便カプセルで致死感染と闘う可能性

便カプセル

早分かり -

  • クロストリジウム・ディフィシル (C. diff.) という重篤な感染症の解決法は比較的新たな便微生物移植(FMT)と呼ばれる療法です
  • 病院によくいるバクテリアC. diff.は今日ヘルスケアにおける下痢の主な要因であり、投薬中の高齢者ほどリスクが高く、抗生剤投与直後によく発生しています
  • FMTは健常なドナーの糞便をC. diffに感染した患者の胃腸管に移植して腸内細菌叢を再建しようとするものですが、錠剤形態が非侵襲的方法です
  • 患者の心地よさの点では、結腸内視鏡検査によってFMTを受けた人よりFMTカプセルを投与した被験者はこの体験を「不快」と感じていないことがわかりました
  • 腸の健康さらに全身の健康は密接に関連し合っており、細菌叢に「餌を与え」ると同時に可能な限り抗生剤を避けることで細菌叢が最適化されます
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Dr. Mercolaより

カプセルによる便移植はいく分苦薬で飲めないように見えますが、盲検を実施している科学者らこの形態の言うなれば便移植療法のほうが容易であり、かん腸器や結腸内視鏡検査による便微生物移植(FMT)とも呼ばれる便移植と同様に、重篤かつ恐れられているクロストリジウム・ディフィシル感染(RCDI)(以下、「C. diff.」)に感染した患者を治療するには効果的であったことを発見しました。

さらに、錠剤としてFMTは重篤な副作用がないので患者の生活の質を高めることもできます。

この処置方法をよく知らない方のために、便移植はよく行われているだけではなく、ある研究によると、一次検査は早期に打ち切られたほど成功したのです。つまり研究者らは(一部の患者は代替療法を受けざるをえなくなっているように)患者の処置を控えておくこと自体が非倫理的であるとみなしたからです。NPRに説明されています:

「それゆえC. diff.は一種の特殊なケースである。これは他の微生物を破壊した抗生剤から反復攻撃を受けてきた極めて侵撃的な微生物である。従ってドナーの便の中にいる微生物が侵撃しやすい環境である。」

C. Diff.: 病院によくいるバクテリア

C. diffの困難な点はヘルスケア施設では最もよく見られる感染であり、入院患者が医療処置しにくい健康を破壊する再発性の下痢を起こす原因でもあります。別の異常のために抗生剤を受けている高齢者では特に蔓延しています。CIDRAPは次のように説明しています:

「(C. diff.)は完全に治癒するのが困難なようである。その結果感染再発がますます問題となった。少なくとも20%の初期CDI に罹患した患者は8週間以内に再発しており、RCDI リスクは3回以上感染した後では50~60%も高い。」

ブラウン大学の研究者らはあるプログラムで細菌、真菌、ウィルス(人の腸内細菌叢)では、例えば他の異常のために処方した抗生剤が良性な善玉菌等のこの薬がなければ完璧に機能していたはずのものを阻害すると、C. diff.の管理が困難になると説明しています。ささいな感染ではまったくなく、NewsweekはC. diff.が「悪性」で「致死性」であると呼んで手加減しない姿勢で書いています。

抗生剤は院内の通常行われる処置であると考えられますが、患者の体内ですべての細菌叢の中のC. diff.を抑制できたはずの善玉菌を効果的に壊滅することにより火に油を注ぐだけのことであると、CIDRAPでは見ています。本質的にFMTは健康なドナーから大便をC. diff.感染した患者の胃腸管に移す処置であると要約できます。

その目的は、「臨床検査で有望であることが証明済みの健康な細菌を腸内に抗生剤を使用しない治療として導入すること」です。

腸内細菌叢が阻害されると何が起きるか?

C. diff.は米国の場合毎年約50万人ほどが罹患しています。さらに、このうち15,000人は致死症例であると、疾病管理予防センター(CDC)が説明しています。

また、大便移植という可能性があってもこれを外科手術で行うことをとても受け入れがたいものとして患者がいやがってきました。実際に大便から善玉菌を抽出して経口服用を受けれやすくするように取り組みは行われてきましたがこれも失敗しました。

画期的で革新的なアイデアとしては全くない、大便を使用してC. diff.やその他の異常を処置することは少なくとも1950年代後期以来行われてきました。FMT以外の別称としては糞便バイオセラピーとか糞便細菌叢再生術がありました。この処置の根拠となっている科学についてある研究が説明しています:

「FMTは健常なドナーの糞便のうち液状懸濁物質を(経鼻胃管やかん腸器、結腸内視鏡検査を使って)注入して患者の普通の腸内細菌叢を再建する。FMT(非CDI 偽膜性大腸炎)の使用に関する初のレポートは1958年に公表された。そのとき以来CDI再発に対してこれを使用することを支持する実証例が増大の一途を辿ってきた。」

腸内細菌叢が健康の決め手か

腸内細菌叢の機能のしかたはいまだ研究で精査中段階です。特にこれがいかに健康に影響するかの仕組みの部分が解明されていません。特定の食品は腸内細菌叢に「栄養を与える」ためにプラスと見なされていることは確かです。

