スカルキャップ(頭蓋冠):気付け薬的なリラックスさせるハーブ

スカルキャップ

早分かり -

  • アメリカンスカルキャップ(Scutellaria lateriflora)ははっかの仲間の北米原産ハーブです
  • スカルキャップは主に軽い神経鎮静剤または神経剤として長く利用されてきた歴史があり、19世紀や20世紀にスカルキャップは時としては筋肉けいれん、興奮性、不眠症、震え、不穏状態を中心に神経質な状態や関連する症状を対象として処方されることがありました
  • スカルキャップは不安にも効能があるほか、鎮けい剤として有望なことがわかり、抗アレルギー効能もあると考えられています
  • スカルキャップの成分の一つスクテラレインには潜在的に抗がん性があると考えられ、結合組織の進行性がんの一つ線維肉腫の発生や転移を止めることがわかっています
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Dr. Mercolaより

アメリカンスカルキャップ(Scutellaria lateriflora)ははっか科の北米原産ハーブです。軽い神経鎮静剤や神経剤として歴史的に長く医療用に利用されてきました。19世紀や20世紀にスカルキャップは時としては筋肉けいれん、興奮性、不眠症、震え、不穏状態を中心に神経質な状態や関連する症状を対象として処方されることがありました。

花が似た形をしているので、中世に着用された身体にフィットした金属の兜にちなんで頭蓋冠と命名されたもので、リラックスできるその他のハーブにはあるような副作用がないこの鎮静効果があるハーブは他のリラックスさせるハーブにあるようなストレス解消効果や不安軽減効果が評価され続けてきました。神経系に作用する鎮静効果のあるハーブとして知られるスカルキャップはバルビツール酸系催眠薬や鎮静剤の禁断症状を処置するために時としては利用されることがあるほど強くリラックスさせる効果があります。

おそらく欧州では多くのハーブ医療を行う人たちが肝臓に障害を及ぼす場合があるカヴァカヴァに代わってスカルキャップを処方し始めたのがきっかけで、かねてより人気が高まって来たもので、1997年から2001年当時には250%売れ行きが伸びた時期がありました。

理由はともあれ、ハーブ系の両方にご興味のある方はスカルキャップは特に栽培し易く、ティーやチンキからマッサージオイル、サプリまで幅広い用途があるので、知っておく価値があります。

スカルキャップで気分が良くなり、不安を解消するなどの効果がある

かつて2003年に行われた健康な人を対象にしたある無作為二重盲検プラセボ対照試験からはスカルキャップには不安を解消する「注目に値する」効果があることがわかりました。スカルキャップかプラセボを毎日3回2週間摂った43人の成人に関する別のある研究がスカルキャップには体力や認知力を下げることなく、全体的気分を大きく高めることを明らかにしました。

このハーブに関する研究は多くのハーブ療法と同様にあまり多くありませんが、各種の調査からはハーブ療法実践家はスカルキャップを幅広く用いていることがわかっています。

Journal of Herbal Medicine誌に研究者らがこう報告しています:「この調査の結果から、S. laterifloraは不安やストレス軽減のための効果的措置として植物療法家の間では高く評価されており、こうした異常や関連の併存疾患には共通して処方されていることが判明した。」

このハーブの生体活性成分を分析した研究からは10種類のフラボノイドと2種類のフェニルエタノイド配糖体が分離されました。さらに、少なくとも73種類の化合物がスカルキャップのエッセンシャルオイルから発見されています。フラボノイドを中心としてフェノール系化合物はスカルキャップの有益な効果の多くを担っているものと考えられています。スカルキャップは不安にも効能があるほか、鎮けい剤として有望なことがわかっており、齧歯類の急性発作に効能があることはわかっています。

ヘルパーT細胞の全身免疫反応を調節することにより食品アレルギー症状を軽減するのに有用なことを含め、抗アレルギー性があるものとも考えられています。研究者らによると、「これらの結果から、スカルキャップは食品アレルギーに対する予防剤として潜在的に利用しうるものと考えられる」そうです。

