エッセンシャルオイルが抗生物質の代用になりうる

エッセンシャルオイル

早分かり -

  • ティーツリーオイルやペパーミント、シナモン、ラベンダー等のエッセンシャルオイルにはサルモネラ菌や大腸菌等有害な細菌種を殺し、蟯虫を殺し、ニキビや帯状疱疹を治し、MRSAにも効く強力な特性があります
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Dr. Mercolaより

背中の痛みや不安、内反趾爪のため医師の診察を受けるかいなかに関わらず、何らかの処方箋が通常発行されます。風邪やインフルエンザは医師の診察を受けに行く最もよくある理由であり、しばしば抗生物質がすぐ処方されます。

しかし抗生物質をヘルスケア環境でも農産業でも過剰に使用してきたために、耐性のある細菌がますます増えており、抗生物質を反復して飲むのは大きな問題です。

実際に、抗生物質を飲む度に身体には耐性ができ、だんだん効かなくなっていき、もっと悪いことには、抗生物質の投与を生き延びた細菌に抵抗力がつくことです。スーパーバグという薬が効かない細菌の最悪の側面の1つは警戒すべき数量の細菌がバイオフィルム―インプラント等の医療デバイスの表面にできる薄膜―から発見されていることです。

オーストラリア・クイーンズランド州のジェームズクック大学(JCU)電気電子工学部長モーハン・ジェイコブ氏と学外博士からなるチームがある研究の中で、ナノテクノロジーを利用して植物由来の抗菌分子の力を集結して抗菌コーテイングを作成しました。

その研究の成果が近年Polymersに紹介されました。約1700万件の新たなバイオフィルム感染が毎年報告されており、これが55万人の致死症例であったことを報告したMicrobial Biotechnologyに掲載されたある近年の研究をジェイコブ氏が引用しています。

さらに、世界中で約80%の手術関連感染症がバイオフィルムの形成と関連している可能性があります。このためますます多くの医者は、複数の研究が実証した毎年数百万件の感染を予防しうる抗菌作用のあるティーツリーオイルを利用した自然の薬剤を使用するようになっています。

ティーツリーオイル (Melaleuca alternifolia)は医療デバイスに有害な細菌が付着しないようにする生体活性のあるコーティングを形成するエッセンシャルオイルです。

エッセンシャルオイルから生体活性表面を作る方法

抗生物質への依存を回避するために医療デバイスに生体活性コーティングを植物成分から作る方法を探求する科学者らの取り組みに関していうと、研究者らはティーツリーオイルのPSM(植物性二次代謝産物)とその中で最も重要な成分テルペン-4-オールを利用しました。

エッセンシャルオイルとハーブエキスから作る比較的強力で、多くの細菌を殺す活性がありつつも、植物の生存や機能には決定的に必要な要素ではないために「二次」という用語を使用しています。

これらの物質をジェイコブ氏は「低コストの再生可能な、市販の数量で取得できる資源であり、毒性が少なく、潜在的には合成抗生物質より抗菌力がある異なるメカニズムを持つもの」であると説明しています。PSMを基に抗菌コーティングを開発しようとするジェイコブ氏のチームが直面した最大の課題は、液相の化合物を抗菌特性を維持しつつ固形に変換することでした。

このために数年来科学者らがナノテクノロジーを使用していることをMedical News Todayが説明しています。JCUの上級研究補佐でありこの研究の共同筆者のカテリーナ・バザカ氏が、ポリマーを生成する科学者らの手順は天然ゴムとセルロースから抵抗力がある「鎖状の構造」を、この場合にはティーツリーオイルのPSMを変換することであると説明しています。

医療デバイスポリマーその他に応用可能なエッセンシャルオイル

この種のプラズマ重合反応はおよそ20年来表面に生体活性を生成するために利用されてきました。2010年版の「Handbook of Deposition Technologies for Films and Coatings」(フィルムとコーティング蒸着技術要覧)の中である研究者がプラズマは「電気的にプラスでもマイナスでもない状態を維持するイオン化ガスから成る第4の物質の相」であると説明しています。

プラズマ技術がこの種の植物の変換にそれほど効果的な理由は環境に優しいこと、コーティングに残留したりコーティングされる表面を損傷する可能性があるプロセスで使用される危険化学物質や溶媒を使用しないものであるからです。

ティーツリーオイルを医療デバイスの表面を保護するように変換すると、数百万件の感染を毎年予防できます。

ジェイコブ氏によると、このテーマに関して70本以上のペーパーや博士論文を6本以上公表したこのプロジェクトに参加した科学者らは植物化合物から生体活性ポリマーを開発している世界的な誠実なパイオニアです。

しかしこのコンセプトは拡張されました。ポリマー薄膜は目で見る限り透明なので、コンタクトレンズや水中センサーの光学窓用のコーティングにも利用されています。

ジェイコブ氏のチームが照準を当てているのは、バイオフィルムを海中生物により損傷する水中センサーに形成させることで、この研究ではJCUに拠点を置くオーストラリア熱帯健康医療研究所(Australian Institute of Tropical Health and Medicine)のピーター・マルベイ氏とジェフ・ワーナー助教授と協力しています。

エッセンシャルオイル:新生抗生物質

レヴィー氏は、抗生物質使用を継続させるためのロビー活動は激しく、賢明な人の見解で法改正させることは無理と考えています。農業生産者は農場における感染と闘うには薬剤しか選択肢がないと主張しており、この問題は今後も継続します。The Atlanticがこう問いかけています:

「この明白な増大しつつある世界的健康への脅威に主に貢献している者に対処するために何か対策が行われているでしょうか? FDAは農業界に抗生物質使用の自粛を求めてきましたが、実際にそうしているかを追跡している者がいません(同時に過去数十年、抗生物質使用が記録されてきたこともない)。」

