最適な健康のためにはビタミンDレベル60 ng/mLを目指しましょう

ビタミンDと腫瘍

早分かり -

  • ビタミンDは免疫細胞を含む体内の全細胞や組織の生物学的機能に欠かせません。細胞は、体内に保存されている遺伝子の青写真にアクセスするには、活性化ビタミンDを必要とします
  • ビタミンDレベルが60 ng/mLを超すと乳がんリスクが80%を超えて下がり、このレベルを40 ng/mLにすると未熟児出産リスクが60%低下します。ビタミンDとがんによる死因の第三位を占める直腸結腸がんを含むこれ以外のがんの間の反比例関係も存在します
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Dr. Mercolaより

ビタミンDの健康的効果に関しては数千件の研究が行われてきており、ビタミンDが免疫細胞を含む体内の全細胞や組織の生物学的機能に関わっていることは実証済みです。細胞が内部に保存されている遺伝子の青写真にアクセスするには、活性化ビタミンDが必要です。

ビタミンDが — 胎児の成長からがんまで ー かなり多くの健康上の問題に効果がある理由の一つがこれです。

ビタミンDの従来の推奨値では病気予防には不足

残念ながら、対策は容易で安価にできるにも拘らずビタミンD欠乏は世界中に蔓延しています。単なる数学的誤算がために多くのアメリカ人やカナダ人はビタミンDレベルの最適化を考えません。医学研究所(The Institute of Medicine、IOM)は成人の一日当たりビタミンD推奨摂取量を600国際単位(IU)としかしていません。

IOMによる2014年のあるペーパーで指摘された推計値は、その後訂正がされなかった簡単な数学的エラーが原因で10倍も過小評価しています。さらに、この推奨値の目標は骨の健康についてのみであり、最適な健康や慢性病の予防についてではありません。

同様に、全米医療協会(American Medical Association、AMA)は20 ng/mLで十分という見解を取っていますが、納得のいく多くの研究が40 ng/mLを必要最低レベルであるとしており、30 ng/mLは心臓病、糖尿病、肺病その他等の一般的な病気の予防のためには可能な限りの最低レベルであることを実証しています。健康と病気の予防のために最適なレベルは実際には60~80 ng/mLの間です。

さらに、Anticancer Research誌に掲載されたある研究によると、大多数の人口(97.5%)が40 ng/mLに達するにはビタミンDを一日に9,600 IU摂取する必要がある — 600 IUとは雲泥の差 ー そうです。

この点を念頭においておいて、GrassrootsHealthの場合 — D*Action研究により — 血清中ビタミンD濃度が6倍変動することを発見していますが、この意味は、一日に5,000 IUのビタミンDを摂取する人はレベルが20 ng/mLになる一方で、別の人は同じ量を採ると120 ng/mLを達成できていることです。従って定期的にご自分のビタミンDレベルの検査を受けることが極めて大切です。

大多数の人はビタミンD不足でありがんリスクが増大している

不幸にも多くの健康専門家は皮膚がん予防のために日光を避けるよう勧めますが、この方法では体内のがんリスクが増大します。これではアンバランスに過ぎます! ビタミンDレベルが高い人は体内の様々ながんのリスクがはるかに低いことを多くの研究が実証してきました。

概して言うと、以前の研究によるとビタミンDの血清濃度が40 ng/mLになると、20 ng/ml以下のときよりがんリスクが67%下がることが明らかです。がんは血中ビタミンDレベルが10~40 ng/mLの範囲の人で発生していることを研究が実証しており、がん予防のための最適なレベルは40~60 ng/mLの間であると特定されています。

ビタミンDは皮膚がんのうち最も危険な形態の悪性腫瘍も含むがんの生存率も高めます。また、治療の成果もよくなるという根拠もあります。例えば、ビタミンDを膵臓がんの従来的処置に付加すると処置効果が上がることが判明しています。

直腸結腸がんと関連するビタミンD欠乏

最近ビタミンDレベルとがん死因の第三位を占める直腸結腸がんの間に反比例関係があることが研究で発見されました。その研究は米国、欧州、アジアで5,700人の直腸結腸がん患者とがんのない対照群7,100人を比較しました。

この研究では、ビタミンDレベル12 ng/mL (30 nmol/L)以下を欠乏状態と見なし、20~25 ng/mL (50~62.5 nmol/L)は骨の健康のために十分であると見なした。さらに高いレベルではがん予防と相関性がありました:

  • ビタミンDレベルが12 ng/mL以下では20~25 ng/mLの人より直腸結腸がんリスクが31%高い
  • 30~35 ng/mLでは直腸結腸がんリスクが19%低い
  • 35~40 ng/mLでは同27%低い
  • 血中循環ビタミンDが10 ng/mL増加するごとに直腸結腸がんリスクは女性で19%、男性では7%減少していた

ビタミンDは乳がん予防になる

ビタミンDレベルが高いほど大部分の女性にとって深刻な心配の対象である、特に乳がんを予防しやすくなることが数本の研究で判明しています。例えば、2005年のある研究で、ビタミンDレベルが60 ng/mLを超えている女性は20 ng/mLに満たない人より乳がんリスクが83%低いことが実証されました。

その後最近の二件の無作為臨床検査の統合解析からビタミンDと乳がんリスクの相関性が再確認されました。

高レベルに関して研究がほとんどないので、ビタミンDレベル40 ng/mL以上であることで何らかのメリットがあるか否かを評価するのがその目的でした。実際に、2005年に発見されたことと整合的であって、ビタミンDレベル60 ng/mL以上の場合は20 ng/mL以下より乳がん発生率が82%低かったのです。

