ピラティスの健康へのメリットは自信、姿勢、生産性のアップにつながる

ピラティス

早分かり -

  • ダンサーが回復を速め怪我の再発を防止するために利用しているピラティスで体幹が強くなり、姿勢がよくなり、調整力や柔軟性が増します
  • ピラティスの効能には姿勢がよくなる、自信がつく、心身一体、滑らかな動作、背中の痛み減少が挙げられます
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Dr. Mercolaより

エクササイズは健やかさのための大黒柱の一本です。エクササイズには一部の例を挙げるだけでも心臓病やうつ、糖尿病等のよくある健康上の懸念に対して多くの薬により処置と同じ(かそれ以上の)効果があります。

各種の運動を取り入れ、筋肉を鍛え、費やした時間から最大限の効果を得ることが大切です。これは高強度インターバルトレーニング(HIIT)、筋力トレーニング、柔軟性トレーニング、体幹エクササイズを毎週ご自分の運動プログラムに取り入れるように私がお勧めしている理由の一つです。

ピラティスというエクササイズは体幹を強化し、柔軟性を増し、一部の筋力トレーニングによる効能もあります。以前強調しましたが、エクササイズするときは体に耳を傾け、睡眠の習慣を改め、食習慣を見直すことは重要です。

新たな習慣で健康がよくなっているかを知るために気分はわかりやすい指標です。

ピラティスの歴史

ピラティスはジョセフ・ピラティスが開発したエクササイズで、そのミッションは人々にバランスのとれた肉体の発達と心身・精神のバランスの取れた発達のための手段を提供することであると明言されています。ピラティスはドイツで生まれ、その後イギリスへ渡り、最後は米国へ移住しました。

この人は西洋と東洋の思想から得た健康についての考え方を統合した最初の影響力ある人物であるといえます。 初のスタジオをニューヨークに開き、これが特殊なエクササイズとして怪我からの回復を速め、再発を防止するのに役立つことを認めたダンサーの間であっという間に人気を博しました。

フィットネスに対するアプローチはピラティスが開発した6つの原則に基づいており、これは究極的にはこのエクササイズとプロセスを定義しています。

ピラティスの原則

ピラティスは以下の6原則を統合すると「しなやかさ、自然な優雅さ、技能が得られる」と信じていました。この原則がコーチ、学生、新たな動作を生み出した人々を導きました。

このエクササイズは簡単そうでもうまく完了するにはとても精度が要求され、制御力を要する特定の順序で行います。要求度が高いにもかかわらず、汗をかきません。このエクササイズは腹筋、殿筋、脚、背中の筋肉というすべてが体幹に関わる部分を鍛えます。

自重を利用して柔軟性、関節の動作性、体力増加がこのエクササイズで鍛える主な筋肉の改善の成果です。競技ではないので、関節炎や背中の痛みも含め、個人別のニーズに合わせて構成できます。

二三の例を挙げるだけでも、妊娠等の特定の状態や、糖尿病性網膜症に罹った場合や膝や背中を負傷している場合には調整が必要なので、ピラティスを日常行うことについて担当医と話し合うことは大切です。

ピラティス エクササイズの効能を最大限に引き出すには以下の6つの原則を守りましょう。

集中 — 集中と心と体のつながりこそピラティスや実感できる改善の基幹的部分です。筋肉、姿勢、可動部分に意識を向けることにフォーカスします。

心して行うことで身体がリラックスし、心が体とつながるので、単に動作をこなすだけでは不足です。

コントロール — 滑らかな動きを一貫する精確な制御はピラティスが他のエクササイズとは際立って異なる点で、多くのダンサーがこの運動の効能に価値を置いている理由です。

ピラティスはフィットするためには心を肉体を制御するように訓練する必要があると考えました。適切なコントロールと正しい形がエクササイズとその効能をさらによくすることができます。

