週4~5回のエクササイズで動脈硬化を予防

エクササイズの健康的メリット

早分かり -

  • 高血圧症と心臓病は健全に老化していないことを示す異常であり、これらの健康の異常の要因を成す動脈硬化がエクササイズによって遅延するか逆転さえしうることが研究からわかっています
  • エクササイズする人は動脈硬化しにくく、心臓病や脳卒中リスクが下がり、早死にリスクが低下することを多くの研究が実証しました
文字サイズ:

Dr. Mercolaより

老化プロセスといえばよく高血圧症、慢性病、心臓病と関連づけられています。しかし、こうした異常は高齢者では普通にある一方、多くの研究はこれらの異常は老化の必然的帰結ではないことを実証しました。

心臓病は18歳以上の13人に1人の割合で起きています。米国では4人に1人が心臓病に関連して死んでいるように、主な死因であり続けています。

冠動脈疾患による死亡率は減少傾向にあり、おそらく心臓発作後の処置が改善されたことによるものですが、この病気になる人数は減っていません。心臓病リスクが高い人の特徴は高血圧、喫煙、体重過剰、飲み過ぎ、肉体的に不活発です。

高血圧症は心臓血管病の主な原因であり、その主な要因は太い動脈が物理的に固くなることに起因します。エクササイズが動脈の硬化という点で見た心臓と血管の老化を逆転しうることが近年の研究から明らかになりました。

活動すると動脈硬化リスクが下がる

Journal of Physiologyに公表された近年のある研究が、エクササイズの異なる量が高齢者の動脈硬化に及ぼす効果に関して25年以上分析しました。その研究は60代の参加者100人を募り、生涯のエクササイズ履歴を評価しました。

動脈の硬さを計測したら一回少なくとも30分のエクササイズを週に2~3回行っていた人は頭と首に血液を供給している中サイズの動脈が、運動しない人より若いことが発見されました。

しかし、最も印象的な結果は週に4~5回はエクササイズしていた人に見られました。この人たちの場合、中央の太い動脈と中サイズの動脈ともにより健康的でした。その研究で取得されたデータはいずれのグループでも小さい周縁動脈にほとんど効果はありませんでした。

研究者らが胸や腹腔に血液を供給している大きい動脈を計測しましたが、食生活、教育水準、社会的出自等の併存する要因については考慮しませんでした。これらの要因は結果にインパクトがあるようでしたが、エクササイズ環境医学研究所(Institute for Exercise and Environmental Medicine)の主任筆者Dr.ベンジャミン・レヴィン氏がこう説明しています:

「この研究は、高齢者の心臓や血管を若く維持し、若返りさえ可能なエクササイズプログラムを開発することができた点で、本当に意義が深いです。」

別の研究で、比較的高齢の人の有酸素エクササイズが2型糖尿病、高血圧症、高脂血症の人の動脈硬化を軽減しうることが発見されました。

ある研究は参加者に12週間に渡って組み合わせエクササイズプログラムをこなしてもらい、段階1の高血圧症を持つ閉経後の女性において、動脈の硬さの減少、動脈の機能改善、身体の組成改善が見られました。

メタボリックシンドロームの人は動脈が固くなることも関与し、心臓血管病による死亡リスクが3倍高まっていました。

Journal of Applied Physiologyに掲載されたある研究は、メタボリックシンドロームに関連する病理生理的変化が有酸素エクササイズのトレーニングで改善し、このため心臓血管リスクが下がることが判明しました。別の研究が、間歇的中程度のきつさのエクササイズのトレーニングを8週間行うと動脈硬化を軽減しうることを実証しました。

動脈硬化は早死ににつながる

長年の研究がエクササイズには年齢を問わず動脈系にメリットがあることを実証しました。動脈壁硬化は筋肉、エラスチン、コラーゲンを含め、血管壁内部のいくつかの構造的要素に依存しておきます。

壁が収縮するに伴いこれらの要因が圧力を増すように働きます。動脈硬化の診断にはいわゆる動脈硬化と呼ばれる硬化症、アテローム性動脈硬化とよく合併して起きるアテロマトーシスが含まれます。後者は血管壁全体が分厚くなり硬化し、しばしば高血圧に関連します。

高血圧症の人には血圧レベルに関わりなく動脈硬化が基本的にあります。血管構造の変性や内皮細胞の機能障害による硬化は高血圧動物のモデルを使った実験で血管の障害に関連する可能性があることがわかっています。

硬化が進むと脈圧 — 最高最低血圧の差 — と腎機能、心臓血管リスクを高めます。

このリスクは高血圧症や2型糖尿病、さらに動脈硬化のある人ではさらに高いです。肥満の人は動脈硬化リスクが高く、これにはさらに高リスクの心臓血管併存疾患や死亡率につながります。

大動脈の硬化と腹腔の脂肪蓄積を結びつける病理生理的メカニズムがまだ解明されていないながら、この硬化は血圧レベルや人種、年齢に関係なく発生します。

一見健康な人の動脈硬化や脳卒中と併発する心臓血管病リスクの評価研究において、動脈硬化の兆候を示す大動脈の脈拍波速度だけ見れば冠動脈疾患の予兆を把握できることを研究者らが発見しました。

動脈の硬さは多くの臨床的、年齢に伴う異常による死亡リスクをよく示す新たな指標であり、以下の異常に寄与する要因であることが判明しています:

高血圧

心臓発作

脳卒中

腎障害

肝障害

2型糖尿病

認知力低下

灰白質の疾患

神経性萎縮障害

健康的メリットを享受できるほど活発な人はあまりいない

身体にはほぼ300個の骨がある人体は動くように設計されています。数百年間は正しくこの動くことが行われてきました。

しかし、20世紀中ごろ以降急速なテクノロジーの進歩により、座ることが益々多くなりました。ヴァンダービルト大学で行われたある研究で6,300人以上を評価した結果、研究者らは平均的な人は起きている時間の55%を座って活動していると推計しています。

