Dr. Mercolaより
以前は脳の機能は成人の初期に頂点に達し、その後はだんだんに劣化して、記憶力の低下や脳霧が高齢になると起きるものと考えられていました。
今日では、ライフスタイルが認知力低下の大きな要因であることがわかっており、毒素や化学物質との接触、貧疎な食生活、睡眠不足、ストレスその他多くのことが実際に脳の機能を阻害する場合があることがわかっています。
その裏返しはというと、健康的ライフスタイルで脳の健康を支持でき、さらに神経細胞の可塑性というプロセスで脳が新しいニューロンを生成するように促すものと考えられます。
記憶力の中枢である海馬は特に新たな細胞が育つ場所であり、今日では、適正なことをする限り海馬が一生再生する(90歳代になっても)こともわかっています。
こうした適正な「こと」とはライフスタイルに基づくものなので、実践しやすいです。高価な処方薬やいかなる医療支出も不要で、脳力と記憶力を上げることはできます。記憶力をよくするには単に次のコツを応用してみましょう。
1. 正しく食べる — 何を食べるか食べないかが記憶力に決定的違いを生みます。新鮮な野菜は欠かせず、健康な脂肪もそうですが、砂糖や穀類の炭水化物は避けること。
例えば、カレー、セロリー、ブロッコリ、カリフラワー、クルミには抗酸化物質やその他の化合物が含まれており、これらが脳の健康を守るほか、新たな脳細胞の生産さえ促します。
動物性オメガ3脂肪の摂取量を増やし、損傷したオメガ6脂肪(精製サラダオイルがその一例)の消費量を減らすと、オメガ3対オメガ6比のバランスが取れるようになるので、これも重要です。
ココナッツオイルも脳の機能のために健康なもう一つの脂肪です。Dr. メアリー・ニューポートの研究によると、ココナッツオイルテーブルスプーン2杯ちょっとだけに(約35 mlまたはティースプーン7杯)でも20 gの中鎖脂肪トリグリセリド(MCT)相当を得ることができ、この物質は神経萎縮性疾患に対する予防効果があるほかすでにこうした疾患になっていても治療に使えます。
2. エクササイズ — エクササイズは神経細胞の増殖を刺激し、相互接続を強化し、損傷から保護することにより脳が最適に機能することを促します。
エクササイズをしている間神経細胞は神経栄養因子というたんぱく質を放出します。特に、脳由来の神経栄養因子(BDNF)と呼ばれるものは、神経の健康を促進する他の多くの化学物質を誘発し、学習を含む認知機能に直接的な利益をもたらします。
2010年にNeuroscienceに公表されたある類人猿についての研究でも日常のエクササイズが脳への血流を促進したばかりではなく、運動しない猿より二倍の速さで新たな作業を学習するのに役立ちました。この運動による効能は研究者らの考えでは人間にもおそらく当てはまります。
3. 一度に複数のことをしない — コンピュータでは並列処理機能を説明するために使われてきた概念ですが、マルチタスクはできるだけ多くのことをできる限り速く行おうとする人を指す略語になりました。しかし結局マルチタスクすると能率は上がらず、エラーを犯しやすくなるほか、忘れっぽくもなります。
ある情報を記憶するには約8秒かかることが研究から判明しているので、電話で話している最中に車のキーを置きながら買い物を運ぶのでは、どこに置いたか思い出せない可能性が高いです。
マルチタスクの反対は心する姿勢であり、これで気の散らない集中力を実現できるようになります。T心する姿勢を学ぶ教室に参加した学生は読解力のテストで得点が上がり、作業記録力が上がり、さらに、気の散る思いがよぎらないようになりました。
4. 夜もっとよく寝る — ハーバード大学の研究によると、寝た後は、関連性が薄い考えの間のつながりを推論できる確率が33%上がるが、その成果が実際に改善したことにほとんどの人が気づいていないそうです。
睡眠は記憶力も強化し、課題の多い技能の実績をアップするものとして知られています。実際に、4~6時間しか寝ない夜が一晩あるだけでも翌日明瞭に思考できなくなります。
神経細胞の可塑性という脳の成長の過程が学習や記憶を含む脳による行動制御能力の基礎を成すものと考えられています。可塑性は、ニューロンが環境からの事象や情報によって刺激を受けると発生します。
さらに、学習や記憶の定着に関連する神経プロセスである特定な形態の長期的相乗作用は睡眠中に誘発されるので、シナプスの接続が睡眠中に強まることを示唆しています。
すでにご想像おつきのことでしょうが、このことは幼児にも当てはまり、研究によると昼寝が赤ちゃんの脳力をアップすることはわかっています。特に、学習とテストの間に寝た幼児は新たな情報の中のパターンを認識する能力が上がっており、このことは認知力発達における記憶力の重要な変化の本質的役割について示します。
さらにこのことが成人にも該当すると考えられる根拠があり、成人であっても、昼寝が脳力を劇的にアップすることがわかっています。
5. ブレーンゲームで遊ぶ — 新しい驚きのある情報で脳に十分な課題を投げ付けないでいると、結局は劣化し始めます。脳の可塑性に関する研究によると、脳に適切な刺激を与えることでこの萎縮を予防することができるようです。
脳に課題を当てる一つの方法が「ブレーンゲーム」によるもので、ここではLumosity.com等のウェブサイトでオンラインゲームをします。カリフォルニア大学名誉教授Dr. マイケル・マーゼニックは脳の可塑性(すなわち神経細胞の可塑性)分野では30年以上に渡りパイオニア研究をしてきた方で、コンピュータで遊ぶ脳トレプログラムを開発し、これで数種類のスキル、例えば読みや理解力から記憶力まで改善するのを助けています。
