転ぶと高齢者の脳に悪影響が及ぶ

高齢者が転ぶ

早分かり -

  • 2013年には、75歳以上の45人に1人は脳を負傷して救急処置を受けたり、入院や死亡に至っていました
  • これは2007年から76%増です — そのほとんどは転んだ結果でした
  • 日常のエクササイズ、視覚の保護、自宅の危険解消で転ぶリスクを大幅に減らせます
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Dr. Mercolaより

転倒は65歳以上の高齢者では最も頻繁に起きている負傷原因であり、5人に1人は骨折や頭部負傷等の重傷に至っています。高齢者の4人に1人は毎年転倒しており、 転んで脳の外傷(TBI)を負うことが高齢者の場合最も多く発生しています。

2013年には、75歳以上の45人に1人は脳を負傷して救急処置を受けたり、入院や死亡に至っており — 2007年から76%増 — その主原因が転倒でした。

自動車事故による脳の負傷はその研究期間中に減少していたものの、スポーツによる若年層の脳震盪にはよく注目されてきましたが、高齢アメリカ人の転ぶことによる脳の負傷リスクにはほとんど注意が向けられていません。その筆者らは次のように説明しています:

「2007年から2013年までの間に高齢者の転倒によるTBIが急増しており、この報告書に挙がっている事実からするとTBIが高齢者の転倒で発生するケースが頻繁に起きており、その多くは入院や死亡に至っているので、健康面に公衆がさらに注意すべき状況である。」

転倒防止の取り組みは「急務」

疾病管理予防センター(CDC)は転んで脳の負傷を負うケースの増加に懸念があるので、高齢者の転倒防止の取り組みが急務であると警告していました。このリスクに輪をかけて、一度転ぶとまた転ぶリスクが二倍になります。転ぶリスクを増やすリスク要因には次が挙げられます:

身体の弱体化進行

ビタミンD不足

平衡感覚障害や歩行障害

精神安定剤や鎮静剤、抗うつ薬など特定の薬の使用

視覚の弱体化

足の痛みや不適切な履物

コード類の絡みやカーペット、段差等の自宅内にある危険

健康の異常:パーキンソン病、アルツハイマー病、関節炎さらに最近の人工股関節手術等の処置も含む。

肉体的活動をしないと転ぶリスクが高まる

エクササイズが高齢者にとっていかに重要かを示す根拠のひとつは、エクササイズすると転ぶリスクが下がり、さらに転ぶことに伴う健康へのリスクが全て下がるからです。その他にも、エクササイズをよくする人は転んでも怪我を負いにくいからです。

BMJに掲載されたある研究によると転んでも、エクササイズのプログラム参加者はエクササイズしない人より37%怪我する率が低いことが明らかになりました。

この比率には転んだために骨折するリスクが61%下がったことや転んだために重傷を負い入院に至るリスクが43%下がったことを含んでいます。

エクササイズには平衡感覚を養うトレーニングや筋力トレーニングと機能性トレーニング、さらに太極拳も含みました。加齢に伴い筋肉と骨の質量が減り、平衡感覚を司る視覚、触感、固有受容性感覚がすべて弱くなり始め、足で立つときに不安定になります。

しかし高齢者は8週間のバランストレーニングでスリップしにくくなり、スリップしても元の姿勢に戻れる確率が高まります。バランストレーニングは高齢で骨粗鬆症の女性の場合、機能的バランスや静的バランス、動き方が柔軟になり、転びにくくなりました。

エクササイズは心身ともに強くするので、日常的なエクササイズをする人は肉体的に転ぶのを防げるだけではなく、精神的な機微が効き、おそらく、転ぶ前に何か支えになるものに手がぱっと伸びるようです。

簡単な筋力トレーニングのエクササイズで転ぶリスクが下がる

筋力トレーニングは高齢者にも大切であり、健康的な骨質量を維持し、加齢に伴う筋肉の減少を予防し、結合組織や腱、靭帯を強化し、身体を直立に維持するのに役立ちます。

筋力トレーニングは機能性動作 - 日常的な動作 - にも有用であり、階段を上る、椅子から立ち上がるのが楽にできるようになります。このため転ぶリスクも減ります。エクササイズが初めての人でも、次の2つのことを含む、転ぶリスクが下がる方策があります。

膝のストレッチ

英語のみで利用可能

膝のストレッチは膝を強くし、平衡感覚をよくし、転びにくくなります。膝を鍛えると歩いたり、階段の昇降がはるかに楽で快適になります。

  1. 背筋を真っ直ぐにして椅子に座り膝を曲げる
  2. 右足を前へゆっくりと伸ばし、数秒そのまま維持したら、元の位置に戻る
  3. 左足も同様にする
  4. 片足ずつ反復10回