スカルキャップは強力な抗酸化物質で、酸化ストレスやがんと闘うと考えられる

多くの植物に含まれる生活性化合物は損傷を与えるフリーラジカルを中和または排除することがわかっている強力な抗酸化特性があり、アルツハイマー病やパーキンソン病、鬱病、不安などの発病にも関与していると考えられる酸化ストレスを解消します。

スカルキャップも例外ではなく、これに含まれる抗酸化物質は酸化ストレス関連の精神障害に対して治療効果があるものとも考えられています。

スカルキャップのもう一つの成分スクテラレインには抗がん効果があるものと考えられています。実際に、この化合物は結合組織の進行性がんの一つ線維肉腫の発生や転移を止めることがわかっています。伝統的にこのハーブはアメリカ原住民が以下の治療を含む各種の抗炎症、免疫調節や抗菌用に利用していました:

高血圧

ヒステリー

癲癇

下痢

頭痛

神経衰弱

消化系の神経障害

胸やけ

発熱

へびや虫に噛まれた場合の処置

スカルキャップは「女性用ハーブ」として伝統的に利用されてきた

上記のような伝統的用途の他にも、チローキー族を中心にアメリカ原住民がスカルキャップを生理を促し、産後に胎盤を排出させる補助として利用していました。また、「生理前の緊張」を解し、閉経に伴う情緒不安定に対する療法としても利用されてきました。

現代ではこうした効能を実証する研究がほとんどありませんが、スカルキャップは生理不順によく利用されているセイヨウニンジンボクというハーブやチェストベリーに含まれる有効成分であるビテキシンを含んでいます。

スカルキャップの生理異常に対する効能はホルモン濃度や気分に作用する神経化学物質に対して効果があるからであると考えられています。スカルキャップは生理を促す可能性があるので、流産につながりやすいと考えられる妊婦には禁忌です。

コガネバナは別の効能がある

アメリカンスカルキャップをコガネバナ(Scutellaria baicalensis)と見間違えないようにしましょう。同じ科に属してもコガネバナは中国原産種であり、漢方では数千年来利用されてきたもので、最もよく利用される治療には下痢、赤痢、高血圧、出血、不眠症、炎症、呼吸器感染が挙げられます。

コガネバナに含まれるフラボンにはバイカリン、ウォゴノシド、これらの無糖体バイカレインウォゴニンが含まれ、これらは抗がん効果、抗菌、抗ウィルス、抗酸化、抗痙効果、神経保護作用があります。コガネバナにの根を使って調製したものは黄耆として知られ、喘息や花粉症等のアレルギーや喘息を軽減するのを助けることが可能な抗ヒスタミン特性があります。

また、心臓病リスクを下げ、心臓発作後の損傷を制限したり、肝炎に効く薬草としても利用できると考えられる抗酸化物質でもあります。

アメリカンスカルキャップのサプリメントに含まれる混ぜ物に注意

抗酸化特性のメリットがある鎮静ハーブをお探しの方にはスカルキャップが良いかもしれません。しかしサプリメントには代替材料や混ぜ物の問題がつきまとっているので、このハーブをサプリとして使用するときはよく注意して選択しましょう。特に、植物学者スティーブン・フォスター氏によると、特に毒性が高い、時としては野生ジャーマンダーとかウッドセージ、ワイルドバジルとも呼ばれるアメリカンジャーマンダーは1980年代以来スカルキャップのサプリメントに混入していることがわかっています。

13品目のスカルキャップ含有健康補助食品を調査したある研究では、そのうち4品目にアメリカンジャーマンダーが混ざっており、3品目にはスカルキャップ濃度が極めて低く、1品目にはアメリカンスカルキャップではなくコガネバナが含まれていました。この混ぜ物が意図的か識別ミスかは不明です。米国植物協議会(American Botanical Council)では次のように説明しています:

「スカルキャップとジャーマンダーははっか科(Lamiaceae or Labiatae)なので類似して見えることがあると考える人がいる。フォスターその他多くのハーブ専門家は実地に裸眼で精確に判別すべき全く異なる物理的特性があると考えているが、

