ケトジェニック食計画が最適な食生活ランキングで最下位だったのはなぜか?

ケトジェニック食

早分かり -

  • 抗炎症効果、食欲の抑制、筋肉質量の増加、がんリスク低下、インスリンレベル低下、減量によい食事のとり方をお探しなら、周期的ケトジェニック食が合うかもしれません
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Dr. Mercolaより

毎年約4500万人が食生活を改めようと誓います。食習慣を改善したい方にとって、どんなタイプの食生活をすれば肉体とライフスタイルに最適なのかをどのようにして判断しますか?

その参考にするため、U.S. News & World Reportが毎年選定委員が最適な40種類の食生活と見なしているものを公表しています。今年から初めてケトジェニック食がそのリストに載りました。

そのメリットは、健康を最適にしたい方に私もお勧めしているこの低炭水化物、高脂肪食は一位にタイで付けている地中海食やDASH食等の他の人気がある食事スタイルのさなかにあって認められつつあります。

一部の人はそのデメリットが、ケトジェニック食が比較的知られていないドゥカン食と並んで最下位に着けていることであると考えています。ケト食はパレオ(原始的食事)(32位)やアトキンズ食(36位)等のよく知られているその他の低炭水化物食に先を越されています。

主流メディアがケトジェニック食に注目させていることはとてもよいことですが、私が数年来勧めてきたこの食事は未だに明らかに誤解されています。加工食品、でんぷんの覆い炭水化物そして砂糖にほとんどの人が愛着を持つことを前提にすると、栄養面でケトーシスを達成しようとすることに着目している食生活のランキングが低いことは当然のことです。栄養面でケトーシス段階に入った肉体は脂肪を主な燃料として燃やすようになります。

そこに至るまでには、炭水化物を最小限にし、タンパク質は程々にし、健康な脂肪を多く摂ります。残念ながら、このアプローチを一部のランク付け審査員が厳しすぎるし制限的で長続きしないと判断したのです。私の考えではこうしたことは全て個人の見方や目的、解決しようとしている健康上の課題によって異なるのだと思います。

ケトジェニック食のランキングがもっと高かったらよかったでしょうが、リストに入選しただけでもかなりいい線いっています。私の考えでは、この食スタイルの真の価値は40種類の方法のうち40位だったことではなく、初めて採用されたことにあると思います。エキスパートと呼ばれている人々がどう判断するかに関係なく、こうした栄養の取り方は生活をよくしており、健康を管理する上で利用できる重要な手段であり続けます。

「健康のエキスパート」と言われる人々はケトジェニックアプローチを批判します

健康とウェルネスの問題がいくつか挙げられるとき、従来式の医療が勧めることと反対のことをするほうがうまくいくようです。

それはそれとして、2018 Best Dietsレポートは、いわゆるエキスパートと呼ばれる人々のアドバイスに従うことが自分にとって最適な解決策にならないもう一つの好例でした。その審査委員会はケトジェニック食が短期の減量には優れるが、すでに論駁されている多くの神話や誤解がためにこの食方法をかなり低評価しました。以下に誤解を招く彼らのアドバイスの二三の例を挙げます:

ケトジェニック食は「朝のトーストや全粉パスタ、ピザ、砂糖の豊富なデザートが大好き」な人にはかなりきつくなりそうである — これらは食生活タイプに関わらず避けるべき項目です。ひとたびケトーシスの体質になったときは例外で、この域になると周期的に週に一回や二回は最適には筋力トレーニングをする日に炭水化物を多く食べるとよいのです。食と飢餓のサイクルでケトジェニック食の健康的効能を最適に得やすくなります。

草で育てた選抜品を含む肉と新鮮な野菜をより多く食べるには加工食品やファストフードより家計にひびくでしょうが、「あまり高価ではない薄めの肉切り身を選び、少々のオイルで脂肪を付けることはできます。」これはひどいアドバイスです。よりよいアプローチはタンパク質摂取量をほどほどにして、高品質の草で育ったか放し飼いで育った肉製品に徹底することです。

カノーラオイルは遺伝子操作菜種から製造され、数段階の薬品浴を経てさらに漂白工程を経ているにも拘らず健康な脂肪に含まれてリストアップされています。この有毒オイルは決して使わないようにしましょう。

ヤシ油も健康なオイルとして挙がっていますが、非精製形態でのみ健康なので、精製ヤシ油は有毒です。亜麻油やオリーブオイルも健康種に挙がっていますが冷たいままで使用するときしか健康ではありません。

あるエキスパートがこう言っています:「この食は長期的健康について私たちが知っていること全てに基本的に合わない。」もう一方のエキスパートがどんな減量も「フルーツ、全穀類、でんぷん質と非でんぷん質の野菜という糖尿病や心臓病の予防のためにならないものをあきらめる」ことで可能になると説明しています。

本当は、この審査委員会が推す従来式の食生活アドバイスの大部分が世界的肥満の蔓延の根源にあり、過去数十年にわたって目撃してきた慢性病の急増の原因なのです。

その審査委員会はケト型食生活は難しすぎ、平均的消費者にとって制約が多すぎると言っていますが、準備と情報提供次第で誰でもケトジェニック食を実行に移せます。

周期的栄養ケトーシスのメリット

炎症抑制効果 — 肉体は糖分と脂肪を燃料源として利用できますが、脂肪の方が炭水化物よりきれいなより健康的な燃料なのでお勧めです。脂肪が放出する反応性酸素種や二次フリーラジカルははるかに少なく、全身に慢性の炎症が発症するリスクを下げます。

