Dr. Mercolaより
アシュワガンダ (Withania somnifera)は古代からアユルベーダ医療では重要な位置を占めるハーブです。
サンスクリット語の語源に発するアシュワガンダの文字通りの翻訳は「馬のように匂う」で、実際の匂いよりもその本質を指しているものと思われます。
このハーブが馬の強さとスタミナを与えるのでこのような名前が付いたと、アユルベーダ・ヘルスプロが言っていました。一方その種の名称であるsomniferaはまさしく鎮静効果を表します。
アシュワガンダはときどきアユルベーダやインドの朝鮮人参と言われることもありますが、これはニンジン科ではありません。アシュワガンダはパキスタン、インド、スリランカ原産で、黄緑の花を付けオレンジ系赤の実が成る灌木です。
葉と根をよく医療に応用しています。アユルベーダの伝統によると、アシュワガンダはラサヤナ・ハーブと考えられ、すなわち、害を被る程度を軽減すると同時に若さと寿命を延ばすと考えられます。このハーブにはアダプトゲン的効能すなわちストレス管理を助けることを含め、多くの効能があるので、この用語は広義でもこの植物には合う呼び方です。
米国植物協議会(American Botanical Council)によると「これは高齢者に体力がつき、痛み、炎症、神経衰弱を軽減することでとても有用であるとも考えられる」そうで、さらに近年の研究が脳の効能もあることを示しています。
記憶力改善はアシュワガンダ特にその根の伝統的用途の1つです。Journal of Dietary Supplements(健康補助食品専門誌)に2017年に掲載されたある研究が記憶力と認知機能改善を見るため、50人の軽度認知障害(MCI)患者にアシュワガンダの根エキスを投与した結果、このことを証明しました。
MCIはアルツハイマー病を含むより重篤な認知障害の発症リスクが高まることと関連している認知能力の若干の衰弱を意味します。被験者はアシュワガンダの根のエキスか偽薬を8週間投与されました。アシュワガンダを飲んだ人は偽薬群より多くの項目で大幅な改善が見られました。これには次の点でより大きな改善が含まれました:
アシュワガンダの鎮静効果は記憶力効能の潜在的なメカニズムであり、これは「ストレスや不安、睡眠障害が正常な認知機能に悪影響を及ぼすと考えられるので、間接的に記憶力や認知力の改善に関わっているようである」と研究者らが指摘しています。
アシュワガンダは認知症の人の脳細胞劣化を遅延させるのを助けると考えられます。認知症の人の脳細胞損傷を修復し、ニューロンネットワークやシナプスを復元することが発見されました。このハーブには精神的と感情的ストレスの軽減効果もあるのでうつ対策にも役立つようです。別の研究はラットの場合には肥満による認知障害の軽減を確認しました。
PLOS Oneに研究者らが「アシュワガンダの葉から抽出した生体活性化合物が神経保護的効果があり、脳の健康のためのサプリメントとして有用ではないかと考えられる」と書いています。
アシュワガンダはアユルベーダでは伝統的に睡眠補助剤として利用されてきましたが、睡眠妨害によるストレスや関連の機能障害を管理するのに有用であると考えられる不安防止や抗炎症作用があることを研究が示しています。
アシュワガンダが体内の(ストレスホルモン)コルチゾール生産を28%も減産するのを助けるので、ストレス軽減特性がよく知られています。実際に慢性ストレスの既往症がある研究の被験者に投与したら、コルチゾールが大幅に減り、すべてのストレス評価尺度でスコアが下がりました。研究者らは次のように結論づけています:
「この研究の発見事実が示すことは、アシュワガンダの根エキスを高濃度で全範囲にわたって利用すると被験者のストレス耐性が安全かつ効果的に改善され、主観的な生活の質が改善されたことでした。」
このほかにも、中度から重度の不安症の人を対象にした研究では、アシュワガンダ・エキスを服用した人は不安とストレスが軽減したと同時にバイタリティーややる気が出て、全体的な健康がよくなりました。