繊維質が豊富な食品は繊維質が腸内壁に栄養素を提供するため最も好ましいものです。食品と腸の健康は密接に関連しているので、特に私が推奨している1,000カロリー当たり50gの繊維質を食べていない場合もっと繊維質を食べることを検討してください。

繊維質が健康によいひとつの理由としては腸内の善玉菌に栄養素を与えることが挙げられます。腸内の善玉菌は消化や吸収をよくし、免疫機能で重要な役割を果たしています。

発酵食品を食べると腸内の最適なバランスを回復するのによいです。自宅で簡単に食べられるキムチやその他の発酵野菜以外にはケフィールやヨーグルトなどの発酵飲料があり、これらは何兆個もの善玉菌を提供してくれ、プロバイオティックサプリメントから得られるより多いです。

便カプセル、結腸内視鏡検査あるいはその他の手段?

どちらが悪いかを見極めようとする科学者や医者ともに頭の痛い問題でした: C. diff.、抗生剤、(患者の体内に糞便要素を導入するために最もうまくいく方法である)結腸内視鏡検査または新規の便カプセルで流出させる処置計画。C. diff.はMedline Plusが重篤な生命に危険な症状を伴うと書いているように次のような症状があります:

水のような下痢が一日に何回もある

胃痛

発熱

脱水症状

吐き気

腹痛と腹部の緊張

結腸内視鏡検査は侵撃的処置の一例ですが、通常患者が軽微な鎮静剤を受けるので呼吸が遅くなることによる別のリスクが生じます。また、この処置中には患者の腸壁に穴が開き、生命を脅かす感染につながるおそれもあります。

便カプセル臨床検査

カナダのアルバータ大学で消化器学のダイナ・カオ氏はTimeが「カプセルに加工した糞便物質」と呼ぶ錠剤を被験者116人に投与しました。結腸内視鏡検査と比較して両方の処置法ともにC. diff.再発率が90%減少しました。

被験者116名全員がC. diff.を少なくとも3回再発し、カプセルか結腸内視鏡検査を無作為に割り当て便置換しました。

一回の処置でカプセルを平均30分から1時間の間に40個飲まなければならなかった患者にとっては「物を精神で制する」ほどの試練であったにちがいありません。患者の90%は12週間後にC. diff.が壊滅したことからC. diff.再発が削減されたと判断されました。

ミシガン大学医学部教授のプレーティ・マラーニ氏はその研究に伴う論説で次のように説明しています:

「この研究から便移植カプセルを優先すべきと考えられる。自分がその家族の一員だったら、結腸内視鏡検査をしないほうが役立つと思うであろう。」

それでもメラーニ氏やその他研究者らはさらに研究が必要であると考えており、カオ氏の研究でわかった結果を確認するためではなく、いかに便移植がよく機能するかをもっと把握するためです。

カオ氏自身は便移植の全構成要素を研究してC. diff.を制御するために何が正確に役立つかについてより深く把握する計画をしていると言っています。カプセルによる微生物移植はC. diff.以外にも肥満、糖尿病、大腸炎、クローン病にも現在利用されている療法です。

腸内細菌が肥満、アレルギー、喘息、精神病の一部といった障害や異常のリスクを下げることに積極的に関与している可能性があります。

政府機関がいまだ認可しない処置計画

便移植は一目には最高レベルの似非療法にも見えますが、その処置プロセスを把握すれば悪玉菌を善玉菌で置換する最適な方法でることが飲み込めます。

その臨検が成功したのでカオ氏の最初の反応は「絶対的にいかれている。これ程の効果は薬では見られない」とまで皮肉に表現したほどでした。さらに、便カプセル療法の成功は従来医学が非常識的な方法を必ず否定する考え方を「転換」させるものと考えています。現在の抗生剤や手術に優るメリットをいくつか挙げています。便カプセルは:

  • 非侵撃的
  • あまり高価でない
  • 鎮静剤によるリスクがない
  • 医師の診察室で行える

FDA(食品医薬品局)は便移植をいまだに認可しようとしません。しかし、医師がこの療法を他の療法で治らない患者に行うことは、便カプセルがまだ有効な処置として検討中であることを患者が把握する限り、認めています。

さらに、CIDRAPは、2016年3月にFDAの提案がFMTの使用制限規制を強め、ドネーか担当医が個人的にドナーをよく知っていることを条件づけましたが、この制限はこの記事の原文を編集している段階ではまだ最終決定されていません。

興味深いことに、便カプセルを飲み込むという考えについてどう思うかを患者に尋ねたところ、ほとんどの人はあらゆる手を尽くした後ならそれほどひどいものでもないと答えています。Newsweekによるとこのカプセルを飲んだ患者57人の2/3はその体験を「不快なことは全くなかった」と答え、FMTを結腸内視鏡検査で受けた59人の44%はそれほど快く受け止めていませんでした。

患者が代替処置を思い出した場合ならつまり、彼らにとって便カプセルが治せないものを直せるので一種の英雄であったと思う限り、その処置を積極的に受け止めることはできるかもしれません。

カオ氏が結論するように、「いまだわかっていないことがあり、他の異常の場合、細菌叢の蘇生に障害があったことが原因であるかについてはっきりわかっていません。便はそれほど複雑な混合物です。」