このプログラムはBrain HQといい、このウェブサイトには脳の機能を高めるために作られた豊富な練習があり、時間が経つにつれて進捗する様子を追跡して監視できる機能もあります。ウェブには似たような多くのサイトがありますが、Brain HQは最も古く最も幅広く使われているものの一つです。
ブレーンゲームをお試しになるなら、一日に少なくとも20分は使うとよいですが、一つのタスクには5~7分以上は費やさないようにしましょう。これ以上の時間を一つのタスクに使っていると効果は薄れます。
6. 新しい技能を習得する — 「目的があり有意義な活動」に取り組むと神経系を刺激し、ストレス関連の病気による影響を予防でき、認知症リスクを低下し、健康や快適な状態を促します。脳の機能を改善したり機能低下を逆転させるために必要な肝心な要因は自分であるタスクに取り組む目的のまじめさです。
例えば、ある研究はキルト刺繍や編み物などの手作り活動をすると軽度認知障害のリスクが下がることと関連していることを解明しました。数年前に掲載されたある研究ではキルトを学習したりデジタルフォトを撮るといった「認知力に対する要求度が高い」活動に参加すると高齢者の記憶力が増すことが発見されました。
7. 記憶術装置の活用 — 記憶術装置は記憶力をよくするためのツールで、単語や情報、考えを覚えるのを助けます。この装置は情報を覚えやすい形で整理しやすくします。試すこと:
記憶力や認知力を本当によくしたいなら、脳の健康のために欠かせない以下の3つの項目について詳しく把握してください。
ビタミンD — 活性化ビタミンD受容体は脳内の神経成長を促し、研究者らはビタミンDの海馬と小脳内の代謝経路も特定しました。これらの脳内の野は計画、情報処理、新たな記憶の形成に関わっています。
高齢者の場合、ビタミンDの減少は脳機能の減退と関連づけられることを研究が実証しており、このレベルを増加することで高齢者が精神的に健常でい続けるのに役立つと考えられます。
適度な日光浴だけで健康的な脳の機能のために必要なこのビタミンの濃度を維持できます。日光に当たる機会がない方の場合、安全な日焼けベッドは次善の策として利用でき、次がビタミンD3のサプリメントです。
断続的絶食 — 脳にはグルコースが必要という一般に誤解されている信仰は過ちで、ケトンこそ必要です。この脂肪は炭水化物を食べなくなると身体が利用しだすものです。その他ココナッツオイルやその他健康に良い脂肪を食事に取り入れましょう。そのほかにもこのようにすれば全体としてカロリー消費が減り、脳の細胞を成長させ連動性が促されます。
しかし、健康的ライフスタイルの一環として私が優先しているのは間歇的絶食により単に一日に食べる時間帯を絞り込むことです。食べる時間帯を6~8時間の枠に限定すると、毎日16~18時間は効果的な絶食ができるわけです。
腸の健康 — 腸は「第二の脳」であり、腸内細菌は迷走神経という第10の脳神経を通り脳に情報を送ります。この神経は脳幹から腸内神経系(胃腸管の神経系)へ走ります。
腸内細菌叢の異常と脳の発達異常の間には密接な関係があり、脳内にニューロンがあるのと同様、腸内にもニューロンがあり、これにはセロトニンという、脳内にもあり気分に関係している神経伝達物質を生産するニューロンを含みます。
ごく簡単なことですが、腸の健康は脳の機能やプシュケー、さらに行動に影響しており、これらが相互に接続され、多くの経路で相互に依存しています。
このためにはプロバイオティクスのサプリを利用することもできますが、私が特に好きなものは発酵野菜です。これは極めて多くの善玉菌を供給してくれるからです。健康的な量のザウアークラウト - 約55~85g - で最も効能があるプロバイオティクスサプリ100カプセル分にも相当するほどの効果を得られることにほとんどの人は気づいていません。
コリンと脳の関連性 — コリンは体内で少量作られる必須栄養素です。しかし、十分得るには食事から摂るしかありません。成人の場合は、コリンが細胞膜の正常な機能維持のために機能しており、神経の伝達機能においても機能を持つほか、血液中のホモシステイン形成を阻害し(このレベルが高いと心臓病につながる)、慢性的炎症を軽減します。
コリンを妊娠中に摂取すると、子宮内にいる動物の脳の活動を「スーパーチャージ」して認知機能を高め、学習能力と記憶力を向上させ、人生の後半にまで脳の保護に寄与して、加齢に伴う記憶低下や、幼少期の毒素に対する脆弱性を低下させることが以前の研究から判明しています。
妊娠中の方なら食事に多くのコリンを含む食品を取り入れることが欠かせません。研究によるとコリンをたくさん摂ると胎児の遺伝子外のマーカーによい変化が現れます。具体的に言うと、ホルモンの生産や活性を制御している視床下部–下垂体–副腎(HPA)軸を調節するマーカーに効果が現れます。
胎児の遺伝子発現変性は大人になってからも継続すると見られており、これが病気の予防のために機能しています。
玉子や肉はコリンが最も豊富な食品のなかの2つです。動物性の食品を食べない完全ベジタリアンや菜食趣味の方ならこれが欠乏するリスクがあるのでサプリを検討すべきだと思います。
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