Dr. Mercolaより
レクチン — 糖分と結合して細胞膜に付着する植物性タンパク質 — は、健康的な食生活を普通にしていても、体重増加や健康の害の隠れた原因であると考えられます。
実際に、レクチンは大部分の植物性食品に含まれるので、自然食品を食べているのに肥るまたはなかなか治らない健康上の異常に苛まれているなら、レクチンが隠れた容疑者であると考えられます。
多くのレクチンは、炎症誘発性、免疫毒性、神経毒性および細胞傷害性をもつレクチンの中には血液の粘度を上げたり遺伝子発現を阻害する、さらに内分泌機能を損なうものもあります。
全くレクチン無しの食事を勧めることの問題は、この食事では大部分の植物性食品を食べなくする点にあり、植物性食品こそ食事の嵩を最適に増します。さらに、少量ならレクチンはとてもメリットがあり、100%無くしてしまうことは無理であると同時に最適解でもありません。
最悪のレクチンを避けられる最適な媒体を見つけることがカギとなるわけですが、他のレクチンの影響は最適な準備と調理によって緩和されます。
食生活からレクチンを減らすための戦略を詳しくご説明する前に、これを減らすべき理由について概観しておきます。Dr.スティーブ・ガンドレーの著作「The Plant Paradox: The Hidden Dangers in 'Healthy' Foods That Cause Disease and Weight Gain」(植物の逆説:病気や肥る元になる『ヘルシーな』食品に隠れている危険)のなかで説明されている通り、植物性レクチンの中には小腸の粘膜細胞にある受容体部位に結合して腸壁からの栄養分吸収に干渉することにより、腸管壁浸漏を引き起こすものがあります。
こういう機能をするので、一部のレクチンは「抗栄養素」として機能し、腸内細菌のバランスを崩し、腸内細菌叢に破滅的影響を与える場合があります。最悪の容疑者の中でも特に、麦芽アグルティニン(WGA)という麦やその他の草属の種子に含まれる成分が挙げられます。
WGAに比べたら、グルテンはまだましなほうです。ガンドレー氏によるとWGAは実験動物の心臓病を誘発する最も効率的な経路の一つを成すことが実際にわかっています。レクチンというのは概して言うと自己免疫疾患と密接に関わりがあり、免疫系の機能障害がある人はレクチンを少なくするように真剣に検討すべきです。
レクチンが害になる経路の一つは分子の擬態によるものです。例えば甲状腺や結合空間にあるタンパク質に似せることにより、レクチンは身体に甲状腺を攻撃させ、関節リューマチを引き起こします。
こうした病理の一環として、レクチンやこれと共に腸壁を通過する内生毒素ともいうリポ多糖体(LPS)等の物質があり、このため極めて強い免疫反応を引き起こす傾向があります。
ほとんどの植物性食品に含まれるのでレクチンを全く避けることはほぼ無理ですが、中でもとりわけ多く含むものから食べないようにしていく対応はとれるはずです。レクチンが原因の一つであると疑われるような健康の問題があれば、次の項目を一切食べないのが賢いでしょう:
• トウモロコシ
• トウモロコシで育てた食肉 — これには食品店に並ぶ大部分の肉類が含まれます。工場農場でトウモロコシ系の餌で育った食肉を避けるには、買う肉が米国草食餌産物協会(American Grassfed Association)の認証付き草で育った食肉であることを確認してください。
• カゼインA1ミルク — カゼインA2は羊、ヤギ、水牛やジャージー種牛の乳に含まれる普通のミルクに含まれるタンパク質です。残念ながら、今日大部分の乳牛はカゼインA1を生産しています。たとえ有機であっても店で買う大部分のミルクはA1です。A1タンパク質は腸内で代謝されてβカゾモルフィンに転換されますが、このβカゾモルフィンが膵臓のβ細胞に結合すると自己免疫性攻撃を引き起こします。
