心臓に最適な野菜

緑の葉物

早分かり -

  • 多彩な野菜が異なるメカニズムで心臓を保護するので野菜をよく食べるほど心臓病リスクが低下します
  • メリットを最大限に生かすには毎日いろいろな野菜をいただき、その中には硝酸塩が豊富な緑の葉物、アブラナ科の野菜、 マグネシウムやケルセチンが豊富な野菜、玉ねぎ、自家製ザウアークラウトを含めるようにしましょう
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Dr. Mercolaより

多彩な野菜が異なるメカニズムで心臓を保護するので、野菜をよく食べるほど心臓病リスクが低下することが研究からわかっています。例えば緑の葉物には一酸化窒素(NO)レベルを自然に増やす豊富な硝酸塩が含まれます。

一方、アブラナ科の野菜は頸動脈をしなやかにし、動脈プラーク形成を予防することで脳卒中や心臓発作のリスクを下げます。

発酵キャベツの繊維質が血圧を下げ、血糖制御を改善し、それにより心臓病リスクを下げます。

ザウアークラウトの植物栄養素も血流を促し、血管を解し、マグネシウムやケルセチンが豊富な野菜は心臓にとてもメリットがあります。高齢になっても健康な心臓の機能を維持するのに最適な野菜の例を以下にまとめました。

硝酸塩が豊富な野菜は心臓の健康を促進し、心臓発作リスクを下げる

心臓の健康を増進する10種類の硝酸塩が豊富な最適な食品例:

アルグラ100 gに硝酸塩480 mg

ルバーブ、281 mg

シラントロ、247 mg

バター葉レタス、200 mg

メスクルンミックス等の新キャベツ、188 mg

バジル、183 mg

ビートの緑葉、177 mg

オーク葉レタス、155 mg

スイスチャード(不断草)、151 mg

レッドビート、110 mg

驚きの事実! スイカもNOを増産する

スイカは人気のある夏のおいしいL-シトルリンのおかげでNO生産も改善します。しかし、スイカは炭水化物が多く、日常的に多く食べるとインスリン抵抗性が悪化し、心臓病リスクが高くなります。

スイカはリコペンも豊富です。リコペンはカロテノイド系の抗酸化物質でトマトやメロン等の果物や野菜にピンク系または赤味を与える物質です。リコペンの抗酸化性活性は、βカロチンなど他のカロチノイドよりも強力であることがかねてから実証されており、最近の研究では脳卒中のリスクを大幅に軽減することが研究によって解明されました。

40代半ばから50代半ばの男性を12年追跡調査したある研究はリコペンの血中濃度が最高の人は最低の人より脳卒中リスクが55%低いことを発見しました。

アルファカロテン、ベータカロテン、ビタミン E、ビタミンAを含むその他の抗酸化物質にこのようなメリットはありませんでした。その一方、L-シトルリンはNOの生産における一酸化窒素の合成のための基質であるL-アルギニンの前駆物質です。

アブラナ科の野菜でしなやかになる動脈

ブロッコリやカリフラワー、葉キャベツ、キャベツ等のアブラナ科の野菜は抗がん性があることは周知ですが、心臓の健康にもよいです。

野菜の頸動脈測定値(動脈の健康指標:狭く硬いと血流を制約し、心臓発作や脳卒中につながる場合がある)に及ぼす効果を研究した近年のある研究は、アブラナ科の野菜を最も多く食べた人が最も食べなかった人より頸動脈が薄く健康的であることを発見しました。

平均して、アブラナ科の野菜を毎日少なくとも3食分食べた人は、2食分以下を食べた人より頸動脈(首の中にある動脈)の壁厚が0.05 mm薄いことが発見されました。この厚みが0.1mm減るごとに脳卒中や心臓発作のリスクが10~18%づつ下がるので、その研究の結果は有意であると考えられました。

総じてみると、毎日10gのアブラナ科の野菜を食べると、頸動脈壁厚が0.8%減少していました。この連関性は他の野菜では発見されませんでした。

健康へのメリットを増進するにはアブラナ科の野菜をからしの種と一緒に食べる

ブロッコリやその他のアブラナ科の野菜にあるスルフォラファンには強い抗がん作用もあるので、こうしたメリットをアブラナ科の野菜とミロシナーゼを含む食品と合わせて食べることによって容易に増やせます。