[しかし]非営利団体全米ハーブ薬剤全書(AHP、American Herbal Pharmacopoeia)が作成したスカルキャップに関する詳しい品質管理及び治療に関する論文によると、スカルキャップと他のハーブが比較的よく似て見えることから偶発的な混ぜ物がありうる。」

スカルキャップを自分で育てる

自分が摂るスカルキャップが本物のスカルキャップであるようにする一つの方法は自分で栽培することで、しかもこれが簡単にできます。アメリカンスカルキャップは多年草なので、正しく植えれば、毎年自然に生えます(スカルキャップは急速に広がるので、繁茂しても構わない場所を正しく選びましょう)。スカルキャップは湿潤な土壌で終日または数時間は陽に当たる場所に植えましょう(数時間陽に当たる場所は特に高温で乾燥した地域にお住まいの場合)。

多くのスカルキャップの品種は土に撒く前に湿層処理が必要なことを念頭に置いてください。そのためには、種を湿った土入りの密封プラスチックパウチに入れて(種の3倍ほどの砂を入れる)または湿らせたペーパータオルに入れ、少なくとも一週間冷蔵庫に入れておきます。次に種を室内に置き(二週間ほどで発芽)、発芽して、霜の恐れがなくなった頃に屋外へ移します。

発芽した状態で、堆肥で調整した土壌に約2.5 cmの深さに植えます。水をよくやり、育ってきたら水をやり続けます。このハーブは湿った土壌で最適に育ちます。スカルキャップは健康で成熟したハーブから取った切り株でも根だけからでも育てられます。成熟したスカルキャップは高さが約30~90 cmになります。

開花したら、収穫してティーやチンキにしたり、生でも乾燥しても利用できます。花や葉などの茎以外の部分をハサミや剪刀で収穫します。地上に少なくとも約8 cm弱は草が残る程度に刈ります。

スカルキャップの利用法

スカルキャップはチンキ、ティー、エッセンシャルオイルとして利用できます。マッサージオイルとしては筋肉を解すのに利用でき、ダーシー・ウィリアムソン(Darcy Williamson)著の「Healing Plants of the Rocky Mountains」から抜粋させていただいた次のレシピをお試しください:

スカルキャップ マッサージオイル

材料

  • スカルキャップの花穂1 1/2カップ
  • 新鮮な背高セージブラシの葉1/2カップ
  • ハコヤナギの乾燥芽 大さじ2
  • ホホバオイル1/2カップ
  • スイートアーモンドオイル1/2カップ

手順

材料を約1ℓのジャーに入れて混ぜ、チーズクロスを数層使って緩めにカバーする。この混合物を暖かい場所に3週間置く。温水を入れたフライパンにジャーを入れて15分加熱し、オイルを溶かして、濾す。

気を休めるティーで就寝前に楽しんだり神経を落ち着かせるには スカルキャップ5 gを約250 gの水に入れて15分煎じる。乾燥スカルキャップを約15 g約500 ccの沸騰したお湯に入れて、煎じるか次のレシピをお試しください:

スカルキャップティーレシピ

材料

  • 有機スカルキャップハーブ小さじ1~2、自分の味に合う量
  • お湯(沸騰していない)1カップ

手順

  1. このお湯を少し沸騰させる。スカルキャップハーブを入れる。
  2. 蓋してエッセンシャルオイルが逃げないようにする。
  3. 5~10分、自分の好みの濃さのティーになるまで煎じる。スカルキャップは煎じる時間が長ければ効能を多く得られます。

スカルキャップが自分の庭にはないけれども、このハーブの効能を試したい方は、補完用ハーブと混ぜたスカルキャップを含む多くのハーブティーは売られていますが、定評あるショップから高品質のティーを買うようにしましょう。

常に注意すべき点として、スカルキャップはホーリスティックな医療従事者の案内を受けながら利用し始め、適度にすることをお勧めします。このハーブのチンキを大量に飲むと、目まい、人事不省、精神錯乱、筋肉の短収縮、不整脈、発作など望ましくない副作用が起きることがあります。