Dr. Mercolaより
めったに対策が取られない環境問題が核廃棄物処理による放射能汚染です。核廃棄の共通する方法は数十年以来プルトニウムを充填した鋼鉄のドラム缶をただ単に海洋に廃棄することでした。
過去の概観で始まるここで取り上げるドキュメンタリー「Versenkt und Vergessen」 (沈めて後は忘れる)が、1967年に100,000トンの核廃棄物がドイツ、イギリス、フランスから北大西洋、アイルランド海、イギリス海峡に投棄されたと報じています。しかもそれは多くの投棄廃棄物のほんの一部にすぎません。
政府高官らはその廃棄物が深度4,000 m (2.5 マイル)なら安全に希釈されると主張していました。そのモットーは: 「汚染のソリューションは希釈」というものでした。しかしそれが解決できたのでしょうか? ドキュメンタリーフィルムの収録チームはこうした核廃棄物のドラム缶がその後どうなったかと海洋への投棄が違法になった今日、放射性物質がいかに処分されているかを調査しています。
グリーンピースは1970年代を一環して海洋への核廃棄物投棄について公衆の意識を高揚しようとしました。残念ながら原発業界は平然としたものでした。むしろ、環境保護運動家が攻撃され刑事罰を受けました。1960年代にイギリスの原子爆弾開発に関与していた原子核物理学者ジョン・ラージ氏は核廃棄物の投棄について熟知しています。
プルトニウムを充填したドラム缶に加え、原発の燃料棒も日常的に海に廃棄されていました。しかも、特定の廃棄場所が選定されていたのに、燃料棒やドラム缶が本当にその場所に行きついたのかは定かではありません。
その理由は燃料棒が搭載されている限り船員は放射能に常に暴露されていたからです。すなわち、船長が船員の健康を保護するため暴露時間を注意して監視する必要があり、悪天候に直面したときは、暴露時間を経過した限り場所を問わず積荷を投棄していました。
その他にも廃棄物記録票に記載されている多くの項目は数量や内容、廃棄場所となると「不明」とのみ記載されています。廃棄物記録票にこれほど不正確な記載がある限り、ドラム缶や燃料棒の最終投棄先を確実にすることなどできるでしょうか?
そのドキュメンタリーフィルムの制作者らは放射性廃棄物を管轄するイギリス健康保護局(HPA)に取材しました。残念ながら、いかに不備があっても与えられた情報に頼る以外何も根拠にできるものがありませんでした。1997年から2003年までイギリス環境大臣だった放射性廃棄物の投棄政策に反対していたマイケル・ミーチャー議員はこの記録不備が偶然ではないと考えています。
同氏によるとこの状況はおそらくイギリス防衛相、陸軍、原子力業界の間に協定であり — これらのどの主体も投棄量や投棄された物質が何か、投棄場所について誰にも知られないようにしていたと考えられます。誰でも保有する情報が少ないほど、これらのどの主体も有責にされる可能性が低くなります。ミーチャー氏は「これはある種の陰謀」であると言っており、放射性廃棄物の海洋投棄による長期的影響が全く知られていないとしています。
核汚染は極度に希釈すると安全にできるという考え方は偽りであることが実証されました。ラージ氏が説明するように「根本に横たわる問題とは放射能を膨大な量の水で希釈すれば投棄しても安全であると彼らが想定していたことにあります。しかもこのことは何回も不正であることが実証されてきました。」その証拠は80年代にドイツの研究グループが収集しました。
この探検グループは大西洋の核廃棄物の投棄場所を視察し、そこで数本のドラム缶を回収したところ、プルトニウムが水中、海底、魚から検出されました。国際原子力機関(IAEA)が発行した内部文書「Position paper on the implications of deep sea disposal of radioactive waste」(放射性廃棄物の深海廃棄によるインパクトに関する政策方針書」が「廃棄場所において増大するプロトニウム濃度はドラム缶からプルトニウムが漏れていることを示す」と説明しています。
今やこれらの毒素が生態系に放散されており、放散している限り安全ではありません。モナコにある本部でIAEAの科学者らは海洋動物に放射能汚染された食物源から給餌して海洋生物への放射性廃棄物のインパクトを評価するための実験を行っています。IAEAは海底を継続的に監視しており、それ以外に投棄されたドラム缶を発見したことがないと主張していました。従って、イギリス海峡に投棄されたドラム缶は全て分解したものと考えられます。
原子力業界は投棄方法を単に変えただけでした。この業界はドラム缶を海洋へ投棄する代わりに海底にパイプラインを建設し、ここを通して放射性物質を送り出しています。どこだと思いますか? 公海に直接です。
核廃棄物管の一つがフランスのノルマンディーのラ・ハーグに位置しており、ここで物理学者デイビッド・ボイリーは核廃棄物の海洋投棄に反対している環境グループを発見しました。同氏の見解では福島の原発事故は世界的影響があったので、「きれいな食品」を私たちがいかにとらえるかを考え直す必要があります。きれいな水がきれいで健康な魚を意味するとはもはや想定できなくなりました。
究極的に魚がきれいと見られる水で捕獲されると思われますが、その個体としての魚が育つ過程のある時点で汚染したエリアを泳いだり汚染した餌を食べたことがあれば、ある程度は汚染されることになります。きれいな水の中で捕獲されるからといって放射能汚染がないとは言えません。「これは賭けているようなものです」とボイリー氏が説明しています。「幸運または不運のどちらかになる可能性があります。」