ミロシナーゼはグルコラファニンをスルフォラファンに変換する酵素です。これが豊富な野菜にはからしの種、大根、山葵、アルグラやコールスローがありますが、からしの種が最も効果的です。ブロッコリの生をまたは冷凍品を食べるときはミロシナーゼが豊富な食品を追加するのが特に重要です。

最適な方法としてはブロッコリを3~4分蒸すとスルフォラファン濃度が増加します。この若干の蒸し処理がスルホラファンを不活性化する硫黄結合性タンパク質である熱分解しやすい硫黄把捉タンパク質であるエピチオ特異化たんぱく質を除去すると同時に、ミロシナーゼをブロッコリに保持します。

後者が重要で、ミロシナーゼがないとスルホラファンが身体に吸収されません。沸騰させるならば、20~30秒まで沸騰水に浸け、次に冷水に入れて調理プロセスを中止します。

成熟したブロッコリよりブロッコリの芽にはスルフォラファン等の抗がん化合物が最大50倍含まれるので、生食がお好きな方は、ブロッコリの芽を生でいただくほうが効能を得られます。その結果、はるかに少ない量を食べるだけでメリットを最大限に得られます。

ザウアークラウトは心臓によい

伝統的に発酵培養した食品に含まれる繊維質や健康的な善玉菌も様々な経路で心臓にメリットがあります。

例えば、プロバイオティックが豊富なザウアークラウトには炎症軽減、腸の健康増進(全身に効果が及ぶ)、高血圧の改善、トリグリセリド濃度削減、健康的コレステロールレベルの維持といったすべてが心臓血管や心臓の健康によいのです。

発酵キャベツに含まれる細菌Lactobacillus plantarumがスーパーオキシドジスムターゼとグルタチオンペロキシダーゼという体内で作られる2つの強力な抗酸化物質の活性を増進すること — 細胞の酸化還元を調節し、解毒作用を促進する一種の転写因子である遺伝子Nrf2の発現を高めることも実証されました。

ザウアークラウトは二三の簡素な具で自宅で容易に作れます。私のレシピサイトから引用する新鮮な生姜と生ザウアークラウトで作るレシピを以下にご紹介します:

生ザウアークラウトのレシピ

材料

  • グリーンキャベツ1玉
  • 新鮮な生姜おろしテーブルスプーン1
  • ニンジン2本、おろし
  • セロリージュース
  • 開始培地

手順

  1. 外の葉を除き、キャベツをおろすか切り刻むか薄くスライスニンジンと生姜を切り刻み、キャベツに加える。
  2. 開始培地をセロリージュースに混ぜ、完全に溶解させる。このジュースを野菜にかけて均等にのばす。
  3. できる限り多くのザウアークラウトをセラミックのポットかガラス容器に詰め込む。
  4. マッシャーで野菜を砕く。こうするとザウアークラウトにジュースが浸みわたり、気泡が除去される。
  5. ザウアークラウトにキャベツの葉を被せ、縁を突っ込んですっかり覆う。ジャーの蓋を緩めに被せる(発酵中に二酸化炭素が出るのでジャーが膨張するから)。
  6. 容器をクーラー等の温度制御された場所に5~7日保管する。7日目にザウアークラウトを冷蔵庫に移す。

マグネシウム豊富な野菜

マグネシウムは心臓の健康のために欠かせないのですが、たいていの人に不足しています。300種類を超す酵素が正しく機能するためにマグネシウムが必要で、マグネシウムはほぼあらゆる生体化学反応では欠かせない物質です。

これには身体のエネルギー「通貨」ともいえるATP (アデノシン三リン酸)の生産、血管の弛緩、心筋を含む健康的な筋肉や神経の機能に限らずこれらを含みます。

細胞にマグネシウムが欠乏すると、細胞の代謝機能が障害を起こし、このため雪だるま式に心臓血管病や心臓突然死、あらゆる死因による死亡にさえ至る多くの重篤な健康上の問題につながります。健康的なマグネシウムレベルを維持する最適な方法は濃い緑の葉物野菜を豊富に食べるようにしてください。

