ヨガで心身ともに多くの効能が得られることを新研究が実証しました

ヨガをしている女性

早分かり -

  • ヨガはほぼ5,000年以来実践されてきましたが、メンタルな要素や肉体的、精神的要素を統合する包括的な運動です
  • 日常的なヨガの練習による健康のメリットには限定することなく次が挙げられます:免疫機能の改善、偏頭痛リスクの軽減、性的に強くなる、睡眠の改善、食物渇望の減少
  • 研究によるとヨガは血圧を下げ、その他のリスク要因を軽減することで心臓の健康を改善するほか、心房細動(不整脈)のある人のためにもなります
  • ヨガはエネルギー収支を調節するホルモン、レプチンに有益な効果があり、研究者らはヨガがレプチンやアジポネクチンの生産を変化させて健康のためになると理論化しました
  • ヨガの心の健康面への効果について考察している100件以上の研究をよく調べてみると、ヨガには抑うつ状態、睡眠の問題、統合失調症、注意欠陥多動障害(ADHD)によい影響を与えるという証拠が見い出せます
文字サイズ:

Dr. Mercolaより

エクササイズは最適な健康のために最も重要な要因の一つであり、エクササイズを毎日するには無数の方法があります。身体の動作を制限する関節炎、骨粗鬆症、多発性硬化症 (MS)、慢性の背中の痛み等の異常に苦しんでいても、役立つエクササイズが複数あります。

痛みのために動きにくい傾向があれば、動かないでいると筋肉が弱まり、実際には痛みや硬直を促すことを銘記してください。従って動き続けていることが通常はよりよい対処のし方です。

ヨガなどの穏やかなエクササイズはエクササイズのメリットがあるばかりではなく、痛み等があるときに痛みや硬直を軽減するのにも有用です。多くのヨガコーチは関節炎や背中の痛み等の特定の異常を対象としたルーチン動作を教えてくれるので、自分のニーズに合うプログラムを探すとよいです。

しかしヨガのメリットは決してきつい運動や高強度活動には参加できない人だけを対象にしているわけではありません。最適な健康のためには、エアロビクス運動(高強度インターバルトレーニング)を組み入れる必要もあるとは思いますが、ヨガが包括的な運動プログラムにおける重要な要素であることは疑いようがありません。

ヨガで身体、心、精神を統合

ヨガは約5,000年実践されてきましたが、多くの人はヨガをエクササイズの一形態として見なし—中には「一時的流行」とさえ見なす人もいる—、本当は心や肉体的、精神的要素を統合する包括的運動です。

後者に関して言うと、ヨガは一つのアサナ(ヨガの姿勢)から別のアサナへ動く際に最大限の注意を要求する瞑想の一形態として見ることができます。新たな動き方や心身への新たな反応方法を習得するにつれ、生活の他の領域が移り、変化する傾向もあります。

ある意味では、肉体的に柔軟性が増しますが、心と生活へのアプローチはある程度の必要な柔軟性も出てきます。身体と健康は正しいライフスタイルに変え始めるにともなって実際に変化するので、ヨガが近年ますます注目されてきました。

Fox News、Huffington Post、Scientific Americanが報告しているように、日常的にヨガを行うと多種多様な健康への効能があることに近年になって数件の研究が注目しています。これには限定することなく次の項目が挙げられます:

  • 免疫機能の強化
  • 片頭痛リスクの軽減
  • 性的に強くなり、両性ともに性の満足が増す,
  • 睡眠の改善
  • 食物渇望の減少

心臓の健康がよくなる – ヨガのメリットの一つ

日常的にヨガを行うと心臓の健康増進になりうることを多くの研究が示しています。それらの研究の一つがヨガで、心臓の上心室が不規則に震える異常である心房細動(不整脈)を軽減するのを助けることを示しています。

調査の最初の3か月間は、患者の心臓の症状、血圧、心拍数、不安や落ち込みの度合、一般的な生活の質について評価と追跡を行いました。第二段階には、患者は最低週に2回、3か月間にわたり、ヨガ教室に通い、その一方で患者の症状を追跡しました。