統合データは3つの方法で解析されました。第一はビタミンDレベル範囲20~60 ng/mLに基づく発生率を比較。次はカプラン・マイヤー法による統計解析。3つ目は多変量コックス回帰分析を応用し、異なるビタミンDレベルと乳がんリスクの相関性を分析しました。

肺病に関連するビタミンD欠乏

最近の別の研究がビタミンD欠乏と間質性肺疾患(ILD)の関連性を発見しました。この場合、異なる民族を含む6,300人以上のビタミンDレベルを比較し、ビタミンDとILD発生率と回帰性の間に相関性があるかを評価しました。

33%の人はビタミンDレベルが30 ng/mL以上あり、35%は20から30 ng/mL、32%が20 ng/mL以下の不足レベルでした。

年齢や喫煙、肥満、不活発さ等他の要因を考慮しても、結果は有意でした。ジョンズ・ホプキンズ大学医学部助教授でその研究の主任筆者Dr. イーリン・ミコス氏がMedical News Todayに次のように語っています:

「ビタミンDホルモンには抗炎症特性があり、ILDでは異常が起きる免疫系の調節を助けることは判明しています。

ビタミンDが喘息や[慢性閉塞性肺病]等の閉塞性肺病において機能していることは文献にも根拠が挙がっており、私たちの研究がこの瘢痕化形態の肺病においても連関性が存在することを今や実証しました。

環境毒素や喫煙等既知のILDリスク要因と同様に、ビタミンD欠乏を病理に関わる要因に含めることを検討してもよいと考えています。

流産に関連するビタミンD欠乏

ビタミンDは母体と胎児の健康保護のために妊婦にとっておそらく格別に重要であるようです。興味深いことに、ビタミンDが母体が胎児を異物組織として拒否しうる重篤な免疫反応の防止のために欠かせない機能をしていることを最近の研究が示しています。

その筆者らがこう説明しています:「免疫力が強い母体は胎児に対して免疫反応を示すことは考えられる。しかし、実際には耐性の誘因となる様々な胎児と母体の相互作用が原因によりこれは起きない。

近年、ビタミンDがこの重要な免疫耐性プロセスの誘発及び調節のために基幹的機能を果たすことが注目されている。」研究者らが発見したこととは、妊娠を望むカップルのうち約1%に発生する再発性流産の原因がビタミンDの低濃度であるということです。

簡単に言うと、ビタミンDは一部は免疫細胞の分裂と炎症性サイトキンの排出を調節することにより、妊娠に有利な環境を促進します。その研究の著者によると:「ビタミンD欠乏はバランスを崩して悪い結果に向かわせ、再発性流産の原因の一つであると見られる。」

ビタミンDはまた、妊娠中のその他多くの基幹的機能を担い、母体の合併症や早産リスクを大幅に下げることは実証されています。

ビタミンDで大幅に下がる早産リスク

GrassrootsHealthサイトに掲載されている事実によると、ビタミンDレベルと妊娠の間に明確かつ確定的な相関性が存在し、最大40 ng/mLでこの効果が横ばいに達します。

全体として見ると、ビタミンDレベルが40~60 ng/mLの妊婦は一般人より早産リスクが46%低く、妊娠第三四半期までにビタミンDレベル40 ng/mL以上あった人は、20 ng/mL未満の人より早産リスクが59%低いことが実証されています。

(ビタミンD欠乏が一般的な)コーカサス系以外の女性の場合このリスク減少は顕著に見られます。このグループの場合、二回目のビタミンDテストでビタミンDレベル40 ng/mLに達していた人は、78%も早産リスクが下がっています — 早産リスクは18%--->4%という激減でした! アフリカ系アメリカ人のこうした目を見張るべき早産率低下効果を無視することは極度のばかげた態度としか言えません。

カナダの研究:日焼けベッドでビタミンDレベルを最適化できる

ビタミンDレベルの最適化のための最適な方法は日常の適度な日光浴によって達成でき、自分の濃度を年二回検査してください。しかし多くの人にとってこのレベルを日光に当たることによって、特に冬に達成するのは至難の業です。

こうした場合にはビタミンD3 (D2ではなく)のサプリを飲めるでしょうが、日光浴で得られる他の多くの健康的メリットにはかないません。GrassrootsHealthは日焼けベッドがもう一つの代替手段であるとしています。これは研究が裏付けています: GrassrootsHealthが次のように報告しています:

「夏の日光と同レベルのUVB成分を含むサンベッドなら冬に効果的な代替的ビタミンD源になりうることが、Journal Dermato-Endocrinology誌に掲載された新たなカナダの研究から判明しています。

日焼けサロン特にUVB成分を含むサンベッドを冬に使用する人は、ビタミンDの血中レベル(>100 nmol/L) [40 ng/mL]に達しうると、研究が報告しています。

屋外の日光に匹敵するUVB光線を含むサンベッドを使用する参加者のビタミンD血中レベルは平均42 nmol/L [16.8 ng/mL]だけ増加することが判明しました。これは日焼けサロンのサンベッドを標準的な日焼け頻度で利用すると実現できました。

この研究で使用した日焼けベッドは — カナダ全国の平均的な日焼けサロンにあり — 2.2~4.2%のUVB光を含む100~160Wの蛍光灯を装備していました。その研究の主任筆者でありカルガリーにあるPure North S'Energy基金の研究理事サマンサ・キンボールPh.D.によると:

「サンベッドでは皮膚のほぼ100%を制御管理しながら暴露させることが可能で、ビタミンD生産の効果を増大します。ビタミンDレベルを日に焼けるまで光に当たらずにカナダ保健省の推奨値まで効果的に増やせます。」