2017/2018年度インフルエンザワクチン情報

インフルエンザワクチン

早分かり -

  • 慢性痛、身体動作の制約、神経障害、肩の固着を含むワクチン投与による肩損傷は、注射が腕の上過ぎる位置に投与される結果です
  • このワクチンは18~49歳の人に明らかな効能はありませんでした。高齢者についても同じことが言えます。児童の場合その効能は約60%ありました。他の年齢層では効能がよくて42%でした
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Dr. Mercolaより

2015/2016年度のインフルエンザシーズンにFluMistという近年子供向けに推奨されてきた生きたウィルスの経鼻スプレーは失敗率が97%でした。その失敗は壮絶なもので、免疫処理顧問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices)は2016/2017年度のシーズンにはFluMistを推奨されるインフルエンザワクチンリストから抹消するように推奨したので、CDCの担当官らが最終的にこれに従うことになりました。

約束通り人間を保護しないインフルエンザワクチンの事例はまだたくさんあります。では、昨年度のワクチンから学べることは何でしょうか?

2017年度インフルエンザワクチンのラインナップ

インフルエンザワクチンは、インフルエンザウィルスが常に進化しており、製薬会社がワクチンを製造できるためには公衆衛生担当官らはインフルエンザウィルス菌種のうちA型かB型が主要な勢力を持つようになるかをシーズンの半年前までに見当をつける必要があるので、その本質からして惑わされやすい事業です。見当をつけた菌種がどのインフルエンザシーズンにおいても病気の大部分を実際に起こしている菌種とは異なる場合、ワクチンの失敗率は大きく増加します。

たとえ見当が当たっていたとしても、インフルエンザワクチンの効能は40~60%の間に留まると推計され、公衆衛生担当官らは一般の人がワクチン注射を受ければ病気にならない確率が高々60%まではあるものと思います。しかしこの率は40%まで下がることもありえるわけです。言い換えると、どちらの見方をするにしてもこの状況は賭けと同じです。

インフルエンザワクチンについて検討する前に、どのインフルエンザシーズン中にもインフルエンザに似た呼吸器系疾患の大半はA型やB型ではないことを念頭に置くことが大切です。喉荒れ、鼻水、頭痛、倦怠感、微熱、身体の痛み、咳があるとき、そのほとんどはインフルエンザウィルスに無関係な他のウィルス種や細菌性の呼吸器感染です。

インフルエンザワクチンは数種類存在します。昨年度に利用可能だったワクチンのラインナップには次のようなものがありました:

三価インフルエンザワクチン:標的はA型菌種2つとB型菌種1つ:

A/ミシガン/45/2015(H1N1)pdm09様ウィルス

A/香港/4801/2014(H3N2)様ウィルス

B/ブリスベイン/60/2008様(B/ヴィクトリア系統)ウィルス

四価インフルエンザワクチン:三価ワクチンと同じ3菌種にインフルエンザB型第2菌種:B/プーケット/3073/2013様(B/山形系統)ウィル。2種類の四価ワクチンは認可済みです:

不活化バージョン(Afluria四価)

組み換えバージョン(Flublok四価)

投与方法や調剤もいくつもあります:

  • 65歳以上が対象の高用量バージョン:標準ワクチンの標準用量より抗原が4倍多い
  • 65歳以上が対象の賦活剤で処理したワクチン(Fluad):2016/2017年度のシーズンに導入。これにはMF59という賦活剤が含まれ、これはスクワランオイルの油水乳剤と説明されており、人工的なワクチンで付与される免疫力を高めることを目的として高い炎症反応を強く刺激するために付加される
  • 18~64歳向けの皮内インフルエンザワクチン
  • 4歳以上の玉子アレルギーがある人向けに認可された玉子を含まない組み換えバージョン
  • 18~64歳が対象に認可されたジェットインジェクター(針無し)ワクチン

これが2003年に認可されて以来、衰弱させた生インフルエンザワクチンが経鼻スプレーにして市販されましたが、二年連続でCDCが経鼻スプレーワクチンは効能がないので推奨しませんでした。