微生物学者ピエール・バルベー氏は放射性物質が生体に蓄積すると説明しておられます。一匹の幼虫に環境の2,000倍から3,000倍の放射性物質が含まれると考えられます。その幼虫を別の海洋動物が食べ、これを別のが食べる等と連鎖していきます。その各段階で放射能レベルが高くなります。バルベー氏は放射能汚染が原因の海ガニの生殖欠陥を識別し、これらの遺伝子損傷がカニの将来世代へ継承されていきます。
食物連鎖の頂点にいる人類では同じことが起きていないと思わなければならないのでしょうか? バルベー氏によると、携帯電話の影響も同様だそうです。プルトニウムが欧州の海岸沖に生息するハイイロアザラシから検出され、セシウムがネズミイルカから検出されました。生態系は閉鎖系なのでどの生物も放射線から保護する必要があります。ここに「使い捨て可能」な生物は存在しません。動物に起きていることは結局人類に影響してきます。
次に、そのチームはイギリスの核廃棄物の80%を生んでいるセラフィールドを訪ねました。ここのサイトでも廃棄物用管を通して放射性物質を海洋に投棄しています。1997年にグリーンピースの活動家がこのパイプに注目しました。活動家の一人ション・バーニー氏は今でも放射性廃棄物の投棄に対する闘争を継続しています。同氏は地元住民特にこの海浜に生活する人々の健康や福祉には特に懸念を抱いています。
彼らの家はプルトニウムで汚染された粉塵を含むことが検出され、これらの高リスクに晒されている人々の体にさらに高いレベルの放射線があることが試験から明らかになりました。そこの住民の歯にはプルトニウムさえ含まれています。セラフィールド起源の放射性物質はノルウェーの海岸線からも検出されました。しかし、海洋投棄が禁止されたにも拘らず原子力業界が放射性廃棄物を海洋に処分し続けられるというのはいったいどうしたことでしょうか?
驚くような答えが出ています。この業界の主張によると、パイプは陸上拠点から伸びる処分システムの一部をなすので、合法的だそうです。海洋への未封止廃棄が認められているのにドラム缶が禁止されていることの科学的、道理ある理由があるのか否かについて訊ねると、IAEAのハートムート・ニース氏が「むしろこれは哲学的質問だと思う」と答えていらっしゃいます。
セラフィールドでは白血病発症率が上昇している — バスビー氏によるとイギリスの他の土地より10倍高い —という報告にも拘らず海洋投棄が続いています。また、がんクラスターの調査がセラフィールドの原子力操業は要因ではないという結論を出し続けているので、プルトニウム汚染された海浜は公衆がアクセス可能です。
多くの地元住民は当局がこの問題の重大性を隠蔽するために「目論んで不正確な作業結果を出している」と疑っています。公式な土壌試験が実施されていなかった海浜地域では、ドキュメンタリーフィルムのプロデューサーらは許容限度を最大10倍超す濃度のプルトニウムを発見しました。それにも拘らず原子力業界の専門家の中には放射性物質に関連する危険は僅かであると言い張っています。この業界の30年経験があるベテラン、リチャード・ウェイクフォード氏がこう言っておられます:
「放射能のリスクを私は極めて僅かであると評価しており、親やその他の誰にも大きな懸念では実際にありえないと思います。それよりもっと懸念すべき重要な事があります。2つの主な考え方があります:子供の白血病はよくありながらもまだ識別されていない感染への稀な応答であるか大規模な都市人口と農村人口の混在が原因であるかのいずれかです。」
そのドキュメンタリーフィルムで説明されているように、「結論は: セラフィールド近辺で混ざり合うウィルスまたは人口のいずれかががんの原因であるとしても — 海から来る極めて毒性の高い核廃棄物ではないとでもいうのでしょうか?!」その収録チームはもう一人の専門家ドイツの物理学者でドイツ連邦放射能保護に関する多くの委員会の委員を務めるクラウス・ホフマン氏を訪ねます。増大する白血病の発症率と放射能汚染の間の関連性をイギリス政府が否定することについてどう思うか尋ねられると、同氏はこう説明します:
「英政府は全く間違っています。人口混在仮説について根拠はほとんどなく、ウィルス説については絶対的に全く根拠がありません。ウィルスも抗体も存在しません。言い換えると、この感染仮説は全く忘れ去るべきです。これらの仮設は放射能によるリスクが無いと説明しきるために作られたものです。」
この問題における事実とは、特定数のがん死は核廃棄物業界のコスト削減を継続するためなら受容しうると考えられることです。誰も回答できない疑問: 死亡が原子力業界のコスト削減より重要になり始めるはどの時点か?
同委員会への会見要請に回答は来ませんでしたが、ドキュメンタリーフィルムのチームはICRPの元委員長ロジャー・クラーク氏がエピキュラスの功利主義的倫理感の一つを引用して費用対効果原理を説明しているビデオをウェブから見つけました。そこで同氏は「大多数のニーズが少数の者のニーズより優先される」と言っていました。
この事例においては、原子力業界は多数の者の便益のためにほとんど機能していないと言えるでしょう。エネルギー生産事業の真のコストを検討したのなら、エネルギーを生産するにははるかに高価ではない、当然のことながら毒性が低い方法があることが明確になります。そのドキュメンタリーで説明されているように、私たちはもっと安全な形態のエネルギーが必要です。廃棄物パイプを閉鎖し、回収しうるドラム缶を海底から引き揚げ安全を確保すべきなのです。何も対策が取られない限り、環境は悪化し続け、人の健康も悪くなります。
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