食欲の抑制 — 常時空腹でいると代謝できる量以上のカロリーを消費する傾向があり、このため体重が増加します。炭水化物の消費を削減することで、ケトジェニック食は空腹の症状を抑えることができます。ある研究で参加者に低炭水化物食を与えたら食欲が減り、容易に減量できることがわかりました。

筋肉量の増加 — ケトンはロイシンの酸化と分解を軽減します。ロイシンは体質量を構築するために使用される分岐鎖アミノ酸(BCAA)です。その結果血中に残るロイシンが増え、最終的には筋肉質量を増やします。

がんのリスク低減 — グルコースでも脂肪でも代謝できる柔軟なミトコンドリアとは異なり、がん細胞は主にグルコースを餌にします。ケトジェニック食を採用し、身体が栄養面でケトーシス段階になると、がん細胞は主な燃料源を奪われ、結局は飢え死にします。

インスリンレベルの低下 — 身体がグルコースを燃料として代謝すると、血糖が上がり、従ってインスリンレベルが上がります。時間の経過に伴い、インスリンレベルが常時高いままだとインスリン抵抗性を起こす場合があり、2型糖尿病を発症するリスクが高まります。周期的ケトジェニック食にすると肉体は糖分ではなく健康な脂肪を燃料にし、脂肪は血糖に悪影響を及ぼしません。

減量 — 減量を試みている方の場合、ケトン主体の食にすると体脂肪が燃えやすくなり、従って体脂肪が減るので、最適な方法です。ある研究で、肥満の被験者が低炭水化物のケトン主体食か低脂肪食のいずれかを食べました。24週間後、研究者らは低炭水化物グループのほうが低脂肪グループ(4.8kg)より多く減量(9.4kg)したことに注目しました。 9 さらに、HDLコレステロールはより高く、トリグリセリドは低炭水化物グループのほうが低かったのです。

ケトジェニック食計画の始め方

下記でご説明している通り、ケトジェニック食はほとんどの人にとって最適な食生活と考えられます。実際に私は周期的ケトジェニック食をこれだけで実行しても間歇的絶食や長期の数日間に及ぶ水だけ飲む断食と組み合わせても、多くの人のためになると信じています。

がんやてんかんなどの慢性病と闘う人と慢性病とはまだ診断されていない人の主な相違点は、結局食事規制にどの程度厳格に従うべきかとその期間にあります。

一般的な原則としては、インスリン抵抗性のある人の場合、間歇的絶食にケトジェニック食を組み合わせてインスリン抵抗性がなくなるまで継続することを私はお勧めします。その後初めて食事回数を増やしてもよろしいでしょう。

間歇的絶食を行っているかいないかに関わらず、以下の食事ガイドラインがお役に立つはずです — 特に減量をお望みの方の場合にこれは当てはまります。開始:

  • 加工食品、穀類、精製糖、加工果糖を一日に15 g以上食べない
  • 最適には有機の自然食品を食べ、加工食品を最小限にするか完全に食べなくする
  • 穀類の炭水化物の代わりに有機野菜や健康な脂肪をたくさん食べ、高品質タンパク質を少な目からほどほどに食べる
  • 食の75~85%を高品質な健康的脂肪にすること — 健康な脂肪は動物性の熱帯性オイル源から摂れる飽和脂肪や単価不飽和脂肪 — 次のような脂肪類を摂り入れる:

動物性オメガ3脂肪:オキアミ油、アンチョビやイワシなどの小型の油が多い魚

アボガド

生の草で育った有機のミルクから作るバター

カカオバター(生)

ココナッツおよびココナッツオイル

乳製品(生、草で育てた)

ギー(浄化バター)

ラードや獣脂

肉(草で育てた有機)

ナッツ(生):マカダミアナッツやピーカン

オリーブとオリーブオイル(冷菜用)

有機的放牧で育った鶏の卵黄

黒ゴマやクミン、麻、カボチャの種

非加熱の有機ナッツオイル

アラスカ産天然鮭

タンパク質をほどほどにすることが大切

ほとんどの人は最適な健康のために必要な量よりはるかにタンパク質を食べすぎています。平均して、私たちは体脂肪抜きの正味体質量約500g当たり0.5gのタンパク質で足りますので、これは一日に40~70gのタンパク質でほとんどの人は足りる計算です。

激しくエクササイズする方や競技選手または妊婦は、平均より最大25%多いタンパク質が必要だと考えられます。

タンパク質をほどほどにすべき理由には深い考慮に基づいています。タンパク質を摂り過ぎるとmTOR (ラパマイシンの哺乳動物標的)経路を活性化し、大きい筋肉を得やすくなるでしょうが、同時にがんリスクも高まります。さらに、mTOR遺伝子は老化を進める有意な調節因子であることが研究からわかっており、この遺伝子を抑制すると長寿につながるようです。

タンパク質を食べすぎかどうかを判断するには、まず体脂肪抜きの体質量を計算します。これは100から体脂肪率%を引いて計算します。例えば、体脂肪率が20%の場合、80%が体脂肪を除いた体質量です。体重が75kg前後とすると、正味体質量は60kg前後(75 X 0.8)なので、必要なタンパク質は60g前後(60 X 2 X 0.5)となります。

あらゆる摂取源から得る一日のタンパク質量を計算するにはUSDA National Nutrient Databaseにある食品別のタンパク質量をご参照ください。タンパク質約85~100gはおよそトランプの標準的サイズの一組サイズに匹敵します。