2017/2018年度のシーズンから新たに四価インフルエンザワクチン(Flucelvax)が4歳以上向けに導入され、これは犬の腎臓細胞(MDCK)で生産します。従来、候補となるワクチン菌種のインフルエンザウィルスすなわちワクチンに含めるために選定されるウィルスは無菌化した鶏卵を使って生産されてきました。

細胞で生産するインフルエンザワクチンウィルスは鶏卵ではなく培養した動物細胞の中で増産されます。比較的最近導入された昆虫細胞を使用する組み換え四価インフルエンザワクチンFlublokは18歳以上が対象です。

インフルエンザワクチン接種後の肩損傷

2015年10月にジャーナリストのマーリーン・シモンズさんは通常の肺炎ワクチン接種後に体験したことを書いています。注射自体が他の大部分のワクチン接種より痛かった一方では、それから数日後や数カ月後に発症した痛みに比べればまだ無いに等しいほどでした。「最初はよくある注射後の痛みだと思って気にしませんでした」と同氏は書いています。「しかし痛みは消えませんでした。」数か月後も左肩の痛みが消えませんでした。整形外科医はこれを肩峰下滑液包炎と診断しました - これは滑液包の慢性炎症と液体の蓄積症です。

近年のフェースブック書き込みの中でABCのAction News担当ジャーナリスト、アシュリー・グラスさんも肩の痛みについて不平を言い、インフルエンザ予防注射後に「自分の腕を今ではほとんど動かせなくなった」と言っています。ワクチン接種後の肩の損傷は不正な注射法によるものとして既知の副作用であることが判明しました。

注射部位の負傷がますます一般的になってきた

ペンシルベニア大学病院整形外科助教授Dr. G・ラッセル・ハフマンによると(シモンズさんの引用による)、ワクチン接種後の肩損傷(SIRVA)には慢性痛、動作制約、神経損傷、肩の固着、肩関節腱板断裂を含み、通常は注射が腕の上過ぎる位置に投与された結果です。

筋肉内に注入されずに、ワクチンが滑液包すなわち関節の空間内に注入され、ワクチンは免疫反応を起こすようにできているので、免疫系が滑液包を攻撃して、上記のような副作用が発生します。

この問題の一部は、薬局や食料品店等の臨床環境以外でワクチン接種を受ける人が増えていることに関連しているようです。多くの場合に単にシャツの上をめくり、三角筋の上部を露出するので、注射が間違った部分に注入されるリスクが高まります。

インフルエンザワクチンを受けるほど病気になりやすくなる

インフルエンザワクチンに効き目がないものと見られるにも拘らず、毎年インフルエンザ予防注射を受けるようにという全国的呼び掛けは定着したままです。しかし毎年インフルエンザ予防注射を受けるのがインフルエンザから守るための「最適な方法」でしょうか?研究はしばしば別の見解を示しています。

これはまだ解明されていないギャンブルです。他の研究が以下のようなことを証明してます:

毎年のインフルエンザ予防接種を受けるたびにワクチンによる理論上の保護機能は逓減するようです。2014年に公表されたある研究は、米国で9歳以上のインフルエンザ関連の病気に対する抵抗力は直前5年間にインフルエンザ予防注射を受けていなかった場合に最も大きいと結論しています。

インフルエンザ ワクチンは他のさらに重篤なインフルエンザ感染のリスクを高める可能性もある。

  • カナダの研究者らが季節性インフルエンザ ワクチンを2008年に受けた人がインフルエンザの予防注射を受けなかった人より2009年には、二倍のH1N1疫病「ブタインフルエンザ」に罹るリスクがあったことを発見しました。
  • 2009年のある米国での研究は毎年インフルエンザ予防注射を受けたか受けなかった6か月児から18歳までの健康面のその後を比較した結果、インフルエンザワクチン接種を受けた子は、喘息の子のリスクが最大で、インフルエンザ関連で入院するリスクが3倍高いことが判明しました。

スタチン薬 — 45歳以上のアメリカ人4人に1人が飲んでいる — はインフルエンザ ワクチンへの免疫系応答を弱める可能性があります。65歳以上のスタチンユーザーでは同年齢層でもスタチンを使わなかった人より予防接種後に38~67%も抗体濃度が低かったのです。抗体濃度は若いスタチンユーザーでも減少していました。

