Dr. Mercolaより
背中の痛みは世界中で最も普通に見られる健康上の不具合の一つであり、労働不能になる原因No.1です。また、オピオイド依存症のきっかけになる最もよくある原因の一つでもあります。実際に、50歳以下のアメリカ人の最多死因がオピオイド となっており、2002年から2015年だけでも202,600人以上のアメリカ人がここに挙げた強い鎮痛薬の過剰服用が原因で死亡しました。
近年の人口研究によると、オピオイドは慢性的な背中の痛みを持つ人に最も一般的に処方される薬であり、ご想像がつく通り、こうした薬は典型的にこの人口において長期的に投与されています。こうした現実は、処方薬を最後の手段としてのみ使用すべきであって温湿布やエクササイズを最初に行うべき治療として推奨してい米国内科学会(ACP)によるガイドラインを無視した行為です。
その一方もう一つの近年の研究からオピオイド(モルフィネ、バイコディン、オキシコドン、フェンタニル)は中度から重度の痛みを管理するのにアセタミノフェンやイブプロフェン、ナプロキセン等の市販(OTC)薬よりさほど有用ではないことがわかっています。実際、非オピオイド鎮痛剤を使用すると痛みの強さは「大幅に和ら」ぎます。
背中下部の痛みを予防する2つの効果的な方法は密接に関連し合っています:活発でい続け、座るのは最小限にすることです。こうすれば筋肉の強さと調整力がよくなり、こわばりを減らし、血行をよくし、このため背中の痛みが減り、最初から背中の痛みが出なくなります。
これにともない、背中下部の痛みに優先される処置は肉体的活動の維持であることを研究が示しています。痛みがひどければ、日常活動を軽度にしても、まだある程度の活動を継続することは必要です。ベッドで安静にし続けると筋肉の硬直や痙攣が起きやすくなるので動作不能が実際には拡大すると考えられることを複数の研究が実証しました。
数人が背中の痛みに対処するためのテクニックを開発しました。以下にそのうち実績豊かな3者をご紹介します:
• ファウンデーション・トレーニング運動は自分を痛めている動きのパターンから身体を段階的に解放してくれます。その焦点は体幹を強化することですが、体幹とは骨盤から上下の身体ともに直結している全ての構造部を意味します。
• エゴスキューも座り過ぎによるダメージを軽微に抑えるために有用です。エゴスキュー・エクササイズの四例は足で円を描いてつま先伸ばし、カエルのポーズ、静的バックエクステンション、立ったまま前屈です。説明や写真を用いた図解についてはリンク先の記事をご参照ください。
• 神経構造的統合テクニック(NST)は身体の反射を刺激する無理のない非侵撃的手法です。単純な動きを筋肉、神経、結合組織群全体に対して行うもので、神経筋肉系統が関連する全ての緊張をリセットし、自然な癒しを促します。
これは、高度に訓練されたスポーツ選手から新生児、妊婦、高齢者や虚弱な方等誰にも全く安全で適切です。
整体師による脊椎の徒手整復術も背中の痛みの多くの症例を和らげることができます。2017年に26件の研究に関するメタ分析 によると、脊柱の徒手整復術は「最長六週間の平均的な中度の強さの痛みや機能の改善に有用なことが統計的に有意である」ことと関連付けられていました。
平均的な患者は歩く、寝る、寝返り等当たり前の動作をより簡単で楽にできるようになったと報告しました。これらの結果は僅かな改善であったとしても、結果はおしなべて得られた成果であって、患者はこの整体術を受けただけでよくなったことに注目すべきです。言い換えれば、施術後に回復した脊柱の機能的動作を維持したり、炎症を軽減するために構成した追加的リハビリ運動は不要だったのです。
背中の痛みを起こすと考えられる直接的な脊柱の歪みに対処するほか、整体術も体内の奥深くで起きている機能障害に対処し、予防し、治療するのに有用です。整体術的調整は実際に細胞レベルでの生体プロセスの化学組成に影響を及ぼし、これを通して酸化ストレスを軽減し、免疫機能やDNA修復 等を改善します。
鍼療法やマッサージもそれぞれに有用性があります。特に背中、首、肩の痛みの治療における鍼療法の「明白かつ堅固な」効果がある一方、マッサージセラピーはリラクゼーションを促し、痛みを軽減し、コルチゾールやノルアドレナリン等のストレス化学物質の濃度を下げることを研究が発見しています。鍼療法は心拍数、呼吸、新陳代謝を遅くし、降圧することで、ストレスによる損害を与える悪影響を逆転させもします。
圧縮式呼吸は正しく行うと、体の前後に渡る腹筋を使うことにより、呼吸で股関節屈筋を伸ばし、脊柱を安定化し、体幹を支持するのに有用です。これで背中が強くなり、胸を高く開がった状態に維持するに役立ちます。
一回当たり3~4回呼吸するラウンドを5~10ラウンド反復します。時が経つにつれ、これらの筋肉が強くなり、座わったときの姿勢がだんだんよくなります。
