Dr. Mercolaより
従来の医療ではお決まりの「切り傷、中毒、火傷」対策式の対症療法的アプローチ以外にほとんど貢献できなくなっている一方、新たな根拠に基づく簡素な食生活の変更でガンの大半に対して効果的な対策となり、予防もできる可能性があることがわかってきました。
トラビス・クリストファーソンは「Tripping Over the Truth: The Return of the Metabolic Theory of Cancer Illuminates a New and Hopeful Path to a Cure」(真実を明かす:ガンの新陳代謝理論復活で治癒に向かう有望な新方式)というすばらしい著作の筆者です。
私は昨年中に150冊の本を読みましたがこの本が最も優れる著作のひとつでした。私の見方ではご自身にガンがある方またはお知り合いにガンの方がいれば是非お読みいただきたい一冊です。この本のおかげで来年出版予定のある本のためにミトコンドリアの新陳代謝に関する医学文献を熱心に検討することにしました。
このインタビューでは、医学前期の学士号と材料工学・材料科学修士号を持つトラビスがご自身の本で取り上げていることの詳細について一部を振り返って話していただきました。
トラビス曰く:「ガン理論の授業を受けていたときトーマス・N・セイフフリードPh.Dの著作「Cancer as a Metabolic Disease」(新陳代謝病としてのガン)に偶然出会いました。 ただ素晴らしいとしか言いようがないほどよく書かれた本でした。
ガンの遺伝子以外の発端つまり、ガンの新陳代謝起源に関するこの本はとても優秀な理論展開をしています。
あまりに驚き、この本に不意を突かれたわけで、それについて多くの人が知らないことに驚き、私は長い質問リストを作りご本人に会いにボストンへ行きました。質問の全てに答えていただいたので私の興味はますます深くなりました。」
帰宅するやいなや、トラビスは2006年に開始されたガン・ゲノム・アトラスプロジェクトのデータをくまなくあさりました。このプロジェクトはガン細胞のゲノムシーケンシングを目的とした政府による最大のものでした。それはヒトゲノムプロジェクトで行われた遺伝子のシーケンシングより10,000倍の規模のものでした。
ガン細胞内部に見つかった突然変異をしらみつぶしに当たるるのがその目的でした。そのデータ全容が見えてきたトラビスはデータが実際に表していた対象が何かについて最優秀の科学者らでさえ多くのことを混合していることに気が付きました。それは当初の期待に合致していなかったのです。
わかりやすく言うと、ガン細胞は、脂肪やケトンよりも活性酸素種(ROS)をはるかに多く発生する本質的に「汚い」燃料であるグルコースを餌にしています。しかしケトンを燃料にするには、細胞は健康かつ正常でなければなりません。ガン細胞は脂肪を代謝できず、ここにガン治療の成功のカギがあり、ケトジェニック食が効果的であると考えられる理由があります。この食事は本質的にはガンを飢え死にさせる反面、健康な細胞には栄養を与えます。
「この理論の決め手は、ミトコンドリアの損傷が十分に広がると、― これを核への退行性応答あるいはエピジェネティックな信号と呼ぶ ―、ゲノムが不安定になり始めます。突然変異が蓄積し始めるのです。そこで、この理論の核心はこれらのどちらが先か?ということです。
新陳代謝理論のポイントはこのミトコンドリアの損傷が最初に起きたので、突然変異につながる、ということです。突然変異は原因のように見えますが、実際には、真の原因によって起きる帰結なわけです。従って、研究者らがなぜ、この手あたり次第の追究を行い、こうした突然変異の正体とその意義について究明しようとしているのが見えてきます」と、トラビスが説明します。
セイフフリード氏はガンの新陳代謝理論を支持する根拠をすばらしくまとめています。例えば、トラビスは大部分は1980年代まで遡るいわゆる核移植研究を掘り起こしました。
その研究は極めて簡素でわかりやすい実験で、ガン細胞の核を取り出して正常な核を除去した健康な細胞に移植しました。細胞をペトリ皿で培養してからマウスに注射し、何が起きるかを見ました。
ガン細胞の核を取り出して健常細胞に移植し、マウスに投与しても何も起きませんでした。ガンは発生せず、細胞は正常に戻ったのでした。ガンを起こすと考えられているガン推進要因である突然変異が起きた細胞を注入してもこの事実とはいったいどうしたことでしょうか! ではなぜガンにならないのでしょうか?