葉物野菜のジュースを作るとマグネシウムやその他多くの重要な植物系栄養素を増やすために最適な方法です。葉物野菜の場合、次のものにマグネシウムが多く含まれます。

ほうれん草

スイスチャード

かぶの葉

ビートの緑葉

コラードグリーン

ブロッコリー

芽キャベツ

ケール

チンゲン菜

ロメイン・レタス

野菜の他にもマグネシウムが特に豊富な他の食品には次のようなものがあります:

生カカオニブや無糖ココアパウダー — 生カカオニブ28 gには約64 mgのマグネシウムが含まれ、その他多くの貴重な抗酸化物質、鉄、プレバイオティック繊維質が含まれ、腸内の健康な細菌に栄養を与えます。

アボカド — 中玉のアボカドにマグネシウムが58 mg含まれるほか、健康的脂肪や繊維質、その他のビタミンもあります。またカリウムの豊富な摂取源でもあり、このミネラルがナトリウムによる高血圧効果を相殺してくれます。

種子やナッツ類 — かぼちゃの種、ごま、ひまわりの種には最も豊富であり、1/4カップにマグネシウムのRDAの推計48%、32%、28%も含まれています。カシューナッツ、アーモンド、ブラジルナッツもよい摂取源です。カシューナッツ28 gにマグネシウム82 mgが含まれ、これはRDAの約20%に匹敵します。

脂肪の多い魚 — 興味深いことに、野生のアラスカのサケやサバなど、脂肪の多い魚はマグネシウムも高くなっています。鮭のフィレ半切れ(178 g)にマグネシウム53 mg、すなわちRDAの13%が含まれます。

カボチャ — 冬カボチャマ1カップにマグネシウム27 mg、RDAの約7%が含まれます。

ハーブとスパイス — ハーブやスパイスには少量のパッケージに多くの種類の栄養素が詰まっており、マグネシウムも含まれます。最もマグネシウムが豊富な品種は、コリアンダー、 チャイブ、クミンシード、パセリ、マスタードシード、フェンネル、バジル、クローブです。

果物とベリー類 — マグネシウムが豊富なものの例: パパイヤ、ラズベリー、トマト、マスクメロン、イチゴ、スイカ。例えば、中玉パパイヤ1個にマグネシウムがほぼ58 mg含まれます。

玉ねぎやその他のケルセチンが豊富な食品の心臓へのメリット

最後になりましたが他と同様に大切なものが玉ねぎです。ケルセチンが豊富な玉ねぎは炎症と闘い、免疫機能を高めます。サプリメントとしては、ケルセチンは肥満、2型糖尿病、循環器機能障害に効能があるため利用されてきました。

2016年のあるランダム化対照試験に関するメタ分析からケルセチンを日量500 mg前後の用量で降圧効果があることが発見されました。その他の研究はアテローム性動脈硬化リスクを下げることが判明しています。玉ねぎには次のような要素も含まれています:

  • コレステロールやトリグリセリド濃度を正常にし、脳卒中、冠動脈疾患、抹消血管疾患のリスクを低下させる抗血栓特性がある硫黄含有植物栄養素
  • 心臓血管病の予防や進行を遅延する上で重要な機能をするポリフェノール
  • イヌリン:腸内の善玉菌に栄養を与える消化されないプレバイオティック繊維

原則的には玉ねぎは涙が出る程メリットが多いです。玉ねぎの異なるタイプにある価値や調理方法について詳しくは、私の以前の記事「玉ねぎの力!」をご参照ください植物界には心臓の健康を多くの経路で支持し守る効能がたくさんあります。

健康に最大限メリットを得るには毎日様々な野菜を食べ、しかも硝酸塩が豊富な緑の葉物、アブラナ科の野菜、マグネシウムやケルセチンが豊富な種類に加え玉ねぎ、自家製ザウアークラウトを必ず含めることです。