アシュワガンダは鎮静化、ストレス軽減効果で最もよく知られていますが、用途はこれ以外にもたくさんあります。Central Nervous System Agents in Medicinal Chemistry(中枢神経系薬剤化学専門誌)ではアシュワガンダを長寿のためばかりではなく、「慢性的ストレスによって阻害されている生理機能を神経内分泌系統や免疫系のアンバランスを補正することにより正常に戻す」こともできる「万能薬」と位置付けています。
「アシュワガンダは気付け薬、催淫剤、麻薬、利尿剤、虫下し、収斂剤、発熱剤、刺激剤と見なされる」と、研究者らがAfrican Journal of Traditional, Complementary and Alternative Medicineの中で注目しており、様々な健康の異常や病理に対して多くの効能をリストアップしてあります:
「アシュワガンダはチャーナという微細に篩を掛けた粉としてよく利用でき、これを水やギー(浄化バター)、はちみつと混ぜることができる。脳や神経系の機能を促進し、記憶力を高める。
健康的な性的、生殖的均衡を促進して生殖機能を改善する。強力なアダプトゲンとして、身体がストレスに対して強くなる。アシュワガンダは細胞により媒介される免疫力を改善することで病気から身体の防衛力を高める。また、フリーラジカルによる細胞の損傷から守る強力な抗酸化作用もある。」
アユルベーダ医学が普及している地方(インド、ネパール、マレーシア等)で、アシュワガンダの根を利用して炎症性異常、男性の勃起不全、過労や虚弱による病気の処置に利用できると考えられています。
「人間の健康に影響するほぼあらゆる異常」の処置に利用しうるという人もいいます。さらに、アシュワガンダには次のようなことに対する効能もあります:
スタミナ改善
胃潰瘍
パーキンソン病、ハンティントン病、アルツハイマー病等の神経萎縮性疾患
エネルギーレベル
ミトコンドリアの健康
炎症
関節リウマチ
変形性関節症
筋肉の質量と強度を増やす
血糖値を下げる
その他、American Botanical Council(米国植物協議会)はアシュワガンダ(の根)の用途を編纂しました:
「アシュワガンダの根の実績記録がある用途の中にはアル中治療用の催眠剤(葉も使う)、脳霧、風邪や悪寒の処置、幼児衰弱、気腫性発音障害(気腫が原因の発声障害、葉も使う)、発熱、腺の腫れ、勃起不能、精子衰弱の治療が挙げられる。
記憶力損失や筋力損失、神経衰弱、リューマチ性発熱、リューマチ性の腫れ、老衰、全身衰弱、精液漏、梅毒、潰瘍に対処する。タンザニアでは、その根は性的興奮剤としてまた子宮の収縮を促す薬として利用される。」
アシュワガンダを利用しようと思えば、まず、ホーリスティックヘルスケアのプロに相談しましょう。ハブなどの天然療法でさえ、ときには服用中の薬やサプリメントに干渉する場合があるからです。
妊娠や授乳中の方はアシュワガンダを避けるべきです。研究によると余計摂取するとこれは子宮の鎮痙活性を引き起こし、早産につながりやすいと考えられているからです。しかし、概してアシュワガンダには若干の副作用(もしあれば)がある程度で、たいていの人には安全なようです。
用量は通常一日125mg~1,250mgの範囲で、高用量では臨床研究でほとんどの有意な効能が出るようです。アシュワガンダは特に鎮痛やストレス対策用にエッセンシャルオイルとして局部に(担体オイルで希釈する)も利用されます。
お好みなら乾燥アシュワガンダ根で茶を作り、暇なときにすすり飲みすることができます。Cure Joyに一つのレシピが出ていました:
手順
最後に、アシュワガンダはタイムやバジルのような典型的「ハーブガーデン」の植物ではありませんが、比較的栽培しやすく(冬が寒い地方では一年草)、お茶やチンキとして自分で作ることもできます。アシュワガンダを栽培するときの注意点:
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