研究の終わりの頃には、報告された患者の心臓の震えの回数(ハートモニターで確認)は、半分まで落ちました。これらの患者の平均心拍数についても、最初の3か月間平均1分間67回だったものがヨガの後には、1分間に61から62回に下がりました。参加者は、不安感や気持ちの落ち込みを感じることも少なくなったと報告していましたが、これらの心や感情面の効果について以下で詳しく見ていきます。

Journal of Alternative and Complementary Medicine(オルターナティブな補完的医療の専門誌)に掲載された別の研究が、ハタヨガの中学一年生の血圧に及ぼす効果について調査しました。 生徒の中には前期高血圧症の人がいました(初期の高血圧の臨床的兆候があった)。子どもたちの半数がハタヨガ教室を三カ月続け、残りの半分は美術や音楽の教室に参加しました。三か月後ヨガに参加した生徒は美術や音楽の教室に参加した生徒より安静時血圧が下がっていました。研究の筆者らによると:

「学校のハタヨガプログラムは特に前期高血圧症の若年者の間では安静時血圧を下げる効果があることを実証した。交感神経系の躍動軽減はこのヨガプログラムにより基本的な神経ホルモン経路が有益な影響を受けたことを示すようである。ヨガの効率/効果に関する大規模な無作為臨床検査を行う価値がある。」

ヨガがいかに脂肪の代謝や減量に影響するか

興味深いことに、2012年に公開されたある研究は、ヨガがエネルギー摂取とエネルギー消費の調節に重要な役割を担うホルモンであるレプチンに有益な影響があることを発見しました。この著者によると、ヨガ専門家は、初心者と比較してレプチンのレベルが36%高く、定期的なヨガ運動がレプチンやアディポネクチンの生産量を変えることにより、健康に寄与する可能性があるという理論を確立するに至ったたそうです。

インシュリンとレプチン抵抗性の両方が肥満と関連しており、受容体への情報伝送機能の障害は、ほとんどの慢性変性疾患の真の基礎的コアです。食生活とエクササイズはインスリンやレプチンの感受性を改善するなら最も大切な要因ですが、ヨガも他のエクササイズと同様の効果があるようです。

近年になって、ツモ(トゥモ)のヨガ実践によって体熱を多く生み出すチベットヨギたちの神秘的能力を調査したある研究が、これらのヨガエキスパートは褐色脂肪を活性化して身体を温める能力があることを発見しました。この能力があるのでヨギは気温が零下の中でもほぼ裸体で、震えることも低体温症に陥ることもなく瞑想できます。

褐色脂肪はエネルギーを燃やして蓄えない種類の発熱性脂肪です。このためにヒマラヤで瞑想中に極低温の中で生存できることが説明されるだけではなく、減量にも一役買っています。人間の新生児は体を保温し続けるための褐色脂肪が供給されていますが、成人になるまでにはその備蓄がほぼ枯渇します。褐色脂肪は首のエリアの欠陥の周囲(血液を暖かくする)に位置し、内臓脂肪組織内の白色脂肪に「大理石的に混入」していました。

興味深いことには、2012年に公表された別の研究が、低温に身を晒すと褐色脂肪を活性化しうることを証明しました。これがアイスセラピー等の減量戦略の基礎となっているロジックです。ティム・フェリス氏は著書「The Four-Hour Body」の中で身が凍るような温度に晒して脂肪の燃焼を急増させるというコンセプトを支持しています。ダイエット戦略にアイスセラピーを加えるだけでも300%に及ぶほど潜在的には脂肪をさらに燃やせると同氏は主張します。NASAの研究もこの理論を支持しているようです。

心の健康面におけるヨガの効果

ヨガは多種多様なよくある精神異常に有用であることもわかっています。ヨガの精神衛生に対する効果を調べた100件を超す研究に関するメタ分析がヨガによるポジティブな効果が次の異常に対してあることを発見しました:

  • 軽症うつ病
  • 睡眠障害
  • 統合失調症(薬物治療を受けている患者の場合)
  • ADHD(注意欠陥多動障害)

研究の中には、神経伝達物質に影響を及ぼし、セロトニンを増大することによって、ヨガが抗うつ薬や精神療法と同様の効果がある可能性があると示唆しているものがあります。それよりさらに最近の研究でも、ヨガが服役囚の不安や攻撃性を軽減することがわかっています。ヨガを週一回10週間行った後、参加者はストレスが減ったと報告しているほか、執行制御能力試験でもスコアがよくなり、周囲に対する思慮の深さや注意力が高度化したことを示しています。Scientific Americanに次のような説明があります:

「ヨガが服役囚の不安や抑うつ状態の症状を軽くするのに役立つことを数本の研究が実証しており、今ではオックスフォード大学のある研究がヨガで一点集中力がよくなり、決定的な効果としては多くの服役中の暴力で周知の要因である衝動性が減り、『注意力や衝動性はこうした攻撃的衝動に対処しなければならない服役囚にとって極めて有意である』と、

オックスフォードの研究の筆者の一人である心理学者ミゲル・ファリアスが述べている。不安や攻撃性が減れば、服役囚は釈放後に社会に再統合しやすくなるであろう。」

屋外ヨガで追加的メリットを得る

地面を裸足で歩くと、泥か砂か草地かを問わず気持ちよくなることに気づいたことがありますか? 人類の進化過程の大部分において人間は地表に裸足で接触してきましたが、今日では全くそうではなくなりました。アスファルト、木、ラグ、プラスチック、そして特に靴というバリヤーによって地面から引き離されてしまいました。

裸足で歩くとそれ程気持ちよい理由は、地表と直接接触して生活すると身体が接地するので、有益な電気生理的変化が起き、これで身体は潜在的に破壊的電磁場から保護され易くなるからです。わたしたちの体に近いEMFには、スマホやiPadのような、現代の付加物となってしまった電子機器によって実際に発生しているものがあります。

体に適正な量の電子が供給されると免疫系は最適に機能します。この電子は裸足や肌を大地と直に接触させることによって容易にまた自然に得られます。研究によると地球の電子は強力な抗炎症物質として機能する究極の抗酸化剤です。従って、ヨガの効能を大幅にアップしたければ、ヨガ動作を屋外で行うのがよく、それと同時に接地できます。両脚や両手が地表と直接接するようにしてください。草地や砂地でさえ自分のポーズをとるためのヨガ用基盤になります。

心と身体のつながり

社会科学研究所(ISIS)によるある報告書はヨガや気功などの瞑想的な実践が心に有益な効果を与えることによりいかに遺伝子の発現を変化させるかについて説明しています。

この事実は自然な健康について熟知している人には特に驚くに値しません。健康を感情面の快適な状態とは分離して考えることはできません。一つの事例を挙げるだけでも、ある近年の研究が幸福感や楽観主義、満足した生活、その他プラスな心理面の属性が心臓病リスクの低下と関連していると結論しています。ISISが次のように報告しています:

「ヨガによる瞑想の実践は心拍数、血圧、低密度リポタンパク質コレステロール(悪玉コレステロール)によい効果があり、ストレスホルモンである唾液内コルチゾールの濃度を下げることが実証された。

こうして発見された事実は視床下部–下垂体–副腎(HPA)軸や交感神経系を落ち着かせる調節効果と整合的であり、これらは両方ともストレスが多い西洋のライフスタイルによって過剰に活性化されることがわかっている。現在、血流を循環する免疫細胞における遺伝子の発現特性に関する一連の新研究がヨガや瞑想的練習をすると分子レベルで深淵な効果があることを実証している。」

ヨガその他の瞑想的練習により得られる遺伝子への効果には、タンパク質の分解を司る経路に関連する遺伝子や細胞ストレスの応答遺伝子の鎮静化が挙げられます。特定の熱衝撃タンパク質の発現が増大し、免疫機能は多種多様な遺伝子の変化によって増大します。弛緩反応(RR)によってトリガされる遺伝子の変化を研究しているある研究は瞑想的あるいは心する練習が少なくとも2,209種類の遺伝子に効果があることを実証しました。

包括的フィットネスプログラムを目指す

すでにおわかりでしょうが、ヨガを日常行うと健康への効能が不足するということはありません。それでも、最適な健康への効果を得るには多種多様なエクササイズを日常活動に取り込むことは欠かせないと私は思います。理想的には有酸素運動、無酸素運動およびウエイトトレーニングを混ぜ合わせ、包括的なフィットネスプログラムに加えて、柔軟運動およびヨガのような体幹を鍛える運動を行うとよいでしょう。