ベビーコブラ — 足を揃えたまま腹ばいになり、両腕を折り、手の平は胸の高さで床に着け、肘は曲がった姿勢です。最初は床に額を着けます。息を吸い、胸を上げますが、このとき首の後ろを伸ばしたまま、顎はリラックスしたままです。息を吐き、額をマットに戻します。息に集中しつつこれを数回反復します。
バードドッグ — このストレッチは背筋、殿筋、膝腱さらに体幹と肩を使います。四つん這いになり、片脚と反対側の腕を同時に上げて伸ばします。3回~5回呼吸する間この姿勢を維持します。左右を入れ替え、反対の腕と脚を上げて3回~5回呼吸する間そのままにします。
キャット/カウ — 両手と両膝から始め、両手を肩の真下、両膝をお尻の下に置きます。息を吸うときに下腹部を下げ、天井を見上げます。息を吐くときは、脊柱を丸め、尾てい骨が大腿部の間に落ちるようにし、頭を腕の間で上げます。何回もゆっくりと反復し、脊柱の動作性を優しく増していきます。
腰筋ルンゲス — 腰筋は脊椎最下部から大腿部頂点に伸びる筋肉で、この筋肉が引き締まるときこれを正しい位置にして背中の下部に応力を掛けます。腰筋の最適なストレッチ方法はルンゲスです。
右脚を前に出し、左膝を床に着けて始めます。若干お尻を引き締め、両手を前に出ている側の膝かお尻に当てます。3回から5回呼吸する間お尻がそっと前に動くままにします。脚を入れ替え、反対側も反復します。
スクワット — 両脚を腰幅より若干広めに開き、両膝を大腿部が床と平行になるまで曲げます。踵は床に着けたままです。
手の平を合わせ、胸の高さに維持します。両肘で膝を広げます。この姿勢ではお尻がきつ過ぎるという方は、ヨガブロックやスツールまたは数冊の本の上に座っても構いません。この姿勢を3回から5回呼吸する間維持します。
ツイスト — ツイスト(捻り)で脊柱を回して伸ばすことができ、椅子に座ったままでも床に寝そべっても、また座ってもできます。 背中から始め、片膝を胸に引き上げます。両脚を片側にそっと降ろし、上体を逆向きに回して、腕を伸ばします。この姿勢で30秒呼吸し、次に反対側で反復します。
このストレッチは両腕を上げ、上体からそっと捻り回すことによって行うことができます。椅子に座って行うときは、椅子の肘掛を片手で掴み、もう一方の手を反対側の脚に置きます。息を吸いながら脊柱を伸ばし、息を吐きながら脊柱をさらにもう少々ひねります。反対側も同様に繰り返します。
末筆ながら、背中の痛みは心理的または感情的問題が原因である場合があり、こうした問題によって確かに悪化します。リハビリテーション医療教授で近年お亡くなりになったジョン・サルノ医師は重度の背中下部の痛みがある患者の治療を心体テクニックのみで行ったことにより定評を博しました。
同氏の得意分野は背中下部の痛みのために手術を受けたのに回復しない人々のケアです。これらの患者は困難なグループですが、同氏は感情解放テクニック (EFT)等の手法を用いて成功率80%以上を収めました。「All the Rage」(大流行)というドキュメンタリー — 上記に引用した4分トレーラー — でサルノ医師がコメントしている通り、「自分の患者に何が起きているかを伝えると、驚くなかれ痛みが止む」そうです。
そこで「何」が起きているかは肉体的問題では全くなく — 感情だったのです:怒り、不安、葛藤、激情。こうした感情を抑え込むと、脳は感情のパルスの向く先を変えて背中や首、肩など身体の特定部位への血行を制限し、痛みが出ます。
この痛みは自分が感じたり考えたくない怒り、不安、激情からの気分転換として機能しています。この痛みは本質的に蓋の機能をし、望んでいない感情が迸り出ないように抑えます。痛みに対して怒りを感じる場合もあるでしょうが、このため、実際には配偶者や子供、親友への怒りや自分の仕事が大嫌いであることや自分が人に利用されていることに直面せずに済みます。
自分が感じている痛みが筋違いや捻挫によるごく普通の背中下部の痛みではなく、肉体の評価や処置が必要な重大な問題があるかもしれないことを示唆していると思われる、いくつかの兆候や症状が存在します。背中の痛みに以下の症状のいずれかが併発する場合、より重大な問題がないことを確認するために精密検査が必要でしょう。
発熱
排尿障害
高い骨折リスクが以前あった
失禁
排尿感があっても出ない
脚の筋力や感覚の低下
夜間の背中の痛みがベッドの中で調節しても軽くならない、あるいは夜間のみ始まる
興奮しない、性器や臀部の無感覚やうずき等の性的機能障害
特定の関節や筋肉と関連していない背中上部または下部の痛みは心臓発作が起きていることを示す場合がある
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