甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症に効果的な治療法

甲状腺機能低下

早分かり -

  • 甲状腺機能低下症すなわち甲状腺の機能減退は一般的によく見られる問題であり、これには塩素処理水やフッ素処理水を飲んだり臭素処理した小麦粉を食べることなどいくつもの原因があります
  • 塩素、フッ素、臭素はヨウ素と同じ族の物質で、甲状腺の中のヨウ素を置換することができます
  • 自然医療のパイオニアDr. ジョナサン・ライトは甲状腺や乳房の健康を守るには女性は一日にヨウ素を約6 mg、男性は約3 mgを摂るように勧めています
  • 甲状腺機能低下症のもう一つ主要な原因は重金属の毒性に反応して増加しやすいリバースT3高値に関連しています。これらの場合、成功しうる治療にはデトックスを含む必要があります
  • 甲状腺機能亢進症(過度に甲状腺が活発になる病気)はルゴール液のヨウ素やリチウムを使用する治療法が効き、早期に回復に向かいます
文字サイズ:

Dr. Mercolaより

甲状腺病は今日私たちが直面する最もよくある健康上の問題の一つです。実務的観点から見ると、この問題にはいくつものアプローチが可能です。このインタビューで自然医療のパイオニアDr. ジョナサン・ライトに甲状腺機能障害に対処するための方法をご説明していただきました。

甲状腺機能低下症すなわち機能が減退した甲状腺は一般的によく見られる問題であり、これには塩素処理水やフッ素処理水を飲んだり臭素処理した小麦粉を食べることなどいくつもの原因があります。

塩素、フッ素、臭素はヨウ素と同じ族の物質で、甲状腺の中のヨウ素を置換することができます。

第二にまず最初から多くの人が食生活からじゅうぶんにヨウ素を摂り込んでいません。ヨウ素添加塩から得られる量は甲状腺腫予防にやっと足りるか足りないか程度でしかありません。

甲状腺機能低下症の第三の主な原因はリバースT3の高値です。興味深いことに、リバースT3の高値がある人の95%はカドミウム、鉛、水銀その他有毒金属を排出するEDTA(エチレンジアミンテトラ酢酸)とDMPS(ジチオール、ナトリウム2,3-ジメルカプトプロパン1-スルホネート)によるキレート化処理を受けると正常に戻ります。本質的に重金属の毒性は甲状腺機能低下症でも機能的形態の異常をきたします。

「鉛やカドミウムがテストステロンの生産を阻害することは周知です」と、Dr. ライトが説明しています。「それほどよく知られていないことはリバースT3が有毒金属により刺激され、増加することです。

実際にリバースT3があまりにも高値になり、正常なT3よりはるかに多くなる場合があります。TSH(甲状腺刺激ホルモン)や遊離型T3がたまたま正常値でも機能的には甲状腺機能低下症になります。」

甲状腺の健康のために必要なヨウ素の量はどれくらいでしょうか?

日本では毎日食事から摂るヨウ素摂取量が平均で2,000~3,000 μgつまり 2~3 mgもあり、これは米国で推奨される日量(RDA)の150 μgをはるかに凌ぐほど不適切に多量であると考えうる根拠があります。

中には日常的に12.5 mgを推奨してこれよりはるかに多くを支持するDr.ブラウンステイン等の人もいます。ヨウ素の高摂取量を支持するもう一人が南カリフォルニア大学の産婦人科・内分泌研究者ガイ・アブラハム氏です。

「奇妙なことに、彼は[自分の出版物を]南カリフォルニア大学から退官後初めて世に出し始めました。しかしその後はoptimox.comという素晴らしいウェブサイトを通公開し、そこで 多くのためになることを無料で読めます」と、Dr. ライトが言っています。

「ヨウ素及びヨウ化物を一日に合計で14~14.5 mg摂るまでは甲状腺が調節機能を低下し始めないことを証明している極めて慎重なある研究が存在します。おそらくこれを根拠にしてDr.アブラハムが最初に、その後他の学者も12や12.5 mgの液体や錠剤を設計したようです。

奇妙なことに、1829年にDr. ルゴールがヨウ素とヨウ化物を組み合わせました。これを2滴でちょうど12.5 mgになるのです。Dr. ルゴールはそのことをどのようにして知っていたのでしょうか? 私たちは知りません。しかし1829年以来この液はとても効能を発揮したので、今日でもルゴール液を(処方薬として)利用可能です。

