一酸化窒素ダンプを生活に取り込む

エクササイズ

早分かり -

  • 一酸化窒素ダンプエクササイズは一酸化窒素(NO)の体内放出を刺激するので、ミトコンドリアの健康をよくし、加齢による筋肉の減少を遅延させ、心臓の健康を増進します
  • たった4つの動き — スクワット、腕の左右交互上げ、飛躍しないでする背伸び、ショルダープレス — を10回ずつ反復するのを各4セットするだけです
  • エクササイズに3~4分しか要さず、一日に3回反復し、各回の間に少なくとも2時間置きます
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Dr. Mercolaより

一日に3回、一回3~4分だけ健康のために時間をさく余裕がありませんか?最適な集中運動エクササイズの一つ — 一酸化窒素ダンプ — を行うためにその時間を使うとミトコンドリアの健康をよくして加齢に伴う筋肉減少を遅延させられます。事実として、フルタイムで勤務している方は一日13時間座っており、次に平均8時間睡眠しています。これすなわち一日に21時間も二本足で立っていない状態 にあるわけです!

人間の体はこのために設計されてはいません。身体はこれよりはるかに活発なときに最適であり、一日に数回運動を瞬発的に行うと最適な効果を得られます。一酸化窒素(NO)は血管内壁(内皮)に貯蔵されている溶解性ガスです。NOはアミノ酸のLアルギニンをもとに内皮細胞内で生産され、全身の重要な信号伝達分子として機能します。

NOは健康的な内皮機能や心臓の健康を増進するのに伴い、静脈や動脈を拡張し易くして血流をさらさらにします。このため生命維持に欠かせない酸素と栄養分が全身を自由に流れます。NOはまた、細胞のエネルギー備蓄場所であるミトコンドリアの健康のために保護的役割を果たしており、全ての新陳代謝機能のために必要なエネルギーがここで利用されます。

ミトコンドリアが1%~2%程度しかない骨格筋でさえこれらのエネルギー生産要素に依存して毎日の全身の動きに燃料を供給しています。エクササイズして筋肉痛があれば、これは酸素が切れるからで、このため体内ではNOを放出して補償します(血管を拡張して酸素の供給を容易にしている)。

このプロセスで筋肉がつきますが、あまりよく知られていない秘訣があります。運動すると90秒たらずで血管は貯蔵していた一酸化窒素を使い果たし、これをさらに生産し始めます。Dr.ザック・ブッシュは「大きい筋肉をそれぞれ90秒運動させることで筋肉の調子をよくして筋肉を付けるために最も効率性の高い運動になります」と、説明しています。2Dr.ザック・ブッシュは一酸化窒素ダンプエクササイズという筋肉を付け、それ以外にも多くの効能があるNO放出を刺激するように特に設計されている運動の開発者です。

一回3~4分一日3回反復がよいわけ

これはあまりにも聞こえがよいので信じられないかもしれませんが、身体のNO生成パワーを養う方法がわかると短時間で実際により多くを得られます!集中運動を短時間で瞬発的に行うのが最適で、NOの場合は一酸化窒素が体内で合成されて次の放出準備ができるまでにかかる時間に相当する少なくとも2時間を毎回の運動の間に置くのが大切なのです。

「身体は数時間おきに一酸化窒素を再生する能力があるので、一日に数回の放出機会があります」、とブッシュ氏は言います。「つまり、筋肉機能を増すための最も効果的な方法は数時間おきに短時間運動すると効果があることです。」この他にも一酸化窒素ダンプエクササイズは16の最も大きい筋肉群を統合して、全身エクササイズになります。

陽に当たるようなNO放出を刺激する他の方法とは異なり、このエクササイズは一日のうちの天気や時刻に依存しません。事実上どこでもでき、個人別の身体の調子に合います。一酸化窒素ダンプが一種の高強度インターバルトレーニング(HIIT)であることを念頭においてください。この運動は典型的な中度から軽度のジム運動より瞬時に研究からより優れるフィットネスになり、健康を増進するものであることがわかっています。例:

  • HIITは動脈硬化を減らし、2型糖尿病の人の安静時心拍数を下げ、さらにこの異常がある人の心臓血管合併症の負荷を減らすと考えられる
  • HIITはインスリン感受性を改善し、加齢に伴う心臓代謝系の病気のリスク要因を軽減することで高齢者の代謝を大幅に健全にする
  • 39件の研究に関するあるメタ分析から「HIITは腹腔や内蔵の脂肪質量を含む脂肪質量の堆積を減らすのに時間能率のよい戦略である」と評価している
  • 体重過剰及び肥満の成人に関するある研究では、HIITと中度の連続的集中運動で10週間の間に体組成に同様の改善が見られたが、HIITはこれらのメリットを得るためにおよそ40%少ない時間でトレーニングすれば済むことがわかった

一酸化窒素ダンプエクササイズはNOの放出を刺激することで免疫機能も改善し、血液を希釈し、さらさらにするので血小板の凝集を削減することから特に効能がよいものです。血小板の凝集は心臓発作とか脳卒中を引き起こすおそれがある血栓の発生を予防すると考えられます。加齢にともない、NOの生産は減少するので、この簡単で素早くできるエクササイズなら時間の宿命に対抗するための一つの方法になります。

4分の一酸化窒素ダンプエクササイズ

ブッシュ氏のエクササイズ(上記)と私のバージョンのもの(下記)をそれぞれご覧いただけます。主な動作は同じですが、鼻はNOの放出を含め30種類を超す体内プロセスを調節しているので、口を使わず鼻で息をし続けることに注意してください。

このエクササイズをするには4つの動きを身につけるだけです。10回反復を4セットから始め、次に自分の体力増大に応じて20回反復へ増やします。進歩するにともないウェート(私は約3.5kgを使用します)も用いることができますが、ほとんどの人は最初のうちはウェートを使わずに始めるとよいでしょう。

このエクササイズを一日に3回行い、毎回のエクササイズに少なくとも2時間間をおきます。しかし、回復中の方やよく眠れなかった翌日とかきつい運動をした後なら、このエクササイズはしないで構いません。形が重要なので、最初は遅いペースで行うとしてもどの動きも正しく行う必要があります。

スクワット(10回)

  • 両足を腰幅に開いて立ち、両足は平行にし、つま先は真っすぐ前を向き、体重を踵と足先の腹の部分に均等に配分する。
  • 四頭筋を働かせたまま10回のスクワットを速く連続して行う。両腕を前に出してバランスを取りながらお尻は椅子に座るつもりで後ろへ突き出す格好になります。膝や背中の痛みがあれば浅めのスクワットで構いません。

左右交互に腕上げ(10回)

  • 90°に左右の腕を交互に振り上げる
  • 形をしっかりと維持し、腕を高すぎず低すぎず筋肉を制御して振る

この動きは腕の一番上で肩の頂点に掛けてある丸みのある三角状の筋肉、三角筋の中のいくつもの筋肉を鍛えます。

ジャック(ジャンプしない飛び上がり姿勢伸ばし、10回)

  • 両腕をぶら下げたまま直立し、拳を骨盤の前に着けた姿勢を取る。
  • 拳を骨盤から離して頭の上で触るように両腕を大きく回転させて上げる。
  • 又両腕を大きく回して降ろし、拳は一番下で触れ合う動きを10回。

肩関節に問題があれば、次のバージョンをお試しください:

  • 両手を胸の前で祈るように合わせて始める。
  • 合掌したまま両腕を頭上へ伸ばす。
  • 両腕を横へ回して降ろしていき、最後は最初の祈りの姿勢に戻す。10回反復。

ショルダープレス(10回)

  • 頭の各側に肩の上で拳をかざし、肘は曲がる。
  • 両腕を頭上へ真っすぐ伸ばす。
  • 拳が肩の真上になるまで元の位置へ戻す動作を10回繰り返す。

これが終わった時指先がむずむずする感じがするはずで、これは一酸化窒素が体内を自由に流れている徴なのでとてもよい兆候です。一酸化窒素ダンプエクササイズの行い方について下のインフォグラフィックに詳しく全動作をご説明してありますので、すぐに参照できます。

一酸化窒素を増やす他の方法はあるでしょうか?