ポイントは農業生産者が持続しうる代替手段を知ることです。エッセンシャルオイルは多くの人が考えるより大きい効果を感染に対して持つことを複数の研究が実証しました。細菌感染に対処するためにエッセンシャルオイルがいかに極めて強力であるかが発見された数例を次に取り上げます:

  • オレガノオイルを添加した餌を食べる鶏の養鶏で一般的に発生する感染症である腹水による死亡率が、未処理の鶏より59%低下したことをある研究が発見しました。
  • ローズマリーオイルとオレガノオイルは抗生物質アヴィラマイシンと同じ鶏の成長率を達成できました。
  • その他のエッセンシャルオイルは細菌を殺し、鶏のサルモネラ菌を削減しました。
  • これらのミックスでサルモネラ菌が個体間で伝染しなくなります。
  • オレガノ、シナモン、唐辛子のエキスで鶏の体重増加や注射による腸内感染からの保護を促しました。

従って抗菌力に関して研究されたエッセンシャルオイルはティーツリーオイルだけではありません。薬剤耐性のある細菌が発生したため、農業生産者も科学者も人と動物のために植物エキスをさらに詳しく分析するようになりました。植物エキスといえば通常はアロマ蝋燭とかアロマボディーローションと関連付けられますが、害虫駆除や市販薬剤にも利用されています。

抗生物質で体内に問題が起きる理由

生き延びた抵抗力のある細菌は抗生物質抵抗性を他の細菌にも継承します。抗生物質に(医者も患者も)依存することによる一つの重大な問題は、それがあまりにも頻繁に投与されていることと、抵抗力がつく程度が大きいことです。

抗生物質は感染の原因となり継続させる悪玉菌を殺すばかりではなく、善玉菌も殺すことはおそらく気づいていないでしょう。

「善玉菌」というのを聞いたことがあれば、これらの細菌は健康を維持し自然に毒素を消すために身体が必要とするものです。これらも殺されるとなると、全身がその他のあらゆる種類の肉体的問題に対して脆弱になります。食肉に含まれる抗生物質は有害でしょうか?

回答: はいすでにご説明しましたが、米国では抗生物質の70%が農業に投入されており、 30%が人に対して使用されています。Daily Health Postによると:

「細菌が耐性を付けて抗生物質が効かなくなると、かつて命を救った抗生物質が今後効かなくなります。軽度の感染がはびこり歯止めが効かなくなります。これは軽い切り傷でも死んでいた中世に生きているのと同様です。」

抗生物質を飲むならそれによる損傷を補うために優れるプロバイオティクスを食べるように医者はときどき患者にアドバイスします。

これはよいアドバイスです(抗生物質の投与中もその後も高品質なプロバイオティクスを食べるように私はお勧めしています)が、絶対不可欠な状況でない限り抗生物質を最初から避けるほうがよいです。抗生物質を飲む習慣がなくても、別の経路で体内に取り込まれています。それではどうしたらよいのでしょうか? いくつかの健康的代替手段を以下にご説明します:

  • できる限り有機の草で育った食肉や乳製品のみを食べる。
  • 抗生物質は絶対不可欠なときしか服用しない。この問題について気が付いているので抗生物質は必要なときしか処方しない医者を見つける。
  • 免疫系と腸内細菌を自然に改善して構築する。
  • ティーツリーオイルその他のエッセンシャルオイルの特性を熟知するよう心掛ける。
  • 日常的に発酵食品を食べる。

健康のために代替手段を検討する

よく知られているエッセンシャルオイルとその利用法をいくつかご紹介します(その他多くがあります):

ユーカリオイルは傷の治りを速くし、空気との接触から保護し、抗菌活性があります。

オレガノが大腸菌、ブドウ球菌 (Staph)、サルモネラ菌等数種類の細菌株から保護することは知られています

ペパーミントは抗菌活性や抗ウィルス特性があるので歯のケアに有用です

ベルガモットの抗菌特性は寄生虫を殺し、口内潰瘍や単純疱疹、ヘルペスの治癒を速め、帯状疱疹や水痘を予防します

タイムはMRSAやブドウ球菌の感染を含むたいへん多くの細菌に対して効果があることが知られています

レモングラスは体内外で細菌の増殖を阻害する抗菌力があり、尿路感染、マラリア、チフス、食中毒、体臭を予防します

ラベンダーの抗菌力と消毒特性はニキビや乾癬等の炎症性皮膚病に効き、切り傷、日焼けからの回復を速め、瘢痕化を防止します

ユーカリは強力な殺菌剤や消毒剤であり、負傷、火傷、切り傷、潰瘍、疱疹、擦り剝きに効きます

シナモンは大腸菌、緑膿菌、枯草菌、ブドウ球菌等の菌種に対して効能がある最も強力な抗菌性オイルの一つです

エッセンシャルオイルを使用するにはホホバオイルやココナッツオイル等の担体油が極めて効能があるのでお勧めします。エッセンシャルオイルを局部に塗るほうが抗生物質の内服より通常は、はるかに安全です。よくわからないときは、症例ごとに詳しく把握しており正しいオイルを選べるアロマセラピストに相談してください。Healthy Focusが次のようにアドバイスしています:

「エッセンシャルオイルをココナッツオイルやホホバオイルなどの担体油に数滴混ぜ、それを身体の異常がある場所に塗ります。オイルを腹部にマッサージして吸収させるのも体内感染を軽減するためによい方法です。エッセンシャルオイルを薄めて塗っても、ニキビやいぼ等のよくある皮膚感染に効きます。」

可能な限り抗生物質ではなく自然な代替手段に頼ること。このウェブサイトには症状に応じて、従来式の健康ではなく自然な健康への知識が増え、その意識を強化できる多くの情報があります。

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