当時の推論は細胞質の中の何かがガンを抑止する程度のことしか推論できませんでした。次に実験を逆に行って、健常な細胞の核をガン細胞に移植して、マウスに投与したら、98%のこの実験動物にガンが発生したのでした。つまり細胞質内の何かがガンを抑止するだけではなく、ガンを促進もすることが論駁しようのない根拠なのです。
優秀な韓国出身の生化学者ヤング・コーPh.D.ジョンズ・ホプキンズ大でピーダーセン氏と協業を行っています。私は彼女の業績はノーベル賞を受賞すると予測しています。彼女こそ頑固な転移性ガンの大部分を解決しうるカギを握っていると私は考えます。
お二人が注目したのは、ガン細胞が乳酸を過剰に生産すると、乳酸を排出するためにさらに多くの孔すなわちモノカルボン酸転移リン酸基を生産せざるを得ず、これができないとガン細胞は死にます。乳酸は極めて毒性が高い物質です。彼女の最も顕著な発見の一つとして、一連の現象についてトラビスがこう説明します:
「ヤングさんが今ここにいてこう考えているとします、『そういえばこれは正常な細胞とガン細胞の機能の違いではないか。この相違点をいかに活用できるか?』ピートはこれを一種の裏戸方式で試していました、つまり、遺伝子発現という見地からだったのですが、これがうまくいきませんでした。
ヤングさんは3-ブロモピルビン酸塩(3bp)という彼女のワシントンでの博士号研究中に対象にしていた化合物について思い出しました。これは乳酸に似ているが極めて反応性が高く、とても興味をそそる小さい分子です。
彼女は「この薬を投与して、その孔であるガン細胞の開口部から侵入できるなら、乳酸が排出されないだろうか?」と思い始めました。彼女はこの物質をよく使われる化学療法薬シスプラチン等と比較実験しました。初回のテストで3bpがガン細胞を破壊しました。彼女は「これはどこか変だ」と思いました。
彼女は自分の目が信じられないのでこの実験を百回行いました。彼女はこの薬を開発し続けました。動物実験を実施したら何もかも破壊されました。腫瘍を解かし去りました。前臨床データは信じられないものです。
しかしそのときヤングさんはジョンズ・ホプキンズの内部抗争に巻き込まれました。最初は研究担当副学長との間に起きました。両者は無償資金供与申請の件で議論し、その論争が何年にも及ぶ訴訟にもつれこみ、3-ブロモピルビン酸塩がストップしてしまったのです。この物質については特許訴訟が行われていたのです。
ミトコンドリアの機能障害がほぼあらゆる病気の根幹にあることが分かり始めており、ケトーシスの栄養状態がますます支持を得てきました。80年以上、ケトーシスは子供の頑固な発作の標準的な療法でした。
しかし、今ではこの食生活がアルツハイマー病やパーキンソン病等の神経萎縮性疾患や肥満、糖尿病、心不全、心臓病、関節炎等多くの病気に効果があるこがわかってきました。
それほどよく機能する根本的理由の一つは炎症をほぼ無くせるからです。私自身これを行っています。私は自分の高感度C反応性タンパク質(HS-CRP)検査を受けたところ、 健康な範囲の0.7と出ました。炎症が治ると肉体は癒されます。
炎症が治ると老化の加速を画期的に遅くもします。残念ながら、人口の99%以上はこの手法について聞いたこともなければ把握もしていないというだけの理由でメリットを受けていません。
ケトジェニック食はほとんどの病気の状態に極めてメリットがあるようですが、一つだけうまくいきそうにないのは真に大きい筋肉を作るには向かないことです。そのためには糖新生を起こすタンパク質が通常はもっと必要なので、ケトーシスのメリットを得ることができなくなります。
この点については反証もあります。サウスフロリダ医科大学で分子薬理学と生理学を教えるドミニック・ダコスティーノPh.D.はケトジェニック食をしていながらも、並外れて筋肉質であり筋力があります。
私は2013年にケトーシスという栄養形態に関して同氏にインタビューしました。この食形態がなぜ体質を改善できるかの理由の一つは、ケトジェニック食には分岐鎖アミノ酸(BCAA)を節約する効果があることで、これは、ケトンがバリンやロイシン、イソロイシンといった分岐鎖アミノ酸に極めて似た構造をしているからです。これら3つの物質は筋肉を作るために最も基幹的なアミノ酸でもあります。
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