独立的な科学研究誌もインフルエンザ予防注射がインフルエンザやインフルエンザによる合併症を予防できないようであるという結論に至っています。インフルエンザワクチンはインフルエンザの一シーズン中に全ての呼吸器系や胃腸系感染のうち約80%の原因になっている他のウィルスに関連するインフルエンザに似た病気を予防できないようです。

1970から2001年までを対象にした予防接種普及率の増加に伴いインフルエンザ関連の死亡率をイタリアの高齢者層について研究した2006年のある研究は、1980年代以降ワクチン接種率が増加しても過剰な死亡率がこれに対応して減少しなかったことを発見しました。

2006年のもう一件の研究が、インフルエンザワクチン接種を受けた高齢者はワクチン接種を受けなかった高齢者よりインフルエンザシーズン中に死ぬリスクが44%低く、ワクチン接種を受けた人はインフルエンザシーズンが始まる前に死ぬリスクが61%低いことを示しました。

この事実はそれ以来「健康なユーザー効果」によるものであるとされてきましたが、この考え方は、インフルエンザワクチン接種を受けた高齢者はすでに健康な人で、いずれにしても死ぬリスクが低い人である一方、その予防注射を受けなかった人はシーズンに近い月に健康が弱まっていたからであるというものです。

妊娠中のインフルエンザワクチン接種は流産につながることを研究が示す

2009年にH1N1(pH1N1)疫病に対するブタインフルエンザワクチンの投与後、流産が報告され始めました。数十人の女性は妊婦に対して試験されていなかったpH1N1ワクチンを受けた後数時間または数日後に流産したと主張しました(テストされていたなら、その証拠が公表されなかった)。想像つく通り、こうした事例は偶発事象として健康当局によって看過されました。結局、流産は発生し、いくつもの原因があります。

しかしながらVaccine(医療専門誌)2017年9月25日号に掲載された科学データは、この流産報告の急増が偶発的なものではなかった可能性があるとしています。研究者らは、pH1N1を含むインフルエンザの予防注射を二年連続で受けた女性が、実際に、注射から28日以内に流産する確率が高くなっていたことを特定しました。大部分は最初の四半期に流産していましたが、中には第二四半期に流産した人も数人いました。

流産時点の胎児週数のメディアンは7週でした。総じて、2010/2011年と2011/2012年のインフルエンザの季節中に流産した18~44歳の女性485人を予定通り出産した妊婦485人と比較しました。流産した485人のうち17人は二年連続 — 流産の28日前に一回、その前年に一回ワクチンを受けていました。正常に妊娠が継続した485人と比較すると、こちらでは4人しか二年連続でワクチンを受けていませんでした。

直接的因果関係は立証できなかったとその研究の筆者らが書いていますが、この関連性を評価するためにさらに研究が必要であると研究者らは注意を促していました。

CDCが出資したその研究について、CDCワクチン顧問アマンダ・コーン氏がこう説明しています:

「女性たちがこの関連性がありうることを把握することは重要であり、このリンクこそさらに多くのインフルエンザシーズンに関して研究し、評価することが必要です。インフルエンザワクチンなのか、流産傾向がもともと強かった[インフルエンザワクチンを受けた]女性グループだったからなのかを把握する必要があります。」

現在、CDCは妊婦に対する推奨を変更しておらず、妊娠月数に関わらず、妊娠中でもインフルエンザ予防注射を受けることができるし、そうすべきであると表明しています。これでは無責任な最悪の公衆衛生政策であり、女性と胎児の健康を危険に晒し、企業利益になるものです。

念頭に置いておきたいのは、元CDC長官のジュリー・ゲーバーディング氏はCDCから2009年に退職し、その後Merck Vaccinesの社長に着任し2014年12月までこの職務を勤め、次にメルク社の戦略的コミュニケーション・世界公衆衛生・人口の健康担当執行取締役副社長になりました。この人は産官癒着のお手本的人物であり、この癒着のために公衆衛生と安全性の保護に対抗している姿が明確に表れている事例です。

+ 出典および参考資料