ラクトース不耐性であると信じている多くの人は実際にはミルクに含まれるカゼインA1に反応しているのです。ミルクを飲むなら、有機の草で育てたカゼインA2を生産する乳牛から取れた生乳にしましょう(A1のホルスタイン種産は回避する)。
• ピーナッツ、カシューナッツ、未発酵の大豆製品 — 大豆を食べるなら伝統的に発酵させた食品を選びましょう。
以下の食品にはレクチンが多く含まれますが、少なくとも自分で選ぶことはできます: 以下の食品は避けるべきまたは少なめに食べることができますが、もし食べるなら、よく調理して加熱することが必要です。
発芽させたり発酵や浸したり加熱調理した高レクチン食品のレクチン含有量は大幅に減少し、安全に食べることができるようになることが研究からわかっています。以下にその例を挙げます:
豆の中にはレクチンの多いものや少ないものがあり、少ないものなら安全です。レクチンが中/低濃度のものにはタケアズキ、ササゲ、空豆、ルーピン種子、シロインゲン、ピントIII品種の豆が挙げられます。最も低濃度で安全なもの:ポーランドスプリットピー類、調理したり生のサヤインゲンなどのグリーンビーンズやレンズマメ。
高/中濃度の種類はレクチンに敏感な場合には避けるべきで、これらには白インゲンマメや大豆が含まれます。金時豆は最も多くレクチンを含みます。比較すると、白インゲンマメには生の金時豆に含まれる有毒な植物性血球凝集素の1/3が含まれ、そら豆には金時豆に含まれるレクチンの5~10%しか含まれていません。
豆をいただくなら正しく調理しましょう。絶対的ルールはありませんが、以下に注意すべき点を挙げます: 急性の毒性があるので豆を生や半煮えでは決して食べないこと。
5個食べただけでも食中毒と思われるほどの反応を起こすことがあります。以下は豆を安全に食べるための準備です:
• 豆類は調理前に少なくとも12時間水に浸し、その間に水をこまめに取り替えます。浸け込む水に重曹を加えるとレクチンをさらに中和するのによいです。
• 豆を洗い流し、浸けるために使用した水を捨てます。
• 高熱で最低でも15分間煮ます。豆を煮る温度が低すぎると、毒性レベルが5倍以上に上昇する可能性があります。
オーブンの乾いた熱ではレクチンを効果的に破壊できないので、乾燥した豆粉を材料にするレシピは避けましょう。レクチンを破壊するための最適な方法はInstaPot等の圧力鍋で煮ることです。
じゃがいも(ナス科の植物)に含まれるレクチンも調理により減りますが、じゃがいものレクチンは豆のレクチンより耐熱性があります。じゃがいもの場合、加熱するとレクチン濃度が50~60%減ります。煮た後冷凍するとじゃがいもの栄養価を高められます。
この場合じゃがいもに含まれる消化されにくいでんぷんが増えます — この種の繊維質は小腸で消化されにくく、大腸の中でゆっくりと発酵し、善玉菌の餌になるプレバイオティクスとして機能します。
一例として、焼いたり煮たじゃがいもには100g当たり消化耐性でんぷんが19g含まれますが、蒸して煮たじゃがいもには同6g、煮沸して煮たじゃがいもには0.8gしか含まれていません。
さらに、消化が悪い耐性でんぷんなので血糖が急増しません。実際に、消化耐性でんぷんがインスリンの調節を改善し、インスリン抵抗性リスクが下がります。
最も安全な植物性食品のうち、レクチン濃度に関して言う限り、アスパラガス、にんにく、セロリ、キノコ類や玉ねぎが最も少ないです。制限なく食べてもよいその他の物:
最もレクチンが多い食品を食べず、特定の高レクチン食品を正しく調理する以外に、食事からレクチンを削減するその他の方法には以下のようなものがあります:
• 皮や殻、種子に最も多く含まれるので、果物と野菜の皮を剥き、種子を取り去る。例えば、レクチン制限食をされている場合、皮を取ったアーモンドを食べることができますが、皮のままでアーモンドを食べることはできません。