精密さ — 身体のいろいろな部分と身体の姿勢との関係はピラティスの練習の成功と安全性のかぎです。

精密に行うことで怪我を予防でき、エクササイズについて筋肉が多く記憶できるようになり、バランスを生み出す集中力がつきます。1つのエクササイズを精密に行うほうが形が崩れたまま反復を増やすより大切なのです。

呼吸 — 深い、制御の効いた、横隔膜呼吸で循環がよくなり、ピラティスを正しく行うために欠かせない条件です。ピラティスは適正かつ制御の効いた呼吸が動作を制御しやすくし、組織への酸素供給を改善すると考えました。

流れ — 流れる動きはエクササイズの間の移行を滑らかにし、ピラティス運動の基幹的要素です。優雅さと流れを生み出すことで体力とスタミナが増し、筋力を高め、バランスをよくし、神経筋肉のつながりがよくなると、ピラティスは考えていました。

体幹 — ピラティスにおいて、体幹(腹部、背中の下部、腰、臀部)は体力の発電所みたいなもので、全てのエネルギーがここから発しています。ピラティスはまた、体幹に集中すると心と精神を和らげるのによいと考えていました。

身体の意識と姿勢が健康を改善する

高齢で30人の通院中男女患者に関する研究参加者が5週間ピラティスの教室に参加しました。効能が直ぐに表れたばかりではなく、1年後もバランス動作が維持されていることを研究者らが確認しました。

身体への意識と姿勢が全体的な健康のためにはささいなことであると思われれば、それは間違いです。バランスと姿勢がよくなると老若問わず多くの効能があることを研究者らは実証しました。

よりよい姿勢と制御はオピオイド依存症の大きなリスク要因である背中の痛みの軽減につながります。姿勢が悪いと首の関連や緊張による頭痛の元で、これらが偏頭痛につながることもあります。

姿勢が悪いと背中下部と上部の痛みのリスクも高くなります。これらの慢性痛による異常は鎮痛剤への依存につながるだけではなく、人生の質をも低下させます。

姿勢が悪いと身体を支持するためではない筋肉への作業負荷が増え、一日中凝りや倦怠を実感することが増えます。

直立の姿勢だと肺の容量が増え、酸素交換が改善され、このため認知力が高まり、うつリスクが下がります。

体幹の対称的強度が姿勢をよくし自信を上げる

よい姿勢のためには強い腹筋と背中の下部と上部の筋肉が欠かせません。これらはピラティス プログラムの主な対象としている部位です。非対称な腹壁は脊柱の揃いを悪くし、背中の痛みにつながります。ピラティス プログラムがこうした非対称性を軽減し、腹筋を強化し、以前からあった非対称性を解消できることを研究者らは確認しました。

姿勢で体力と気分も左右され、これらはともに生産性に影響します。心と肉体の間の双方向関係のことを「体化認知」という用語を使って言い表しています。

ピラティスは悲しみやうつの感情の反対である元気な感覚がよくなることと関連しています。背筋を伸ばして座ることでストレス耐性が高まり、自信がつくようになる簡素な行動的変化といえるでしょう。

身体の姿勢は自信のレベルと自己評価能力に影響します。研究中に自己評価する機会があった人のうち、姿勢がよい人は物事をより自信をもって選択していました。

ピラティスの精神的優位性で生産性アップ

ハーバード大学のある研究が、「力のみなぎる姿勢」をする人つまり肩を引き、背筋が真っすぐな姿勢でいると、仕事で採用される確率が高く、テストステロンが20%増加し、コルチゾール濃度が25%減少していました。

よい姿勢は第一印象がよく、生産性を高めます。リーダーシップの専門家は経営陣や新入社員候補者に背筋を伸ばして立ち、力のある姿勢をすると仕事の上でも面接でも印象がよくなるとアドバイスします。

動作を維持するために強い体幹が必要な動作の種類があります。運動しているときや仕事中かに関わらず、自信があると、より速く学習でき、リスクに挑み、目標実現のためなら何でもすることができるようになります。