一酸化窒素を生産する身体の能力は10歳年を取るごとに10%ずつ減るので、特に加齢に伴い一酸化窒素の生産を増やすための対策をすることは重要です。これを行う一つの方法としては、成分として自然に存在する硝酸塩が体内でNOに変換されるビート(甜菜、サトウダイコン)を食べることです。生ビートはエクササイズ中のスタミナを16%アップし、ビート濃縮ジュースで心不全患者がよくなりましたが、これらは両方ともNOが増えたおかげです。

ビートを使う一つの欠点は高糖質であることで、このため私は適度な量にするか発酵食を勧めています。生でなく発酵したビートなら高い糖質を心配せずに生ビートの健康増進効果をすべて得ることができます。これは、発酵過程で生じる善玉菌が自然に含まれる糖質を大部分消費するからです。

濃緑色野菜も体内でNOに変換される自然に含まれる硝酸塩を豊富に含んでいます。濃緑色野菜は実際に1回のお食事分にビートより多くの硝酸塩を含み、アルグラがその含有量では野菜の中でもNo. 1で、次にルバーブが続きます。ニンニクは硝酸塩は少ないですが、一酸化窒素合成(NOS)を増加することでLアルギニンをビタミンB2やB3等の共通因子の存在下においてNOに変換するので、NO生産を増やします。

すでに述べましたが、表に出て陽に当たることによっても、紫外線のうちUVAが皮膚に当たると一酸化窒素が血流に放出されるので、NOが増えます。オリーブエキスやゴーヤ等の一部のサプリメント、さらにもNOの体内生成を促すと考えられるほか、サウナや熱めのお風呂に浸かる のもその増産に有用であると考えられます。しかしこれらは一酸化窒素ダンプ エクササイズに代わるほどの大きな効果はありません。

ミトコンドリアの健康に欠かせないHIIT

一酸化窒素ダンプ エクササイズやHIITが一般的に重要なのはなぜかというと、ミトコンドリアが活性化されるからというのがもう一つの理由です。つまり、これらの運動はフリーラジカルを増産するので、身体にミトコンドリアを増産するように指示が出(ミトコンドリアの生体生成)、エネルギー需要増加にペースを合わせるためです。エクササイズのトレーニングがミトコンドリアの質量の加齢に伴う現象を逆転させたか減少したので、「ミトコンドリアのタンパク質品質管理と生体生成を改善」することをある研究が発見しています。

エクササイズは自食作用(オートファジー)も刺激して、損傷したミトコンドリアの除去を促します。ミトコンドリアの損傷ががんに寄与しうる遺伝子変異を起こす可能性があるのでこの点は重要であり、ミトコンドリアの健康を最適にすることががん予防のためのカギを握る要因です。実際にミトコンドリアの機能障害はほぼあらゆる病気の核心にあります。エクササイズはアデノシン一リン酸活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)という代謝のためのメインスイッチと、ミトコンドリアを元気にして病気を予防するSIRT1を刺激します。

これは副次的に加齢やがんに関わっているmTOR(ラパマイシンの哺乳動物標的)を阻止し、このためミトコンドリアの生体生成とミトファジーを促進し、これらは両者ともがんを殺します。たった4分のエクササイズがいかに多くの有益なプロセスを作動させることは実に想像を超えるほどのことであり、今すぐ試すだけの価値があるほど強力な動機付けになるはずですし、この健康にいい活動を長年継続するだけの価値があります。