通常自分のクリニックでは『ルゴール液1滴で6 mgないし6.25 mgあります』と言っています。あるいは、男性の場合は乳房組織が女性ほど大きくないので、3 mgを勧めます。がん予防のため、女性には3 mgより多くを勧めます。」

ヨウ素は乳房の健康も守るのに有用

Dr. ライトの経験に基づき、一日に12.5 mg以上のヨウ素を摂っても重篤な副作用が無く、場合によってはこれより多い用量のほうが甲状腺の他にも有益な場合があります。ヨウ素が乳房の健康のために同様に重要なこと、さらに、ヨウ化物ではなく、ヨウ素が脂質と結合すると乳がん細胞を本当に殺す分子ができることを示す説得力のある研究が存在します。

「乳房はヨウ素のための大きいスポンジなのです」と、Dr. ライトが説明します。「ヨウ化物はそれほどではなく、こちらは甲状腺のためです。しかしヨウ素が十分あると、これらの分子は滞留して新たな乳がん細胞を殺そうと待ち構えているのです!」

Dr. ライトによると、ヨウ素は他の乳房関連の障害にも重要であり、なかでも線維嚢胞性乳腺疾患等にはヨウ素がほぼ必ず効能があります。興味深いことに、重篤な症例の場合、頸部全体にヨウ素を塗ることが推奨されます。

「重篤な症例については医師とともに取り組む必要があります。ヨウ素を塗ってもらってください」と、Dr. ライトが言います。「線維嚢胞性乳腺疾患が重篤であるほど、治療を増やす必要があります。しかしこのケースでは、私なら返金する必要がないほどよく効くので、返金保証をしてもよいと思うほどです。」

それはそれとして、たいていの人は短期間のみ治療のため高用量を使用するのでない限り、それほど多量に摂らないほうが賢明でしょう。私の考えでは、サプリメントの用量がこれより10分の1すなわち数mgでほとんどの人に十分だと思います。

ヨウ素が摂り易い食べ物

ルゴール液以外に、海藻や昆布はヨウ素を摂り易い食材です。ハーブ愛好者が甲状腺の健康のためにしばしば勧めるものの一つはヒバマタという海草(学名:Fucus vesiculosusです。これは粉状かカプセル入りで売っています。この海草にはマイルドな塩味があるので、食事のスパイスとして利用してもよいでしょう。3 mgという用量を得るには一日に少なくともティースプーン数杯分を摂る必要があるのは不利な点です。

もう一点の懸念事項は日本産の多くの海藻を汚染した福島原発から漏れ続ける放射線による潜在的な問題です。海藻の原産地にご注意ください。ノルウェー沿岸産や可能な限り日本から遠い産地の物を入手するよう試みてください。メーカーは「放射線未検出」と製品にラベルを貼り始めていませんが、ボトルを選ぶ前にガイガーカウンターで簡単に確認できます。

Dr. ライトの甲状腺プログラム

Dr. ライはいつも甲状腺機能障害の兆候を探す部位から身体検査を始めます。これにはドライスキン、眉毛の縁が薄くなる、膝の目立たぬ液体蓄積、便秘、無汗症、肥る、高コレステロール等の症状が挙げられます。昔からある今でも有用なテストは毎朝体温を測り、37℃に近いかを追跡することです。

このテストは1930年代と1940年代にDr.ブロダ・バーンズによる研究が起源です。Dr. バーンズは体温が低ければ、甲状腺が不活発化している(甲状腺機能低下)ことをほぼ確実に知ることができる兆候であることを特定しました。「今日では他の要因が多く働いているので、この兆候は人によりけりでしかないものだと思います」と、Dr. ライトが言っておられます。「しかし誰でも行って欲しいと思います。」

ラボテストに関しては、甲状腺の完全テストには甲状腺刺激ホルモン(TSH)、総T4、遊離型T4、総T3、遊離型T3、リバースT3を含みます。TSHテストは従来から標準的なものだとはいえ、これを主な診断のための手段にするには信頼性を欠くと同氏が注意を促します。彼の推奨は、スコットランド大学で甲状腺の健康の専門家でありTSHテストが患者の臨床的状態と相関性が全くないことを実証したDr.セント・ジョン・オライリーの研究に基づいています。

