Dr. Mercolaより
慢性的炎症は低グレードの全身的な、しばしば暗黙のうちに組織を長年かけて損傷していきます。このプロセスは気づかぬうちに数十年かけて進行し、とうとうとある日突然病気の症状が起きときはもう取り戻せない損傷が発生した後なのです。
慢性的炎症はがん、肥満、心臓病等多くの病の原因であり、米国では主要死因になっています。
慢性的炎症の予防は健康の保護のためにも必須のことであることがわかっていますが、チェコ共和国で開催された第13回国際栄養診断技術会議(INDC 2013)で発表されたビタミンK2に関する新研究にこの意味で注目しました。
その研究は特定の種類のビタミンK2 (MK-7)が炎症を予防すると考えられることを発見しました。詳しくご説明する前にビタミンKには異なる形態があることを把握しておいてください。
ビタミンKにはK1かK2があります:
1. ビタミンK1 — 緑の野菜に含まれるK1は直接肝臓に進み、健康的な血液凝固システムを維持するのを助けます。(これは重篤な出血異常を予防するのを助けるために幼児が必要としている種類のKです。)
ビタミンK1はまた、血管の石灰化を防止し、骨がカルシウムを保持しやすくさせ、適正な結晶構造を持つようにさせます。
2. ビタミンK2 — バクテリアはこの種のビタミンKを生産します。腸内に豊富に存在しますが、残念ながら、大部分は便とともに排出されてしまいます。K2は肝臓ではなく、血管壁、骨、組織へ直行します。
これは発酵食品特にチーズや納豆に豊富で、これらはK2の最も豊富な食品です。
ビタミンK1は体内でK2に転換しますが、問題はこの経路でできるK2はわずかしかないことです。さらに問題を複雑にするのは、ビタミンK2には数種類あることです。
MK-8とMK-9は主に乳製品に含まれます。MK-4とMK-7はK2のうち2つの最も有意義な形態であり、体内では全く異なる作用をします:
• MK-4はビタミンK1ととてもよく似た合成物質で、身体はK1をMK-4に転換できます。しかし、MK-4は約一時間しか生物学的半減期がないので、栄養補助食品には向きません。
小腸に入った後、大部分が肝臓に残り、そこで血液凝固因子の合成に関与します。
• MK-7は半減期3日と、体内に長時間残るので実用性がある新たに発見された物質です。MK-4やK1より一定した血中濃度を維持します。MK-7は発酵食品である納豆から抽出されます。
納豆は比較的安価であり大部分のアジアの食品市場で入手できるので、納豆を食べてMK-7を豊富に得ることができます。しかし納豆の臭いやねばつきのある質感はほとんどのアメリカ人に受け入れられません。
ビタミンK2のうちメナキノン-7 (MK-7)は体内で長時間活性を維持するので微量でも効能が得られるため、多くの研究対象となっています。その会議で発表されたチェコの研究はMK-7の炎症における機能を発見し、単球という白血球が生産する炎症促進マーカーを阻害して炎症を防止することを発見しました。
NattoPharmaがこう報告していました:
「本研究によるこの画期的な発見はMK-7による心臓血管の老化と骨粗鬆症の遅延機能を実証した3年間の臨床研究を補完し、MK-7を日常消費すべきニーズを生み出すカタリストとしてさらに機能することが見込まれる。西洋人の場合、現代の食生活からはこれを十分に得ていない。
現代の食品は特にビタミンK2がますます不足しており、一般の健康な人の最大98%はビタミンK2が不足し、骨や心臓血管の健康に長期的な破壊的影響が起きている。」
食事の内容によって炎症を起こすかその根本を体内に生じさせなくするかいずれかに作用することを念頭においてください。例えば合成トランス脂肪や果糖を中心とする糖分は炎症を進行させますが、オキアミ油に含まれる動物性のオメガ3脂肪や必須脂肪酸γ-リノレン酸(GLA) 等の健康的脂肪を食べると炎症を抑制します。
MK-7は抗炎症物質のリストに加えることができる健康的な自然物質であり、その最適な食品摂取源についてご紹介します。
炎症全般に関して言うと、まだ食生活のあり方について検討したことがなければ、以下のサイトは慢性的炎症の症状の有無にかかわらずよい参照先です。手始めに私の運営する無償のOptimized Nutrition Plan(最適栄養計画)を参考にされるとよいと思います。そこではビギナーから初めて体系的に高度なレベルへご案内しています。
ビタミンK2の健康的効能はビタミンK1でも可能な血液凝固をはるかに超え、ビタミンK2はカルシウムやビタミンD等他の多くの栄養素と相乗効果もあります。生物学的機能は骨や歯等の適切な必要部位へカルシウムを移動させることです。また、カルシウムが本来あってはならない部位(動脈や軟組織)から除去するのも助けます。
