Dr. カレン・ショー・ベッカー
DCM(拡張型心筋症)は猫によくある心臓病ですが、犬には稀です。しかしこの病気になりやすい体質の犬は別です。これらにはグレートデーン、ぼくさー、ニューファウンドランド、アイリッシュウルフハウンド、セイントバーナード、ドーベルマン・ピンシャー、コッカースパニエルが含まれます。
近年犬のDCMが増えているのは餌が原因なようです。発病する犬はアミノ酸タウリンが欠乏しているためにDCMになりやすく、犬は例外なく穀類のないポテト、そら豆、レンズマメその他の豆科を含む固形ドッグフードを与えられています。
肉はタウリンの主な摂取源ですが、肉の成分は植物系やでんぷん系のキブルフードにはあまり入っていません。
DCM、犬、穀類無しのキブルについてのニュースがペットコミュニティーに山火事のように広まっています。例:インディアナポリスのあるニュースチャンネルによるレポートが1件の獣医クリニックでほぼ36匹の犬の患者(ラブラドールやゴールデンりとりー、ブルドッグ、雑種を含む)にDCMが発病しており、全てに共通する一つの事実がありました — 穀類フリーのキブル食生活。
7月中旬にFDAの獣医学センター(CVM)がペットオーナー向けに警告を発しました:
「FDA(食品医薬品局)がペットオーナーと獣医にそら豆、レンズマメその他の豆科やポテトを主原料とするペットフードを食べている犬の拡張型心筋症(DCM)が発症した報告について警告しています。DCMがこの病気に本来遺伝子的になりにくい品種で発生しているのでこうした報告はごく稀です。」
FDAに報告された症例にはゴールデンリトリバーやラブラドールリトリーバー、ホイッペット、シーズー、ブルドッグ、 ミニチュア・シュナウザーさらに雑種も含まれていました。犬の食生活は「よくポテトや、そら豆、レンズ豆、その他の豆科、そのタンパク質、でんぷん、繊維質派生物質成分が主体です。」
FDAによると、獣医のなかでも心臓医による報告が、発病した犬は日常的にこうした餌を数カ月や何年も食べていることを示しています。当局は、特にDCMを食べている犬については獣医に相談して餌を切替えるべきであると警告しています。
FDAに報告された症例の内3件のゴールデンと1件のラブラドールを含む4件のカルテには血中タウリンの低下が示されていました。しかしDCMを発病した他の犬 — ミニチュア・シュナウザー、シーズー、ラブラドール2頭 — では血中タウリンが正常でした。
このためこの問題が複雑なのです。近年にDCMを発病した「発病しにくい」犬のどれもが必ずしもタウリン欠乏ではなかったからです。さらに、穀類のない乾燥フードに通常含まれる成分がタウリン欠乏といかにつながっているか、別のDCMの根本原因といかに関連しているかについては判明していません。
FDAは獣医のなかでも心臓医や栄養士と共同してこの問題の解明に取り組んでいますが、ペットフードメーカーとも連絡をとってきました。同局はペットオーナーや獣医クリニックのスタッフにウェブのSafety Reporting Portal(安全性報告ポータル)を利用したり地元の州のFDA Consumer Complaint Coordinators(FDA消費者苦情調整担当者)を呼び出して潜在的な食生活に関連する犬のDCM症例を報告するよう促しています。
8月上旬にFDAのCVMが食生活と犬のDCMの間にありうる関連性についての調査に関して消費者向けQ&A一覧を公表しました。
周知の通り、大型のペットフードには非動物系の肉や植物系成分が豊富で安価なのでよく利用されています。
業界は新たな「革新的で」ありながら生物学的には不適切な犬猫の餌成分の開発に投資し、こうした成分が消化不良やその他の健康の異常として発現しない程度までペットが耐えられるかについて研究しています。
当然のことながら、FDAがこの警告を発して以来、ペットフード業界のジャーナルにはよく使用している成分を防衛することしか書かれていません。最近のなるほどと見当がつく表題の例を挙げます:
ペットフード成分の研究は通常小規模で範囲が限られており、新商品発売前のペットフード検査は短期間しか行われず、生物学的に不適切な食事を何カ月や何年または生涯与えることの長期的影響についての研究は存在しないことに注目しなければなりません。
Pet Business誌にこんな記事がありました:「ペットリテーラーの利益アップに寄与しうる唯一の出版物」がFDAの警告に対して言うべきことは:
「一部の穀類無しのドッグフードと犬の心臓病の間に考えられる相関性に関するFDAの最近の発表は多くの犬の健康に重大な意味がありうるが、この発表は問題が多い情報不足に基づいたものであり — しかもこのためペットフード業界に破壊的インパクトを及ぼすかもしれない不要なパニックに至る可能性が高い。」
こんな声明ではPet Business誌にもこの業界誌が対象としているペットリテーラーのためにもなりません。まず懸念すべきは犬の健康であり、ペットフード業界の利益ではないはずです。その記事はこう締めくくられています:
「FDAが穀類無しの食生活と犬の心臓病の間の潜在的な関連性について推論するのはあまりに速足だっており、特に、その反証となる山ほどの根拠あるからで、その根拠は何年もこうした餌ですばらしい健康を享受してきた何百万もの犬がいることです。
当然のことながら、私たちは皆穀類無しの餌メーカーを含め、そうした関連性があることの真の証拠が発見されているのかを知りたいものです。しかし、今日、メディアによる扇動やクリックさせる餌記事カルチャーの時代の中、早急に過ぎる警告の公布、特にFDAといった信頼を寄せられている当局からの警告は災害を生むレシピに見える。」
皮肉にも、加工ペットフード促進派は穀類無しのドッグフードとDCMの関連性を材料にしてペットオーナーに穀類系餌を使うように引き戻そうとしています。しかし、穀類無しの成分にある問題は穀類が無いことにあるのではありません。
少なくともいえることは、大量のでんぷん系炭水化物にこうしたフードの製法で使われる極めて高温の処理が行われていることが問題なのです。
キブル(穀類系も穀類無しも含む)を餌として与えている方は、もっと適正な餌を犬にあげるよう変える時期ではないかと思います。
犬のDCMと食生活の間の関連性についてさらに情報が得られるまでは、どんな餌を現在与えていても、犬にもっとタウリンが豊富な食事を上げて補うのがよいと思います。その簡単な方法はイワシの缶詰を餌に混ぜて週一回与えることです。
DCMになりやすい品種やその品種との雑種をお持ちの方は、特に穀類無しの餌を与えてきた場合、または別の理由で犬の心臓の健康に懸念がある方は、獣医に相談してみてください。
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