Dr. ライトによるとTSHレベルはこれが5や10等の高値でない限り甲状腺機能低下症の有意な指標にはならないそうです。甲状腺治療は1890年代から行われてきましたが、TSHテストが標準になるまでは、投与された甲状腺ホルモンの平均用量は、臨床的兆候よりラボテストに注目されるようになった頃の平均用量よりほぼ倍増しました。Dr.セント・ジョン・オライリーは診断を身体検査と遊離型T3レベルに基づいて行うよう推奨しており、この治療法をDr. ライトはご自分のクリニックで採用しています。

問題を複雑にする課題:自己免疫甲状腺

不幸なことに、甲状腺ホルモン置換治療を受けざるを得なくなる人の大部分は人工甲状腺ホルモン、繰り返すと、通常はT4がシントロイドやレヴォトロイドのブランド名でよく処方されています。従来式のやり方を踏襲している医者は常にこれを処方しており、処方しない者は厳しく批判の矢面に立たされており、州の医療管理委員会に召喚される場合さえあるほです。

私自身にこのことが起きましたし、私は処方さえしていなかったのです。私は患者を診なくなりましたが、このニュースレターでそのことについて書きました。私は医療管理委員会に呼び出され、シントロイドやレヴォトロイドではなく、天然型全甲状腺ホルモンを処方するという私の姿勢を弁護しました。しかも私の記事は極めて権威のあるNew England Journal of Medicineから研究紹介によって支持されていたにも拘らずでした。Dr. ライトも天然型甲状腺置換を優先しており、動物(通常は牛や羊または豚)から得られる全甲状腺ホルモンで処置を開始しています。

重金属の毒性による影響

冒頭でもご説明しましたが、甲状腺機能低下症の主要な原因は重金属の毒性に反応して増加しやすいリバースT3高値に関連しています。このような症例では、Dr. ライトは甲状腺治療を始める前にデトックスを勧めてます。デトックス治療法は鉛、カドミウム、水銀、その他の重金属のレベルによって異なります。

「10回から15回のキレート化治療の範囲で体内からこれらの金属を効率よく排出できる人も中にはいます。大都市圏で一生生活していた人の場合特に、有毒金属を排出させるのに30回とか40回のキレート化治療が必要なこともあります。」と、同氏が説明しています。「この処置を行う際は、全米キレート化治療委員会(ABCT)が規定している手順通りに処置する医者に診療してもらうようにしましょう。

キレート化で有毒な鉱物を排出します。しかし、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅といった全てが機能する普通の金属も排出させずに有毒金属のみ除去するキレート化物質がまだ発見されていません。キレート化処置をする医者は初回のキレート化検査のデータに基づいて定期的に普通のミネラルを再投与する必要があります。1ページにある初期キレート化検査には排出されているのと排出されていない有毒金属を一覧してあります。2ページは決して省略してはならない部分です。ここには普通のミネラルが記載されています。」

特別な注意を要する重金属の除去

明らかに、これは自分でできるようなケアではありません。こうした関連の検査や処置手順を行う能力があるうえ、適正なサプリメントと市販されていない甲状腺ホルモン置換も処方できる資格のある健康面のコーチ、信頼されている定評がある臨床医師に診てもらう必要があります。

除草剤や農薬などの炭素系毒素の除去を促すにはサウナで発汗させるのがよいでしょう。Hubbard Protocolはさらに一歩進んだ方法を紹介しており、これはナイアシン、高強度エクササイズ、サウナを日常的に利用して毒素を動かし、排出させる方法です。残念ながら発汗では容易に有毒金属が排出されません。有毒金属を排出させるには、キレート化などのもっと攻撃的な方法が必要です。

推奨される甲状腺医薬の種類

Dr. ライトは、リバースT3が正常になり、自己免疫問題も解消してから、次のような甲状腺ホルモン置換を処方します:

  • Armour thyroid(アーマーチロイド)
  • Nature-Throid(ネイチャーチロイド)
  • Westhroid(ウェストロイド)

Armour thyroidには一つの不利な点があります:これは事実上後発医薬品になっていますが、他の二種類より価格が二倍することです。しかしコストが主要な要因でない限り、身体との相性を確認するためにいくつかのテストがあり、どのチロイド薬剤が自分に最適かを特定できます。