく、科学的見地から別の意味を持っています。このこともアルカリ水に本来認められないはずの価値を人々が見出した理由の一部をなすものと考えられます。U.S. Water Systems のマーク・ティモンズ CEO はこう説明しています:
「身体をアルカリ性にするとは、身体に適正 pH を維持する能力を与えることを意味しますが、これを行うにはアルカリ度のある水が必要で、アルカリ水ではありません。pH は単に酸度やアルカリ度の尺度にすぎず、酸を中和する能力を示すものではありません。体は pH に基づいてアルカリ化できず、アルカリ度に基づいてそうできるのです。
アルカリ度は重炭酸塩の和であるバッファーで酸を中和する能力を測ります。アルカリ度はmg/L で測ります。アルカリ性の鉱物化合物にはカルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、マンガン、鉄が含まれます。従って、体にアルカリ度を付加することが必要ですが、pHはこのアルカリ度とは全く関係しないことを把握すべきです。
重点事例:ほうれん草ジュースは pH 6.4 ですが、アルカリ度は 2,250 mg/L あります。グラス一杯の水に小さじ半分の重曹を加えると、アルカリ度は 1,500 mg/L になります。これと市販の多くのアルカリフィルターのどれかと比較してください。ほとんどのフィルターはたった数 mg/Lのアルカリ度しか付加せず、しかも耐用量はたったの数ガロンまでです。」
アルカリ水を飲むとよいと言われる健康へのメリットの一つはがん予防です。しかし、がん治療となるとアルカリ度に対しては多くの研究が実に反対論を唱えます。
モフィットがんセンターで腫瘍形成と酸度について研究したロバート・ギリーズ氏によると、腫瘍はその本質上独自の酸度を作り、これは細胞の組成がアルカリ性でも起きます。
細胞内 pH の調節に干渉することにより選択的に腫瘍細胞を殺す抗がん剤試作を開発している科学者らもアルカリによる処置に望まれる効果がなく、強酸処置のほうが効果があることを報告しています!
さらに興味深いのはがん治療のためにビタミン C(アスコルビン酸)を再検討した米国国立がん研究所による 2005 年のある研究です。その研究は薬理学的用量を静脈内に投与したアスコルビン酸が正常な細胞を殺さずにがん細胞を殺すことを発見しました。
このことはガン細胞がアルカリ度に反し酸度に対して脆弱なことのもう一例です。従って、早とちりの結論に飛びついた者によりアルカリ度とがんの間の関係が乱暴に甚だしく単純化されたことは明らかなようです。
まとめとして、アルカリ水を飲んでもたいした効果があるとはいえません。お金の無駄になるだけのようです。一方、水素水は毎日飲む限り、広範な健康へのメリットがあります。私は日常これを飲んでいます。
水素は様々な吸入具や水素を生成する錠剤やすぐ飲める(プラスチック入りではなく)缶入り水素ドリンクで摂り込めます。水素分子の取り込みと排出、作用、治療用の潜在性、高品質製品を得る方法についての情報は、ルバロン氏とのインタビューをご参照ください。
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