• 茶色系より白の穀類を選ぶ — このガンドレー氏のお勧めは白より茶色の種類のほうがヘルシーであるというほとんどの推奨とは正反対ですが、この場合には、白米や白パンを優先します。
レクチン制限食で食べるパンを安全にする唯一の方法は、酵母やサワー種を使いグルテンその他有害なレクチンを効果的に分解して作る伝統的方法でパン生地を膨らませることです。地元の食料品店でこの品物を見つけることはほぼできないと思われますので、伝統的パン職人から買うか、ご自分で作る必要があるでしょう。
米国の場合大部分の非有機麦はグリフォセートで乾燥されているので、穀物が有機品であることも確認する必要があります。この除草剤は内在的にも使用しても有害な物であり、グルテン感受性でない人でさえグルテンの害が出るようになり、活性化ビタミンDを作る肝臓の機能を阻害します。
さらに、必須ミネラルをもキレート化し、シキミ酸経路を阻害するほか、体内の細菌叢を破壊し、腸管壁浸漏を促すので、リポ多糖体(LPS)が血流に侵入します。
• 種子、穀物、豆類を発芽させるとレクチンが不活性化されますが、例外も存在します。例えば、レクチンの濃度はアルファルファを発芽させるとむしろ高くなります。
• 発酵させても有害なレクチンを効果的に削減できます。大豆について言うと、発酵した大豆製品は消費する価値がある唯一のものです。サワー種はレクチンを部分的に不活性化することによりパンを食べても安全にする発酵製品の一例です。当然あらゆる野菜は発酵させることができ、そのことにより健康への効能が高まります。
• 圧力鍋を使う — 植物性レクチンは圧力鍋で調理すると最も効果的に中和されますので、この便利な調理器具を購入するだけの価値があるでしょう。多用性がある圧力鍋のInstaPotは多くの人に定評があります。調理の仕上がりが遅い圧力鍋は避けてください。低温で調理するため、レクチン含有量が増えます。
定期的に煮沸したエンドウ豆と、圧力鍋で調理したエンドウ豆のフィチン酸含量を比較した研究では、通常の沸騰でフィチン酸含量が29%減少したのに比べて、圧力鍋で沸騰させたもののフィチン酸含量は54%減少しました。圧力調理しても他の調理法より多くの栄養素を保持することができます。
まとめとして、レクチンには健康を害する潜在性があるとはいえ、全く食べなくすることは無理だし最適解でもありません。
ウェブで「レクチン 多い 食品」として検索すると多くのサーチ結果が出ますが、基本的にこれらの食品は野菜界全体に該当します。全てを食べなくすることは無理であり、一部のレクチンは健康によいので、全てを食べなくする必要もありません。
肝要な点は害のあるレクチンを多量に含む食品を識別し、それらを除き、一部のレクチンが多い食品の場合は適切に調理して食べても安全にすることです。当然のことながら、人によって状況が異なり、ご自分でどの程度レクチンを制限する必要があるかをご判断ください。
自己免疫疾患を持つ多くの人は特定の食品に含まれる特定のレクチンに対して特に感受性が高いです。
従って、これらを特定するには試す必要があります。原則的には、現在健康的な自然食品中心の食生活をしていても健康上の問題が解決しない場合、レクチンには特に注意するようお勧めします。すべてうまくいくかどうかが保証されるわけではありませんが、レクチンを全く無くすあるいは減らすことは健康の異常を癒すためにひょっとすると不足している方策の一つではないかと思われます。
ライマメにはどんな効果が?
有毒なレクチンを含む豆類とその他の食品に関するケーススタディ
どの程度の頻度なら便通は正常でしょうか?
タンパク質を摂り過ぎると老化やがんにつながる仕組みと理由
このウェブサイトの閲覧を続けとクッキーの使用、改訂個人情報保護方針、サービスの提供条件に同意したものとみなされます。
同意する