デスクワークの人の場合この率はさらに急増します。いくつかの推計によると平均的な人は一日に12時間座っており、不活発さが毎年320万人の死亡に寄与しているそうです。椅子でますます長時間座るにともない、健康的なエクササイズの必要量を満たすのがますます困難になります。

疾病管理予防センター(CDC)のある研究は、成人のアメリカ人の80%が毎週じゅうぶんにエクササイズできず、長年の健康異常をきたしているようであると推論しています。

18歳以上の成人450,000人から収集したデータは調査対象の人のうち20%しか推奨されている合計エクササイズ量を満たしていないことが判明しました。エクササイズを最もする確率が高い人は18~24歳の人で、最もしない傾向にあるのは65歳以上でした。

これらのグループのうち、51%は有酸素活動の肉体活動ガイドラインを満たしていましたが、有酸素と合わせ筋力強化のガイドラインを満たしているのは21%しかいませんでした。

エクササイズ — 多くの健康的メリットの泉

活発なエクササイズに取り組む人はますます少なくなるにつれ、それに伴う健康的メリットを享受できる人もますます減っています。日常のフィットネスには多くのメリットがありこれにはがんや脳卒中リスクの低下、心臓血管の健康増進、加齢に伴う骨密度低下の遅延が挙げられます。

エクササイズは脳の健康増進や健全な情緒につながります。Circulation誌に掲載されたある研究で、エクササイズした人は減量せずとも長生きする傾向があることを研究者らが発見しています。

American Journal of Health Promotionに掲載された別の研究では、6,000人以上のデータを評価し、合計すると一日30分になる小刻みな少量の肉体活動でさえ、これより長時間のジムでの運動と同様なメリットがあることが判明しました。

エクササイズはまた、体重管理に役立ち、2型糖尿病やメタボリックシンドロームのリスクを下げます。エクササイズで平衡感覚と力がつき、このため日常活動を行う能力がよくなり、転びにくくなります。

高強度インターバルトレーニングはエネルギー生産を司るミトコンドリアの保護を強化し、細胞レベルでの老化を効果的に遅延することも研究からわかっています。

その研究の中で研究者らは男性36人と女性36人を18~30歳と65~80歳の2つの年代別グループに分けました。これらのグループをさらに高強度インターバルバイク運動、ウェートを使う筋力トレーニング、またはインターバルトレーニングと筋力トレーニングの組み合わせを行った人に分類しました。

そのデータから研究チームは筋力トレーニングが筋肉の質量を増やすのに効果があったが、高強度インターバルトレーニングを行った人で細胞レベルの最も大きい改善が見られたことを発見しました。

研究者らはプロテオミクスとRNAシーケンスデータを比較したところ、エクササイズにより細胞はミトコンドリアのタンパク質生産に使うためのRNAコピーをより多く生産するようになることがわかりました。インターバルトレーニングを行った若年の参加者グループは49%もミトコンドリア容量が増加しました。

しかし、これより高齢者グループでは最大69%も改善していたのは印象的です。さらに、インターバルトレーニングを行った人はインスリン感受性が改善し、糖尿病リスクが下がりました。

その研究がエクササイズで特定の組織機能がよくなることを実証したこと、以前の研究からわかっているエクササイズによるミトコンドリアの電子輸送系統の活性化が再確認され、ミトコンドリアの生体生成の増加に関与していると、研究者らは考えています。

一日3回4分の効能

(英語版のみ)

この簡単な4分のエクササイズは一酸化窒素を血液に放出するようにデザインされたフィットネスの新たなコンセプトです。内科、内分泌学、新陳代謝の専門知識に関して3つの委員会から受賞実績があるDr.ザック・ブッシュは、この4分運動が無酸素効果を持ち、行えば行うほど当然の理としての効能があると考えておられます。

信じにくいことかもしれませんが、数分だけでもジムで一時間運動したのと同じメリットをいくらか得られます。

エクササイズを短時間系列的に行うという高強度インターバルトレーニングのこの新たなバージョンは、血管内壁に貯蔵されている溶解性ガスでありフリーラジカルの一酸化窒素を放出させます。

一酸化窒素は体内で作られており、無酸素運動するとより多くの酸素と栄養素が必要な場所へ送られるので、血管を拡張しやすくします。そのエクササイズは一酸化窒素の備蓄を回復させる時間として毎回2時間以上の間を置いて一日3回行うように設計されています。

ハンドウェートは不要であるか、始めだけ勧められる場合があり、好きなら後に利用してもよいものです。最初は形と速さに注意することが重要です。4種類の動作を1セットに10回反復し、これを3セット行います。楽にできるようになったら、一回を20回反復まで増やすことができます。

最も留意すべきは形と呼吸です。エクササイズの間口で息をしないこと。口を閉じたままにし、鼻でのみ呼吸します。口で呼吸すると過剰呼吸や慢性的過度の換気、二酸化炭素枯渇、血液循環減退につながります。

このエクササイズは目的は一酸化窒素をより多く放出させ、血管を柔軟にし、より多くの酸素を筋肉に送ることです。口で息するとこの目的に反します。

上のビデオの中で、一酸化窒素ダンプともいうこの一連のエクササイズを実演しています。このエクササイズはどこでもできます。私は空港で手荷物を待つ間でも行います。ちょっと奇妙に見えるだろうと思われるかもしれませんが、とても効果的な運動であり、ただでできます。何よりよい点は、健康管理に役立てられます。