Dr.ケート・リュームブルー自然療法医師はアメリカ人の約80%は、カルシウムを必要とする場所へ運び、不要な場所からは除去するK2タンパク質を活性化するためにビタミンK2を食事からじゅうぶん摂れていないと推計しています。
ビタミンK2不足は以下のような多くの慢性病に罹りやすくします:
骨粗しょう症
心臓病
心臓発作、脳卒中
踵骨棘から腎結石まで不適切な石灰化
脳の病気
がん
「ビタミンK2がカルシウムを体内で移動させることについてご説明しました。細胞の成長を制御するタンパク質を活性化するというもう一つ機能があります。すなわちK2はがん予防のために極めて重要な役割を演じています」と、Dr.リュームブルーが説明しています。「K2が不足すると、骨粗鬆症、心臓病、がんのリスクがとても高まります。しかもこれらは以前は比較的稀であった3つの懸念事項です。過去100年間に食品の生産方法や食物が変わったので、これらの懸念材料が日常茶飯事になりました。」
他の健康的効能についても研究が進んでいます。例えば、Modern Rheumatology誌に掲載されたある研究はビタミンK2は関節リウマチ(RA)の人においては骨粗鬆症以外にも疾病に効くことを発見しました。
Science誌に掲載された別の研究はビタミンK2がミトコンドリア電子担体として機能しており、この際パーキンソン病で見られるようなミトコンドリアの機能障害があっても、正常なアデノシン三リン酸(ATP)の生産を維持できるようにする補助作用があることを発見しました。
さらに、2009年のあるオランダの研究によると、特にMK-7、MK-8、MK-9という亜種が微量の栄養摂取(一日に1~2mcgでさえ)でも血管石灰化を抑制することが判明しました。
一日のK2必要量(約200mcg)は納豆を毎日15g食べれば得られます。しかし、一般的に納豆は西洋では人気がないので、MK-7を含むビタミンK2は他の発酵食品からも摂ることができます。私が最近一生懸命食べている発酵野菜は善玉菌を腸内に復活させるために主に有用で、適切な開始培地を使えば自分で発酵野菜を作れ、ビタミンKを豊富に摂ることができます。
私たちの作った開始培地でテストした高品質発酵有機野菜の試料をテストした結果、通常の一日分約56~84gだけでも善玉菌が約10兆個存在するだけではなく、ビタミンK2も500 mcg含むことが発見されたのでおおいに感銘を受けました。
但し、どの菌でもK2を生産できるわけではありません。例えば、ビタミンK2はほとんどどのヨーグルトにも含まれていません。チーズのなかにはK2がとても豊富なものとほとんどないものがあります。これは特定の菌種のみに依存しているからです。どの発酵食品でもK2が豊富なわけではなく、納豆など一部の発酵食品にK2が極めて豊富です味噌やテンペ―等にはK2があまり含まれていません。Dr.リュームブルーと私がインタビューしたときK2が豊富なチーズはゴーダとブリーであり、1オンスに約75 mcgも含まれているとお聞きしました。さらに、エダムというチーズにMK-7が豊富であることを科学者らが発見しました。
正確な用量はまだ判明していませんが、ビタミンK研究の世界的権威Dr.セース・ヴェルメールによると成人で一日45~185 mcgが推奨されます。凝固薬を飲んでいる方は多く取らない方がよいでしょう。しかし概して健常な方でこうした薬を飲んでいない人なら毎日150 mcgをお勧めします。幸いにも、K2には摂り過ぎの危険がなく、3年間にわたり一千倍の「過剰供給」した人に一切副作用がありませんでした(すなわち、血栓形成の傾向がない)。
以下のいずれかの健康の異常がある方はビタミンK2に関連している症状なのでK2不足の可能性が高いです:
ビタミンDのサプリを飲むなら、ビタミンK2豊富な食品を食べるかビタミンK2のサプリも飲むことが重要で、これらは相乗的に作用するからです。両者のバランスが崩れるほうがむしろ危険です。以上の健康の異常がない方でも、以下の食品を日常的に食べ過ぎないようにご注意ください。ビタミンK2不足の可能性がかなり高いからです:
ビタミンK2欠乏のテスト方法はありません。しかし、上記のような食事やライフスタイルについて自己評価することで、この必須栄養素が不足しているかどうかは見当がつくでしょう。ビタミンK2を食事から摂るに次いでよいのはビタミンK2のサプリです。MK-7を含むサプリを探してください。サプリとしてMK-4を含む製品は実際には合成物質です。MK-4を含む自然食品から作ったものではありません。
MK-7は長鎖の自然な細菌由来ビタミンK2であり、発酵過程から得られるもので、多くの健康へのメリットがあります:
最後に、このビタミンは脂溶性で脂肪分なしでは吸収されないので、ビタミンKサプリメントは脂肪分といっしょに摂ることを忘れないでください。
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