15分でピラティス運動

ピラティスは設備やリフォーマーを使わずにマット上でできます。この器具はストラップと可動式ベースを使って身体を正しくそろえるように調整します。この器具はピラティスが学生が様々な姿勢でエクササイズできるように開発しました。

以下に体幹を強くし、姿勢や体幹の強さ、柔軟性を増すように設計された練習に導入するためのピラティスの動作をご説明します。これらの動作はゆっくりと慎重に行い、上記の6つのピラティス原則を守って行ってください。

トゥタップ — 床に仰向けに寝て背中は自然な位置にする。背中下部と床の間が若干離れるはずです。足と踵が骨盤の延長戦上で平らにしたまま膝を曲げる。お尻が90°になるつまりほぼ椅子に座ったときの角度になるまで両脚を挙げる。

深呼吸する。息を吐くときはマットに片足のつま先ずつ交互にタップし、次に反対側の足を行い、つま先は真っすぐにしたままで、背中を中立に維持しつつできるかぎり下げる。息を吸うときは足を元のように上げ、反対側の足で反復する。片足ずつ反復10回。深呼吸、筋肉の動作と身体が揃うことに注意を向ける。

プレスポイント — 「コーディネーション」とも呼ぶ動作で、床に仰向けに寝そべり、両腕を体の脇に置き、膝を曲げ、足は床に平らに着ける。足を上げて、両膝を曲げ、ヒップが椅子に座ったときのように90°になるまで足を上げる。ここが運動の起点。

両肘を90°曲げ、手の平を足のほうに向ける。深呼吸する。息を吐くときに頭、首、肩をあばら骨の下部から起こして丸めると同時に両腕は体の両脇で床上に伸ばし、膝を伸ばす。

息を吸いながら、両脚をヒップより若干広く軽く開き、引いてまた閉じ、両手は床に置いたまま。ここで息を吐き、両脚を開始位置に戻す。次に息を吸いながら、頭、首、肩の力を緩め、床へ戻し、両肘を90°曲げる。

これをゆっくりと手順通りに8回反復、形と呼吸に集中する。悪い形で8回するより完璧な形で1~2回行うほうがよいです。

ニーリフト — 両手と両膝から始め、つま先を曲げて床に着ける。背中で肩甲骨をいっぱいに広げつつ背筋を伸ばす。息を吐きながら、腹筋を背中側へ引き締め、つま先へ抜かすように押し、両膝を数センチ床から浮かしておく。

上げつつ背筋を中立に保つ。2回深呼吸しつつこの位置を維持する。両膝をマットに下げる。5回反復します。

強化ブリッジ — この動作はブリッジと同じです。仰向けになり床から始め、膝を曲げ、足は床に着けたままで腰幅に広げる。足で踏ん張りヒップを浮かせつつ背筋は自然なままに。

この動作をしている間に深呼吸する。右脚を上へ伸ばし、床へ降ろし、この間ヒップを上げたままで自然にしておく。反対の脚も同じようにする。片脚ずつ8回反復。

クラム — 左を下にして床に寝そべり、膝を曲げて重ねる。脚を揃えたまま、上側の脚を開いて上げ、膝をできる限り高くしつつも骨盤は安定させる。元に戻して、貝殻が閉じるようにする。

中立姿勢を維持しつつ腹筋を効かせる間、骨盤と脚の位置に集中する。片側ずつ15回反復。

ピラティス腕立て伏せ — 直立して両手を両脇に伸ばしたまま、足は肩幅、顎を胸に引き寄せ、床へゆっくりと下げる。膝を曲げ手を床に着ける。プランクの姿勢になるまでゆっくり足を踏み出し、体の姿勢を意識し続ける。

体幹とお尻ともに引き締める。短い腕立て伏せをする (床まで着けない)。プランクの姿勢に戻り、お尻を上げ、両手を這わせて戻して両脚で立ちぶら下がった姿勢になる。腹筋を引き締め、直立姿勢までゆっくり戻る。8回反復。

+ 出典および参考資料