この熟達者には足首に錘を巻き付けます。片足当たり15回の反復が無理になる程度の錘を付けるようにします。強くなるに連れ、さらに重くして挑戦し続けます。

部分スクワット

英語のみで利用可能

スクワットするとヒップが柔らかくなり、股関節屈筋と四頭が強くなり、このため歩く能力も座った姿勢から立ち上がる能力もよくなります。また、全身のバランスと安定をよくし、転びにくくなります。

初心者の場合、椅子を支えにして立ち上がり、上記のElderGymのビデオでご紹介しているような立ったままの部分スクワットを行います。曲げるに従い臀部を前へ押し出し背筋を伸ばした状態を維持し、膝はつま先より前に出ないように曲げます。

視覚的健康の維持

躓きや目まいを防止するためには明瞭に物が見えることは欠かせません。視力を保護するにはビタミンCが豊富な食品をじゅうぶん食べると、白内障リスクが下がります。ビオフラボノイド(ビタミン Cといっしょに食べると補完的効果があると考えられている)も重要です。

ビオフラボノイドの優れた摂取源には、濃い色のベリー類、暗緑色の葉野菜、ニンニク、玉ねぎなどがあります。その他の視力の健康によい注目すべき栄養素を以下に挙げます:

アスタキサンチン

動物系オメガ3脂肪 (野生捕獲したアラスカ鮭に豊富)。

アンソシアニン (ブルーベリー、ビルベリー、ブラックカラントに豊富)

ビタミンD

ルテインやゼアキサンチン(緑の葉野菜や草で育った鶏の玉子)

ビオフラボノイド(紅茶、さくらんぼ、かんきつ類)

こうした栄養素を十分摂る他にも、カロチノイドが豊富な野菜、有機の草で育てた玉子の黄身、オメガ3やアスタキサンチンが豊富な野生捕獲鮭は視覚をよくします。もう一つ重要な栄養面には、血中に過剰の砂糖があると目のレンズから液体が抜かれ、焦点が合いにくくなるので、血糖を正常にすることが必要です。

特に夜、ブルーライトを阻止して視覚を保護する

多くの人は発光ダイオード(LED)の照明や電子機器から出るものを含め、日没後のブルーライトへの暴露を避けることの重要性に気づいていません。近赤外線は網膜細胞の修復や再生のためのに下地を作るもので、これこそLEDの照明 — 赤外線がない - が目に有害な理由を説明しています。

網膜の中には夜間に網膜の再生を行うためにメラトニンの生産を司る細胞があります。ところが日没後にLED光を使用すると、目の再生機能や修復機能を下げることになり、再生が劣化するので萎縮に至ります。

このような場合は、萎縮が年齢に伴う加齢性黄斑変性症(AMD)につながりやすく、これが高齢者の失明の主な原因であるとともに、そのため転びやくなります。

ここで、まとめておくと、LEDに伴う主な問題は、青中心の波長を出し、これを相殺し癒す再生を可能にする近赤外周波数がないことです。赤部分がほとんどなく、修復と再生に欠かせない赤外線は全くなしです。

このため、日没後は青い光を阻止するメガネを掛け、LEDではなく明るい電球あるいはろうそくの明かりさえご使用になるとよいと思います。コンピュータに関していうと、夜間だけでなく、日中でも相関色温度を2,700 Kにまで下げましょう。このためにf.luxというソフトウェアがよく使われますが、Irisソフトも有用です。

自宅で転ばないようにする方法

高齢者が転ぶ件数の3分の1は容易に回避できたはずの身の回りの危険によると推計されており、自宅内の危険は転ぶ大きな原因です。Aging Careのサイトに転ばないようにするために自宅の中を安全にするためのヒントを網羅して掲載しています。

シャワーやふろ、トイレ周り等に安全バーやつかまるためのバーを必要な個所に設置しましょう。

階段はよく照明が当たり、最初と最後の段より長い頑丈な手すりが必要です。

スローラグをしまい、すべてのカーペット類をびょうで止めましょう。

バスタブの底にスリップ防止マットを敷き、シャワー用の椅子を検討してください。

トイレを使うなら便座を高くする追補の座を使用しましょう

自宅からこんがらかる物をなくしましょう

コード類を調整して床を這わせない

スリップ防止底の履物を使用する

日常使う物は容易に手に取れる場所に置く

高い所の物を取るなら椅子やステップを使わず、キャッチャー用具を使う

自宅に適切な照明を設置する

さらに、ベッドわきとか椅子やトイレ等よく使う場所には転倒マットを敷しておき、転んでも怪我しにくいクッション表面で受け止められるようにしておく。中には杖や歩行補助具を使用してさらに支持を加える人もいますが、歩行補助具類を使うほど転ぶ確率が高まることを研究が実証しています。

必然的に転ぶわけではなく、回避できるものであることを念頭に置いてください。自宅に微妙な改善を施し、正しい食生活をし、運動して目の健康に注意しすることで、ますます衰えさせるような転倒や脳の負傷を防止できるようになるでしょう。